* ホビットの冒険/ストーリー [#iab00854]

#contents


** ビルボの元への突然の訪問者 [#n5dff664]

[[袋小路屋敷]]に住む[[ホビット]]の[[ビルボ・バギンズ]]は、四月のある日[[魔法使い]][[ガンダルフ]]の訪問を受ける。さらに翌日のお茶の時間には袋小路屋敷に[[トーリン・オーケンシールド>トーリン]]を主とする13人の[[ドワーフ]]([[バーリン]]、[[ドワーリン]]、[[フィーリ]]、[[キーリ]]、[[ドーリ]]、[[ノーリ]]、[[オーリ]]、[[オイン>オイン(ファリンの息子グローインの息子)]]、[[グローイン>グローイン(グローインの息子)]]、[[ビフール]]、[[ボフール]]、[[ボンブール]])までが現れて飲み食いされてしまう。ガンダルフの手前嫌々接待したビルボだったが、ドワーフたちが食後に演奏した山の下の財宝と龍についての音楽と歌には心を動かされて眠っていた冒険心が目覚める。ドワーフたちはそんなビルボに[[黄金竜スマウグ>スマウグ]]に奪われた[[はなれ山]]のドワーフの宝物の話をした。
最初は[[龍]]が恐ろしく、乗り気でなかったビルボだが、向こう見ずの[[トゥック>ペレグリン・トゥック#je4953c8]]の血筋からか、この話に引かれる部分も確かにあった。結局ビルボはなし崩し的に、このドワーフの宝物を奪回するための、はなれ山への冒険に参加することになる。

** トロルとの遭遇 [#da246a8b]

一行は旅の途中で[[トロル]]に襲われるが、[[ガンダルフ]]の計略によって、トロルをまんまと石にしてしまうことに成功する。彼らはトロルの溜め込んでいた宝物から剣を見付け、トーリンは[[オルクリスト]]、ガンダルフは[[グラムドリング]]と名付けられた剣を手にする。ビルボは宝の中から小剣を貰った(のちにこの剣で大蜘蛛を仕留めた時[[つらぬき丸]]と名付けた)。

** 裂け谷へ [#qb6be993]

一行は[[「最後の憩」館]]に立ち寄り、その館の主である[[半エルフ]]の[[エルロンド]]から助言を受ける。彼らは、[[トーリン]]が持っていた[[月光文字]]の地図をエルロンドに解読してもらい、はなれ山に侵入するためのヒントを貰った。地図の月光文字は'''[[ツグミ]]ガタタクトキニ、クロキ岩ノソバニ立テ、[[でゅーりん>ドゥリン]]ノ日ノシズム日ノサイゴノアカリガ、カギアナニサシイルヲミヨ。'''と書かれており、トーリンも「[[デューリン>ドゥリン]]の日」とはドワーフの新年の元日であり、秋の最後の新月の昇る日であることは知っていたが、その日を正確に予測する技はすでに失われており、この時はこれ以上のことは解らなかった。

** 霧ふり山脈でゴブリンに捕らわれる [#mf931901]
一行は裂け谷を出発して旅を再開したのだが、[[霧ふり山脈]]の[[本道]]を通過しようとしていたところ、山の中で雷雨を避けようとして[[ゴブリン]]([[オーク]])の洞窟に迷い込み、ガンダルフの他は全員が捕らえられ、小馬も荷物も奪われてしまう。一行は首領の大ゴブリンの前で申し開きをするが、[[エルフ]]の名剣[[オルクリスト]]を持っていたことで怒りを買う。ガンダルフが花火の魔法で目眩ましをした隙に大ゴブリンの首を刎ねて逃げ出すことに成功するが、ビルボは暗闇の中で穴に転がり落ちて気絶し、仲間とはぐれてしまう。

** 指輪の発見とゴクリとの遭遇 [#l164e23a]

ビルボは意識を取り戻した直後、暗闇の中を手探りした時に偶然[[一つの指輪]]を拾った(その時は、ただの指輪としか思わなかった)。ビルボが落下した場所は[[ゴクリ]]の住処である地底湖の近くだったのである。ビルボは[[ゴクリ]]と出会い、[[なぞなぞ遊び]]で勝負する。ビルボが勝てば、ゴクリはビルボを出口まで連れて行く。ゴクリが勝てば、ビルボはゴクリに食べられるという条件だった。道に迷ってにっちもさっちもいかなくなっていたビルボは、やむなくこの条件を受けることにする。
最終的にビルボはゴクリとの勝負に勝ったが、ゴクリは約束を破ってビルボを食おうとする。だがビルボは、偶然[[一つの指輪]]をはめると、その力で姿が透明になり、ゴクリを躱すことに成功。ゴクリは、ビルボは逃げたと思って出口へ向かい、ビルボは透明の姿のままその後をつけ、最後にはゴクリをかわして洞窟を脱出。先に脱出していたガンダルフやドワーフ一行と再会して旅を続けた。

** 鷲の巣からビヨルンの元へ [#f3b9cfd3]

命は助かったものの小馬も荷物も失った一行は、森の中で[[ワーグ]]の群れに襲われ、木に登って難を逃れたものの後からやってきた[[ゴブリン]]たちに木に火をつけられて窮地に陥った。だが空からこの騒ぎを見ていた[[大鷲]]の王が一行を助け出し、自分たちの巣へと運んだ。一行はここで食べ物と一夜の宿を与えられた後、[[アンドゥイン]]の渡り場の流れの中に聳える[[見張り岩]]に運ばれた。

[[アンドゥイン]]を渡った一行はガンダルフの案内で熊人間の[[ビヨルン]]の屋敷に立ち寄る。一行はビヨルンから一夜の宿と食料を与えられ、小馬を借り受けて旅を続けた。

** 闇の森の中で [#y13c73aa]
[[闇の森]]の入り口で借りてきた小馬を帰させた後、[[ガンダルフ]]はある用事([[白の会議]]への出席)のために一行から別れるが、[[ドワーフ]]たちと[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]は旅を続け、[[闇の森]]を抜けようとする。だがドワーフたちは森の中で迷い、巨大な[[蜘蛛]]に襲われる。彼らはどうにか蜘蛛を倒したビルボによって助け出されたが、今度は闇の森の[[エルフ]]たちに捕まり、[[エルフ王>スランドゥイル]]の岩屋へと連行されてしまった。ただしビルボだけは、指輪の力で透明になってエルフから逃れ、エルフたちを追跡して皆を救出するチャンスを待った。

** エルフ王の地下牢からの脱出 [#w483080b]
エルフ王([[スランドゥイル]])の尋問に対し、[[ドワーフ]]たちは旅の目的を話そうとしなかったが、エルフ王はドワーフ達が何かを隠しているのを見抜き、ドワーフたちを地下牢に閉じ込めた。ビルボは、指輪で透明になってエルフの目を逃れながらエルフの岩屋の構造を調べ、岩屋の地下を流れる小川が外に通じており、その流れに空になったぶどう酒樽などの食料品の樽を投げ入れるための上げ蓋があるのを発見した。そして秋の夜祭の晩、牢の鍵を持つ番兵長が給仕頭とこっそりぶどう酒を飲んで寝入ってしまった隙にビルボは鍵を盗み出してドワーフたちを助け出し、全員を食料品の空き樽の中に隠れさせた。そうとは気づかないエルフたちによって彼らは樽ごと小川の流れに落とされ、小川が森の川へと合流する地点でドワーフたちの入った樽はいかだに組まれた。ビルボは指輪を嵌めてそのいかだに乗って共に川を下り、いかだが[[たての湖]]の[[エスガロス]]の町に着くと人気が無くなるのを待ってドワーフたちを樽から助け出した。

** エスガロスからはなれ山へ [#db95562f]

一行は[[エスガロス]]へ到着して歓迎を受け、二週間ほど滞在した後に食料と小馬などの援助を与えられて船で[[早瀬川]]の上流まで送ってもらい、ついに[[龍]]の[[スマウグ]]の居る[[はなれ山]]に到達した。
トーリンの地図にあった裏口を発見するが開け方がわからず、つるはしを用いても壊すことはできなかった。一行が諦めかけて座り込んだときに新月が昇り、傍にある黒い石の上に[[ツグミ]]が一羽降り立った。夕日の最後の光が裏口の岩戸に射した時、ツグミが突いた岩の上に穴が開き、トーリンが鍵を差し込むと岩戸が開いた。

ビルボは指輪の力で透明になると一人はなれ山の内部へ続く階段を降り、スマウグの眠る大広間まで行き着いた。ビルボは金のカップを一つ盗み出してドワーフたちの待つ裏口まで戻り、ドワーフたちはビルボを賞賛したが、宝物を盗まれたことに気づいたスマウグが暴れるとビルボにスマウグを怒らせた責任を取るように詰め寄ったため、ビルボは再び大広間まで降りる破目になり、そこで目覚めていたスマウグと対面した。スマウグはビルボの臭いに気がつくが、[[ホビット]]の存在(臭い)を知らなかったスマウグは戸惑う。そこでビルボはスマウグを口車に乗せ、スマウグの弱点である宝石の鎧のほころびを発見したが、スマウグもまた彼がドワーフたちの仲間であり、[[エスガロス]]の住民達の助けを借りてやってきたことに気づいて怒りを覚えた。ビルボは会話を終えると逃げ出したが、後ろから熱風の息を吹きかけられて火傷を負い、ようやく裏口の仲間のところまで帰りついた。
ビルボはドワーフたちに介抱されながらスマウグとの会話や自分の見聞きしたことを伝え、その一部始終を[[ツグミ]]が傍で聞いていた。ビルボは[[ツグミ]]にこのことを[[エスガロス]]の人々に伝えてくれるよう願った。

** スマウグの最期[#u368fe41]

ビルボを取り逃がして激怒した[[スマウグ]]は、はなれ山のねぐらを出て裏口の付近を破壊した後[[エスガロス]]襲撃に向かう。一行はスマウグの居なくなった大広間に降りたが、この時ビルボは斥候として先に大広間に入って[[アーケン石]]を発見し、こっそりポケットにしまいこんだ。一行は大広間に残されていた武器防具で武装し、この時トーリンはビルボに[[ミスリルの胴着]]を贈り物として与えた。その後一行は[[はなれ山]]の表口から外に出ることに成功した。

一方スマウグの襲撃を受けた[[エスガロス]]の町は竜の吐く火によって炎上したが、[[バルド]]の警戒と指揮によって応戦していた。その時ビルボたちの会話を聞いていた[[ツグミ]]が[[バルド]]の肩に降り立ち、スマウグの宝石の鎧のほころびを教えた。バルドは[[黒い矢]]を用いて見事にスマウグを仕留めた。

** エスガロスの住民からの賠償請求 [#maf77dd3]

スマウグがいなくなっている間、トーリン達ははなれ山を自分のものと宣言する。ところが、トーリン達はスマウグに殺されたと思っていたバルド達エスガロスの民は、被災したエスガロスの民の救援に来た闇の森のエルフと共に、はなれ山にあったドワーフの財宝の回収にやってきた。
ところがトーリンは、はなれ山の財宝をエスガロスの民に渡すことを拒否し、トーリン達とエスガロスの民、そしてエルフは睨み合いになる。バルド達は、人数も少ないトーリン達はいずれ食料もなくなって音を上げると踏んでいたが、トーリンは大ガラスの[[ロアーク]]を使って、[[くろがね連山]]の[[ダイン二世]]を援軍に呼んでいた。こうして人間、エルフ、ドワーフの間での戦争が近づきつつあった。

ビルボは夜中に自分が見張り番の時を選んで抜け出し、盗んだ[[アーケン石]]をバルドのもとに持っていって、これをドワーフとの交渉の材料にするよう提案、戦争を避けようとする。ビルボの申し出は受け入れられ、その帰り道にビルボは[[ガンダルフ]]に再会する。翌日の交渉の場で[[アーケン石]]がビルボによってバルドの手に渡ったと知ったトーリンは激怒したが、ビルボを放免すると[[ダイン二世]]の軍の到着まで時間を稼ぐことに決めた。

** 五軍の合戦 [#ne6dc31a]

[[ダイン二世]]の軍の到着によって状況は一触即発の危機に陥る。だが、まさに戦端が開かれようとしたその時、大ゴブリンを殺された復讐に燃える[[霧ふり山脈]]のゴブリンと、かつて[[ダイン二世]]に父[[アゾグ]]を殺された[[グンダバド山>グンダバド]]の[[ボルグ]]の軍勢が、はなれ山にドワーフが戻ってきたことを聞きつけ、[[ワーグ]]と共にこれを攻撃するためにやってきた。そこで人間、エルフ、ドワーフは休戦し、ともにゴブリンとワーグに対抗することで同意。ここに[[五軍の合戦]]が始まった。

この戦いで[[トーリン]]と[[フィーリ]]、[[キーリ]]は討ち死にするが、[[大鷲]]たちと[[ビヨルン]]の参戦によって形勢は逆転し、ゴブリンとワーグは撃退され、人間、エルフ、ドワーフの和解も成し遂げられる。[[はなれ山]]にドワーフの[[山の下の王国>エレボール#kingdom]]が再建され、その王には[[ダイン二世]]が即位する。また、かつてはなれ山の麓にあったがスマウグに滅ぼされた[[谷間の国]]には、かつての谷間の国の王の子孫であるバルドが即位し、谷間の国の再興を始めた。

** 帰りの旅 [#rd294279]

ビルボは(小馬で運べるだけの分量である)それぞれ金と銀を詰めた二つの小箱などの宝物を受け取って[[ホビット庄]]への帰途につく。ビルボは[[エルフ王>スランドゥイル]]との別れ際に、彼の岩屋で盗み食いをした償いに真珠の首飾りを贈った。エルフ王はビルボを[[エルフの友]]と呼んで敬意を表した。
ビルボとガンダルフは[[ビヨルン]]の屋敷に春が来るまで逗留し、それから[[裂け谷]]に向かった。裂け谷でビルボはガンダルフの用事とは[[魔法使いたちの会議>白の会議]]への出席だったこと、会議の決定によって[[闇の森]]の南に巣食っていた[[死人占い師]]を攻撃し追い払ったことを知った。

** ホビット庄への帰還とビルボのその後 [#seeebf74]
ビルボが[[袋小路屋敷]]に戻ると、ビルボの親戚の[[サックビル=バギンズ一家>オソ・サックビル=バギンズ]]が、ビルボは死んだものとして[[袋小路屋敷]]の家具を競売にかけて売り払っている最中だった。サックビル=バギンズ一家は[[袋小路屋敷]]を乗っ取ろうとしていたが、その計画は危ういところで阻止された(『[[指輪物語]]』でも触れられる、ビルボとサックビル=バギンズ一家の不和はこれが元)。死んだものとされていたビルボが法的に生存していると認められるには長年に渡る面倒な手続きが必要となり、ビルボは沢山の自分の家具調度を自分で買い戻さねばならなかった。以来周囲からは変人扱いされ続けたが、年若い親戚の甥や姪たちからは慕われた。そして変わらず[[エルフの友]]であり、[[ドワーフ]]や[[魔法使い]]の仲間からは深い尊敬を受けた。
そしてビルボは「死ぬまで一生幸せに暮らしました」という。

** コメント [#h37535b7]

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