* フロド・バギンズ [#c42baebb]
** 概要 [#j536d84a]

|~カテゴリー|人名|
|~スペル|Frodo Baggins|
|~その他の呼び名|[[指輪所持者]]、[[エルフの友]]、九本指のフロド(Nine-fingered Frodo)|
|~種族|[[ホビット]]|
|~性別|男|
|~生没年|[[第三紀]]2968年(([[ホビット庄暦]]1368年))9月22日~不明(3021年(([[ホビット庄暦]]1421年))9月29日、53歳で[[中つ国]]を去る)|
|~親|[[ドロゴ・バギンズ]](父)、[[プリムラ・ブランディバック]](母)、[[ビルボ・バギンズ]](養父)|
|~兄弟|なし|
|~配偶者|なし|
|~子|なし|

** 解説 [#b87962c2]

『[[指輪物語]]』の主人公の[[ホビット]]、[[指輪所持者]]。
『[[ホビットの冒険]]』の主人公である[[ビルボ・バギンズ]]の養子で、財産継承者。ビルボとの関係は、厳密には「伯父と甥」ではなく、「フロドの母の、母方の従兄弟がビルボ」、またフロドの父方から言えば「フロドの父の、父方のはとこがビルボ」という関係になる。ビルボより78歳の年少。

彼は[[ビルボ]]から受け継いだ[[赤表紙本]]に『[[指輪物語]]』の元となった[[指輪戦争]]についての記録を残し、ビルボが[[裂け谷]]で行っていた[[伝承集の編纂>シルマリルの物語]]の仕上げをして、[[西方>アマン]]へ旅立つ時に、他の全ての財産と共に[[赤表紙本]]を[[サムワイズ・ギャムジー]]に託した。

***フロドの生い立ちから指輪所持者となるまで [#p8a7bd46]

[[ドロゴ・バギンズ]]と[[プリムラ・ブランディバック]]の息子として生まれるが、幼い頃に両親を亡くし、母方の一族の住む[[ブランディ屋敷]]に引き取られて少年時代を過ごした後、21歳の時に伯父((正確には母の従兄弟であり父の又従兄弟である))である[[袋小路屋敷]]の[[ビルボ・バギンズ]]の養子となった。[[ビルボ]]の影響であろう、フロドは[[エルフ]]の話や冒険の話などを好んでいた。ビルボからは[[エルフ語]]も教わり、[[クウェンヤ]]も少し理解するなど、[[ホビット]]にしてはかなりの博学である。彼の仕事が何だったのかについての言及は無いが、[[バギンズ家]]は恐らく袋小路屋敷近辺の地主だったのではないかと推察される。

[[第三紀]]3001年の9月、ビルボが自身の[[111歳の誕生日の宴会の晩>ビルボの別れの宴]]に姿を消すと、[[袋小路屋敷]]と[[一つの指輪]]も含めた彼の全ての遺産を相続する。こうしてフロドは指輪所持者となった。

*** 一つの指輪を所持してのホビット庄からの旅立ち [#m70206fb]

[[第三紀]]3018年4月、ビルボが残していった指輪が[[一つの指輪]]であることを、10年ぶりに訪問した[[ガンダルフ]]によって明かされると、フロドは指輪と[[ホビット庄]]を守るため、指輪を持って[[裂け谷]]へ避難することにする。だがガンダルフとの会話を聞いていた忠実な庭師の[[サムワイズ・ギャムジー(サム)>サムワイズ・ギャムジー]]が、主人であるフロドと共に行かせてくれるようにガンダルフに懇願し、ガンダルフは止めても無駄だとしてこれを承知したため、フロドはサムと二人で旅立つことになった。
フロドは9月の自分とビルボの誕生日の後に旅立つことを決め、自分がホビット庄を離れることを秘密にするため、袋小路屋敷を[[ロベリア・サックビル=バギンズ]]に売却。ホビット庄の東の境[[バック郷]]にある[[堀窪]]に家を買ってそこに引っ越したように見せ掛け、それから密かに裂け谷へと旅立とうとしていた。

フロドは[[ガンダルフ]]がやって来ないこと(ガンダルフは[[サルマン]]に囚われたため合流できず、フロドたちはそのことを知らなかった)を気に掛けつつも、予定通り誕生日の翌日に[[袋小路屋敷]]を引き払い、[[サム]]と、引越しの手伝いに来た親戚で友人の[[ペレグリン・トゥック(ピピン)>ペレグリン・トゥック]]と共に[[堀窪]]に向かったが、謎の[[黒の乗手]]につけまわされ、街道を避けて[[末つ森]]に入った。だが森の中でも[[黒の乗手]]に遭遇し、身を隠したものの見つかりそうになった時に、偶然[[ギルドール>ギルドール(フィンロド王家)]]たち[[上のエルフ]]の一行が近づいてきたことで難を逃れた。

フロドたちはギルドール一行と森の中で一晩を共に過ごし、生まれて初めて[[エルフ]]に親しんだ[[サム]]は大いに感動している。ギルドールはフロドに、彼の旅に危険を承知で自らついてこようとする者がいるのであれば、共に行くべきであると助言した。
翌日にエルフたちと別れて旅を続けたフロドたちは、[[マゴット]]爺さんの土地である[[畦更]]までやって来た。フロドたちはマゴットに夕食のもてなしを受けた後[[バックル村の渡し]]まで馬車で送ってもらい、渡し場の近くでフロドたちを迎えに来た[[メリアドク・ブランディバック(メリー)>メリアドク・ブランディバック]]と合流して対岸の[[バック郷]]に渡ったが、渡し舟がようやく岸を離れた時、離れたばかりの渡し場に[[黒の乗手]]の姿が見え、フロドたちはまたもぎりぎりのところで難を逃れたことを悟った。

フロドたちは[[堀窪]]に到着すると、先に家を調えて待っていた[[フレデガー・ボルジャー(でぶちゃん)>フレデガー・ボルジャー]]に迎えられた。ここで全員が揃ったところで、フロドは自分の計画が、ガンダルフの訪問より前からフロドが[[ビルボ]]のように消えてしまうことを心配していた[[サム]]を通して、[[メリー]]、[[ピピン]]、[[でぶちゃんのボルジャー>フレデガー・ボルジャー]]の全員に知られていたことを明かされ、メリーとピピンはサムと同じように、危険な旅であろうともフロドと共に行くつもりであると言った。
[[ギルドール>ギルドール(フィンロド王家)]]の助言を聞いていたこともあってフロドは断り切れず、サム、ピピン、メリーと共に、翌日の早朝[[裂け谷]]へ向けて出発した(でぶちゃんはフロドの服を借りて堀窪に残り、できるだけ長くフロドが住んでいるふりをする身代わり役を引き受けた)。

フロドたち一行は、[[黒の乗手]]を避けるため、街道を使わず[[古森]]を突破しようとする。だが古森の中で道に迷い、[[柳じじい]]に襲われたところを[[トム・ボンバディル]]に救助された後、彼の助けによってどうにか[[古森]]と[[塚山丘陵]]を抜け、[[ブリー村]]への道に出ることに成功した。

ブリー村に着いたフロドたちは、[[躍る小馬亭]]で[[馳夫]]こと[[アラゴルン二世]]に出会い、躍る子馬亭の亭主[[バーリマン>バーリマン・バタバー]]が[[ガンダルフ]]から預かっていた(が、フロドに渡すのをずっと忘れていた)手紙で彼がガンダルフの友人であることを知ったフロドたちは、彼の案内で旅を続けることになった。その途中、[[風見が丘]]の山腹の夜営地でフロドは黒の乗手に襲われ、[[モルグルの刃]]で刺されてしまった。フロドは[[エルベレス]]の御名を唱えて[[塚山出土の剣]]で[[黒の乗手の首領>魔王]]の足を突き刺して一矢を報いたが、呪われた傷を負ったことで自分の足では歩けなくなるほど弱ってしまった。だが[[アラゴルン]]が[[アセラス]]の葉を使って行った応急処置が功を奏したことでフロドは暫くは持ち堪え、一行は[[裂け谷]]より彼らを迎えに来た[[グロールフィンデル]]にも助けられてどうにか裂け谷へと辿り着き、傷は[[エルロンド]]によって癒された。

***指輪所持者としての使命を帯びた再度の旅立ち [#z3c9914c]

フロドは[[「最後の憩」館]]にて意識が回復した後に、[[サルマン]]の許から脱出に成功していた[[ガンダルフ]]と、[[エルロンド]]の客人としてこの館に住まっていた[[ビルボ]]に再会して喜びあう。翌日に開かれた[[エルロンドの会議]]で、一つの指輪を[[滅びの山]]に持っていって破壊するということが決定されると、フロドはその任務を自ら引き受ける。フロドは出発前に、ビルボから[[ミスリルの胴着]]と[[つらぬき丸]]を譲られ、フロドは[[指輪の仲間]]と共に、12月25日に裂け谷を出発した。
一行は旅の途中、[[モリア]]にてガンダルフを失う。傷心の一行はその後[[ロスローリエン]]に立ち寄り、フロドは[[ガラドリエル]]の奥方から、水鏡の魔法による忠告と予言のヴィジョンと、旅立ちの際の贈り物として[[玻璃瓶]]を与えられた。
[[パルス・ガレン]]での今後の旅の進路についての話し合いの後、結論に迷ったフロドは一人考え込んでいたが、この時[[ボロミア]]が指輪の魔力に屈してフロドから一つの指輪を奪おうとしたため、フロドは仲間を旅の危険や指輪の危険から守るために、一行と別れて自分一人で[[モルドール]]へ行こうとする。ところが[[サム]]だけはフロドの心を読み、フロドについてくることになった。

***サムとゴクリとのモルドールへの旅 [#y45e84d6]

フロドとサムは二人で旅を再開するが、その途中[[エミン・ムイル]]で二人を尾行していた[[ゴクリ]]を捕らえる。フロドは、ゴクリの命を助ける代わりに[[モルドール]]までの道案内をすることを約束させた。
ゴクリの案内によって二人は[[死者の沼地]]を抜け、警戒厳重な[[黒門]]を避けて[[イシリアン]]へと進んだ。だがここで[[イシリアンの野伏]]を率いていた[[ファラミア二世]]に捕らえられ、ゴクリと離れ離れになってしまった。[[ファラミア]]はフロドとサムの二人を丁重に扱い、二人は[[ヘンネス・アンヌーン]]でささやかなもてなしを受けた。この時フロドとサムはファラミアには兄にあたる[[ボロミア]]の死を知らされ、二人はボロミアについて知っている限りのことを話した。
ファラミアは魚欲しさにヘンネス・アンヌーンの禁断の池に入り込んだ[[ゴクリ]]の処置をフロドに委ね、フロドはゴクリを殺さないことを望んだ。ファラミアはゴクリがかつて[[人を殺めたことがある>デアゴル]]のを見て取り、ゴクリの約束を信じないよう忠告した。

途中まではフロドに従って道案内をしていたゴクリだが、[[ファラミア]]の予見した通り、結局ゴクリはフロドたちを裏切る。その結果、[[キリス・ウンゴル]]にてフロドは[[シェロブ]]に襲われ、毒針に刺されて倒れてしまった。シェロブは[[玻璃瓶]]と[[つらぬき丸]]を手にした[[サム]]によって追い払われたが、仮死状態のフロドは[[オーク]]たちによって[[キリス・ウンゴルの塔]]に連れ去られてしまった。

その後フロドは[[キリス・ウンゴルの塔]]からサムに救出され、[[オーク]]の兵士に変装して滅びの山への旅を再開。それまで、指輪を破壊しなければならないという強靱な意志の元に旅を続けていたフロドだが、次第にその精神は指輪に蝕まれてゆく。やがて、ついに[[滅びの山]]の[[滅びの罅裂]]に到達したフロドだが、とうとう一つの指輪の魔力に屈し、指輪を破壊することを止め、自分のものにすると宣言。しかしその時、指輪を奪おうと襲いかかってきたゴクリともみ合いになり、その拍子に一つの指輪はゴクリもろとも滅びの罅裂へと落下。こうして3019年3月25日、一つの指輪は破壊された(このとき、フロドの右手の中指は一つの指輪ごとゴクリによって食いちぎられたため、[[サム]]は片手を失った英雄[[隻手のベレン>ベレン(バラヒアの息子)]]のように、フロドも昔話をねだる子供たちから「九本指のフロド」と呼ばれるようになるかもしれないと話した)。

一つの指輪の消滅と共に滅びの山は噴火したが、フロドとサムは滅びの山の麓から[[大鷲]]によって救出される。フロドの傷はアラゴルンによって癒され、意識が回復した二人は復活していた[[ガンダルフ]]や他の[[指輪の仲間]]たちと再会し、フロドとサムは[[コルマルレン]]の野で栄誉礼を受ける。

***使命の達成後の不調とアマンへの旅立ち [#le218134]

その後フロドは仲間と共に[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]で行われたエレスサール王([[アラゴルン]])の戴冠式と結婚式に参加する。
フロドは[[ホビット庄]]への帰りの旅に旅立つ前に、アラゴルンと共に[[ゴンドール]]の王妃となって[[中つ国]]に残ることになった[[アルウェン]]から、[[一つの指輪]]の消滅によって[[ビルボ]]の[[中つ国]]での寿命は尽きようとしており、ビルボは[[指輪所持者]]として[[西方>アマン]]へ旅立つことになるであろうこと、一つの指輪の重荷によってフロドの負った傷もまた、[[中つ国]]においては癒され難いものであることを予言され、傷の記憶がフロドを苦しめるようであれば彼もまた[[指輪所持者]]として西方へ赴くことができると告げられた。アルウェンは'''エルフの石と宵の明星の形見に'''として、少しでも傷から来る苦痛を和らげることができるよう、失われた一つの指輪に代わって白い宝石をフロドの首にかけて与えた。

その後フロド達は帰りの道中で[[裂け谷]]へ立ち寄り、フロドは[[ビルボ]]から[[彼が手掛けていた伝承集の編纂>シルマリルの物語]]の仕事の続きと、[[指輪戦争]]についての記録をまとめることを託されて[[赤表紙本]]を渡された後、3019年10月末に[[ホビット庄]]へと帰郷した。
帰り着いたホビット庄は、[[サルマン]]とその手下のごろつきによって支配されていたが、フロドは[[サム]]、[[メリー]]、[[ピピン]]とともに、サルマンたちを追放するためのホビットの反乱を指揮する。彼らは[[水の辺村の合戦]]に勝利してサルマンの手下たちをホビット庄から駆逐したが、フロドは争いを好まず心を痛め、あまり目立たないように行動し、むしろ血気にはやるホビットたちを抑制する立場だった。
フロドは[[サルマン]]自身も殺さずに追放することを望んだ。サルマンもまたフロドに憎しみと同時に敬意を表しつつ、フロドは健康も長寿も得られないであろうが、それは自分のせいではないと予言したが、直後に虐げていた手下の[[グリマ]]に刺し殺されてしまった。

騒動が終わった後、フロドは[[ロベリア>ロベリア・サックビル=バギンズ]]から返還された[[袋小路屋敷]]に戻った。また[[庄長]]である[[小足家のウィル]]がサルマンの手下によって監禁され衰弱していたため、フロドは庄長の助役を一時引き受ける。サルマンたちによって荒廃させられたホビット庄の復興が進んだ頃、フロドはサム及びサムと結婚した[[ローズ・コトン]]を[[袋小路屋敷]]に迎え入れて共に暮らし、サムの娘[[エラノール]]の名付け親にもなった。一方でフロドは静かな暮らしを望み、その中で[[ビルボ]]に託された[[赤表紙本]]の執筆を続ける。

その間もフロドはずっと、[[モルグルの刃]]による傷、[[シェロブ]]による傷、[[一つの指輪]]を失った事による傷と喪失感に苦しめられ、特に毎年、それぞれの事件が起こったのと同じ日に臥せっていた。
もう[[中つ国]]で癒しは得られないと悟ったフロドは第三紀3021年9月29日、[[袋小路屋敷]]その他一切の財産をサムに譲り、[[赤表紙本]]を託すと、[[サム]]、[[メリー]]、[[ピピン]]に見送られ、[[ガンダルフ]]や[[エルロンド]]、[[ガラドリエル]]、そして[[ビルボ]]たち他の[[指輪所持者]]と共に、[[灰色港]]より船に乗り、[[大海]]を渡って[[西方>アマン]]へと去った。

** 画像 [#occ4ec98]

&ref(AlanLee-02-ShadowOfThePast.jpg,,25%,アラン・リー作画によるフロドとガンダルフ); &ref(AlanLee-27-TheTamingOfSmeagol.jpg,,25%,アラン・リー作画によるフロド、サム、ゴクリ);

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#y5a8c54b]

#amazon(B000NP6T8E)
#amazon(B000NP5JBW)
#amazon(B000F571AW)
#amazon(B0017IBE2W)

|~俳優|[[イライジャ・ウッド]]|
|~日本語吹き替え|[[浪川大輔]]|

年齢設定については特に触れられていない。映画では、ビルボが旅立ってからフロドが旅立つまでの18年間が短縮されているため、原作設定よりも若いと思われる。

** コメント [#mf08da22]

#pcomment_nospam(,6,,,,,reply)