* ペレグリン・トゥック [#ncc7607d]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Peregrin Took|
|~その他の呼び名|ピピン(Pippin) &br; ピップ(Pip) &br; 小さい人族の王子(Prince of the Halflings) &br; エアニル イ フェリアンナス(Ernil i Pheriannath)|
|~種族|[[ホビット]]|
|~性別|男|
|~生没年|[[ホビット庄暦]]1390年([[第三紀]]2990年)~不詳(([[ホビット庄暦]]1484年([[第四紀]]63年)に[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]と共に[[ホビット庄]]を去って[[ゴンドール]]に赴き、短い余生を過ごした後に死去))。セイン職1434~1484(50年間)|
|~親|[[パラディン・トゥック二世]](父)、エグランタイン・バンクス(母)|
|~兄弟|パール(姉)、ピンパネル(姉)、ペルヴィンカ(姉)|
|~配偶者|[[ロング・クリーヴのダイアモンド]]|
|~子|[[ファラミア・トゥック]](息子)|

** 解説 [#Explanation]

|>|>|~[[ホビット庄]]の[[セイン]]|h
|CENTER:第31代&br;[[パラディン・トゥック二世]]&br;1415~1434&br;[[第三紀]]3015~[[第四紀]]13|CENTER:第32代&br;''ペレグリン・トゥック一世''&br;[[庄暦>ホビット庄暦]]1434~1484&br;[[第四紀]]13~63|CENTER:第33代&br;[[ファラミア・トゥック一世>ファラミア・トゥック]]&br;1484~?&br;63~?|

[[指輪の仲間]]の一人の[[ホビット]]。[[指輪の仲間]]の4人のホビットの中では唯一人の未成年だった。本名はペレグリンだが、この名を覚えている者は友人達の中でも少なく、もっぱらピピンやピップと呼ばれていた。[[フロド>フロド・バギンズ]]の母方の祖母の兄の曾孫、つまりフロドよりも1世代下で、22歳年下。少々迂闊者な性格で、[[ガンダルフ]]からは「ばか者トゥック」(Fool of a Took)、「トゥックの阿保息子」(tom-fool of a Took)と叱責されることもあった。
後に[[トゥック家>トゥック一族]]出身の20代目の[[セイン]]となる。

[[パラディン・トゥック二世]]とエグランタイン・バンクスの四人の子供のうち末っ子。三人の姉の名はパール、ピンパネル、ペルヴィンカ。曾々祖父は[[トゥック翁]]であり、[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]、[[フロド>フロド・バギンズ]]、[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]も[[トゥック翁]]の子孫にあたる。[[メリーことメリアドク・ブランディバック>メリアドク・ブランディバック]]とは父方の従兄弟。子供の頃からビルボを慕って[[袋小路屋敷]]に出入りしていたビルボの甥や姪たちの一人で、[[ビルボの別れの宴]]にも招待されていた。

***パルス・ガレンでの指輪の仲間の離散まで [#a0e127c9]

ピピン、[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]、[[フレデガー>フレデガー・ボルジャー]]、[[サム>サムワイズ・ギャムジー]]ら[[フロド>フロド・バギンズ]]の親しい友人達は、フロドが密かに[[ホビット庄]]から旅立つつもりでいるのに気付くと、メリーから[[指輪>一つの指輪]]の秘密を打ち明けられて結託し、フロドを一人で行かせないように策を練った。彼らはフロドが[[堀窪]]へ引っ越すのを手伝い、ピピンとサムは堀窪への旅に同行してフロドから目を離さないように努めた。そして堀窪で陰謀を明らかにしてからは、親族としての絆と友情から、あくまでフロドの危険な旅に同行する覚悟であることを告げた。

フロドが[[エルロンドの会議]]で正式に[[指輪所持者]]として認められ、使命を帯びて[[モルドール]]に向かうことになった後も、ピピンとメリーはホビット庄に返されるところだったのを頑固に反対して、フロドに同行することを希望した。[[エルロンド]]は、最年少のピピンが[[指輪の仲間]]に加わることに特に難色を示した(ホビット達が邪悪な勢力に警戒するべきであることを伝えるためにも、[[ホビット庄]]へと戻るのがいいとエルロンドは考えていた)。だがピピン、メリーの決意の固さと、[[ガンダルフ]]の口添えもあり、最終的には仲間の一員として旅を続けることを許された。

一行が[[モリア]]を通過中、ピピンは休憩していた番人の詰め所で、出来心から井戸に大石を投げ込むことをしでかしてしまう。おそらくはこれが原因になり、一行の存在がモリアに潜伏していた[[オーク]]などに知られることになる。その後一行はモリアのオークと[[ドゥリンの禍(バルログ)>バルログ#DurinsBane]]の攻撃を受け、ガンダルフが[[ドゥリンの橋]]から奈落へ落ちることにつながった。

***指輪戦争での活躍 [#rb6e9208]

[[パルス・ガレン]]で[[指輪の仲間]]が[[オーク]]に襲撃された時、ピピンは、[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]と共に捕えられる。ピピンはオーク達の隙をついて密かに手の縄を切って外し、また自分たちの生存の証を残すため、[[エルフのマント]]のブローチを道に落とすことに成功する。オーク達が[[ローハン]]の騎士に襲撃されると、二人は[[グリシュナッハ]]を騙して戦いの混乱の中で脱出し、[[ファンゴルン]]の森に逃げ込む。
二人はそこで出会った[[木の鬚]]のもとに身を寄せてサルマンの事などを話し、[[エント]]による[[アイゼンガルド]]攻撃のきっかけを作った。また、この時にメリーと共に[[エント水]]を飲んだため、後にホビットの最高記録をしのぐ高身長となる。アイゼンガルドがエントに制圧されると、ピピンとメリーは、サルマンと話すためにアイゼンガルドにやってきた[[ガンダルフ]]達を出迎えた。

セオデンやガンダルフたちとサルマンが話した後、ピピンは[[オルサンク]]から落ちてきた[[パランティーア]]を拾い上げてしまう。[[ガンダルフ]]はすぐにピピンからパランティーアを取り上げたが、ガンダルフを含めて誰もこのときは、この品がパランティーアであるということは気付かなかった。パランティーアに魅せられてしまったピピンはその夜、[[ドル・バラン]]での野営中にガンダルフの許からパランティーアを持ち出して覗き込み、[[サウロン]]に自分の身を晒してしまう。幸い、サウロンがピピンを詳しく尋問しなかったため、ピピンが[[一つの指輪]]の行方などの秘密を白状してしまうことは避けられた。さらに幸運なことに、オルサンクのパランティーアに[[ホビット]]が姿を現したことは、図らずも「サルマンがホビットをオルサンクに捕らえている」ように見せることに繫がり、サウロンの思考を混乱させた(これがサウロンが、[[ゴンドール]]攻撃を性急に行った理由のひとつと考えられる)。ガンダルフはここで生じたわずかな隙を活かすため、急ぎ[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]へ向かうことにする。このときガンダルフは、パランティーアから遠ざける意味からも、ピピンを自分に同行させた。

ミナス・ティリスで[[デネソール二世]]と謁見し、彼から尋問を受けたピピンは、不意に沸き起こった自尊心と[[ボロミア]]への恩から、デネソールに奉公を願い出る。これは頑なになっていたデネソールの心をわずかに開かせ、ピピンは奉公を嘉納されて[[城塞の近衛兵>城塞の近衛部隊]]として彼に仕えることになった((デネソールは、ガンダルフが自分に対するスパイとしてペレグリンを送り込んだと後に発言しているが、最初からそう疑っていたのか、ファラミアの重傷とパランティーアがもたらした狂気故にそう考えるようになったかははっきりしない))。そこで近衛兵の[[ベレゴンド>ベレゴンド(バラノールの息子)]]や、彼の息子の[[ベアギル]]と親交を結ぶ。ミナス・ティリスでペレグリンは、北の地からゴンドールへの加勢に来た「小さい人族の王子」([[シンダール語]]でエアニル・イ・フェリアンナス)であると噂された。((その理由として、[[デネソール二世]]と長い密談も持ったこと、ペレグリンの話す[[ホビット庄]]の[[西方語]]には「尊敬」を表す代名詞が失われており、デネソールを含むあらゆる身分の人に「親しみ」を表す代名詞を用いたことで、高い身分の人物と誤解されたことが挙げられる))
[[アンドゥイン]]の通行権を巡るゴンドールとモルドールの戦闘が激しくなるにつれ、ピピンは次第に狂気に走るデネソールを見つめることになる。そして[[ペレンノール野の合戦]]の際、重傷を負っていた[[ファラミア]]を、デネソールが自分もろとも火葬しようとしたときには、事態をベレゴンドとガンダルフに告げ、ファラミアが救出されるきっかけを作った。
その後は[[自由の民]]の[[ホビット庄]]代表として、[[黒門の戦い]]にも参加した。ピピンは、自分の近くで[[山トロル>トロル]]と戦って気を失ったベレゴンドを助けるため、[[塚山出土の剣]]でトロルを刺している。そのトロルの下敷きになって自分自身も気を失ったが、戦闘後に死体の下からホビットの裸足だけが出ているところを[[ギムリ]]に発見され、救出されて治療を受けた。
[[コルマルレンの野>コルマルレン]]におけるフロドとサムの栄誉礼では、ゴンドールの騎士として宴の給仕を務め、エレスサール王の戴冠式と結婚式にも参加した。

[[ホビット庄]]に戻ると、メリーと共にホビットたちの指揮官として、[[水の辺村の合戦]]で大きな役割を果たし、[[サルマン]]配下の[[人間]]のごろつきを撃破した。

***指輪戦争後 [#b2db8685]

[[ロング・クリーヴのダイアモンド]]と結婚し、[[ファラミア・トゥック]]の父親となる。また[[トゥック一族]]の家長となり、[[セイン]]となった。

多くの著作を残した[[メリアドク>メリアドク・ブランディバック]]とは違い、ペレグリン自身は本を一冊も書かなかったが、彼の下で形成された[[大スミアル]]の蔵書には[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]に関するものや、[[第一紀]]、[[第二紀]]にまつわる伝承が広汎に収集されており、[[ゴンドール]]の史料の写しも数多く収蔵されていた。この文庫の資料と、メリアドクが[[裂け谷]]から得たと思われる資料を基に、大スミアルで「[[西国年代記(代々の物語)>西国年代記]]」が編纂されたと考えられている(『[[追補編]]』に収録)。

老後は息子に財産と職務を譲るとメリアドク・ブランディバックと共に[[ローハン]]に赴き、[[エオメル]]王を看取った。その後二人は[[ゴンドール]]で短い余生を過ごしたが、この時ピピンは[[西境の赤表紙本]]の写本の一冊([[セイン]]本)を[[エレスサール]]王に献じている。
このセイン本から[[フィンデギル]]が筆写し、大スミアルに納められた写本が、[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]による翻訳の底本となった。

***略歴 [#s26bfa46]

-[[第三紀]]2990年 生誕
-3001年 11歳。[[ビルボの別れの宴]]
-[[3018年 大いなる年>大いなる年]]、[[指輪戦争]] 28歳。[[フロド>フロド・バギンズ]]らと共に[[ホビット庄]]を旅立ち、[[裂け谷]]で[[指輪の仲間]]に加えられる
-[[3019年 大いなる年>大いなる年]]、[[指輪戦争]] 29歳。[[メリアドク>メリアドク・ブランディバック]]と共に[[ウルク=ハイ]]に捕えられる。[[ゴンドール]]の[[デネソール二世]]の[[近衛兵>城塞の近衛部隊]]となる。[[ペレンノール野の合戦]]の最中、[[ファラミア]]を救出する。[[黒門の戦い]]に参戦。[[水の辺村の合戦]]、指輪戦争終結
-3021年 31歳。[[サムワイズ>サムワイズ・ギャムジー]]、メリアドクと共に、[[灰色港]]でフロドら[[指輪所持者]]達が[[中つ国]]を去るのを見送る
-[[第四紀]]6年 37歳。[[ロング・クリーヴのダイアモンド]]と結婚
-9年 40歳。息子[[ファラミア>ファラミア・トゥック]]生まれる
-13年 44歳。[[トゥック家>トゥック一族]]の家長となり、[[セイン]]に就任
-15年 46歳。[[エレスサール王>アラゴルン二世]]の[[北方王国]]、[[ブランディワイン橋]]行幸。
-34年 65歳。[[庄長]]サムワイズの要望により、[[ファストレド>緑樫のファストレド]]を[[西境]]の区長に任ずる
-63年 94歳。メリアドクと共にめいめいの家督を息子に譲り、セイン本を携えて[[ゴンドール]]へ赴き、同地で短い余生を送る。亡くなると[[ラス・ディネン]]に葬られたという
-120年 エレスサール王がみまかると、ペレグリンとメリアドクの棺台は王の傍らに並べ置かれたという

*** 画像 [#fd22a815]

&ref(メリアドク・ブランディバック/ScreenShot00651.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における裂け谷でのメリアドク・ブランディバックとペレグリン・トゥック); &ref(ScreenShot00715.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるミナス・ティリスでのペレグリン・トゥック); 

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[ビリー・ボイド]]|
|~日本語吹き替え|[[飯泉征貴]]|
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[[デネソール二世]]は自尊心故か、(原作とは異なり)[[ローハン]]に救援を求めるための[[エレド・ニムライス]]に連なる連絡用の烽火台を点火していなかった。そこで[[ガンダルフ]]の指示によって、[[ミンドルルイン]]の最初の炎を点じている。

原作にはなかった、[[デネソール二世]]の前で歌を歌うシーンが追加された。また[[ベレゴンド>ベレゴンド(バラノールの息子)]]が映画に登場しない分、[[ファラミア]]救出におけるピピンの役割が大きくなっている。

** コメント [#Comment]

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