* ニアナイス・アルノイディアド [#q5a4c62e]
** 概要 [#lcb6b65e]

|~カテゴリー|歴史・事件|
|~スペル|Nirnaeth Arnoediad|
|~その他の呼び名||
|~その他の呼び名|ニアナイス(Nirnaeth)|

** 解説 [#k4949237]

[[シンダール語]]で「数え尽くせぬ涙」の意。[[ベレリアンド]]の第五の合戦の名。
[[ベレン>ベレン(バラヒアの息子)]]と[[ルーシエン]]が、[[モルゴス]]の鉄の冠から[[シルマリル]]の一つを獲得するという偉業を達成したため、それよって[[モルゴス]]に対抗する望みを取り戻した[[マイズロス]]が、[[マイズロスの連合]]を提唱して[[アングバンド]]への共同戦線を主張したことにより始まった戦い。
結果的には大敗北に終わり、[[ナルゴスロンド]]と[[ゴンドリン]]以外の北方の[[ノルドール]]の国は滅亡した。
[[グウィンドール]]と[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]は捕虜になり、[[ハルディア>ハルディア(ハルミアの息子)]]、[[アザガール]]、[[フィンゴン]]、[[フオル]]らが討ち死にした。

***計画段階での躓きと誤算 [#o2ba2e18]
しかし[[フェアノールの誓言>フェアノール#swear]]が嫌われたためと、直接的にはシルマリルを求めるベレンとルーシエンの旅路を妨害した[[ケレゴルム]]と[[クルフィン]]の所業のせいで、[[ナルゴスロンド]]からは[[グウィンドール]]ら僅かな者が参戦したのみであり、[[ドリアス]]からは[[マブルング>マブルング(ドリアス)]]と[[ベレグ>ベレグ(ドリアス)]]のみが[[フィンゴン]]の軍勢に加わって戦った以上の助力は得られなかった。

その一方、[[マイズロス]]は再び弟たち全員を集めると[[アザガール]]率いる[[エレド・ルイン(青の山脈)>エレド・ルイン]]の[[ドワーフ]]から援助を得、[[東夷]]である[[ボール]]の一族や[[ウルファング]]の一族らは東国からさらに同族を呼び寄せて召集に応えた。
[[マイズロス]]は、マイズロスの連合を提唱して戦力を糾合しようとしたが、[[フェアノールの誓言>フェアノール#swear]]が嫌われたためと、直接的にはシルマリルを求めるベレンとルーシエンの旅路を妨害した[[ケレゴルム]]と[[クルフィン]]の所業のせいで、[[ナルゴスロンド]]からは[[グウィンドール]]ら僅かな者が参戦したのみであり、[[ドリアス]]からは[[マブルング>マブルング(ドリアス)]]と[[ベレグ>ベレグ(ドリアス)]]のみが[[フィンゴン]]の軍勢に加わって戦った以上の助力は得られなかった。

その一方、マイズロスは再び弟たち全員を集めたほか、[[アザガール]]率いる[[エレド・ルイン(青の山脈)>エレド・ルイン]]の[[ドワーフ]]から援助を得、[[東夷]]である[[ボール]]の一族や[[ウルファング]]の一族らは東国からさらに同族を呼び寄せて召集に応えた。
ベレリアンドの西ではマイズロスの親友である[[上級王]][[フィンゴン]]の[[ヒスルム]]の軍勢と[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]が率いる[[ドル=ローミン]]の[[ハドルの族>ハドル(ハソルの息子)]]、そして[[ハルディア>ハルディア(ハルミアの息子)]]が率いる[[ブレシル]]の[[ハラディンの族>ハラディン]]と、[[ファラス]]のエルフたちが戦いに参加した。
これらの一連の消息は[[ゴンドリン]]の[[トゥアゴン>トゥアゴン(フィンゴルフィンの息子)]]の耳にも達した。

マイズロスは計画が十分に熟する前に力試しを急ぎ、連合軍は[[ドルソニオン]]までの[[ベレリアンド]]の北方を解放する。
だがすでにこの時、[[モルゴス]]は自らの内通者である[[ウルファング]]の息子たちを通して謀をめぐらせていた。

***第五の合戦 [#q487a9c7]

ようやく糾合しうるかぎりの戦力を集め終えた[[マイズロス]]は、夏至の日に東からマイズロスの軍勢が、西から[[フィンゴン]]の軍勢が[[アングバンド]]を挟撃することに決めた。
計画ではマイズロスが正面から[[アンファウグリス]]に兵を進めてモルゴス軍をおびき出し、その後[[ドルソニオン]]の大狼煙を合図にフィンゴンがヒスルムの山道から撃って出ることになっていたが、マイズロスは[[ウルドール]]からの偽りの敵襲の知らせによって進軍を遅らされていた。だが敵味方双方が予期せずして[[トゥアゴン>トゥアゴン(フィンゴルフィンの息子)]]が率いる[[ゴンドリン]]の一万の軍勢が戦場に現れ、フィンゴンの軍勢の士気は高まった。

しかし、挟撃の計画をあらかじめ知っていた[[モルゴス]]は、実際よりも大軍に偽装した軍勢を[[フィンゴン]]の軍勢を挑発するために送り出した。フィンゴンは[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]の進言によって先制攻撃を控えたが、いかなる手段を用いてでもフィンゴンの軍勢を誘い出すよう命じられていたモルゴス軍の指揮官は、[[ダゴール・ブラゴルラハ]]で捕虜にしていた[[グウィンドール]]の兄弟[[ゲルミア>ゲルミア(グイリンの息子)]]を彼らの目前で惨殺させ、これに怒り狂ったグウィンドールらが先陣を切って敵に襲い掛かったことでなし崩しに戦闘が開始された。

彼らは挑発の為に送られた敵勢をたちまち全滅させ、一時は[[アングバンド]]の城門にまでなだれ込んだが、ここで[[モルゴス]]が待機させていた主力部隊を出撃させたため、[[フィンゴン]]の軍勢は無数の死傷者を出して退却し、[[グウィンドール]]は生きたまま捕らえられ、[[ハルディア>ハルディア(ハルミアの息子)]]は殿後で討ち死にした。

戦いが始まって五日目の朝、[[エレド・ウェスリン]]まで退却しきれないうちに追い詰められていたフィンゴンの軍勢は、南の[[シリオンの山道]]を守備していた[[トゥアゴン>トゥアゴン(フィンゴルフィンの息子)]]の軍勢が救援にやって来たことで急場を救われ、この時トゥアゴンは兄[[フィンゴン]]と[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]に再会した。同じ時、ようやく東から[[マイズロス]]の軍勢が進軍してきた。

しかし、[[モルゴス]]は最後の切り札として狼や[[バルログ]]、龍たちとその祖である[[グラウルング]]を解き放ち、[[マイズロス]]と[[フィンゴン]]の軍勢の間に割り入らせた。同時に[[ウルファング]]の息子たちが裏切って[[マイズロス]]の軍勢の殿後に襲い掛かり、他にも東の丘陵に潜んでいた新手の[[東夷]]たちと合わせて三方から挟撃にあった[[マイズロス]]の軍勢は総崩れになった。[[ウルファング]]の息子たちの内[[ウルドール]]は[[マグロール]]が討ち取り、[[ウルファスト]]と[[ウルワルス]]は[[ボール]]の息子たちが討ち取ったが彼らもまた討ち死にした。[[フェアノールの息子たち>フェアノール]]は[[エルフ]]と[[ドワーフ]]の生存者を周りにかき集め、血路を開きながらかろうじて東の[[ドルメド]]山に向けて逃れた。[[ベレグオスト]]のドワーフたちは最後まで踏みとどまって[[グラウルング]]と闘い、グラウルングは[[アザガール]]の死の間際の一撃で腹部に短剣を突き刺され、深手を負って[[アングバンド]]へと逃げ出し、他の怪物たちも後を追って退却していった。

西側の[[フィンゴン]]の軍勢は三倍以上の敵勢に取り囲まれ、[[バルログ]]の長[[ゴスモグ]]はフィンゴンの周囲だけを間に軍勢をなだれ込ませることで孤立させ、この時[[トゥアゴン>トゥアゴン(フィンゴルフィンの息子)]]と[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]たちも[[セレヒ]]の沢地の方へと押しやられた。ついには近衛の兵士たちも全て倒れた中、[[フィンゴン]]はただ一人で[[ゴスモグ]]と闘うが、別のバルログが彼の背後にまわって火の鞭を巻きつけられ、ゴスモグに黒い鉞で兜ごと頭を割られて討ち死にした。

[[フーリン]]と[[フオル]]兄弟と[[ハドルの族>ハドル(ハソルの息子)]]の生き残りは退却する[[トゥアゴン>トゥアゴン(フィンゴルフィンの息子)]]の殿後を守り、トゥアゴンは[[シリオン]]を渡って逃れ、[[ゴンドリン]]に帰還した。
(この時フオルは、今しばらく[[ゴンドリン]]が倒れずにあれば、自分とトゥアゴンとから[[エルフ]]と[[人間]]にとっての望みが生じるであろうと予言している。)
[[フーリン]]と[[フオル]]兄弟と[[ハドルの族>ハドル(ハソルの息子)]]の生き残りは退却する[[トゥアゴン>トゥアゴン(フィンゴルフィンの息子)]]の殿後を守り、トゥアゴンは[[シリオン]]を渡って逃れ、[[ゴンドリン]]に帰還した(この時フオルは、今しばらく[[ゴンドリン]]が倒れずにあれば、自分とトゥアゴンとから[[エルフ]]と[[人間]]にとっての望みが生じるであろうと予言している。この予言は[[エアレンディル]]の誕生によって実現する)。

六日目の夕暮れ、[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]と[[フオル]]らは、[[セレヒ]]の沢地を背後に、[[リヴィル]]の流れを前に踏みとどまって最後まで抵抗し、フオルは毒矢に目を射抜かれて討ち死にした。フーリンは彼以外の全ての者が殺された後も一人で闘ったが、ついには[[モルゴス]]の命で生きたまま捕らえられ、[[アングバンド]]に連行された。

[[モルゴス]]の命により、[[オーク]]たちはこの合戦で討ち死にした[[エルフ]]と[[人間]]の亡骸を、彼らの武器や武具と共に[[アンファウグリス]]の真ん中に積み上げ、まるで小山のように遥か遠くからも眺められる大きな塚山を作った。
エルフたちはこれを「戦死者の塚」の意である[[ハウズ=エン=ヌデンギン]]と名づけ、またハウズ=エン=ニアナイス(涙の塚)とも呼んだ。
やがて不毛の砂漠の中で、この丘にだけは再び青々と草が生い茂るようになり、モルゴスの配下はこの地を避けるようになった。

***フーリンの子供たちにかけられた呪い [#p16e104a]

[[モルゴス]]は[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]から[[ゴンドリン]]の場所を聞き出そうとしたが、彼が屈しないのを見るとフーリンと彼の家族を呪い、[[サンゴロドリム]]の高みにある石の椅子に座らせ、自分の歪んだ目と耳で、彼の子供たちである[[トゥーリン]]と[[ニエノール]]の悲惨な運命を見聞きさせた。



** コメント [#m992f94e]

- この戦いのまっただ中で、フオルがトゥアゴンへ述べた台詞が印象的。結果としてフオルの予言?は、フオルの息子トゥオルと、トゥアゴンの娘イドリルの子エアレンディルに成就する。
「しかし、今しばらくゴンドリンが倒れずにあれば、その時は殿の御家からエルフと人間の望みが生まれるでありましょう。王よ、わたくしはこのことを、死にゆく者の目で王に申し上げるのです。(後略)」
- 旧版のシルマリルリオンでは「尽きぬ涙の合戦」と呼ばれています。読むとホントに涙が尽きない・・・誓言にいまだ縛られながらも、上級王の位を捨てたマイズロスの呼びかけ。それを頑なに拒むドリアスとナルゴスロンド。信義と報恩のために出陣するドワーフたち、そしてエルダールに苛烈なまでの忠誠を尽くす、エダイン王家の勇士たち!東夷たちの中で唯一、暗黒の力に刃向かうボオルとその息子たち。そしてついに来てはくれないかに思われたゴンドリン軍の参戦・・・。第一紀のオールスターキャストです。もしや、勝利をつかめるのではないかとさえ思えました。それなのに・・・(涙) --  &new{2007-11-06 (火) 00:23:35};
- この戦いは、ほんとに悲しい。マイズロスの悲壮な決意が身にしみて伝わってきます --  &new{2008-09-05 (金) 20:15:13};
- 二つの大国、ドリアスとナルゴスロンドが本腰いれて参戦してたら結果も変わってたのかなあ・・・それともやはり勝てなくてもっと多くの者が死んで更に悲劇的になってたのか・・・ --  &new{2008-12-22 (月) 20:47:46};
- 僅差の勝負だったようなので、ナルゴスロンドの戦力やシンゴルの威光が加わっていれば、モルゴスその人を除く彼の軍勢を撃破した可能性はあるでしょう。だからこそ、モルゴスもエルダールの仲を裂くための術策を弄し続けたわけです。 --  &new{2008-12-26 (金) 10:37:07};
- ウルドールが裏切り、一方で忠誠を尽くしたボールの一族は滅びた…東夷とエルフ・エダインとの長く決定的な断絶が生まれたのもこの戦いですね --  &new{2009-04-13 (月) 20:45:01};
- この戦いで歴史の流れが不可逆になったと言う点で、「関ヶ原の戦い」と似ているなと想起してしまいました。裏切りによって戦況が決定する点も似ていますね。 -- 「ど」の字 &new{2009-06-16 (火) 22:30:03};

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