#author("2024-01-27T00:08:32+09:00;2023-10-03T13:54:11+09:00","","")
* ハラドリム [#u2bd368b]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[種族]]|
|~スペル|Haradrim|
|~その他の呼び名|ハラド人(Men of Harad)、[[ハラドワイス]]、[[スワート人]]|
|~その他の呼び名|ハラド人(the Harad) &br; ハラド国人(Men of the Harad) &br; 南方人(Southrons) &br; 褐色人(Swarthy Men)(([[褐色国の褐色国人(Dunlendings)>褐色国人]]ではない。スペルは同じだが、[[第一紀]]の[[ベレリアンド]]に現れた[[東夷]]の褐色人でもない。)) &br; [[スワート人]](Swertings)|

** 解説 [#Explanation]

[[シンダール語]]で「南方の人々」の意。[[ハラド]]に住む人々、ハラド人を指す。[[ハラドワイス]]と言うこともある。ホビットには[[スワート人]]と呼ばれているようである。
特定の民族を指す言葉ではないが、[[ゴンドール]]南東の地に住む[[人間]]の総称。浅黒い肌の人間を中心とする。
彼らは[[ゴンドール]]とは、一時期通商関係があったこともあるが、同盟関係にあったことはなく、やがて[[サウロン]]に影響されたハラドリムは、ゴンドールと長年戦闘を繰り返すようになる。特にハラドリムとゴンドールは、[[ウンバール]]と南[[イシリアン]]の争奪戦を繰り広げてきた。[[指輪戦争]]などでは、[[ムーマク]]を戦いに使い、[[ペレンノール野の合戦]]に現れた。また[[ラメドン]]などゴンドール南部の沿岸地域を攻撃した。
[[シンダリン]]で「南方の民」の意。特定の民族を指す言葉ではないが、[[ゴンドール]]及び[[モルドール]]から見て南の[[ハラド]]に住む[[人間]]の総称。浅黒い肌の人間を中心とする。
[[ゴンドール]]では''南方人''や''褐色人''とも呼ばれる。[[ホビット庄]]では[[スワート人]]の名でその存在が伝え聞かれていた。

** [[Iron Crown Enterprises]]による設定 [#yfe0afe4]
彼らは[[ゴンドール]]と一時期通商関係があったこともあり、ゴンドールの[[ウンバール]]領有を認めていたが、同盟関係にあったことはない。やがて[[サウロン]]に影響されたハラドリムはウンバールを奪い、ゴンドールと長年戦闘を繰り返すようになる。[[指輪戦争]]ではモルドールの同盟軍として、海からはハラドとウンバールの[[海賊]]がゴンドール南部の沿岸地域を攻撃し、また陸路からは[[ムーマキル]]を伴い、[[イシリエン]]の戦闘や[[ペレンノール野の合戦]]、[[黒門の戦い]]などに現れた(詳細は[[ハラド]]及び[[ウンバール]]の項目も参照)。

ハラドリムのうち、比較的北方([[近ハラド]])に住むものはハラダイク語(Haradaic)を、南方([[遠ハラド]])に住むものはアピュサイク語(Apysaic)という言語を主に使用する。
[[ナズグール]]のひとり[[インドゥア]]も元はハラドリムであったとされる。
*** [[第三紀]]のハラドリム [#z2e27f84]

>「話によれば、その昔には[[ゴンドール]]と南のさいはての国、ハラドの王国との間には通商関係があったということだ。といっても友好関係は一度もなかったが。その当時は[[われらの&ruby(くにざかい){国境};>ハルネン]]は[[アンドゥインの河口>エシル・アンドゥイン]]を越えて南のかなたにまで伸びていた。そしてかれらの国土の中でも一番わが国境に近い[[ウンバール]]はわれらの主権を認めていた。しかしそれからもう久しくなる。両国の間に往来があった頃から何代もの年月が経った。そして最近になって知ったのだ。[[われらの敵>サウロン]]がかれらの間に影響力を持ち&ruby(きた){来};り、かれらはかの者に乗り換えた、いやかの者のもとに帰参したということを――かれらは昔からいつでもかの者の意を甘受しておったからな――[[東に住む者>東夷]]もまた多くがそうであるように。」((『[[指輪物語]] [[二つの塔>指輪物語/二つの塔]] 下』 「四 香り草入り兎肉シチュー」 ハラドリムについて語る[[ダムロド]]の言葉。「南のさいはての国、ハラドの王国」の原文は'''kingdoms of the Harad in the Far South'''で複数形))

|~年|~事象|h
|RIGHT:933|第13代[[ゴンドール]]王[[エアルニル一世]]が[[ウンバール]]を陥落させ、[[ゴンドール]]の拠点とする。|
|RIGHT:1015|[[ウンバール]]を追放された諸侯に率いられたハラドリムがウンバールを攻撃し、第14代[[ゴンドール]]王[[キルヤンディル]]が戦死。ウンバール自体はゴンドール海軍により陥落せず。|
|RIGHT:1050|第15代[[ゴンドール]]王[[キルヤヘル>ヒャルメンダキル一世]]が[[ハルネン]]川を渡ってハラドを攻撃し屈服させ、ヒャルメンダキル(南の勝者)の名を得る。|
||[[ヒャルメンダキル一世]]の治世で[[ゴンドール]]の国威は絶頂に達し、南は[[ウンバール]]の半島と港を含む海岸沿いと[[ハルネン]]川までの地域を支配する。&br;ハラドの王たちはゴンドールに忠誠を誓い、息子たちを人質としてゴンドールの宮廷に送ることになる。|
|RIGHT:1448|簒奪者[[カスタミル]]の息子たちとその一党が船で[[ペラルギル]]から[[ウンバール]]へ去る。以降ウンバールは[[海賊]]の本拠地となる。|
||[[ウンバール]]を失ったことで[[ハロンドール]]は[[海賊]]との領有権係争地となり、ハラドリムへの支配が弱まる。|
|RIGHT:1540|第23代[[ゴンドール]]王[[アルダミル>アルダミル(エルダカールの息子)]]がハラドリムと[[ウンバール]]の海賊との戦いで討ち死にする。|
|RIGHT:1551|第24代[[ゴンドール]]王[[ヴィンヤリオン>ヒャルメンダキル二世]]がハラドリムを撃退し、ヒャルメンダキル二世を名乗る。|
|RIGHT:1634|第25代[[ゴンドール]]王[[ミナルディル]]が[[ペラルギル]]を荒らした[[ウンバール]]の[[海賊]]によって殺害される。海賊を率いていたのは[[カスタミル]]の曾孫の[[アンガマイテ]]と[[サンガヒャンド]]。|
|RIGHT:1810|第28代[[ゴンドール]]王[[テルメヘタール]]が[[ウンバール]]を奪取して[[カスタミル]]の子孫を滅ぼし、[[海賊]]を駆逐する。彼はウンバールダキルの称号を名乗る。|
||1851年に[[馬車族]]の侵攻が始まり、その後の混乱の中[[ウンバール]]がハラドリムの手に落ちる。|
|RIGHT:1944|[[ハンド]]人・[[近ハラド]]人が[[馬車族]]と同盟を結び[[ゴンドール]]へ攻め込む。南軍の指揮官[[エアルニル>エアルニル二世]]がハラド軍を南[[イシリエン]]で破る。|
|RIGHT:2758|[[ウンバール]]とハラドの三つの大艦隊([[海賊]])が[[ゴンドール]]沿岸部に来寇し、[[アイゼン]]川の川口でも上陸する。([[大侵略]]) &br; 第19代執政[[ベレン>ベレン(エガルモスの息子)]]の息子[[ベレゴンド>ベレゴンド(ベレンの息子)]]はこの年の[[長い冬]]が終わる前にこれを撃退する。|
|RIGHT:2759|[[ベレゴンド>ベレゴンド(ベレンの息子)]]が同時期に攻撃を受けていた[[ローハン]]に援軍を送る。|
|RIGHT:2885|[[サウロン]]の密使に扇動されたハラドリムが、占領していた[[ハロンドール]]から[[ポロス]]川を越えて[[イシリエン]]を襲撃する。 &br; 第14代[[ローハン]]王[[フォルクウィネ]]は[[エオルの誓い>ケレブラントの野の戦い#OathofEorl]]に基づいて援軍を送り、第23代[[執政]][[トゥーリン二世]]は[[ポロスの渡し]]で勝利するが、ローハン王の息子[[ファストレド>ファストレド(フォルクヴィネの息子)]]と[[フォルクレド]]が戦死する。|
|RIGHT:2980|第25代[[執政]][[エクセリオン二世]]に仕えていた[[ソロンギル>アラゴルン二世]]が小艦隊を率いて[[ウンバール]]を奇襲し、海賊船の大半に火を放ち、港の大将を波止場の合戦で倒す。|

*** [[指輪戦争]]でのハラドリム [#c7b23f22]

指輪戦争において[[ハラド]]及び[[ウンバール]]の[[海賊]]は[[モルドール]]の同盟軍として参戦した。
[[ペレンノール野の合戦]]では、当初[[ペレンノール野]]に展開していたハラド軍の数だけでも[[ロヒルリム]]の三倍はあり、更に[[遠ハラド]]から来た「半分トロルのような黒い人間たち」なども増援として投入された。この合戦においてハラドリムの指揮官([[黒い蛇]])は[[セーオデン]]と戦い、討ち取られた。

>「黒い顔だよ。あんな[[人間]]たち、わしら前に見たことないよ。[[スメーアゴル]]ないよ。たけだけしいやつらだよ。目は黒く、髪の毛は長くて黒いよ。それから耳には金の輪をつけてる。そうよ、たくさんの美しい金だよ。それから&ruby(ほっ){頬};ぺたに赤いものを塗ったやつもいる。それから赤いマントもだよ。それから旗も赤いし、槍の先もだよ。それから奴らは円い盾を持ってるよ。黄色と黒で大きな鋲がついているよ。いい人たちじゃない。とても残忍で性悪な人間みたいだよ。[[オーク]]と同じぐらい悪そうだ。それにもっと大きい。スメーアゴルの考えじゃ、やつら[[大河]]が終わった先の南から来たと思うね。」((『[[二つの塔>指輪物語/二つの塔]] 下』「三 黒門不通」 [[黒門]]へとやって来たハラドリムの軍勢について語る[[ゴクリ]]の言葉))

>ちょっとの間、かれは赤装束の色の浅黒い男たちが少し離れた斜面を駆け降りていくのを望み見ました。(中略)その男は顔を下向けたまま、金の&ruby(カラー){首当て};を下に外れたところから緑色の矢羽根が何本も突き出ていました。男の緋色の長衣はずたずたに切り裂かれ、真鍮の薄板を重ねた胴衣は破れ、切り裂かれて、金でゆわえた黒い編髪は血に濡れていました。茶色の手は折れた剣の柄をまだ握りしめていました。((『[[指輪物語]] [[二つの塔>指輪物語/二つの塔]] 下』「四 香り草入り兎肉シチュー」[[イシリエン]]の戦闘で[[サム>サムワイズ・ギャムジー]]が目撃した、[[イシリエンの野伏]]に殺されたハラドリム))

|~年|~月|~日|~事象|h
|RIGHT:3018|RIGHT:6|RIGHT:20|ハラドリム、[[東夷]]を含む[[モルドール]]軍が[[オスギリアス]]を攻撃。[[ゴンドール]]軍の駐屯部隊が全滅する。|
|RIGHT:3019|RIGHT:3|RIGHT:5|ハラドリムの部隊が[[黒門]]を通過する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:7|[[イシリエン]]の街道で[[ファラミル]]率いる[[イシリエンの野伏]]と[[ムーマク]]を伴ったハラドリムの戦闘が発生する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:11|[[灰色の一行]]が[[リンヒル]]に着き、[[ラメドン]]領主[[アングボール]]と戦っていた[[ウンバール]]とハラドの敵を遁走させる。 &br; ハラドリムの大部隊が[[ミナス・モルグル]]を発った部隊と合流し、[[オスギリアス]]へ進軍する。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:13|退却中に[[ファラミル]]がハラドの矢で負傷する。 &br; [[灰色の一行]]が[[ペラルギル]]で[[ウンバール]]の[[主力艦隊(黒の艦隊)>海賊]]を捕捉し、ハラドリムの敵を[[死者の軍勢]]で破る。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:14|ハラドリムを含む[[モルドール]]軍によって[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]が包囲される。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:15|[[ペレンノール野の合戦]]。[[ペレンノール野]]に展開していた[[モルドール]]軍が壊滅し、戦場には多くの[[ムーマキル]]の死骸が残される。|
|~|RIGHT:3|RIGHT:25|[[黒門の戦い]]。[[サウロン]]の消滅により[[モルドール]]軍が崩壊。 &br; ハラドリムと[[東夷]]の一部は最後の抵抗を示すが大部分の者は東へ逃げるか投降する。|
|~|RIGHT:4|>|ハラドリムと[[東夷]]の残党による[[西軍]]への抵抗が続く。|
|~|RIGHT:5|RIGHT:1|[[エレッサール]]王が即位。その後王はハラドの国民と和を結ぶ。|

***画像 [#b1795939]

&ref(John_Howe_-_Southrons.jpg,,40%,);

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

[[イシリエン]]での戦闘や、[[ペレンノール野の合戦]]にその姿が見られる。[[ムーマキル]]との戦いがアクションシーンとして演出される一方、騎兵は登場しない。[[エクステンデッド・エディション]]ではイシリエンの戦闘で死んだハラドリムを見て[[ファラミル]]が感慨にふける((原作では[[サム>サムワイズ・ギャムジー]]の役どころ))シーンと、ペレンノール野の合戦で[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]がオークやハラドリムの歩兵と戦うシーンが追加されている。

*** グッズ [#o6f65e89]

#amazon(B0002ZGVP6)
#amazon(B00AF414BA)
#amazon(B000BW8A7C)
イシリアンでの戦闘や、ペレンノール野の合戦にその姿が見られる。
#amazon(B007M4ICS4)
#amazon(B00JA92V2C)

** [[ゲームズ・ワークショップ]]による設定 [#v7a10ff7]

[[ムーマキル]]に乗った軍団に[[マフード]]という氏族名がつけられている。また、映画に登場しなかった騎兵部隊もユニットとしてフィギュア化されており、中には馬ではなく駱駝に騎乗している部隊もある。彼らを率いていた指揮官(原作で[[セーオデン]]から[[黒い蛇]]と呼ばれている)にはスラダーンという個人名と「蛇の王」の称号が与えられている他、[[近ハラド]]の軍勢は[[黄金王>ハラドの黄金王]]と呼ばれる王に率いられている。

** 映画『[[ホビット]]』における設定 [#Hobbitmovie]

[[エスガロス]]の住民や[[谷間の国]]の商人にハラド出身と思われる黒人系の人物が多数混ざっているのが確認できる。

[[ドル・グルドゥル]]で[[白の会議]]と戦った[[ナズグール]]の一人はハラドリムの王だったという設定でデザインされている。

** [[Iron Crown Enterprises]]による設定 [#ICE]

***特徴 [#zc002444]

:外見|[[近ハラド]]の民は比較的小柄で、明るい肌をしているが、[[遠ハラド]]の民の肌は黒く、背も高い。この傾向は南に行くほど顕著になっている。
:文明・文化|[[ハラドワイス]]では[[エルフ]]との交流が希薄なため、文化的な発展の多くは[[ヌーメノール]]との交易によるところが大きい。ムーマカン人のように野蛮で好戦的な氏族がいる一方で、平和的で高度に組織化された文明社会を持つ氏族もいる。国や部族ごとに規模も形態も異なる多くの宗教が存在しているが、信仰の対象となっている神々の中には、西方で[[ヴァラール]]や[[マイアール]]として知られる存在も含まれている。彼らはいずれも[[クウェンヤ]]とは異なる独自の名前で呼ばれており、例えば[[マンウェ]]はナディ=マンジェ(Nadi-Manje)、[[ウルモ]]はマリキアム(Malikiam)、[[ヤヴァンナ]]はリリス(Lilis)などという。また、このような宗教上の重要な知識の多くが、タラト・バラザイン(Tarat Balazain)とカト・ポロザジュ(Kat Polozaj)という二冊の経典に記録されていた。
:偏見|他の種族に対する態度や関心の度合いが氏族ごとに大きく異なっている。[[ハラド]]にはクインド(Cuind)やキン=ライといった[[アヴァリ]]の氏族も暮らしていたが、人間と[[エルフ]]が親しい間柄になることはなかったようである。また同じように、[[エレド・ララノール>黄の山脈]]やエレド・ハムラルには[[黒巻毛族]]や[[鉄拳族]]の[[ドワーフ]]たちも住んでいたが、彼らとも交易以外の形ではそれほど頻繁に交流することはなかった。反対に、最南端の地のキラン人などはエルフの友人となり、積極的に交流を持っている。
:言語|ハラドリムのうち、比較的北方([[近ハラド]])に住むものはハラダイク語(Haradaic)、南方([[遠ハラド]])に住むものはアピュサイク語(Apysaic)という言語を主に使用する。

***歴史 [#y69ad5b2]

[[ヌーメノール]]の航海者たちが、始めて[[ハラド]]の沿岸を訪れたとき、そこには黒い肌をした特異な風習を持つ人々が住んでいた。以来、[[ドゥーネダイン]]はそうした人々を「南の人」を意味するカライ(Kharai)や「沿岸の人」を意味するサカ=ライ(Sakal-Lai)などと呼び、学者や知識人たちは彼らがどこから来た何者なのかについて考察した。その大方の見解は、彼らは[[第一紀>太陽の第一紀]]の頃、影の支配下にあった東方に住んでいた人間アヴァリム(Avarim)の子孫で、その中でも悪しき力への信奉を拒み、[[第二紀]]の頃までに、定住に適さない南方まで逃れてきた者たちだろうというものであった。この見方がどこまで正確かは定かではないが、これらの民は人括りにアヴァリ語でハルネリム(Harnerim)またはナルネリム(Narnerim)と呼ばれた。時代が進むと、ヌーメノール人は次第に中つ国に定住するようになり、北の[[ウンバール]]から、ベルラカール(Bellakar)、キルヤタンドール(Ciryatandor)、タニ・ハザド(Tani-Hazad)、南端のタントゥーラク(Tanturak)に至るまで、海岸沿いに数多くの植民地が築かれていった。それにより、長年原始的な石器文化の中で暮らしていた[[ハラド]]の民の多くが、そうした植民地と交易品の取引を行うようになった。

第二紀の中頃から、自らの力へ驕りを覚えたヌーメノール人が、中つ国の民への圧制者へと変わり、植民地に対する支配体制が苛烈なものになるにつれて、多くの南方人が[[モルドール]]で台頭してきた[[冥王]]や悪に染まった人間たちの建てた国々の影響下に置かれることになる。これらの領域にはヌーメノール本国と、王に対して反旗を翻した植民地も含まれていた。[[サウロン]]から[[力の指輪]]を受け取り、下僕である[[ナズグール]]となった3人のヌーメノール人の公子、[[エル・ムーラゾール]]、[[アドゥナフェル]]、[[アコーラヒル]]は元々、それらの領地の君主であった。また、4人目のナズグールは南方人で、[[インドゥア]]という名前の[[キラン人>キラニ]]の貴族だった。また5人目のナズグールである[[レン]]も、[[東夷]]とハラドリムの混血であるチャイルーザ人(Chailuzan)の魔術師だった。力を増したドゥーネダインの植民地は、次第にヌーメノール本国へ反発するようになり、最終的には多くの領域が宗主国から独立して[[黒きヌーメノーレアン]]の支配する領域となった。対して、カライの諸部族はハラドの内陸部の砂漠に領地を確立した。サウロンが弱体化すると、ハラドリムは短期間ではあったものの、自由を取り戻した。一方で、古い闇の国々の一部は冥王去りし後も、いくつかの地域が残り行き長らえていたという。

***氏族 [#od288608]

[[太陽の第一紀]]に[[ヒルドーリエン]]を出て、[[パリソール]]を経由して南方に進出した民ナルネリム(Narnerim)を祖とする。そのうち北の方に住んだカライは[[ゴンドール]]の先住民や[[&ruby(ダンレンデイング){褐色国人};>褐色国人]]の祖先である[[ダエン]]という民の一部と合流し、ハルザニ(Harzani)という[[近ハラド]]の住民となった。より南方の[[ハラドワイス]]の民はアピュサン(Apysan)といい、ハルザニよりも肌が黒く、背も高かった。[[黄の山脈]]を挟んだ南側の地は中つ国の最南端地域(Utter South)で、ゴンドール人や[[アヴァリ]]からはモルネダイン(Mornedain)やモラタニ(Moratani)などと呼ばれる氏族が住んでおり、彼らもやはり背が高く黒い肌をしていた。モルネダインは地域ごとに[[キラニ]](Kirani)やトゥクタニ(Tukutani)という氏族に分かれており、西の半島に住む者たちはアピュサンの一部と交わり、アデナ(Adena)、ドレル(Drel)といったさらに細分化された部族に分かれていた。チュイの国々(Chyan Lands)に代表される[[ハラド]]の東部は山脈を挟んで[[リューン]]の平原と隣接しており、チャイルーザ人(Chailuzan)をはじめとする住民は、アピュサンと[[東夷]]の一派タラセリム(Taratherim)の混血であった。

:FarjimtとHarzani|第二紀の初めに近ハラドとその周辺に住むようになったグループ。沿岸に住んでいた西方系の人間[[ダエン]]の族に属する民、サカ=ライとの混血が進んだため、遠ハラドへ向かったナルネリムの従兄弟たちと比べると、比較的明るい肌をしている。定住した後は、黄金の人々(Golden people)を意味するハルザニという氏族となった。ハルザニは大河[[ハルネン]]の流域に沿って多くの国を建て、しばしばゴンドールの王たちと争う姿勢を見せた。国境では[[ハロンドール]]の領有権をめぐる扮装が頻発し、第三紀に入っても、[[ウンバール]]人の海賊行為がゴンドールを悩ませた。

|>|>|>|>|>|>|>|>|>|~ハルザニ系ハラドリムの分類|
|>|>|>|>|>|>|>|>|>|Narnerim|
|>|>|>|>|>|>|>|>|>|Farjim|
|>|>|>|>|>|>|>|>|>|Haruzani|
|Eraguk|Eastern Haruze|Arysis|Chellkar|Harzan|Kajah|Lurnas Akun|Pazarsan|Urewan|Umbarean|
|~|~|~|~|~|~|~|Harwan|~|Jelt|

:Apysan|ハラドワイスに住む、背が高く黒い肌をした人間。南方人の中では比較的[[ハドル家]]に近い血筋の者たちで、数多くの部族が広大な砂漠地帯に点在している。

|>|>|>|>|>|>|>|>|~アピュサン系ハラドリムの分類|
|>|>|>|>|>|>|>|>|Narnerim|
|>|>|>|>|>|>|>|>|Apysan|
|>|>|>|>|>|People of Far Harad|>|>|Chailuzan|
|>|Bellakarani|Men of Bozisha-Miraz|>|>|Sandmen|Chyan|>|Siranian|
|Bellakze|Mardruak|~|Akuag|Ayten|Qarsag|~|Bausairin|Muranians|

:Moredain|[[黄の山脈]]を越えて、ハラドの最南端地域であるアルドル(Ardor)に入った人々。経済の基盤となる肥沃な土地に住んだため、古くから活発な農耕や商業を営み、各地に都市を築いて栄えていた。ヌーメノールの築いた植民地が多く築かれていた西部に暮らす部族の多くはドゥーネダインとの交易に従事していた。また、アルドル中部にすんでいたキランの民は[[アヴァリ]]と親しい間柄にあって、彼らから知識を学んでいた。反対に、東部にあるムーマカンに住む人間たちの間には、早い時期からサウロンの息のかかった者たちがいて、南方における冥王の強力な同盟者となっていた。

|>|>|>|>|>|>|>|>|>|>|>|~モレダイン系ハラドリムの分類|
|>|>|>|>|>|>|>|>|>|>|>|Apysan|
|>|>|>|>|>|>|>|>|>|>|>|Moredain|
|>|>|>|>|>|>|Sea Peoples|>|Kirani|Men of Tur Betak|>|Akanli|
|Adena|>|Anbalkkhorian|Drel|Khurn Nagla|Pel|Sorjan|Men of Koronande|Tuktani|Elornan|Mumakani|Tanturaki|
|Kharadunian|Etulian|Farijin|~|~|~|~|~|~|~|~|~|

** コメント [#Comment]

#pcomment_nospam(,,noname,,,,reply)
#pcomment(,,,,,,reply)