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* レイシアン [#l0469380]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[詩・歌]]|
|~スペル|Leithian|
|~その他の呼び名|レイシアンの歌(Lay of Leithian)|

** 解説 [#Explanation]

[[シンダール語]]で「囚われの身よりの解放」(Release from Bondage)の意。[[ベレン>ベレン(バラヒアの息子)]]と[[ルーシエン]]について語った歌物語で、[[太古]]の世を歌った歌を除いて、最も長い歌物語(散文詩)と言われる。[[アン=センナス]]という旋律で歌われる。

>「世界は今速やかに大いなる出来事に向かって動いています。いつか[[人間]]の一人、それもほかならぬ[[ベオル一族>ベオル#House]]の者が実際にこの地([[ドリアス]])に来るでしょう。その時は[[メリアン]]の[[魔法帯]]もかれを妨げることはないでしょう。わらわの力より大きな運命がかれを遣わしてくるからです。かれの訪れによって生まれる歌は、全[[中つ国]]が姿を変えた後も歌われ続けるでありましょう。」(([[ガラドリエル]]に語った[[メリアン]]の予言))

『[[指輪物語]]』では、[[アラゴルン>アラゴルン二世]]([[馳夫]])が旅の途中でその一部を[[共通語]]に訳して[[ホビット]]達に聴かせている。(このシーンは[[ラルフ・バクシ]]版アニメ映画『[[ロード・オブ・ザ・リング 指輪物語]]』にも入っており、[[ピーター・ジャクソン]]版実写映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』でも、[[スペシャル・エクステンデッド・エディション]]に収録された)

*** 『[[指輪物語]]』での邦訳 [#l528cfcc]

>木の葉は長く、草は緑に、
 [[ヘムロック]]の花笠はのびて、あでやかだった。
木の間の空地にさしこむ光は、
 夜空にまたたく星明かりだった。
そこに踊るのは、[[ティヌヴィエル>ティヌーヴィエル]]よ、
 見えない笛の音にあわせて。
星明かりを髪にかざし、
 まとう衣をきらめかせて。
>きびしい山から、[[ベレン>ベレン(バラヒアの息子)]]はおりて、
 まとう衣をきらめかせて。 &br;
きびしい山から、[[ベレン>ベレン(バラヒアの息子)]]はおりて、
 道ふみ迷い、さまよう森辺、
[[エルフの川>エスガルドゥイン]]のとどろくあたり、
 ひとり嘆いて、たずねていけば、
ヘムロックの葉蔭にかいま見た、
 黄金の花々を裳と袖にさし、
髪を影のようになびかせて、
 おどる美しい[[乙女>ルーシエン]]の姿。
>[[山々>エレド・ゴルゴロス]]を越えてさまよう運命に疲れた足も、
 おどる美しい[[乙女>ルーシエン]]の姿。 &br;
[[山々>エレド・ゴルゴロス]]を越えてさまよう運命に疲れた足も、
 魅せられた心にたちまち癒えて、
烈しく早く駆けよったベレンの
 手につかんだのは、きらめく月光ばかり。
織りなす木々をすりぬけて、わが家へ
 乙女は踊る足どり軽く逃げていった。
あとに男は、なおも淋しく、
 耳すませつつ[[静まる森>ネルドレス]]をさまよった。
>男はきいた、菩提樹の葉ずれのように軽い
 耳すませつつ[[静まる森>ネルドレス]]をさまよった。 &br;
男はきいた、菩提樹の葉ずれのように軽い
 にげゆく乙女の足音を。
またきいた、地下から湧き出でて
 かくれた窪地に鳴る楽の音を。
はやヘムロックの花束はしおれて、
 一葉一葉、溜息をつき
ささやきながら、ぶなの葉は落ちた、
 冬の森に、たゆたうように。
>男は、乙女を求めて遠くさまよった、
 冬の森に、たゆたうように。 &br;
男は、乙女を求めて遠くさまよった、
 年々の落葉が厚くつもる処を、
月の光、星の明かりをたよりに、
 寒さきびしい空の下にふるえながら。
かなた、高い山の頂上で、
 衣を月光にひるがえして
乙女は踊るよ、その足もとに
 銀の霧がうずまいて散った。
>冬がすぎて、乙女はもどった。
 銀の霧がうずまいて散った。 &br;
冬がすぎて、乙女はもどった。
 その歌声がとき放つ、にわかな春に、
&ruby(ひばり){雲雀}; は舞い、雨はくだり、
 雪解け水は、泡立って流れた。
乙女の足もとに咲いたエルフの花を、
 男は見て、悲しみをまた癒された。
かれの望むのは、芝草の上で
 乙女をおどさずに、歌い踊ることだった。
>ふたたび乙女は逃げたが、男は早かった。
 乙女をおどさずに、歌い踊ることだった。 &br;
ふたたび乙女は逃げたが、男は早かった。
 ティヌヴィエルよ! ティヌヴィエル!
エルフの名で呼ぶ男の声に、
 乙女は足をとめて、耳をかたむけた。
その声にこもる魔力で
 立ちつくす時の間に、ベレンは来た。
かくてティヌヴィエルに運命はくだり、
 ベレンの腕にかがやかしく横たわった。
>乙女の髪の陰の二つの眼を
 ベレンの腕にかがやかしく横たわった。 &br;
乙女の髪の陰の二つの眼を
 ベレンがのぞきこんだとき、
夜空にゆらぐ星の光が、
 そこに映ってふるえるのを見た。
エルフの美女なるティヌヴィエル、
 命つきせぬエルフの乙女、
陰なす髪は、ベレンをつつみ、
 双の&ruby(かいな){腕}; は、銀のようにかがやいた。
>運命のみちびく道は、長かった。
 双の&ruby(かいな){腕}; は、銀のようにかがやいた。 &br;
運命のみちびく道は、長かった。
 冷たい灰色の石の山を越え、
鉄の広間を通り、お暗い戸口をくぐり、
 朝の来ない夜の森をぬけ、
[[別れの海>大海]]にへだてられたが、
 二人はついに、ふたたび出会った。
して、遠いそのかみ、二人はともに、
 歌いながら、嘆きも知らず森へ去って行った。

*** 原文 [#ecbed835]

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