#author("2017-05-07T15:37:28+09:00","","")
* ヘルカラクセ [#tdb3a288]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[地名]]|
|~スペル|Helcaraxë|
|~その他の呼び名|軋む氷の海峡(Grinding Ice) &br; 北方の氷海(Ice of the North) &br; せまい氷雪(Narrow Ice)|

** 解説 [#Explanation]

[[上古]]の[[アルダ]]北方に存在した、[[アマン]]と[[中つ国]]の間の海峡。軋む氷の海峡とも言われ、その名の通り多数の氷山に満たされた海峡だった。
[[上古]]の世に[[アルダ]]北方に存在した、[[アマン]]と[[中つ国]]の間を隔てる海峡。''軋む氷の海峡''とも言われ、その名の通り数多の氷山がひしめきぶつかり合う恐ろしい場所だった。

>[[ノルドール]]族は、ついに[[アルダ]]の極北に辿り着いた。そして、海中を漂流する氷山の牙を初めて目にし、ヘルカラクセに近いことを知った。なぜといえば、北の方で東に湾曲している[[アマン]]の地と、西に湾曲する[[エンドール(中つ国のこと)>中つ国]]の東岸との間には狭い海峡があって、その間をアルダを囲む[[外なる海>エッカイア]]の冷たい水と、[[ベレガイア、即ち〈大海〉>大海]]の波濤が共に流れていたからである。そしてここには、ひどく冷たい霧が果てしなく立ち込め、海峡を流れる水を埋めて屹立する氷の山は互いにぶつかり合い、深く水中に沈んだ氷は互いにかみ合っていた。ヘルカラクセとはかかるところであり、ただ[[ヴァラール]]と[[ウンゴリアント]]を除き、いまだかつて何人も敢えてここを渡ろうとする者はなかった。((『[[シルマリルの物語]]』「第九章 ノルドール族の逃亡のこと」))
>[[ノルドール]]族は、ついに[[アルダ]]の極北に辿り着いた。そして、海中を漂流する氷山の牙を初めて目にし、ヘルカラクセに近いことを知った。なぜといえば、北の方で東に湾曲している[[アマン]]の地と、西に湾曲する[[エンドール(中つ国のこと)>中つ国]]の東岸との間には狭い海峡があって、その間をアルダを囲む[[外なる海>エッカイア]]の冷たい水と、[[ベレガイア、即ち〈大海〉>大海]]の波濤が共に流れていたからである。そしてここには、ひどく冷たい霧が果てしなく立ち込め、海峡を流れる水を埋めて屹立する氷の山は互いにぶつかり合い、深く水中に沈んだ氷は互いにかみ合っていた。ヘルカラクセとはかかるところであり、ただ[[ヴァラール]]と[[ウンゴリアント]]を除き、いまだかつて何人も敢えてここを渡ろうとする者はなかった。((『[[シルマリルの物語]]』「ノルドール族の逃亡のこと」))

[[ヴァリノール]]を襲撃して[[二つの木]]を害し、[[シルマリル]]を奪った[[モルゴス]]と[[ウンゴリアント]]が、アマンから中つ国へと逃れるときにここを通り抜けた。
更にその後、[[アルクウァロンデ]]から奪った船で中つ国へと渡った[[フェアノール]]達に[[アラマン]]で置き去りにされた[[ノルドール]]が、[[フィンゴルフィン]]とその息子達、また[[フィンロド]]と[[ガラドリエル]]に導かれてこの地を横断した。彼らはその道中で多大な犠牲を払いつつも中つ国への帰還を果たした。[[トゥアゴン>トゥアゴン(フィンゴルフィンの息子)]]の妻[[エレンウェ]]はこの地で行方知れずとなった。
[[二つの木]]を殺害し[[シルマリル]]を奪った[[モルゴス]]と[[ウンゴリアント]]は、ここを通り抜けてアマンから中つ国へと逃亡した。

>「軋む氷の海峡の苦しみに耐えたわれらが、何故、[[同族殺害]]と裏切り者の名を身に帯びねばならぬのでしょうか」((『[[シルマリルの物語]]』「第十五章 ベレリアンドのノルドール族のこと」 [[シンゴル]]が[[同族殺害]]について[[フィナルフィン]]の息子たちを糾弾した時に[[アングロド]]が述べた反論))
更にその後、モルゴスを追って中つ国に帰還しようとする[[ノルドール]]族の内、[[フェアノール]]に[[アラマン]]で置き去りにされた[[フィンゴルフィン]]一党がこの地を横断することを余儀なくされた。
かれらはフィンゴルフィンとその息子達、および[[フィンロド]]と[[ガラドリエル]]に導かれて氷海を通り抜け、中つ国への帰還を成し遂げたものの、道中で多大な犠牲を払い、[[トゥアゴン>トゥアゴン(フィンゴルフィンの息子)]]の妻[[エレンウェ]]もこの地で行方知れずとなった。

>かれらはついに、ヘルカラクセと無情な氷の山々の恐ろしさに耐え抜いた。その後のノルドール族の数々の功業の中でも、不屈の精神に導かれ、痛ましい悲しみに耐えて決行されたこの時の絶望的な海峡横断を凌ぐものは、ほとんどないといってよかった。((同上))

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