#author("2016-05-28T20:22:02+09:00","","")
* ハラドリム [#u2bd368b]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[種族]]|
|~スペル|Haradrim|
|~その他の呼び名|ハラド人(the Harad) &br; ハラド国人(Men of the Harad, Men of Harad) &br; 南方人(Southrons) &br; 褐色人(Swarthy Men)(([[褐色人の国の褐色人(Dunlendings)>褐色人]]ではない。スペルは同じだが、[[第一紀]]の[[ベレリアンド]]に現れた[[東夷]]の褐色人でもない。)) &br; [[スワート人]](Swertings)|

** 解説 [#Explanation]

[[シンダール語]]で「南方の民」の意。特定の民族を指す言葉ではないが、[[ゴンドール]]及び[[モルドール]]から見て南の[[ハラド]]に住む[[人間]]の総称。浅黒い肌の人間を中心とする。[[ゴンドール]]では''南方人''、褐色人とも呼ばれる。[[ホビット庄]]では[[スワート人]]の名でその存在が伝え聞かれていた。

彼らは[[ゴンドール]]と一時期通商関係があったこともあり、ゴンドールの[[ウンバール]]領有を認めていたが、同盟関係にあったことはない。やがて[[サウロン]]に影響されたハラドリムはウンバールを奪い、ゴンドールと長年戦闘を繰り返すようになる。[[指輪戦争]]ではモルドールの同盟軍として、海からはハラドとウンバールの[[海賊]]がゴンドール南部の沿岸地域を攻撃し、また陸路からは[[ムマキル]]を伴い、[[イシリアン]]の戦闘や[[ペレンノール野の合戦]]、[[黒門の戦い]]などに現れた(詳細は[[ハラド]]及び[[ウンバール]]の項目も参照)。

>「黒い顔だよ。あんな[[人間]]たち、わしら前に見たことないよ。[[スメアゴル]]ないよ。たけだけしいやつらだよ。目は黒く、髪の毛は長くて黒いよ。それから耳には金の輪をつけてる。そうよ、たくさんの美しい金だよ。それから&ruby(ほっ){頬};ぺたに赤いものを塗ったやつもいる。それから赤いマントもだよ。それから旗も赤いし、槍の先もだよ。それから奴らは円い盾を持ってるよ。黄色と黒で大きな鋲がついているよ。いい人たちじゃない。とても残忍で性悪な人間みたいだよ。[[オーク]]と同じぐらい悪そうだ。それにもっと大きい。スメアゴルの考えじゃ、やつら[[大河]]が終わった先の南から来たと思うね。」((『[[指輪物語]] [[二つの塔]] 下』「三 黒門不通」 [[黒門]]へとやって来たハラドリムの軍勢について語る[[ゴクリ]]の言葉))

*** [[第三紀]]のハラドリム [#z2e27f84]

>「話によれば、その昔には[[ゴンドール]]と南のさいはての国、ハラドの王国との間には通商関係があったということだ。といっても友好関係は一度もなかったが。その当時は[[われらの&ruby(くにざかい){国境};>ハルネン]]は[[アンドゥインの河口>エシア・アンドゥイン]]を越えて南のかなたにまで伸びていた。そしてかれらの国土の中でも一番わが国境に近い[[ウンバール]]はわれらの主権を認めていた。しかしそれからもう久しくなる。両国の間に往来があった頃から何代もの年月が経った。そして最近になって知ったのだ。[[われらの敵>サウロン]]がかれらの間に影響力を持ち&ruby(きた){来};り、かれらはかの者に乗り換えた、いやかの者のもとに帰参したということを――かれらは昔からいつでもかの者の意を甘受しておったからな――[[東に住む者>東夷]]もまた多くがそうであるように。」((『[[指輪物語]] [[二つの塔]] 下』 「四 香り草入り兎肉シチュー」 [[ハラドリム]]について語る[[ダムロド]]の言葉。「南のさいはての国、ハラドの王国」の原文は'''kingdoms of the Harad in the Far South'''で複数形))

-第三紀のハラドリムに関する年表
|~年|~事象|h
|RIGHT:933|第13代[[ゴンドール]]王[[エアルニル一世]]が[[ウンバール]]を陥落させ、[[ゴンドール]]の拠点とする。|
|RIGHT:1015|[[ウンバール]]を追放された諸侯に率いられた[[ハラド国人>ハラドリム]]がウンバールを攻撃し、第14代[[ゴンドール]]王[[キアヤンディル]]が戦死。ウンバール自体はゴンドール海軍により陥落せず。|
|RIGHT:1050|第15代[[ゴンドール]]王[[キアヤヘア>ヒャルメンダキル一世]]が[[ハルネン]]川を渡ってハラドを攻撃し屈服させ、ヒャルメンダキル(南の勝者)の名を得る。|
||[[ヒャルメンダキル一世]]の治世で[[ゴンドール]]の国威は絶頂に達し、南は[[ウンバール]]の半島と港を含む海岸沿いと[[ハルネン]]川までの地域を支配する。&br;ハラドの王たちはゴンドールに忠誠を誓い、息子たちを人質としてゴンドールの宮廷に送ることになる。|
|RIGHT:1448|簒奪者[[カスタミア]]の息子たちとその一党が船で[[ペラルギア]]から[[ウンバール]]へ去る。以降ウンバールは[[海賊]]の根拠地となる。|
||[[ウンバール]]を失ったことで[[ハロンドール]]は[[海賊]]との領有権係争地となり、[[ハラド国民>ハラドリム]]への支配が弱まる。|
|RIGHT:1540|第23代[[ゴンドール]]王[[アルダミア]]が[[ハラド人>ハラドリム]]と[[ウンバール]]の海賊との戦いで討ち死にする。|
|RIGHT:1551|第24代[[ゴンドール]]王[[ヴィンヤリオン>ヒャルメンダキル二世]]が[[ハラド国人>ハラドリム]]を撃退し、ヒャルメンダキル二世を名乗る。|
|RIGHT:1634|第25代[[ゴンドール]]王[[ミナルディル]]が[[ペラルギア]]を荒らした[[ウンバール]]の[[海賊]]によって殺害される。海賊を率いていたのは[[カスタミア]]の曾孫の[[アンガマイテ]]と[[サンガヒャンド]]。|
|RIGHT:1810|第28代[[ゴンドール]]王[[テルメフタール]]が[[ウンバール]]を奪取して[[カスタミア]]の子孫を滅ぼし、[[海賊]]を駆逐する。彼はウンバールダキルの称号を名乗る。|
||1851年に[[馬車族]]の侵攻が始まり、その後の混乱の中[[ウンバール]]が[[ハラド国人>ハラドリム]]の手に落ちる。|
|RIGHT:1944|[[ハンド]]人・[[近ハラド]]人が[[馬車族]]と同盟を結び[[ゴンドール]]へ攻め込む。南軍の指揮官[[エアルニル>エアルニル二世]]がハラド軍を南[[イシリアン]]で破る。|
|RIGHT:2758|[[ウンバール]]とハラドの三つの大艦隊([[海賊]])が[[ゴンドール]]沿岸部に来寇し、[[アイゼン]]川の川口でも上陸する。([[大侵略]]) &br; 第19代執政[[ベレン>ベレン(エガルモスの息子)]]の息子[[ベレゴンド>ベレゴンド(ベレンの息子)]]はこの年の[[長い冬]]が終わる前にこれを撃退する。|
|RIGHT:2759|[[ベレゴンド>ベレゴンド(ベレンの息子)]]が同時期に攻撃を受けていた[[ローハン]]に援軍を送る。|
|RIGHT:2885|[[サウロン]]の密使に扇動された[[ハラドリム]]が、占領していた[[ハロンドール]]から[[ポロス]]川を越えて[[イシリアン]]を襲撃する。 &br; 第14代[[ローハン]]王[[フォルクウィネ]]はエオルの誓いに基づいて援軍を送り、第23代[[執政]][[トゥーリン二世]]は[[ポロスの渡し]]で勝利するが、ローハン王の息子[[ファストレド]]と[[フォルクレド]]が戦死する。|
|RIGHT:2980|第25代[[執政]][[エクセリオン二世]]に仕えていた[[ソロンギル>アラゴルン二世]]が小艦隊を率いて[[ウンバール]]を奇襲し、海賊船の大半に火を放ち、港の大将を波止場の合戦で倒す。|

*** [[指輪戦争]]でのハラドリム [#c7b23f22]

指輪戦争においてハラド及び[[ウンバール]]の[[海賊]]は[[モルドール]]の同盟軍として参戦した。
[[ペレンノール野の合戦]]では、当初[[ペレンノール]]野に展開していたハラド軍の数だけでも[[ロヒアリム]]の三倍はあった。またこの合戦では[[遠ハラド]]から来た「半分トロルのような黒い人間たち」も増援として投入された。

彼らは黒い目をした色の浅黒い男たち(swarthy men)で、黒く長い編髪を金で結わえている。「残虐にして身の丈すぐれたハラドリムたち」と呼ばれることから背は高いようである。
赤ないし緋色の衣服に身を包み、金の装身具(&ruby(カラー){首当て};、耳の金の輪)を帯びる。
武器は先端が赤い槍、赤い剣、三日月刀((三日月刀(scimitar)は一般的な[[オーク]]の使用する武器でもある))、矢を使用し、防具は真鍮の薄板を重ねた胴衣((原文ではcorslet。他の箇所では「胴鎧」とも訳される語))と、大きな鋲の付いた黄色と黒の円盾を用いる。
旗は赤く、[[セオデン]]が倒した[[ハラドリムの首領>黒い蛇]]は緋色の地に黒の蛇を置いた旗じるしを用いていた。
彼らが戦闘に使用した[[ムマキル]]もハラドリムと同じく緋色と金色の飾り物を帯びていた。

|~年|~月|~日|~事象|h
|RIGHT:3018|RIGHT:6|RIGHT:20|[[ハラドリム]]、[[東夷]]を含む[[モルドール]]軍が[[オスギリアス]]を攻撃。[[ゴンドール]]軍の駐屯部隊が全滅する。|
|RIGHT:3019|RIGHT:3|RIGHT:5|[[ハラドリム]]の部隊が[[黒門]]を通過する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:7|[[イシリアン]]の街道で[[ファラミア]]率いる[[イシリアンの野伏]]と[[ムーマク]]を伴った[[ハラドリム]]の戦闘が発生する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:11|[[灰色の一行]]が[[リンヒア]]に着き、[[ラメドン]]領主[[アングボール]]と戦っていた[[ウンバール]]とハラドの敵を遁走させる。 &br; [[ハラドリム]]の大部隊が[[ミナス・モルグル]]を発った部隊と合流し、[[オスギリアス]]へ進軍する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:13|退却中に[[ファラミア]]がハラドの矢で負傷する。 &br; [[灰色の一行]]が[[ペラルギア]]で[[ウンバール]]の[[主力艦隊(黒の艦隊)>海賊]]を捕捉し、[[ハラドリム]]の敵を[[死者の軍勢]]で破る。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:14|[[ハラドリム]]を含む[[モルドール]]軍によって[[ミナス・ティリス]]が包囲される。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:15|[[ペレンノール野の合戦]]。ペレンノール野に展開していた[[モルドール]]軍が壊滅し、戦場には多くの[[ムマキル]]の死骸が残される。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:25|[[黒門の戦い]]。[[サウロン]]の消滅により[[モルドール]]軍が崩壊。 &br; [[ハラドリム]]と[[東夷]]の一部は最後の抵抗を示すが大部分の者は東へ逃げるか投降する。|
|~|RIGHT:4|>|[[ハラドリム]]と[[東夷]]の残党による西軍への抵抗が続く。|
|~|RIGHT:5|RIGHT:1|[[エレスサール]]王が即位。その後王はハラドの国民と和を結ぶ。|

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

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[[イシリアン]]での戦闘や、[[ペレンノール野の合戦]]にその姿が見られる。[[ムマキル]]との戦いがアクションシーンとして演出される一方、騎兵は登場しない。[[エクステンデッド・エディション]]ではイシリアンの戦闘で死んだハラドリムを見て[[ファラミア]]が感慨にふける((原作では[[サム>サムワイズ・ギャムジー]]の役どころ))シーンと、ペレンノール野の合戦で[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]がオークやハラドリムの歩兵と戦うシーンが追加されている。

** 映画『[[ホビット]]』における設定 [#e7fbc693]

[[エスガロス]]の住民や[[谷間の国]]の商人にハラド出身と思われる黒人系の人物が多数混ざっているのが確認できる。物語の性質上、黒人系の一般人がエキストラとして参加できない事に対する配慮がなされたとも言われているが真偽は不明。

ドル=グルドゥアで白の会議と戦った[[ナズグール]]の内一人はハラドリムの王だったという設定でデザインされている。

** [[Iron Crown Enterprises]]による設定 [#yfe0afe4]

ハラドリムのうち、比較的北方([[近ハラド]])に住むものはハラダイク語(Haradaic)、南方([[遠ハラド]])に住むものはアピュサイク語(Apysaic)という言語を主に使用する。
[[ナズグール]]のひとり[[インドゥア]]も元はハラドリムであったとされる。
** コメント [#Comment]

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