#author("2024-01-27T00:08:32+09:00;2023-11-24T13:14:11+09:00","","")
* フロド・バギンズ [#c42baebb]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Frodo Baggins(([[西方語]]表記での名前はマウラ・ラビンギ(Maura Labingi)となる))|
|~その他の呼び名|[[指輪所持者]]、[[エルフの友]]、九本指のフロド(Nine-fingered Frodo)|
|~スペル|Frodo Baggins((原語の[[西方語]]での表記はMaura Labingi(マウラ・ラビンギ)。Mauraを翻訳したFrodoは古英語の'''fród'''に由来し「経験を通じた叡智(wise by experience)」を意味する。))|
|~その他の呼び名|[[指輪所持者]] &br; [[エルフの友]] &br; [[山の下]] &br; フロドの旦那(Master Frodo) &br; 九本指のフロド(Nine-fingered Frodo, Frodo of the Nine Fingers) &br; ダウア(Daur)(([[栄誉礼の歌>Hobbits' Battle Song]]に見える、フロドの名を[[シンダリン]]で呼んだもので、正確な意味は不明。一方、同名の[[庭師家のフロド]]のシンダリン名はIorhaelとされる。))|
|~種族|[[ホビット]]|
|~性別|男|
|~生没年|[[第三紀]]2968年(([[ホビット庄暦]]1368年))9月22日~不明(3021年(([[ホビット庄暦]]1421年))9月29日、53歳で[[中つ国]]を去る)|
|~生没年|[[ホビット庄暦]]1368年([[第三紀]]2968年)9月22日~不明(([[ホビット庄暦]]1421年([[第三紀]]3021年)9月29日、53歳で[[中つ国]]を去る))|
|~親|[[ドロゴ・バギンズ]](父)、[[プリムラ・ブランディバック]](母)、[[ビルボ・バギンズ]](養父)|
|~兄弟|なし|
|~配偶者|なし|
|~子|なし|

** 解説 [#Explanation]

『[[指輪物語]]』の主人公の[[ホビット]]、[[指輪所持者]]。
『[[ホビットの冒険]]』の主人公である[[ビルボ・バギンズ]]の養子で、財産継承者。ビルボとの関係は厳密には「伯父と甥」ではなく、「フロドの母の、母方の従兄弟がビルボ」、またフロドの父方から言えば「フロドの父の、父方のはとこがビルボ」という関係になる。ビルボより78歳の年少。
『[[指輪物語]]』の主人公。[[指輪の仲間]]の一人で、[[一つの指輪]]の重荷を担い[[滅びの罅裂]]を目指した''[[指輪所持者]]''。
『[[ホビットの冒険]]』の主人公[[ビルボ・バギンズ]]の養子。ビルボとの関係は厳密には「伯父と甥」ではなく、「フロドの母の、母方のいとこがビルボ」また「フロドの父の、父方のはとこがビルボ」ということになる。ビルボより78歳の年少。

彼は[[ビルボ]]から受け継いだ[[赤表紙本]]に『指輪物語』の元となった[[指輪戦争]]についての記録を残し、ビルボが[[裂け谷]]で行っていた[[伝承集の編纂>シルマリルの物語]]の仕上げをして、[[西方>アマン]]へ旅立つ時に、他の全ての財産と共に赤表紙本を[[サムワイズ・ギャムジー]]に託した。
[[111歳の誕生日>ビルボの別れの宴]]に姿を消したビルボから[[袋小路屋敷]]の財産とともに、彼が[[前の冒険>ホビットの冒険]]で手に入れた「[[魔法の指輪>一つの指輪]]」を相続する。やがて[[ガンダルフ]]によってそれが[[冥王]][[サウロン]]の失われた「[[一つの指輪]]」であることが明らかになると、指輪をこの世から失わせるために[[ホビット庄]]から旅立った。
性格は非常に聡明であり、[[ゴクリ]]の一件では[[ガンダルフ]]から伝えられた慈悲の心を示すとともに、威厳あるいかめしい姿も見せた。[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]からは[[エルフ語]]を教わるとともに[[エルフ]]との交友を学んだ''[[エルフの友]]''であり、[[クウェンヤ]]など[[上古]]の知識にも一部通じている。

***フロドの生い立ちから指輪所持者となるまで [#p8a7bd46]
>『ずんぐりして背が低く、ほっぺたが赤い、これだけじゃたいして役に立つまいな。たいていのホビットに当てはまることじゃから、バーリマン君。だがこの者は一部のホビットたちよりは背が高く、大部分のホビットたちより色が白い。また口と顎の間にくぼみがある。目もとの晴れやかないきのいいやつだ。』((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「馳夫」 [[ガンダルフ]]が[[バーリマン・バタバー]]に語った、フロドの人相書き。))

[[ドロゴ・バギンズ]]と[[プリムラ・ブランディバック]]の息子として生まれるが、幼い頃に両親を亡くし、母方の一族の住む[[ブランディ屋敷]]に引き取られて少年時代を過ごした後、21歳の時に[[袋小路屋敷]]に住む[[ビルボ・バギンズ]]の養子となった(フロドとビルボは誕生日が一緒であり、ビルボはそれをフロドを引き取る口実にも使っている)。ビルボの影響であろう、フロドは[[エルフ]]の話や冒険の話などを好んでいた。ビルボからは[[エルフ語]]も教わり、[[クウェンヤ]]も少し理解するなど、[[ホビット]]にしてはかなりの博学である。彼の仕事が何だったのかについての言及は無いが、[[バギンズ家]]は恐らく袋小路屋敷近辺の地主だったのではないかと推察される。
>不意にかれは、[[致命的な傷>モルグルの刃]]を受けたあと、[[エルロンドの館>「最後の憩」館]]で眠ったまま横になっていた時のフロドを思い出しました。あの時ずっと看取りを続けながら、サムは時折りかれの内部からかすかに光が射すように思われるのに気がつきました。今やその光は一層鮮明となり一層強まっていました。フロドの顔は安らかでした。恐怖と心配はその痕を留めていませんでした。しかしその顔は年老いて見えました。年老いてしかも美しく見えました。あたかも長い年月をかけて形を刻み上げてきた&ruby(のみ){鑿};のあとが、以前は隠されていた多くの美しい線となって今現われ出たかのようでした。といっても、目鼻立ちに変化が起こったわけではありません。((『[[指輪物語]] [[二つの塔>指輪物語/二つの塔]]』「香り草入り兎肉シチュー」 [[イシリエン]]で眠るフロドを見た[[サム]]の心象。))

[[第三紀]]3001年の9月、ビルボが自身の[[111歳の誕生日の宴会の晩>ビルボの別れの宴]]に姿を消すと、[[袋小路屋敷]]と魔法の指輪([[一つの指輪]])も含めた彼の全ての遺産を相続する。こうしてフロドは指輪所持者となった。
[[指輪戦争]]の終結後、ビルボから[[西境の赤表紙本]]を引き継いで[[指輪戦争の記録>指輪物語]]を主に執筆するとともに、[[伝承集>シルマリルの物語]]編纂の仕上げをする。だが、指輪破壊の任務で受けた傷は[[中つ国]]では癒えることがなく、[[サムワイズ・ギャムジー]]に全ての財産を遺すと、[[第三紀]]の終わりに[[西方>アマン]]へと去っていった。

*** 一つの指輪を所持してのホビット庄からの旅立ち [#m70206fb]
*** 前半生 [#w67dcba3]

[[第三紀]]3018年4月、ビルボが残していった魔法の指輪が[[一つの指輪]]であることを、10年ぶりに訪問した[[ガンダルフ]]によって明かされると、フロドは指輪と[[ホビット庄]]を守るため、指輪を持って[[裂け谷]]へ避難することにする。この時、ガンダルフとの会話を盗み聞いていた忠実な庭師の[[サムワイズ・ギャムジー(サム)>サムワイズ・ギャムジー]]も、ガンダルフの言いつけが元で、行動を共にすることになった。
フロドは9月の自分とビルボの誕生日の後に旅立つことを決め、自分がホビット庄を離れることを秘密にするため、袋小路屋敷を[[ロベリア・サックビル=バギンズ]]に売却。ホビット庄の東の境[[バック郷]]にある[[堀窪]]に家を買ってそこに引っ越したように見せ掛け、それから密かに裂け谷へと旅立とうとしていた。
>「フロド様は、めったにお目にかかれねえほどりっぱな青年だ。[[ビルボ旦那>ビルボ・バギンズ]]によう似てなさる。それも、顔形よりご気性がな。」((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「待ちに待った誕生祝い」 [[ハムファストとっつぁん>ハムファスト・ギャムジー]]の言葉。))

フロドは、情報収集に出かけたガンダルフが戻ってこないことを気に掛けつつも(ガンダルフは[[サルマン]]に囚われたため合流できず、フロドたちはそのことを知らなかった)、予定通り誕生日の翌日に[[袋小路屋敷]]を引き払い、サムおよび、引越しの手伝いに来た親戚かつ友人の[[ペレグリン・トゥック(ピピン)>ペレグリン・トゥック]]と共に堀窪に向かう。その時、謎の[[黒の乗手]]につけまわされたため、街道を避けて[[末つ森]]に入った。だが森の中でも黒の乗手に遭遇し、身を隠したものの見つかりそうになった時に、偶然[[ギルドール>ギルドール(フィンロド王家)]]たち[[上のエルフ]]の一行が近づいてきたことで難を逃れた。
[[ドロゴ・バギンズ]]と[[プリムラ・ブランディバック]]の息子として生まれるが、幼い頃に両親を川舟の事故で亡くし、母方の一族が住む[[ブランディ屋敷]]に引き取られて少年時代を過ごした。
[[バック郷]]時代のフロドは年相応に活発な少年だったらしく、[[茸]]欲しさに[[マゴット]]の農場に忍び込んで見咎められ、犬に見張られながら逃げ帰るといった経験をしている(このことから後に再会するまで、マゴットと彼の犬に苦手意識を抱いていた)。

フロドたちはギルドール一行と森の中で一晩を共に過ごし、生まれて初めて[[エルフ]]に親しんだサムは大いに感動している。ギルドールはフロドに、彼の旅に危険を承知で自らついてこようとする者がいるのであれば、共に行くべきであると助言した。
翌日にエルフたちと別れて旅を続けたフロドたちは、[[マゴット]]爺さんの土地である[[畦更]]までやって来た。フロドたちはマゴットに夕食のもてなしを受けた後[[バックル村の渡し]]まで馬車で送ってもらい、渡し場の近くでフロドたちを迎えに来た[[メリアドク・ブランディバック(メリー)>メリアドク・ブランディバック]]と合流して対岸の[[バック郷]]に渡ったが、渡し舟がようやく岸を離れた時、離れたばかりの渡し場に黒の乗手の姿が見え、フロドたちはまたもぎりぎりのところで難を逃れたことを悟った。
やがて身寄りのない親戚に親切にしていた[[ビルボ・バギンズ]]と知り合い、彼の最も親しい友人となる。二人は誕生日が同じ9月22日であり、フロドが21歳になった時、ビルボから'''なあ、フロド、わたしのところで一緒に暮らしたほうがいいよ。そうすりゃ、つごうよく一緒に誕生祝いができるじゃないか。'''((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「待ちに待った誕生祝い」))と声をかけられ、彼の養子に迎えられて[[袋小路屋敷]]で暮らすようになった。
ビルボからは[[彼の前の冒険譚>ホビットの冒険]]をはじめいくつもの歌や伝承、[[エルフ語]]などを教わり、古代語[[クウェンヤ]]をも少し理解するなど、[[ホビット]]としては相当な博識となった。

フロドたちは堀窪に到着すると、先に家を調えて待っていた[[フレデガー・ボルジャー(でぶちゃん)>フレデガー・ボルジャー]]に迎えられた。ここで全員が揃ったところで、フロドは自分の計画が、ガンダルフの訪問より前からフロドが[[ビルボ]]のように消えてしまうことを心配していたサムを通して、メリー、ピピン、フレデガー・ボルジャーの全員に知られていたことを明かされ、メリーとピピンはサムと同じように、危険な旅であろうともフロドと共に行くつもりであると言った。
ギルドールの助言を聞いていたこともあってフロドは断り切れず、サム、ピピン、メリーと共に、翌日の早朝[[裂け谷]]へ向けて出発した(でぶちゃんはフロドの服を借りて堀窪に残り、できるだけ長くフロドが住んでいるふりをする身代わり役を引き受けた)。
*** ビルボの後継者 [#l7ecf5cd]

フロドたち一行は、黒の乗手を避けるため、街道を使わず[[古森]]を突破しようとする。だが古森の中で道に迷い、[[柳じじい]]に襲われたところを[[トム・ボンバディル]]に救助される。その後、トムの助けによってどうにか古森と[[塚山丘陵]]を抜け、[[ブリー村]]への道に出ることに成功した。
>時がたつにつれ、人々は、フロドにもまた「持ちのよいひと」のきざしが現われているのに気づき始めました。外から見たところ、かれは、大人と子供の境を抜け出て成人になったばかりの頑健で元気いっぱいのホビットの様子をいつまでも失わないでいました。((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「過去の影」))

ブリー村に着いたフロドたちは、[[躍る小馬亭]]で[[馳夫]]こと[[アラゴルン二世]]に出会う。また躍る子馬亭の亭主[[バーリマン・バタバー]]がガンダルフから預かっていた(が、フロドに渡すのをずっと忘れていた)手紙で、馳夫がガンダルフの友人であることを知る。フロドたちは、アラゴルンの案内で旅を続けることになった。その途中、[[風見が丘]]の山腹の夜営地でフロドは黒の乗手に襲われ、[[モルグルの刃]]で刺されてしまった。フロドは[[エルベレス]]の御名を唱えて[[塚山出土の剣]]で[[黒の乗手の首領>魔王]]の足を突き刺して一矢を報いたが、呪われた傷を負ったことで自分の足では歩けなくなるほど弱ってしまった。だがアラゴルンが[[アセラス]]の葉を使って行った応急処置が功を奏したことでフロドは暫くは持ち堪え、一行は裂け谷より彼らを迎えに来た[[グロールフィンデル]]にも助けられてどうにか裂け谷へと辿り着き、傷は[[エルロンド]]によって癒された。
[[第三紀]]3001年9月22日、[[ホビット村]]で[[盛大な誕生会>ビルボの別れの宴]]が開かれたが、これは[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]の111歳の長寿とともにフロドの33歳の成人を祝うものであった。この席上でビルボは突如として文字通り姿を消し、[[ホビット庄]]から旅立ってしまう。遺言状によってフロドはビルボの後継者に指名され、フロドのもとには[[袋小路屋敷]]とその家財道具一式、そして指にはめると姿が消える「[[魔法の指輪>一つの指輪]]」が遺された。
こうしてフロドは袋小路屋敷の主人となった。

***指輪所持者としての使命を帯びた再度の旅立ち [#z3c9914c]
フロドは[[ホビット庄]]の民とその暮らしを深く愛していたが、心の奥底ではビルボと一緒に旅に出なかったことへの後悔を募らせていた。そして[[東街道]]を往来する旅人や[[ドワーフ]]たち、森の中を[[灰色港]]へ向けて旅立つ[[エルフ]]たちとすら親しく言葉を交わすようになる。
さらに受け継いだ[[指輪>一つの指輪]]の効力によって、それを相続した33歳の時から外見が老化することがなかったため、ビルボと同様に「持ちのよいひと」として知られるようになった。
そのためフロドは変人として知られたビルボの評判をもそっくりそのまま引き継ぐことになった。

フロドは[[「最後の憩」館]]にて意識が回復した後に、[[サルマン]]の許から脱出に成功していた[[ガンダルフ]]と、[[エルロンド]]の客人としてこの館に住まっていた[[ビルボ]]に再会して喜びあう。翌日に開かれた[[エルロンドの会議]]で、一つの指輪を[[滅びの山]]に持っていって破壊するということが決定されると、フロドはその任務を自ら引き受ける。フロドは出発前に、ビルボから[[ミスリルの胴着]]と[[つらぬき丸]]を譲られ、フロドは[[指輪の仲間]]と共に、12月25日に裂け谷を出発した。
一行は旅の途中、[[モリア]]にてガンダルフを失う。傷心の一行はその後[[ロスローリエン]]に立ち寄り、フロドは[[ガラドリエル]]の奥方から、水鏡の魔法による忠告と予言のヴィジョンと、旅立ちの際の贈り物として[[玻璃瓶]]を与えられた。
[[パルス・ガレン]]での今後の旅の進路についての話し合いの後、結論に迷ったフロドは一人考え込んでいたが、この時[[ボロミア]]が指輪の魔力に屈してフロドから一つの指輪を奪おうとした。そのため、フロドは仲間を旅の危険や指輪の危険から守るために、一行と別れて自分一人で[[モルドール]]へ行こうとする。ところがサムだけはフロドの心を読んで追いかけてきたため、フロドはサムと共に行くことになった。
だがフロドには年下の親しい友人が何人もおり、わけても[[メリアドク・ブランディバック]]、[[ペレグリン・トゥック]]、[[フレデガー・ボルジャー]]らと親しくしていた。また、袋小路屋敷で庭師を務める[[サムワイズ・ギャムジー]]とも親しく、彼から深く敬愛されていた。

***サムとゴクリとのモルドールへの旅 [#y45e84d6]
*** ホビット庄からの旅立ち [#q5f0fd8e]

フロドとサムは二人で旅を再開するが、その途中[[エミン・ムイル]]で二人を尾行していた[[ゴクリ]]を捕らえる。フロドは、ゴクリの命を助ける代わりに[[モルドール]]までの道案内をすることを約束させた。
ゴクリの案内によって二人は[[死者の沼地]]を抜け、警戒厳重な[[黒門]]を避けて[[イシリアン]]へと進んだ。だがここで[[イシリアンの野伏]]を率いていた[[ファラミア二世]]に捕らえられ、ゴクリと離れ離れになってしまった。ファラミアはフロドとサムの二人を丁重に扱い、二人は[[ヘンネス・アンヌーン]]でささやかなもてなしを受けた。この時フロドとサムはファラミアには兄にあたる[[ボロミア]]の死を知らされ、二人はボロミアについて知っている限りのことを話した。
ファラミアは魚欲しさにヘンネス・アンヌーンの禁断の池に入り込んだゴクリの処置をフロドに委ね、フロドはゴクリを殺さないことを望んだ。ファラミアはゴクリがかつて[[人を殺めたことがある>デアゴル]]のを見て取り、ゴクリの約束を信じないよう忠告した。
>「もしわたしにできることなら、[[ホビット庄]]を救いたいのです――時にはわたしも、ここの連中ときたらお話にならないくらい馬鹿で退屈で、いっそ地震か[[竜>龍]]にでも襲われたほうがいい、なんて思ったもんですが。でも今はそうは思いません。自分があとにするホビット庄が安全で住み心地のよい土地としてある限り、わたしは放浪の旅がより耐えやすいものになるだろうと思いますよ。たとえこの足でふたたびそこに立つことはできないにしろ、どこかにしっかりした足がかりがあるとわかっていればいいんです。」((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「過去の影」))

途中まではフロドに従って道案内をしていたゴクリだが、ファラミアの予見した通り、結局ゴクリはフロドたちを裏切る。その結果、[[キリス・ウンゴル]]の[[トレヒ・ウンゴル]]にてフロドは[[シェロブ]]に襲われ、毒針に刺されて倒れてしまった。シェロブは[[玻璃瓶]]と[[つらぬき丸]]を手にしたサムによって追い払われたが、仮死状態のフロドは[[オーク]]たちによって[[キリス・ウンゴルの塔]]に連れ去られてしまった。
[[大いなる年]]([[第三紀]]3018年)の4月、10年ぶりに[[ガンダルフ]]の訪問を受けたフロドは、自分が相続した指輪が[[冥王]][[サウロン]]の恐るべき「[[一つの指輪]]」であることを知らされる。指輪がもたらす脅威から[[ホビット庄]]を守るため、フロドは単身故郷を後にすることを決意した。

キリス・ウンゴルの塔からサムに救出されたフロドたちは、オークの兵士に変装して滅びの山への旅を再開。それまで、指輪を破壊しなければならないという強靱な意志の元に旅を続けていたフロドだが、次第にその精神は指輪に蝕まれてゆく。やがて、ついに[[滅びの山]]の[[滅びの罅裂]]に到達したフロドだが、とうとう一つの指輪の魔力に屈し、指輪を破壊することを止め、自分のものにすると宣言。しかしその時、指輪を奪おうと襲いかかってきたゴクリともみ合いになり、ゴクリによって右手の薬指((日本語版『[[指輪物語]]』では中指となっているが、third fingerの誤訳))を食いちぎられ、一つの指輪を奪われた。その後、ゴクリは喜びに跳ねまわっている際にバランスを崩して指輪もろとも滅びの罅裂に落下。こうして3019年3月25日、一つの指輪は破壊された(サムは、薬指を失ったフロドのことを片手を失った英雄[[隻手のベレン>ベレン(バラヒアの息子)]]になぞらえ、フロドも昔話をねだる子供たちから「九本指のフロド」と呼ばれるようになるかもしれないと話した)。
フロドは[[袋小路屋敷]]を[[ロベリア・サックビル=バギンズ]]に売却して、ホビット庄の東境にある[[くり窪]]へ引っ越す手筈を整え、そこから秘密裏に[[裂け谷]]を目指して避難する計画を立てる。そして[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]の先例に倣い、彼が姿を消した9月23日を出立の日に定めた。
だが旅に同行するはずだったガンダルフが情報収集に出かけたまま音信不通になり、フロドは不安を抱きながらも無為に日々を過ごすことになる。予定通り9月23日になって袋小路屋敷を引き払ったフロドだが、すでに[[モルドール]]から送り込まれた[[黒の乗手>ナズグール]]が彼のすぐ後ろに迫っていた。

一つの指輪の消滅と共に滅びの山は噴火したが、フロドとサムは滅びの山の麓から[[大鷲]]によって救出される。フロドの傷はアラゴルンによって癒され、意識が回復した二人は復活していた[[ガンダルフ]]や他の[[指輪の仲間]]たちと再会し、フロドとサムは[[コルマルレン]]の野で栄誉礼を受ける。
[[ところざわ村にいたる道]]から[[バックルベリの渡し場]]まで黒の乗手に追跡されたフロドたちは、[[末つ森]]で出会った[[ギルドール]]ら[[上のエルフ]]の一行や、長年苦手にしていた[[マゴット]]氏の温かい歓迎に助けられて、24日の夜になんとか[[くり窪]]に到着する。
そこでフロドは自分を助けてくれた親しい友人達に別れを切り出そうと考えていたが、[[彼らは指輪の存在もフロドの目的もとっくに承知しており>陰謀者一味]]、これからもフロドを助けて危険な旅に同行する決意であると逆に明かされて、仰天すると共にいたく感激させられる。フロドは[[サムワイズ・ギャムジー]]、[[メリアドク・ブランディバック]]、[[ペレグリン・トゥック]]を旅の仲間として、翌25日の夜明け前にホビット庄から旅立った。

***使命の達成後の不調とアマンへの旅立ち [#le218134]
一行は[[古森]]では[[柳じじい]]に、[[塚山丘陵]]では[[塚人]]に襲撃されたが、いずれも[[トム・ボンバディル]]の助けを得て窮地を切り抜ける。29日に日暮れに[[ブリー村]]に到着した一行は、[[躍る小馬亭]]でガンダルフの友人である[[馳夫]]こと[[アラゴルン二世]]に出会う。フロドは馳夫の胡散げな外見の下に信頼できる人柄があることを見抜き、彼の先導で[[裂け谷]]を目指すことになった。

フロドは仲間と共に、[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]で行われたエレスサール王([[アラゴルン]])の戴冠式と結婚式に参加する。
フロドは[[ホビット庄]]への帰りの旅に旅立つ前に、アラゴルンと共に[[ゴンドール]]の王妃となって[[中つ国]]に残ることになった[[アルウェン]]から、[[一つの指輪]]の消滅によって[[ビルボ]]の中つ国での寿命は尽きようとしており、ビルボは[[指輪所持者]]として[[西方>アマン]]へ旅立つことになるであろうこと、一つの指輪の重荷によってフロドの負った傷もまた、[[中つ国]]においては癒され難いものであることを予言され、傷の記憶がフロドを苦しめるようであれば彼もまた[[指輪所持者]]として西方へ赴くことができると告げられた。アルウェンは'''エルフの石と宵の明星の形見に'''として、少しでも傷から来る苦痛を和らげることができるよう、失われた一つの指輪に代わって白い宝石をフロドの首にかけて与えた。
だが10月6日の夜、一行は[[風見が丘]]の麓で[[ナズグール]]の襲撃を受ける。フロドは恐怖のあまり[[一つの指輪]]を指にはめたために幽界に身を晒してしまい、[[魔王]]に[[モルグルの刃]]で刺されてしまった。
フロドが[[エルベレス]]の御名を唱えて抵抗したために刃の切先は心臓から逸れ、左肩を刺されただけで済んだが、刃の破片は彼の体内に残り、その呪魔によってフロドは幽界に引き寄せられていった。フロドを救うため、アラゴルンは[[アセラスの葉>アセラス]]を用いて治療を試みつつ、一行は[[裂け谷]]へ急ぐことになる。
[[ブルイネンの浅瀬]]でフロドは仲間から引き離されてナズグールに追い詰められたが、あくまで踏みとどまって抵抗し、間一髪のところで[[エルロンド]]と[[ガンダルフ]]が[[ブルイネン]]を氾濫させたことで難を逃れた。

その後フロド達は帰りの道中で[[裂け谷]]へ立ち寄り、フロドはビルボから[[彼が手掛けていた伝承集の編纂>シルマリルの物語]]の仕事の続きと、[[指輪戦争]]についての記録をまとめることを託されて[[赤表紙本]]を渡された後、3019年10月末に[[ホビット庄]]へと帰郷した。
帰り着いたホビット庄は、[[サルマン]]とその手下のごろつきによって支配されていたが、フロドは[[サム]]、[[メリー]]、[[ピピン]]とともに、サルマンたちを追放するためのホビットの反乱を指揮する。彼らは[[水の辺村の合戦]]に勝利してサルマンの手下たちをホビット庄から駆逐したが、フロドは争いを好まず心を痛め、あまり目立たないように行動し、むしろ血気にはやるホビットたちを抑制する立場だった。
フロドは[[サルマン]]自身も殺さずに追放することを望んだ。サルマンもまたフロドに憎しみと同時に敬意を表しつつ、フロドは健康も長寿も得られないであろうが、それは自分のせいではないと予言した。その直後、サルマンは自らが虐げていた手下の[[グリマ]]に刺し殺されてしまった。
エルロンドの治療によって体内に残っていた刃の破片が取り除かれたことで、フロドは危険な状態を脱したが、それでも傷の影響から完全に自由になることはなく、ガンダルフは'''しまいにはどういうことになるのか、エルロンドにさえ予知ができない。しかしまがまがしいことにはなるまい。かれは見える目を持つ者には、澄んだ光をたたえた杯とも見えるようなものになるかもしれぬ。'''((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「数々の出会い」))と述懐している。
10月24日にフロドは目覚め、仲間たちと再会するとともに、[[「最後の憩」館]]に身を寄せていた[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]とも再会する。

騒動が終わった後、フロドは[[ロベリア>ロベリア・サックビル=バギンズ]]から返還された[[袋小路屋敷]]に戻った。また[[庄長]]である[[小足家のウィル]]がサルマンの手下によって監禁され衰弱していたため、フロドは庄長の助役を一時引き受ける。サルマンたちによって荒廃させられたホビット庄の復興が進んだ頃、フロドはサム及びサムと結婚した[[ローズ・コトン]]を[[袋小路屋敷]]に迎え入れて共に暮らし、サムの娘[[エラノール]]の名付け親にもなった。一方でフロドは静かな暮らしを望み、その中でビルボに託された赤表紙本の執筆を続ける。
*** 指輪所持者としての旅 [#q16a8b37]

その間もフロドはずっと、[[モルグルの刃]]による傷、[[シェロブ]]による傷、一つの指輪を失った事による傷と喪失感に苦しめられ、特に毎年、それぞれの事件が起こったのと同じ日に臥せっていた。
もう中つ国で癒やしは得られないと悟ったフロドは第三紀3021年9月29日、袋小路屋敷その他一切の財産をサムに譲り、赤表紙本を託すと、サム、メリー、ピピンに見送られ、[[ガンダルフ]]や[[エルロンド]]、[[ガラドリエル]]、そしてビルボたち他の指輪所持者と共に、[[灰色港]]より船に乗り、[[大海]]を渡って西方へと去った。
>「わたしが指輪を持って行きます。」と、かれはいいました。「でも、わたしは道を知りませんが……。」((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「エルロンドの会議」))

** 略歴 [#haca3aef]
10月25日に[[エルロンドの会議]]が開かれ、[[サウロン]]の脅威を除くためには[[一つの指輪]]を[[モルドール]]の[[滅びの山]]にある[[滅びの罅裂]]に投げ込むしかないことが決められる。
ほとんど望みのない任務であり、誰も他人を指名できず、また自ら名乗り出ることもできないでいたが、フロドは奇妙な使命感に突き動かされ、自分が指輪の担い手となることを申し出る。この時天啓に打たれた[[エルロンド]]は'''もしあなたが道を見いださないのなら、だれ一人見いだす者はいないだろう。'''((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「エルロンドの会議」))と評した。
こうしてフロドはあらためて''[[指輪所持者]]''に指名され、その旅を助けるために[[指輪の仲間]]が結成された。

- 2968年 生誕
- 2980年 12歳。[[ドロゴ>ドロゴ・バギンズ]]と[[プリムラ>プリムラ・ブランディバック]]の溺死で、[[ブランディ館]]に引き取られる
- 2989年 21歳の誕生日、[[ビルボ・バギンズ]]の養子となり、[[袋小路屋敷]]に迎えられる
- 3001年 33歳の成人、[[ビルボの別れの宴]]。ビルボから袋小路屋敷、[[一つの指輪]]、その他の財産を相続する
- 3004年 続く4年間、折ふし[[ガンダルフ]]の訪問を受ける
- 3008年 40歳。ガンダルフの訪問が途絶える
- [[3018年 大いなる年>大いなる年#year3018]]、[[指輪戦争]] 50歳。4月、ガンダルフより指輪の正体を知らされる。9月に[[堀窪]]へ移り、[[ホビット庄]]を旅立つ。10月6日に[[風見が丘]]にて[[負傷>モルグルの刃]]。10月25日の[[エルロンドの会議]]で[[指輪所持者]]に指名される
- [[3019年 大いなる年>大いなる年#year3019]] 51歳。3月13日、[[シェロブ]]の毒で負傷。25日、指輪破壊の任務達成、右手薬指を失う。9月、ビルボと再会。11月、[[ホビット庄]]へ帰還、[[水の辺村の合戦]]。[[指輪戦争]]終結
- 3020年 52歳。[[小足家のウィル]]の復職まで[[庄長]]を務める。3月13日、病む。10月6日、再び病む
- 3021年 53歳。3月13日、再び病む。9月22日、[[末つ森]]で[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]ら[[指輪所持者]]らと再会。29日に[[灰色港]]より[[西方>アマン]]に去る
指輪の仲間は12月25日の夕暮れ、[[裂け谷]]を出発した。

** 画像 [#occ4ec98]
一行は[[柊郷>エレギオン]]を過ぎて[[霧ふり山脈]]の山越えを図ったが、[[カラズラス]]の山の悪意に阻まれて赤角山道を越えることができず、[[モリア]]の坑道に足を踏み入れることを余儀なくされる。そこで[[ガンダルフ]]が[[バルログ]]と相打ちになって奈落に落ちたことで、指輪隊は先導者を失ってしまった。
代わって先導を引き受けた[[アラゴルン>アラゴルン二世]]のによって一行は[[ロスローリエン]]に到着し、[[ガラドリエル]]から休息と[[贈り物>ガラドリエルの贈り物]]を与えられる。フロドは[[サム>サムワイズ・ギャムジー]]と共に[[ガラドリエルの水鏡>ガラドリエルの鏡]]を覗き見る機会に恵まれ、贈り物として[[玻璃瓶]]を与えられた。

ロスローリエンを過ぎて一行は[[小船]]で大河[[アンドゥイン]]を下って旅を続けたが、そこから指輪がどの道を取るべきか仲間内で意見が割れるようになる。フロドはたとえどんなに危険が大きくとも指輪は一路[[モルドール]]を目指すべきであることが判っていたが、それを決心する勇気を出せないでいた。
だが[[パルス・ガレン]]において、指輪の誘惑に駆られた[[ボロミル]]がフロドに襲いかかるに及び、フロドは指輪の魔力が仲間内にすら作用し始めたことを悟る。ボロミルから逃れ、[[アモン・ヘン]]の[[視る椅子]]に座って各地を眺めたフロドは、仲間と我が身を守るために単身でモルドールを目指す決意を固めた。
その決意を察した[[サムワイズ・ギャムジー]]だけがフロドに追いすがり、フロドは彼を唯一の従者として仲間の許から離脱した。

*** モルドールへの旅 [#l6f5c2d2]

>「さがれ、さがれ!」かれは息をきらしながらいうと、片手を握りしめるように胸に当て、革の下着の下に隠れている指輪をしっかり握りました。「さがれ、この腹ばうものよ、そしてわたしの道をあけろ! お前の時は尽きた。もうお前はわたしを裏切ることも、殺すこともできぬ。」
その時突然サムは、前のエミン・ムイルの山の端での時と同じように、この二人の敵手を別の幻覚で見たのでした。一方は生命の影としかいえない、うずくまる姿、今やまったく見る影もなく敗北し、しかもなおおぞましい渇望と憤怒に充たされている生きもの。そして一方はその前に立って、もはや憐れみに動かされることのない、いかめしい白衣の人物、しかもその人物は胸許に火の車を掴んでいました。((『[[指輪物語]] [[王の帰還]]』「滅びの山」))

その二人の後を、かつて指輪を持っていた[[ゴクリ]]が追跡していた。[[エミュン・ムイル]]で襲いかかってきたゴクリを捕らえたフロドは、彼を殺すべきか決断を迫られたが、かつて[[ガンダルフ]]に説かれた慈悲の心を思い出し、その生命を助ける。フロドは優しさと威厳をもってゴクリに接して本名のスメーアゴルの名で呼び、スメーアゴルもそれに応えてかつての善良だった性質を取り戻すかに見えた。
スメーアゴルを道案内にして[[モルドール]]へ潜入することを決めたフロドとサムは、[[死者の沼地]]から[[黒門]]へ至り、そこか通行不能であることが判ると南に進路を変えて[[イシリエン]]から[[キリス・ウンゴル]]を目指した。その途上で出会った[[ファラミル]]は、ゴクリに底意があることを警告したが、フロドはそれを承知の上でスメーアゴルの案内に身を委ねる。

はたしてスメーアゴルはゴクリの人格に打ち負かされ、[[トレヒ・ウンゴル]]においてフロドを裏切り、[[シーロブ]]にフロドを差し出すことにする。[[玻璃瓶]]と[[つらぬき丸]]によって洞窟を突破したフロドだが、サムを引き離して突出してしまったところを、[[第三紀]]3019年3月13日、シーロブの毒針に噛まれて仮死状態に陥った。
フロドは死んだものと思ったサムは、[[一つの指輪]]を取って自分が任務を続けようとしたが、横たわるフロドを発見した[[シャグラト]]と[[ゴルバグ]]ら[[オーク]]の部隊はその仮死状態を見抜き、取り調べのためにフロドを[[キリス・ウンゴルの塔]]に連行する。フロドはサムによって救出されたが、その装身具は奪われ、[[黒門の戦い]]において[[西軍]]の大将たちを脅迫するのに使われることになった。

フロドは再び指輪を担い、いよいよ[[モルドール]]に足を踏み入れて[[滅びの山]]を目指す最後の旅に立ち向かう。
二人は[[モルガイ]]に沿って北上し、途中追いついてきた[[オーク]]の部隊に紛れ込んで[[アイゼン口]]に至り、そこで部隊から離れて[[ゴルゴロス高原>ゴルゴロス]]を横断、いよいよ[[滅びの山]]に達する。
だが過酷な旅路による心身の疲弊、山に近づくにつれ力と重さを増す指輪の重圧、またその道は[[バラド=ドゥール]]に坐する[[サウロン]]に近づく道でもあったため、それが投射する恐るべき脅威、それらはフロドの意志の力を刻一刻と消耗させていった。
とうとう[[滅びの罅裂]]に到達したフロドだが、そこで運命は下り、フロドは[[一つの指輪]]に屈してしまった。

>するとフロドは不動の姿勢を僅かに解き、はっきりした声でものをいいました。まったくのところこれほどはっきりした力強い声でフロドが話すのをサムは今まで一度も聞いたことがありませんでした。その声は滅びの山の鼓動と轟音を圧して、天井と壁に響き渡りました。
「わたしは来た。」と、かれはいいました。「だが、わたしがここに来てするはずだったことを、もうしないことにした。そのことをするつもりはない。指輪はわたしのものだ!」((『[[指輪物語]] [[王の帰還>指輪物語/王の帰還]]』「滅びの山」))

指輪は自分のものだと宣言したフロドはそれを指にはめ、その瞬間[[サウロン]]はフロドの存在と居処を察知、さらに後を追ってきた[[ゴクリ]]が指輪を奪おうと襲いかかった。フロドはもみ合った末にゴクリに右手の薬指((日本語版『[[指輪物語]]』では中指となっているが、third fingerの誤訳))ごと指輪を食いちぎられ、一つの指輪を失う。だが指輪を取り戻したゴクリは狂喜のあまりバランスを崩して指輪もとろも[[滅びの罅裂]]に落下した。
こうして[[第三紀]][[3019年>大いなる年]]3月25日、[[指輪所持者]]の任務は達成されて[[一つの指輪]]は無に帰し、[[サウロン]]と[[その王国>モルドール]]は滅びた。

指輪の消滅とともに[[滅びの山]]は噴火して崩壊。正気を取り戻したフロドはサムと共に、溶岩に取り巻かれて逃げ場がないことを悟る。しかし意識を失った瞬間、彼らを探しに来た[[ガンダルフ]]の乗る[[グワイヒィル]]ら[[大鷲]]が飛来し、二人は救われた。
フロドの傷は[[アラゴルン>アラゴルン二世]]によって癒やされ、意識の回復した二人は[[コルマッレンの野>コルマッレン]]において生き残った[[指輪の仲間]]たちと再会。[[指輪所持者]]として任務を達成したフロドとサムは栄誉礼を受け、かつてサムが望んだようにフロドの勲功は「九本指のフロドと滅びの指輪の物語」として歌に歌われることになった。
また[[エレッサール王>アラゴルン二世]]の戴冠式においては、[[ゴンドールの王冠]]を運ぶという大役を担った。

*** 後半生 [#b24ae85f]

>「だが、わたしの受けた傷は深すぎたんだよ、サム。私はホビット庄を安泰に保とうとした。そしてホビット庄の安泰は保たれた。しかしわたしのためにではないよ。愛するものが危機に瀕している場合、しばしばこうならざるを得ないものだよ、サム。つまりはだれかがそのものを放棄し、失わなければならないのだ。ほかの者たちが持っておられるように。しかしお前はわたしの相続人だよ。わたしが持っていたもの、持ったかもしれないものはことごとくお前に残すからね。」((『[[指輪物語]] [[王の帰還>指輪物語/王の帰還]]』「灰色港」))

フロドは[[ゴンドール]]に暇を告げる時、[[アルウェン]]王妃より'''あなたの傷がなおもあなたを苦しめ、あなたの負うた荷の記憶が重くあなたにのしかかるようなことがあれば'''と[[白い宝石]]を贈られる。その言葉の通り、失われた[[一つの指輪]]の記憶は絶えずフロドを苦しめ、また[[モルグルの刃]]を受けた10月6日と[[シーロブ]]の毒を受けた3月13日になる毎に病んで臥せるようになった。

[[水の辺村の合戦]]ではついに自ら剣を抜くことはなく、むしろ血気にはやるホビットたちを抑制する立場に立った。愛する[[ホビット庄]]が[[サルマン]]とその手下の[[ごろつき]]によって無残に荒廃してしまったのはフロドにとっても痛ましいことであったが、フロドはあくまでサルマンを助命しようとし、サルマンからは敬意と憎しみを表明されるとともに健康も長寿も得られないであろうと予言される。
この一連の騒動がきっかけとなって他の[[旅人たち]]は名士として名望を高めていったが、フロドはほとんど表舞台に立つことはなく、[[庄長]]の助役を一時引き受けた後は[[ロベリア>ロベリア・サックビル=バギンズ]]から返還された[[袋小路屋敷]]で静かな暮らしを送り、帰郷時に立ち寄った裂け谷にてビルボより受け取った[[赤表紙本>西境の赤表紙本]]に旅の記録を記した。
フロドは、[[ロージー>ローズ・コトン]]と結婚した[[サム]]を屋敷に迎え入れて共に暮らし、サムの娘[[エラノール]]の名付け親にもなった。

そうした中でもフロドは[[指輪戦争]]で負った傷に苦しめられていた。
やがてフロドは[[袋小路屋敷]]その他一切の財産と幸せをサムに譲り、[[赤表紙本>西境の赤表紙本]]の完成を託すと、彼とともに[[ホビット村]]を旅立つ。[[サム]]、[[メリー]]、[[ピピン]]に見送られたフロドは、同じく[[指輪所持者]]である[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]と、[[三つの指輪の守護者]]である[[ガンダルフ]]、[[エルロンド]]、[[ガラドリエル]]と共に、[[灰色港]]より船に乗って[[大海]]を渡って[[西方>アマン]]へと去っていった。
船上でフロドが掲げる[[玻璃瓶]]の光は瞬きながら水平線に消えていき、そしてついにある朝、フロドは[[至福の国>アマン]]の岸辺に到達したと伝えられている。

*** 略歴 [#haca3aef]

- 2968年 生誕。
- 2980年 12歳。[[ドロゴ>ドロゴ・バギンズ]]と[[プリムラ>プリムラ・ブランディバック]]の溺死で、[[ブランディ館]]に引き取られる。
- 2989年 21歳。[[ビルボ・バギンズ]]の養子となり、[[袋小路屋敷]]に迎えられる。
- 3001年 9月22日、33歳の成人、[[ビルボの別れの宴]]。ビルボから袋小路屋敷、[[一つの指輪]]、その他の財産を相続する。
- 3004年 続く4年間、折ふし[[ガンダルフ]]の訪問を受ける。
- 3008年 40歳。ガンダルフの訪問が途絶える。
- [[3018年 大いなる年>大いなる年#year3018]]、[[指輪戦争]] 50歳。4月、ガンダルフより指輪の正体を知らされる。9月に[[くり窪]]へ移り、[[ホビット庄]]を旅立つ。10月6日に[[風見が丘]]にて[[モルグルの刃]]で負傷。10月25日の[[エルロンドの会議]]で[[指輪所持者]]に指名される。
- [[3019年 大いなる年>大いなる年#year3019]] 51歳。3月13日、[[シーロブ]]の毒で負傷。25日、指輪破壊の任務達成、右手薬指を失う。9月、ビルボと再会。10月30日、[[ホビット庄]]へ帰還。11月3日、[[水の辺村の合戦]]。[[指輪戦争]]終結。
- 3020年 52歳。[[小足家のウィル]]の復職まで[[助役>庄長]]を務める。3月13日、病む。10月6日、再び病む。
- 3021年 53歳。3月13日、再び病む。9月22日、[[末つ森]]で[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]と[[上のエルフ]]らと再会。29日に[[灰色港]]より[[西方>アマン]]に去る。

*** 画像 [#occ4ec98]

&ref(AlanLee-02-ShadowOfThePast.jpg,,25%,アラン・リー作画によるフロドとガンダルフ); &ref(AlanLee-27-TheTamingOfSmeagol.jpg,,25%,アラン・リー作画によるフロド、サム、ゴクリ);

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[イライジャ・ウッド]]|
|~日本語吹き替え|[[浪川大輔]]|

原作では[[ビルボの別れの宴]]からフロドが[[ホビット庄]]を旅立つまで18年が経過しており、フロドの年齢も51歳の中年であるが、映画ではこの18年が短縮されており年齢設定も青年であるという大きな違いがある。そのためか、原作にあった年功者として自主性を発揮する場面のほとんどが割愛されており、受け身の主人公との印象が強くなっている。

『旅の仲間』では、全く[[ナズグール]]に抵抗できない形となっている。[[風見が丘]]では無抵抗に刺されており、[[ブルイネンの浅瀬]]では傷のせいで前後不覚となったフロドの代わりに[[アルウェン]]が川を挟んで対峙している。また[[指輪所持者]]として名乗りを上げる場面では、[[会議>エルロンドの会議]]の参加者が口論するなかで指輪の魔力を感じて名乗りを上げる形となっている。
『二つの塔』では、[[ゴラム>ゴクリ]]に威厳をもって接する姿は描かれていない。[[ファラミル]]に[[オスギリアス]]に連行され、そこでナズグールに襲われ、指輪の魔力に屈しそうになる。
『王の帰還』では、ゴラムの策略にはまって[[レンバス]]の粉のついた[[サム]]に失望するという独自の展開になる。また、[[滅びの罅裂]]ではゴラムに指輪を奪われたあと、取り返そうともみ合っているうちに、はずみでゴラムのみが落下、フロドも危うく落ちかけたが、サムによって引き上げられ九死に一生を得るという形になっている。失った指は、左手の人差し指になっている。

*** 画像 [#od5908fc]

&ref(vlcsnap-00006.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるフロド・バギンズ); &ref(vlcsnap-00031.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるフロド・バギンズ); &ref(vlcsnap-00043.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるフロド・バギンズ);

*** グッズ [#Goods]

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年齢設定については特に触れられていない。映画では、ビルボが旅立ってからフロドが旅立つまでの18年間が短縮されているため、原作設定よりも若いと思われる。
また、滅びの罅裂ではゴクリに指輪を奪われたあと、取り返そうともみ合っているうちに、はずみでゴクリのみが滅びの罅裂に落下。フロドも危うく落ちかけたが、サムによって引き上げられ九死に一生を得る。
失った指は、左手の人差し指になっている。
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** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

|~俳優|イライジャ・ウッド|
|~日本語吹き替え|浪川大輔|

『思いがけない冒険』において、ビルボ111歳の誕生日の日、[[袋小路屋敷]]から[[ガンダルフ]]を迎えに出て行く場面が描かれており、『ロード・オブ・ザ・リング(旅の仲間)』冒頭と繋がるようになっている。

*** 画像 [#e5816718]

&ref(vlcsnap-00074.jpg,,25%,『ホビット』におけるフロド・バギンズ);

** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

フロド達[[指輪の仲間]]を出立するのを冒険者が見送るクエスト、[[パルス・ガレン]]及び[[死者の沼地]]でのフロドを追体験するセッションプレイがある。
他にも[[コルマッレンの野>コルマッレン]]での栄誉礼、エレッサール王の戴冠式および結婚式でのフロドとその仲間達が再現されている。

*** 画像 [#d8dd47ea]

&ref(ScreenShot00650.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるフロドとガンダルフ); &ref(ScreenShot00689.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるフロドとサム(キリス・ウンゴルにて)); &ref(Concept_Frodo_1280.jpg,,10%,);

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** コメント [#Comment]

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