-ベレリアンド、トル・シリオンのミナス・ティリス(Minas Tirith)については[[ミナス・ティリス(トル・シリオン)]]を参照してください。
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* ミナス・ティリス [#z06284da]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[地名]]|
|~スペル|Minas Tirith|
|~その他の呼び名|守護の塔(Tower of Guard) &br; ミナス・アノール(Minas Anor) &br; 日の没りの塔(Tower of the Setting Sun) &br; 太陽の塔(Tower of the Sun) &br;ムンドブルグ(Mundburg)(([[ローハン語]]での呼び名))&br;石の家(Stone-houses)、石の都(Stone-city)((ともに[[ガン=ブリ=ガン]]が用いた表現))|

** 解説 [#Explanation]

>しかし、ミナス・アノールは持ちこたえ、新たにミナス・ティリス、即ち〈守護の塔〉と命名された。なぜなら、王たちによりこの城砦に[[白い塔>白の塔]]が建てられ、その高い美しい塔は、多くの土地を見張っていたからである。この都は依然として誇り高く堅固であり、王宮の前には、[[白の木]]がなおしばらく咲き続け、[[ヌーメノール人]]の残存者たちが今なお[[大河]]の水路を守り、[[ミナス・モルグル]]の戦慄すべき恐怖の者たちに、そして西方世界のすべての敵、即ち[[オーク]]や怪物や悪しき人間たちに対していた。かくて、アンドゥイン以西の後方の地は、戦禍と破壊から守られたのである。((『[[シルマリルの物語]]』「力の指輪と第三紀のこと」))

[[シンダール語]]で「守護の塔」の意。[[ゴンドール]]の首都。[[アノリアン]]の主府でもある。[[ローハン語]]では''ムンドブルグ''と呼ばれている。
[[白の山脈]]の東端、[[ミンドルルイン]]山から突き出た丘の上に建設されている。ミナス・ティリスの周囲には[[ペレンノール野>ペレンノール]]が広がり、防壁である[[ランマス・エホール]]に囲まれている。

かつてこの都は「太陽の塔」の意である''ミナス・アノール''と呼ばれており、ゴンドール元来の首都[[オスギリアス]]を防衛するための[[大河]]西岸の砦であった。これに対して大河東岸にあった砦が「月の塔」の意である[[ミナス・イシル]]である。
しかし[[第三紀]]2002年にミナス・イシルが[[ナズグール]]に奪い取られて[[ミナス・モルグル]]に変貌し、さらに2475年にオスギリアスが敵の攻撃によって廃墟と化すと、最後の拠り所となったミナス・アノールの名はミナス・ティリスと改められた。

七層の城壁に囲まれた難攻不落の城塞都市であり、'''中に武器を取ることのできる者がいる限り、敵の大軍もこれを落とすことはでき'''ないと言われる。しかし[[第三紀]]末には[[ゴンドール]]の国力の衰退とともにこの都も衰微し、いくつもの彫刻や古の貴人の名が刻まれた石の通りにある邸宅は住む者も少なく静まり返っていた。
ミナス・ティリスの[[白の塔]]には[[パランティーア]]の一つが保管されていたが、これは都を守る[[執政]]のみが知る秘密となっていた。

*** 構造 [#paf00286]

>そして[[この山>ミンドルルイン]]の膝のように外に突き出たところに防備堅固な城市が、七重の城壁にとり巻かれていて、城壁は人力の建造したものとは見えず、巨人たちが大地の骨なる岩塊を刻んで作ったと思われるほどの堅固で年ふりた石で作られていました。 &br; [[ピピン>ペレグリン・トゥック]]が驚嘆の眼を瞠っている間にも、おぼろに灰色に浮かび上がって見えた城壁が暁の光にかすかに赤く染まりながら、白く変わっていくうちに、突然東の暗い影の上に朝日が上り、さっと光の箭を放って城市の面を照らしました。その時ピピンは思わず声をあげました。一番高い城壁の内側に高く聳え立つ[[エクセリオンの塔]]が大空にくっきりと輝き、高く見事に形よくまるで真珠と銀の大釘のようにきらめきわたって、その頂の尖塔が水晶で作られたように光ったからでした。また胸壁からは白い旗が朝の微風にはためき、ずっと向こうの高いところから、銀の喇叭のような澄んだ響きが聞こえてきました。((『[[指輪物語]] [[王の帰還]] 上』「一 ミナス・ティリス」))

ミナス・ティリスは[[ミンドルルイン]]山から突き出た''守りの丘''(Hill of Guard)の上に建てられた。丘をえぐって作られた円周状の層が第1層から第7層まで存在し(頂上の第7層は円形)、それぞれが白い城壁で分断され、''環状区''(circle)を形成している。
第1層を囲む城壁は特に巨大で、外側の壁面が[[オルサンク]]を形作っているものと同じ黒く滑らかな物質でできており、いかなる攻撃も寄せ付けない。この第1層の城壁にある都の''大門''(Great Gate)は東に面し、鉄の扉と鋼の柱でできており、石の塔と稜堡で守られている。
第1層と第2層を結ぶ門は南東、第2層と第3層を結ぶ門は北東、第3層と第4層を結ぶ門は南東というように、各層を結ぶ門は北東と南東に交互に配置されている。さらにこれら七つの門を通り抜けるには合言葉が必要であった。
大門の背後には、船首の竜骨のように鋭く切り立った''大岩''(rock)がそそり立っており、その高さは第7層にまで達している。大岩の高さは700フィート(約213m)あり(([[白の塔]]の高さは300フィートであり、一番下の地面から白の塔の尖端までは計1000フィート(約304.8m)となる))、その頂は胸壁で囲まれ、胸壁の東の突端には狭間が一つ空いている。この大岩によって第2層~第6層は二分されており、交互にうねる道は大岩に穿たれたアーチ型のトンネルを通るようになっていた。
[[ミンドルルイン]]山と守りの丘を繋ぐ鞍部、''肩''(shoulder)は第5層の城壁と同じ高さがあり、この狭い土地は巨大な防壁で囲まれ、壁は西側に聳えるミンドルルイン山の絶壁まで続いている。ここには諸侯や統治者たちの墓所[[ラス・ディネン]]が置かれており、''聖所''(Hallows)とも呼ばれている。
最上層である第7層の城壁の内部は''城塞''(Citadel)であり、[[白の塔]]が聳える。塔の前には[[噴水の庭]]があり、そこには枯れた[[白の木]]がそのまま残されていた。

第一環状区は最も幅が広い環状区であり、[[古旅籠]]がある&ruby(しょっこう){燭工};通り(Lampwrights' Street)(([[シンダール語]]でラス・ケレアダイン(Rath Celerdain) ))が存在する。
第六環状区には大侯の使者たちの宿舎、そのすぐ近くに駿馬を養ういくつもの立派な厩舎があり、南側城壁近くには医療施設の[[療病院]]((『[[「中つ国」歴史地図 トールキン世界のすべて]]』では「東の方向が見えるはず」として、その場所を第六環状区の東南東にあると想定している))がある。またラス・ディネンに通じる開かずの入り口[[フェン・ホルレン]]もこの環状区の背後の城壁にある。
第7層の城塞には白の塔の他にも、城塞を成す多数の建物がある。ガンダルフとピピンが滞在した、賓客を泊めるための宿舎(lodging)は、“肩”から程遠くない北側の城壁近くにあった。この宿舎の二階からは[[エミン・ムイル]]の山々と[[ラウロス]]の大瀑布が見えた。
また正確な場所は不明だが、[[サウロン]]の敗北の後、一時帰国していた[[エオメル]]たちが[[セオデン]]の棺を迎えにミナス・ティリスを再訪した際、[[エレスサール王>アラゴルン二世]]と[[アルウェン]]王妃の結婚式にも参列した一同(([[エルロンド]]ら[[裂け谷]]の[[エルフ]]および、[[ガラドリエル]]ら[[ロスローリエン]]のエルフを含む))が集合した宴会用の大広間メレスロンド(Merethrond)が存在する。((『「中つ国」歴史地図』では、メレスロンドの位置は第七階層の[[白の塔]]の北側と想定している。))

*** 歴史 [#x2a1e7ae]

[[第二紀]]3320年に[[ゴンドール]]を建国した[[イシルドゥア]]と[[アナーリオン]]は[[オスギリアス]]を東西から守るべく、[[影の山脈]]と[[ミンドルルイン]]の山の肩に一つずつ砦を築き、それぞれの居城とした。アナーリオンが[[白の山脈]]の山岳人への盾として築いたのがミナス・アノールである。そしてそこには分割された[[七つの視る石(パランティーア)>パランティーア]]の一つが置かれた。
第二紀3429年に[[サウロン]]の戦いが始まると、ミナス・アノールはアナーリオンによって防衛される。

[[第三紀]]2年、王国を継いだイシルドゥアは[[北の領地>アルノール]]に向かう前にミナス・アノールに立ち寄り、[[ミナス・イシル]]から救出した[[白の木]]の実生を移植した。
420年には[[オストヘア]]王によって再建される。それからミナス・アノールはゴンドール王の夏の離宮として利用されるようになる。
1636年から発生した疫病でオスギリアスの人口が激減し、さらにミナス・アノールの白の木の枯死すると、1640年に当時の王[[タロンドール>タロンドール(ミナスタンの息子)]]はゴンドールの王宮をミナス・アノールに移し、そこに再び実生の苗を移植する。以来ミナス・ティリスは、歴代のゴンドール王([[エアルヌア]]より後は[[執政]])の居城となった。
1900年には[[カリメフタール>カリメフタール(ナルマキル二世の息子)]]王によって[[白の塔]]が築かれる。この塔は2698年に執政[[エクセリオン一世]]によって再建されたため、以後はエクセリオンの塔とも呼ばれる。

2002年、[[ナズグール]]の攻撃によって陥落したミナス・イシルが[[ミナス・モルグル]]へと変貌し、その上2475年に[[モルドール]]の攻撃によってオスギリアスが廃墟と化すと、[[モルドール]]の脅威の迫ったミナス・アノールの名はミナス・ティリスと改められた。
だが2852年、執政[[ベレクソール二世]]が死ぬと、ミナス・ティリスの白の木も枯れる。新たな苗木が見出されなかったため、枯れた木は「王還りますまで」そのまま[[噴水の庭]]に残されることとなった。

[[指輪戦争]]の頃には[[ゴンドール]]の衰退もあり、都たるミナス・ティリスも寂れ、人口は収容可能な人数の半分になっていた。戦争の気運の高まりにより、一部を除く女子供や高齢者などの疎開が行われた後、[[3019年(大いなる年)>大いなる年]]3月にミナス・ティリスは[[モルドール]]及びその同盟軍による包囲攻撃を受ける([[ペレンノール野の合戦]])。弩砲で攻撃されたことにより第一環状区に大きな被害が出て、さらに[[魔王]]と[[グロンド]]によって大門が破壊されたが、[[ローハン]]からの援軍と、[[アラゴルン二世]]が率いてきたゴンドール南部諸侯国からの援軍によってモルドール軍は駆逐され、ミナス・ティリスは守られた。

[[第四紀]]となって[[再統一された王国>亡国の民の王国#ReunitedRealms]]が実現すると、ミナス・ティリスは[[エレスサール王>アラゴルン二世]]の王宮となる。[[ギムリ]]ら[[エレボール]]の[[ドワーフ]]たちの手によって、指輪戦争により破壊された大門は[[ミスリル]]と鋼を用いて再建され、街路は白い大理石で舗装された((ギムリと[[レゴラス]]がミナス・ティリスを訪れたとき、レゴラスは「ここにはもっと庭が必要だ。」「(アラゴルンが戴冠したら)闇の森の国人に歌う鳥と枯れ朽ちることのない木々をかれのところに持って来させよう。」と語っており、後に[[イシリアン]]で暮らすようになったレゴラスらエルフの手によって、緑も増やされたものと思われる。))。
[[指輪の仲間]]の[[メリアドク>メリアドク・ブランディバック]]と[[ペレグリン>ペレグリン・トゥック]]は最晩年をこの地で過ごして亡くなった。エレスサール王はミナス・ティリスで身罷り、[[ラス・ディネン]]の王たちの墓に葬られた。二人のホビットの棺は王の両隣に並んで置かれたという。

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#lotrmovie]

原作では、ミナス・ティリスに投石機が設置されているという描写はないが、映画では投石機が設置されており、[[ペレンノール野の合戦]]で使用されている。第1層の外壁が[[オルサンク]]と同じ黒い物質でできているという記述は反映されておらず、他の層と同じ白い普通の石造りとなっている。

** 画像 [#hd4d0835]

&ref(AlanLee-36-Gondor.jpg,,25%,アラン・リー作画によるミナス・ティリス); &ref(AlanLee-41-AfterTheBattle.jpg,,25%,アラン・リー作画によるペレンノール野の合戦後のミナス・ティリス);

** コメント [#Comment]

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