-実写映画のホビット(The Hobbit)については、[[ホビット(映画)]]を参照してください。
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* ホビット [#r40e5cdb]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[種族]]|
|~スペル|Hobbit|
|~その他の呼び名|小さい人(Halfling)、ホルビトラ(Holbytla)、ペリアンナス(Periannath)((単数形ペリアン(Perian) ))|

** 解説 [#Explanation]

『[[ホビットの冒険]]』『[[指輪物語]]』主人公の[[ビルボ・バギンズ]]や[[フロド・バギンズ]]らが属する種族。
一般の[[人間]]よりもずっと小柄な小人で、地面に掘った穴の住居に住み、多くの者はたっぷりの食事と平穏な日常を何より愛する。だが、容易に逆境に屈しない芯の強さも隠し持っていた。

この種族がどうやって[[中つ国]]に生まれたのかは、[[アイヌリンダレ]]などには示されておらず、[[上古]]の歴史にも登場していないため、来歴ははっきりしていない。ただ、[[人間(イルーヴァタールの乙子)>人間]]の一種族であるのは間違いがないとされている。
奇妙な生き物に満ちていた当時の[[中つ国]]にあって、ホビットは内向的で[[ドゥーネダイン]]や[[エルフ]]の歴史に係わることがほとんどなかったため、[[ホビット庄]]のある[[エリアドール]]付近を除き、その存在は他の種族にまったく知られていないか、あるいは無視されていた。ただ[[ロヒアリム]]の間に「北方には、地面に穴を掘ってその中に住む、小さい人がいる」という伝承がわずかに伝わっているのと、[[ゴンドール]]に「ペリアンナス(小さい人達)」という語彙が残されている程度であった。

賢者達の中でも、[[灰色のガンダルフ>ガンダルフ]]のみはホビットと親しく交流し、ホビット学に暁通するに至っていた。

** 特徴 [#med6b9a7]

:外見|~美しいというより、人の好い顔立ち。髪の毛は巻き毛で、色は茶色(ごく稀に金髪)。耳は(エルフほどではないが)尖っているという(([[トールキン]]の発言による。))。
平均身長は([[第三紀]]末では)60cmから120cm程度で、大抵は太って腹が出ている。
足は臑から下が毛で覆われており((「足の裏に毛が生えている」というのは誤訳で、実際は不明))、足裏が革のように丈夫なため、靴は履かずに裸足で過ごす。ぬかるむ日には、稀に[[ドワーフ]]の長靴を履くこともある。
寿命は90~110歳程度。33歳で成人と見なされる。
:能力|~身を隠す技に熟達しており、普通の[[人間]]や[[ドワーフ]]では不可能なほど密やかに動き、いざとなれば素早く姿をくらませることができる。視力と聴力も鋭い。
力は強くなく蛮勇を奮うこともないが、特に精神的に耐久力が高く、困難な状況や外圧に対しては驚くほどの頑強さを示し、いよいよの時は大胆不敵となる。
手先は器用だが、過剰な細工物や工芸品に打ち込むということは少ない。
やむを得ず戦う時には投石が得意で、また鋭い視力のために優れた射手である。
:文明・文化|~素朴な農耕民族。食べることを好み、可能なら一日に6回食事をする。そのため料理も得意であり、時間の多くを食料を生産することと消費することに費やす。また[[パイプ草]]を吸うという芸当はホビットから始まり、他の種族に広がっていった。また、[[ホビット庄暦]]という独自の暦を使用している。
親戚血縁関係を重視する。文字を理解するホビットは全体の半数程度だが、その者達はしげしげと親戚縁者に手紙を書いた。お茶会やパーティを頻繁に開くことを好み、自分の誕生日には他人に贈り物をする習慣がったる。今すぐ使うことはないが、捨てられないものを[[マゾム]]と呼んで溜め込む習性があり、マゾムを贈り物にすることも多い。首府の[[大堀町]]には寄進されたマゾムを収めた[[マゾム館]]があった。
親戚血縁関係を重視する。文字を理解するホビットは全体の半数程度だが、その者達はしげしげと親戚縁者に手紙を書いた。お茶会やパーティを頻繁に開くことを好み、自分の誕生日には他人に贈り物をする習慣がある。今すぐ使うことはないが、捨てられないものを[[マゾム]]と呼んで溜め込む習性があり、マゾムを贈り物にすることも多い。首府の[[大堀町]]には寄進されたマゾムを収めた[[マゾム館]]があった。
争い事を好まない。[[第三紀]]末には非常に内向的な種族になっており、[[ホビット庄]]の外の世界のことにはほとんど関心を示さなくなっていた。古くからのしきたりと、平凡な生活を非常に愛し、そこから外れるような行動を白眼視する傾向が強い。
[[ホビット庄]]には中央政府的な組織は存在せず、必要なことはもっぱら各豪族が各自で処理していた。数少ない公職に[[庄長]]があり、庄長は[[庄察]]長と郵便局長を兼ねていたが、平常時の職務はほとんど無いに等しい。この他に[[アルセダイン]]王の職権を代行する[[セイン]]があり、議会と軍隊を召集する権限を持っていたが、第三紀末には名誉職と化している。
泳げない者が多いため、一般に水場や舟に乗ることなどを恐れる([[ストゥア]]族や、その流れをくむ[[ブランディバック一族]]などはこの限りではない)。二階以上の高さのある建物も好まない。
:住居|~緩やかな丘の斜面に、穴を掘って住居とすることを好む。丸いドアと円い窓がそうした[[ホビット穴]]の特徴だった。
やむを得ず地上に家や作業場を建てることもあるが、できるだけホビット穴に似せて丸いドアと窓を付け、ずんぐりと横に膨らんだような外見にした。城や塔といった巨大で二階以上の高さのある建物は造らず、好まない。
:歴史|~他の種族の歴史には登場せず、彼ら自身による歴史も存在しないか散逸したため、詳しいことはわかっていない。
記録を遡れる限り、[[第三紀]]のはじめから中頃にかけては[[アンドゥイン]]の谷間に住んでいたらしい。近隣には[[北国人]]([[ロヒアリム]]の祖先)がおり、彼らの文化や言語より少なからぬ影響を受けたことがわかっている。1050年ごろから(おそらく[[緑森大森林]]の影を恐れて)西方への移動をはじめ、複数のルートに分かれて[[エリアドール]]に入った。1300年頃には[[ブリー村]]にその最古の居住地を築く。
1601年、[[アルセダイン]]王[[アルゲレブ二世]]より許可を得て、[[マルコ]]と[[ブランコ]]の兄弟に率いられた多くの者が[[バランドゥイン]]川より西の土地へ移住し、[[ホビット庄]]が作られる。これ以降、ホビットは名目上はアルセダインの臣下であり続け、街道と[[ブランディワイン橋]]の整備を義務とした。[[西方語]]を使い始め、アルセダインの法を取り入れたのもこの頃と考えられる。
1974年頃の、[[アルセダイン]]と[[アングマール]]との最終決戦である[[フォルンオスト]]の合戦には、[[ドゥーネダイン]]王の救援のために弓の名手達を送り出したと主張している(このことは人間の記録には残っていない)。だが、その弓の名手たちは誰一人帰ってこなかった。
アルセダインの滅亡後は本格的に自治をはじめ、王による統治の代行者として[[セイン]]を選出するようになった。2340年には[[ゴーヘンダード・オールドバック]]が[[ブランディワイン]]川の東岸に入植し、[[バック郷]]が形成される。セイン職ははじめ[[トゥック一族]]が務め、後に[[ブランディバック一族]]が務めるようになったが、次第に名誉職と化していった。
1636年の疫病の大流行や、2911年の酷寒の冬にはホビットも大きな被害を受けたが、おおよそ[[第三紀]]の終わりにかけて[[ホビット庄]]は平和と繁栄を享受し、外の世界の事件や戦乱に心を煩わせることがなくなっていった。2747年には[[ゴルフィンブール]]が引き連れる[[オーク]]の一隊が[[北四が一の庄>四が一の庄#North]]に侵入してきたが、ホビットたちは[[バンドブラス・トゥック]]に率いられ、これを撃退している([[緑野の合戦]])。緑野の合戦は、3019年に[[水の辺村]]の合戦が行われるまで、ホビット庄で行われた最後の合戦であった。
一方でホビット庄は、特に[[指輪戦争]]が近づいてくる頃には密かに[[野伏]]によって守られていたが、ホビット達はそのことを知らなかった。
[[エレボール]]遠征と[[五軍の合戦]]、および指輪戦争によって彼らの存在ははじめて他種族に注目されるようになり、ホビット自身も自らの歴史や文化への興味に目覚めていった。[[第四紀]]には[[エレスサール王>アラゴルン二世]]の下で統一された王国に再編されたが、王によってホビット庄は保護され人間の立ち入りは禁止された。
:氏族|~主に[[ハーフット]]、[[ファロハイド]]、[[ストゥア]]といった氏族に分かれるが、第三紀末にはほとんど混血している。ハーフット系がホビット庄民の大部分を占めるが、[[トゥック一族]]や[[ブランディバック一族]]など、一族によってはファロハイドやストゥアの特徴を強く受け継いでいる者もあった。
:言語|~[[アンドゥイン]]の谷間にいた頃は、近隣に住んでいた[[北国人]]の言葉である古い[[ローハン語]]を使っていたと思われるが、西方への移動に伴いその言語を忘れ、[[エリアドール]]の[[ホビット庄]]定住後は[[西方語]]を使うようになった。しかし一部の古い固有名詞や名前には、ローハン語の響きのある彼ら自身の言葉が残っていた([[マゾム]]、[[スミアル]]など)。また、彼らの西方語にはホビット庄独特の響きや用法があり、[[アルノール]]や[[ローハン]]、[[ゴンドール]]等のそれとは違いがあった。文字を書く習慣は、[[アルノール]]の[[ドゥーネダイン]]から学んだと思われる。
:偏見|~他の種族とほとんど関わりを持とうとしない。かつては[[人間]]や[[ドワーフ]]と交流があったが、それもどんどん少なくなっていった。しかし[[ブリー村]]のホビットは[[人間]]と共に暮らしている。彼らは、人間のことは「大きい人」と呼び、しばしばその鈍重さを馬鹿にした。一般に、[[エルフ]]とかかわりを持つことを怖れる([[ファロハイド]]はこの限りではない)。

** 種族名について [#x116d8f8]

「ホビット(Hobbit)」とは、彼らが自らの種族を表すのに使った言葉で、元々は[[ローハン語]]「ホルビトラ(holbytla)」(複数形ホルビトラン(Holbytlan) 「穴の家を造る者(hole-builder)」の意)に由来していたと考えられている。他の種族からは主に「小さい人(Halfling)」と呼ばれた(ただし、ホビット自身にしてみれば自分たちは何も「小さい(half)」ことはないため、そのような呼称はあまり好まなかった)。
[[ペレグリン・トゥック]]が[[ゴンドール]]を訪れたときには、[[シンダール語]]で「小さい人」の意であるペリアン(Perian)と呼ばれた(複数形ペリアンナス(Periannath)。

「ホビット」とは、[[トールキン]]が元々の[[西方語]]クドゥク(Kuduk)を英訳語したものにあたる。クドゥクは、元々の[[ローハン語]]「クドゥ=ドゥカン(kûd-dûkan)」が語源と考えられている。
このkûd-dûkanを[[古英語]]として表現したのが「ホルビトラ」であり、そこから西方語を英語に翻訳したホビットという言葉に繋がっている。
英語訳の「小さい人」にあたる西方語は「バナキル(Banakil)」であった。

||~ローハン語での呼称|~ホビットの自称|~西方語での他称|~シンダール語での呼称|h
|~[[西境の赤表紙本]]原本における[[西方語]]表記|クドゥ=ドゥカン(kûd-dûkan)|クドゥク(Kuduk)|バナキル(Banakil)|ペリアン(Perian)|
|~トールキンによる翻訳表記|ホルビトラ(holbytla)|ホビット(Hobbit)|小さい人(Halfling)|ペリアン(Perian)|

*** ハーフリング [#j2228361]

ハーフリングは、「小さい人」の英語表記であるHalflingをそのまま片仮名にしたもので、一部の翻訳ではこの表記になっている。この表記は、トールキンによるもの以外の作品でも使われており、特にテーブルトークロールプレイングゲーム『[[ダンジョンズ&ドラゴンズ>Wikipedia:ダンジョンズ&ドラゴンズ]]』の種族名として有名。これは一説には、ホビットという名前を使用することを著作権の問題で避けたためとも言われている(ただし、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』を参考にして作られた『[[ウィザードリィ>Wikipedia:ウィザードリィ]]』ではホビットの表記がそのまま使われている)。

** 主なホビット [#f12d5e44]

- [[ビルボ・バギンズ]]
- [[フロド・バギンズ]]
- [[サムワイズ・ギャムジー]]
- [[メリアドク・ブランディバック]]
- [[ペレグリン・トゥック]]
- [[フレデガー・ボルジャー]]
- [[ハムファースト・ギャムジー]]
- [[ローズ・コトン]]
- [[マゴット]]
- [[オソ・サックビル=バギンズ]]
- [[ロベリア・サックビル=バギンズ]]
- [[ロソ・サックビル=バギンズ]]
- [[テド・サンディマン]]

** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#Lotro]

[[プレイヤーの種族>ロード・オブ・ザ・リングス オンライン#race]]として選択が可能。マップには[[ホビット庄]]が再現されているほか、原作の設定を独自に解釈し、[[エテン高地]]や[[エネドワイス]]にも、小さなホビットの集落がある。
また冒険に出かけた、主に[[トゥック一族]]のホビットのNPCを、ホビット庄の外で見かけることがある。

** コメント [#Comment]

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