#author("2022-08-24T11:11:05+09:00;2022-08-20T16:35:34+09:00","","")
* フロド・バギンズ [#c42baebb]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Frodo Baggins((原語の[[西方語]]での表記はMaura Labingi(マウラ・ラビンギ)。Mauraを翻訳したFrodoは古英語の'''fród'''に由来し「経験による叡智(wise by experience)」を意味する。))|
|~その他の呼び名|[[指輪所持者]] &br; [[エルフの友]] &br; [[山の下]] &br; フロドの旦那(Master Frodo) &br; 九本指のフロド(Nine-fingered Frodo, Frodo of the Nine Fingers) &br; ダウア(Daur)(([[栄誉礼の歌>Hobbits' Battle Song]]に見える、フロドの名を[[シンダール語]]で呼んだもので、正確な意味は不明。一方、同名の[[庭師家のフロド]]のシンダール語名はIorhaelとされる。))|
|~種族|[[ホビット]]|
|~性別|男|
|~生没年|[[ホビット庄暦]]1368年([[第三紀]]2968年)9月22日~不明(([[ホビット庄暦]]1421年([[第三紀]]3021年)9月29日、53歳で[[中つ国]]を去る))|
|~親|[[ドロゴ・バギンズ]](父)、[[プリムラ・ブランディバック]](母)、[[ビルボ・バギンズ]](養父)|
|~兄弟|なし|
|~配偶者|なし|
|~子|なし|

** 解説 [#Explanation]

『[[指輪物語]]』の主人公。[[指輪の仲間]]の一人で、[[一つの指輪]]の重荷を担い[[滅びの罅裂]]を目指した''[[指輪所持者]]''。
『[[ホビットの冒険]]』の主人公[[ビルボ・バギンズ]]の養子。ビルボとの関係は厳密には「伯父と甥」ではなく、「フロドの母の、母方のいとこがビルボ」また「フロドの父の、父方のはとこがビルボ」ということになる。ビルボより78歳の年少。

[[111歳の誕生日>ビルボの別れの宴]]に姿を消したビルボから[[袋小路屋敷]]の財産とともに、彼が[[前の冒険>ホビットの冒険]]で手に入れた「[[魔法の指輪>一つの指輪]]」を相続する。やがて[[ガンダルフ]]によってそれが[[冥王]][[サウロン]]の失われた「[[一つの指輪]]」であることが明らかになると、指輪をこの世から失わせるために[[ホビット庄]]から旅立った。
性格は非常に聡明であり、[[ゴクリ]]の一件では[[ガンダルフ]]から伝えられた慈悲の心を示すとともに、威厳あるいかめしい姿も見せた。[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]からは[[エルフ語]]を教わるとともに[[エルフ]]との交友を学んだ''[[エルフの友]]''であり、[[クウェンヤ]]など[[上古]]の知識にも一部通じている。

>『ずんぐりして背が低く、ほっぺたが赤い、これだけじゃたいして役に立つまいな。たいていのホビットに当てはまることじゃから、バーリマン君。だがこの者は一部のホビットたちよりは背が高く、大部分のホビットたちより色が白い。また口と顎の間にくぼみがある。目もとの晴れやかないきのいいやつだ。』((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「馳夫」 [[ガンダルフ]]が[[バーリマン・バタバー]]に語った、フロドの人相書き。))

>不意にかれは、致命的な傷を受けたあと、[[エルロンドの館>「最後の憩」館]]で眠ったまま横になっていた時のフロドを思い出しました。あの時ずっと看取りを続けながら、サムは時折りかれの内部からかすかに光が射すように思われるのに気がつきました。今やその光は一層鮮明となり一層強まっていました。フロドの顔は安らかでした。恐怖と心配はその痕を留めていませんでした。しかしその顔は年老いて見えました。年老いてしかも美しく見えました。あたかも長い年月をかけて形を刻み上げてきた&ruby(のみ){鑿};のあとが、以前は隠されていた多くの美しい線となって今現われ出たかのようでした。といっても、目鼻立ちに変化が起こったわけではありません。((『[[指輪物語]] [[二つの塔>指輪物語/二つの塔]]』「香り草入り兎肉シチュー」 [[イシリアン]]で眠るフロドを見た[[サム]]の心象。))

[[指輪戦争]]の終結後、ビルボから[[西境の赤表紙本]]を引き継いで[[指輪戦争の記録>指輪物語]]を主に執筆するとともに、[[伝承集>シルマリルの物語]]編纂の仕上げをする。だが、指輪破壊の任務で受けた傷は[[中つ国]]では癒えることがなく、[[サムワイズ・ギャムジー]]に全ての財産を遺すと、[[第三紀]]の終わりに[[西方>アマン]]へと去っていった。

*** 前半生 [#w67dcba3]

>「フロド様は、めったにお目にかかれねえほどりっぱな青年だ。[[ビルボ旦那>ビルボ・バギンズ]]によう似てなさる。それも、顔形よりご気性がな。」((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「待ちに待った誕生祝い」 [[ハムファストとっつぁん>ハムファスト・ギャムジー]]の言葉。))

[[ドロゴ・バギンズ]]と[[プリムラ・ブランディバック]]の息子として生まれるが、幼い頃に両親を川舟の事故で亡くし、母方の一族が住む[[ブランディ屋敷]]に引き取られて少年時代を過ごした。
[[バック郷]]時代のフロドは年相応に活発な少年だったらしく、[[茸]]欲しさに[[マゴット]]の農場に忍び込んで見咎められ、犬に見張られながら逃げ帰るといった経験をしている(このことから後に再会するまで、マゴットと彼の犬に苦手意識を抱いていた)。

やがて身寄りのない親戚に親切にしていた[[ビルボ・バギンズ]]と知り合い、彼の最も親しい友人となる。二人は誕生日が同じ9月22日であり、フロドが21歳になった時、ビルボから'''なあ、フロド、わたしのところで一緒に暮らしたほうがいいよ。そうすりゃ、つごうよく一緒に誕生祝いができるじゃないか。'''((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「待ちに待った誕生祝い」))と声をかけられ、彼の養子に迎えられて[[袋小路屋敷]]で暮らすようになった。
ビルボからは[[彼の前の冒険譚>ホビットの冒険]]をはじめいくつもの歌や伝承、[[エルフ語]]などを教わり、古代語[[クウェンヤ]]をも少し理解するなど、[[ホビット]]としては相当な博識となった。

*** ビルボの後継者 [#l7ecf5cd]

>時がたつにつれ、人々は、フロドにもまた「持ちのよいひと」のきざしが現われているのに気づき始めました。外から見たところ、かれは、大人と子供の境を抜け出て成人になったばかりの頑健で元気いっぱいのホビットの様子をいつまでも失わないでいました。((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「過去の影」))

[[第三紀]]3001年9月22日、[[ホビット村]]で[[盛大な誕生会>ビルボの別れの宴]]が開かれたが、これは[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]の111歳の長寿とともにフロドの33歳の成人を祝うものであった。この席上でビルボは突如として文字通り姿を消し、[[ホビット庄]]から旅立ってしまう。遺言状によってフロドはビルボの後継者に指名され、フロドのもとには[[袋小路屋敷]]とその家財道具一式、そして指にはめると姿が消える「[[魔法の指輪>一つの指輪]]」が遺された。
こうしてフロドは袋小路屋敷の主人となった。

フロドは[[ホビット庄]]の民とその暮らしを深く愛していたが、心の奥底ではビルボと一緒に旅に出なかったことへの後悔を募らせていた。そして[[東街道]]を往来する旅人や[[ドワーフ]]たち、森の中を[[灰色港]]へ向けて旅立つ[[エルフ]]たちとすら親しく言葉を交わすようになる。
さらに受け継いだ[[指輪>一つの指輪]]の効力によって、それを相続した33歳の時から外見が老化することがなかったため、ビルボと同様に「持ちのよいひと」として知られるようになった。
そのためフロドは変人として知られたビルボの評判をもそっくりそのまま引き継ぐことになった。

だがフロドには年下の親しい友人が何人もおり、わけても[[メリアドク・ブランディバック]]、[[ペレグリン・トゥック]]、[[フレデガー・ボルジャー]]らと親しくしていた。また、袋小路屋敷で庭師を務める[[サムワイズ・ギャムジー]]とも親しかった。

*** ホビット庄からの旅立ち [#q5f0fd8e]

>「もしわたしにできることなら、[[ホビット庄]]を救いたいのです――時にはわたしも、ここの連中ときたらお話にならないくらい馬鹿で退屈で、いっそ地震か[[竜>龍]]にでも襲われたほうがいい、なんて思ったもんですが。でも今はそうは思いません。自分があとにするホビット庄が安全で住み心地のよい土地としてある限り、わたしは放浪の旅がより耐えやすいものになるだろうと思いますよ。たとえこの足でふたたびそこに立つことはできないにしろ、どこかにしっかりした足がかりがあるとわかっていればいいんです。」((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「過去の影」))

[[大いなる年]]([[第三紀]]3018年)の4月、10年ぶりに[[ガンダルフ]]の訪問を受けたフロドは、自分が相続した指輪が[[冥王]][[サウロン]]の恐るべき「[[一つの指輪]]」であることを知らされる。指輪がもたらす脅威から[[ホビット庄]]を守るため、フロドは単身故郷を後にすることを決意した。

フロドは[[袋小路屋敷]]を[[ロベリア・サックビル=バギンズ]]に売却して、ホビット庄の東境にある[[堀窪]]へ引っ越す手筈を整え、そこから秘密裏にさらに東の[[裂け谷]]へ避難することにする。フロドは、「突然いなくなった」と騒ぎにならないよう見せかけの引っ越しの準備を進め、ビルボが旅立った日である9月23日に[[ホビット村]]から旅立つ計画を立てた。まだホビット庄の位置が敵に知られていないと思っていたガンダルフもこれを了承する。だが、すでに指輪を狙う[[黒の乗手(ナズグール)>ナズグール]]の魔の手が迫っており、情報収集に出かけたガンダルフが戻らず彼からの警告の手紙も届かなかったため、フロドは計画通り9月23日に袋小路屋敷を出発した。
辛うじて黒の乗手の追跡をかわし、なんとか[[堀窪]]に到着したフロドは、そこで[[親しい友人達>陰謀者一味]]が指輪の存在とフロドの目的を知っていることが明らかになり、仰天する。友人たち[[サムワイズ・ギャムジー]]、[[メリアドク・ブランディバック]]、[[ペレグリン・トゥック]]が、あくまで危険な旅に同行する決意であることを知ったフロドは、結局彼らの同行を認めることになった。

一行は[[古森]]から[[塚山丘陵]]を抜けて[[ブリー村]]に至り、[[躍る小馬亭]]でガンダルフの友人である[[馳夫]]([[アラゴルン二世]])に出会う。フロドは馳夫の胡散げな外見の下に信頼できる人柄があることを見抜き、彼の先導で[[裂け谷]]を目指すことになった。
だが10月6日の夜、[[風見が丘]]の麓で一行は[[ナズグール]]に襲撃される。フロドは恐怖のあまり[[一つの指輪]]を指にはめたために幽界に身を晒してしまい、[[魔王]]に[[モルグルの刃]]で刺されてしまった。フロドが[[エルベレス]]の御名を唱えて抵抗したために心臓を刺されることは免れたが、刃の破片はその体内に残り、その呪魔によってフロドは幽界に引き寄せられていった。
危険な状態に陥ったフロドを救うため、アラゴルンは[[アセラス]]を用いてその治療を試みつつ、一行は[[エルロンド]]の癒やしの技に救いを求めて[[裂け谷]]へ急ぐことになる。フロドは[[ブルイネンの浅瀬]]でナズグールに追い詰められたが、あくまで抵抗し、間一髪のところで[[エルロンド]]と[[ガンダルフ]]が[[ブルイネン]]を氾濫させたことで難を逃れた。

エルロンドの治療によって体内に残っていた刃の破片が取り出されたことで、フロドは危険な状態を脱したが、それでも傷の影響から完全に自由になることはなく、ガンダルフは'''しまいにはどういうことになるのか、エルロンドにさえ予知ができない。しかしまがまがしいことにはなるまい。かれは見える目を持つ者には、澄んだ光をたたえた杯とも見えるようなものになるかもしれぬ。'''((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「数々の出会い」))と述懐している。
回復したフロドは、[[「最後の憩」館]]に隠棲していた[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]と再会。しかし二人の間には[[一つの指輪]]の影が差していた。

*** 指輪所持者としての旅 [#q16a8b37]

>「わたしが指輪を持って行きます。」と、かれはいいました。「でも、わたしは道を知りませんが……。」((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「エルロンドの会議」))

10月25日に[[エルロンドの会議]]が開かれ、[[サウロン]]の脅威を除くためには[[一つの指輪]]を[[モルドール]]の[[滅びの山]]にある[[滅びの罅裂]]に投げ込むしかないことが決められる。ほとんど望みのない任務であり、誰も他人を指名できず、また自ら名乗り出ることもできないでいたが、フロドは自分が指輪の担い手となることを申し出る。この時天啓に打たれた[[エルロンド]]は'''もしあなたが道を見いださないのなら、だれ一人見いだす者はいないだろう。'''((『[[指輪物語]] [[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「エルロンドの会議」))と評した。

こうしてフロドはあらためて''[[指輪所持者]]''に指名された。フロドの旅を助けるため、その同行者となる[[指輪の仲間]]が結成される。彼らは12月25日の夕暮れ、[[裂け谷]]を出発した。

だが指輪隊の先導者であった[[ガンダルフ]]が[[モリア]]で奈落に落ちたことで、指輪がどの道を取るべきか仲間内で意見が割れるようになる。フロドはたとえどんなに危険が大きくとも指輪は一路[[モルドール]]を目指すべきであることが判っていたが、それを決心する勇気を出せないでいた。
だが指輪の誘惑に駆られた[[ボロミア]]が[[パルス・ガレン]]でフロドに襲いかかるに及び、指輪の魔力が仲間達にすら作用し始めたことを悟ったフロドは単身でモルドールを目指す決意を固める。その決意を察した[[サムワイズ・ギャムジー]]だけがフロドに追いすがり、フロドは彼を唯一の従者として仲間の許から離脱した。

その二人の後を、かつて指輪を持っていた[[ゴクリ]]が追跡していた。[[エミン・ムイル]]で襲いかかってきたゴクリを捕らえたフロドは、彼を殺すべきか決断を迫られたが、かつて[[ガンダルフ]]に説かれた慈悲の心を思い出し、その生命を助ける。フロドは優しさと威厳をもってゴクリに接して本名のスメアゴルの名で呼び、スメアゴルもそれに応えてかつての善良だった性質を取り戻すかに見えた。
スメアゴルを道案内にして[[モルドール]]へ潜入することを決めたフロドとサムは、[[死者の沼地]]から[[黒門]]へ至り、そこか通行不能であることが判ると南に進路を変えて[[イシリアン]]から[[キリス・ウンゴル]]を目指した。その途上で出会った[[ファラミル]]は、ゴクリに底意があることを警告したが、フロドはそれを承知の上でスメアゴルの案内に身を委ねる。

はたしてスメアゴルはゴクリの人格に打ち負かされ、[[トレヒ・ウンゴル]]においてフロドを裏切り、[[シェロブ]]にフロドを差し出すことにする。[[玻璃瓶]]と[[つらぬき丸]]によって洞窟を突破したフロドだが、サムを引き離して突出してしまったところを、[[第三紀]]3019年3月13日、シェロブの毒針に噛まれて仮死状態に陥った。
フロドは死んだものと思ったサムは、[[一つの指輪]]を取って自分が任務を続けようとしたが、横たわるフロドを発見した[[シャグラト]]と[[ゴルバグ]]ら[[オーク]]の部隊はその仮死状態を見抜き、取り調べのためにフロドを[[キリス・ウンゴルの塔]]に連行する。フロドはサムによって救出されたが、その装身具は奪われ、[[黒門の戦い]]において[[西軍]]の大将たちを脅迫するのに使われることになった。

フロドは再び指輪を担い、いよいよ[[モルドール]]に足を踏み入れて[[滅びの山]]を目指す最後の旅に立ち向かう。
二人は[[モルガイ]]に沿って北上し、途中追いついてきた[[オーク]]の部隊に紛れ込んで[[アイゼン口]]に至り、そこで部隊から離れて[[ゴルゴロス高原>ゴルゴロス]]を横断、いよいよ[[滅びの山]]に達する。
だが過酷な旅路による心身の疲弊、山に近づくにつれ力と重さを増す指輪の重圧、またその道は[[バラド=ドゥーア]]に坐する[[サウロン]]に近づく道でもあったため、それが投射する恐るべき脅威、それらはフロドの意志の力を刻一刻と消耗させていった。
とうとう[[滅びの罅裂]]に到達したフロドだが、そこで運命は下り、フロドは[[一つの指輪]]に屈してしまった。

>するとフロドは不動の姿勢を僅かに解き、はっきりした声でものをいいました。まったくのところこれほどはっきりした力強い声でフロドが話すのをサムは今まで一度も聞いたことがありませんでした。その声は滅びの山の鼓動と轟音を圧して、天井と壁に響き渡りました。
「わたしは来た。」と、かれはいいました。「だが、わたしがここに来てするはずだったことを、もうしないことにした。そのことをするつもりはない。指輪はわたしのものだ!」((『[[指輪物語]] [[王の帰還>指輪物語/王の帰還]]』「滅びの山」))

指輪は自分のものだと宣言したフロドはそれを指にはめ、その瞬間[[サウロン]]はフロドの存在と居処を察知、さらに後を追ってきた[[ゴクリ]]が指輪を奪おうと襲いかかった。フロドはもみ合った末にゴクリに右手の薬指((日本語版『[[指輪物語]]』では中指となっているが、third fingerの誤訳))ごと指輪を食いちぎられ、一つの指輪を失う。だが指輪を取り戻したゴクリは狂喜のあまりバランスを崩して指輪もとろも[[滅びの罅裂]]に落下した。
こうして[[第三紀]][[3019年>大いなる年]]3月25日、[[指輪所持者]]の任務は達成されて[[一つの指輪]]は無に帰し、[[サウロン]]と[[その王国>モルドール]]は滅びた。

指輪の消滅とともに[[滅びの山]]は噴火して崩壊。正気を取り戻したフロドはサムと共に、溶岩に取り巻かれて逃げ場がないことを悟る。しかし意識を失った瞬間、彼らを探しに来た[[ガンダルフ]]の乗る[[グワイヒア]]ら[[大鷲]]が飛来し、二人は救われた。
フロドの傷は[[アラゴルン>アラゴルン二世]]によって癒やされ、意識の回復した二人は[[コルマルレンの野>コルマルレン]]において生き残った[[指輪の仲間]]たちと再会。[[指輪所持者]]として任務を達成したフロドとサムは栄誉礼を受け、かつてサムが望んだようにフロドの勲功は「九本指のフロドと滅びの指輪の物語」として歌に歌われることになった。
また[[エレスサール王>アラゴルン二世]]の戴冠式においては、[[ゴンドールの王冠]]を運ぶという大役を担った。

*** 後半生 [#b24ae85f]

>「だが、わたしの受けた傷は深すぎたんだよ、サム。私はホビット庄を安泰に保とうとした。そしてホビット庄の安泰は保たれた。しかしわたしのためにではないよ。愛するものが危機に瀕している場合、しばしばこうならざるを得ないものだよ、サム。つまりはだれかがそのものを放棄し、失わなければならないのだ。ほかの者たちが持っておられるように。しかしお前はわたしの相続人だよ。わたしが持っていたもの、持ったかもしれないものはことごとくお前に残すからね。」((『[[指輪物語]] [[王の帰還>指輪物語/王の帰還]]』「灰色港」))

フロドは[[ゴンドール]]に暇を告げる時、[[アルウェン]]王妃より'''あなたの傷がなおもあなたを苦しめ、あなたの負うた荷の記憶が重くあなたにのしかかるようなことがあれば'''と[[白い宝石]]を贈られる。その言葉の通り、失われた[[一つの指輪]]の記憶は絶えずフロドを苦しめ、また[[モルグルの刃]]を受けた10月6日と[[シェロブ]]の毒を受けた3月13日になる毎に病んで臥せるようになった。

[[水の辺村の合戦]]ではついに自ら剣を抜くことはなく、むしろ血気にはやるホビットたちを抑制する立場に立った。愛する[[ホビット庄]]が[[サルマン]]とその手下の[[ごろつき]]によって無残に荒廃してしまったのはフロドにとっても痛ましいことであったが、フロドはあくまでサルマンを助命しようとし、サルマンからは敬意と憎しみを表明されるとともに健康も長寿も得られないであろうと予言される。
この一連の騒動がきっかけとなって他の[[旅人たち]]は名士として名望を高めていったが、フロドはほとんど表舞台に立つことはなく、[[庄長]]の助役を一時引き受けた後は[[ロベリア>ロベリア・サックビル=バギンズ]]から返還された[[袋小路屋敷]]で静かな暮らしを送り、帰郷時に立ち寄った裂け谷にてビルボより受け取った[[赤表紙本>西境の赤表紙本]]に旅の記録を記した。
フロドは、[[ロージー>ローズ・コトン]]と結婚した[[サム]]を屋敷に迎え入れて共に暮らし、サムの娘[[エラノール]]の名付け親にもなった。

そうした中でもフロドは[[指輪戦争]]で負った傷に苦しめられていた。
やがてフロドは[[袋小路屋敷]]その他一切の財産と幸せをサムに譲り、[[赤表紙本>西境の赤表紙本]]の完成を託すと、彼とともに[[ホビット村]]を旅立つ。[[サム]]、[[メリー]]、[[ピピン]]に見送られたフロドは、同じく[[指輪所持者]]である[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]と、[[三つの指輪の守護者]]である[[ガンダルフ]]、[[エルロンド]]、[[ガラドリエル]]と共に、[[灰色港]]より船に乗って[[大海]]を渡って[[西方>アマン]]へと去っていった。
船上でフロドが掲げる[[玻璃瓶]]の光は瞬きながら水平線に消えていき、そしてついにある朝、フロドは[[至福の国>アマン]]の岸辺に到達したと伝えられている。

*** 略歴 [#haca3aef]

- 2968年 生誕。
- 2980年 12歳。[[ドロゴ>ドロゴ・バギンズ]]と[[プリムラ>プリムラ・ブランディバック]]の溺死で、[[ブランディ館]]に引き取られる。
- 2989年 21歳。[[ビルボ・バギンズ]]の養子となり、[[袋小路屋敷]]に迎えられる。
- 3001年 9月22日、33歳の成人、[[ビルボの別れの宴]]。ビルボから袋小路屋敷、[[一つの指輪]]、その他の財産を相続する。
- 3004年 続く4年間、折ふし[[ガンダルフ]]の訪問を受ける。
- 3008年 40歳。ガンダルフの訪問が途絶える。
- [[3018年 大いなる年>大いなる年#year3018]]、[[指輪戦争]] 50歳。4月、ガンダルフより指輪の正体を知らされる。9月に[[堀窪]]へ移り、[[ホビット庄]]を旅立つ。10月6日に[[風見が丘]]にて[[モルグルの刃]]で負傷。10月25日の[[エルロンドの会議]]で[[指輪所持者]]に指名される。
- [[3019年 大いなる年>大いなる年#year3019]] 51歳。3月13日、[[シェロブ]]の毒で負傷。25日、指輪破壊の任務達成、右手薬指を失う。9月、ビルボと再会。10月30日、[[ホビット庄]]へ帰還。11月3日、[[水の辺村の合戦]]。[[指輪戦争]]終結。
- 3020年 52歳。[[小足家のウィル]]の復職まで[[助役>庄長]]を務める。3月13日、病む。10月6日、再び病む。
- 3021年 53歳。3月13日、再び病む。9月22日、[[末つ森]]で[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]と[[上のエルフ]]らと再会。29日に[[灰色港]]より[[西方>アマン]]に去る。

*** 画像 [#occ4ec98]

&ref(AlanLee-02-ShadowOfThePast.jpg,,25%,アラン・リー作画によるフロドとガンダルフ); &ref(AlanLee-27-TheTamingOfSmeagol.jpg,,25%,アラン・リー作画によるフロド、サム、ゴクリ);

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[イライジャ・ウッド]]|
|~日本語吹き替え|[[浪川大輔]]|

原作では[[ビルボの別れの宴]]からフロドが[[ホビット庄]]を旅立つまで18年が経過しており、フロドの年齢も51歳の中年であるが、映画ではこの18年が短縮されており年齢設定も青年であるという大きな違いがある。そのためか、原作にあった年功者として自主性を発揮する場面のほとんどが割愛されており、受け身の主人公との印象が強くなっている。

『旅の仲間』では、全く[[ナズグール]]に抵抗できない形となっている。[[風見が丘]]では無抵抗に刺されており、[[ブルイネンの浅瀬]]では傷のせいで前後不覚となったフロドの代わりに[[アルウェン]]が川を挟んで対峙している。また[[指輪所持者]]として名乗りを上げる場面では、[[会議>エルロンドの会議]]の参加者が口論するなかで指輪の魔力を感じて名乗りを上げる形となっている。
『二つの塔』では、[[ゴラム>ゴクリ]]に威厳をもって接する姿は描かれていない。[[ファラミル]]に[[オスギリアス]]に連行され、そこでナズグールに襲われ、指輪の魔力に屈しそうになる。
『王の帰還』では、ゴラムの策略にはまって[[レンバス]]の粉のついた[[サム]]に失望するという独自の展開になる。また、[[滅びの罅裂]]ではゴラムに指輪を奪われたあと、取り返そうともみ合っているうちに、はずみでゴラムのみが落下、フロドも危うく落ちかけたが、サムによって引き上げられ九死に一生を得るという形になっている。失った指は、左手の人差し指になっている。

*** 画像 [#od5908fc]

&ref(vlcsnap-00006.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるフロド・バギンズ); &ref(vlcsnap-00031.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるフロド・バギンズ); &ref(vlcsnap-00043.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるフロド・バギンズ);

*** グッズ [#Goods]

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** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

|~俳優|イライジャ・ウッド|
|~日本語吹き替え|浪川大輔|

『思いがけない冒険』において、ビルボ111歳の誕生日の日、[[袋小路屋敷]]から[[ガンダルフ]]を迎えに出て行く場面が描かれており、『ロード・オブ・ザ・リング(旅の仲間)』冒頭と繋がるようになっている。

*** 画像 [#e5816718]

&ref(vlcsnap-00074.jpg,,25%,『ホビット』におけるフロド・バギンズ);

** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

フロド達[[指輪の仲間]]を出立するのを冒険者が見送るクエスト、[[パルス・ガレン]]及び[[死者の沼地]]でのフロドを追体験するセッションプレイがある。
他にも[[コルマルレンの野>コルマルレン]]での栄誉礼、エレスサール王の戴冠式および結婚式でのフロドとその仲間達が再現されている。

*** 画像 [#d8dd47ea]

&ref(ScreenShot00650.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるフロドとガンダルフ); &ref(ScreenShot00689.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるフロドとサム(キリス・ウンゴルにて)); &ref(Concept_Frodo_1280.jpg,,10%,);

#include(Include/指輪の仲間,notitle)

** コメント [#Comment]


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