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* ガンダルフ [#t947c675]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Gandalf|
|~その他の呼び名|灰色のガンダルフ(Gandalf the Grey)&br;灰色の放浪者(Grey Pilgrim, Grey Wanderer)&br;灰色衣(Greyhame)&br;灰色の使者(Grey Messenger)&br;白のガンダルフ(Gandalf the White)&br;白の乗手(White Rider)&br;ミスランディア(Mithrandir)&br;サルクーン(Tharkûn)&br;オローリン(Olórin)&br;インカーヌス(Incánus)&br;[[ラススペル]](Láthspell)|
|~種族|[[マイアール]]([[イスタリ]])|
|~性別|男|
|~生没年|不明|
|~親|不明|

** 解説 [#Explanation]

''灰色のガンダルフ''として知られている[[イスタリ(魔法使い)>イスタリ]]の一人。[[エルフ]]及び[[ゴンドール]]の[[人間]]からは「灰色の放浪者」を意味する''ミスランディア''と呼ばれていた。
その正体は、[[サウロン]]と戦う[[中つ国]]の民を助けるために[[ヴァラール]]によって遣わされた[[マイア]]であり、本来の名は''オローリン''である。ガンダルフは、イスタリの中で最後の一人として中つ国にやってきた。

彼は[[中つ国]]では自分の家というものを持たずに広く放浪を続け、[[白の会議]]の一員として、あるいは単独で、[[サウロン]]と戦う人々を援助し、困窮する者には誰にでも手を差し伸べて歩いた。迫り来る敵や困難を誰よりも早くに予測して対策を立て、また他に助けが望めない者には進んで力を貸し、多くの危機を救ったが、その一方で「不吉の運び手」というような不名誉な見方をされることもあった([[ラススペル]]の項目を参照)。
任務に従事する中ではあくまで何者にも束縛されず、また何者も束縛しない援助者・助言者の立場に徹することを望んだ。白の会議の議長となることを辞退した一件や、[[デネソール二世]]に向けた'''わしもまた執政ですからな'''といった言葉などにそれが表れている。そのため、統治者の立場にある者からはしばしば不興を買ったが、力なき者や弱き者からは信望を集めた。

花火の製造や[[パイプ草]]の煙遊びをはじめとして、火、煙、光にまつわる技に熟達しており、いざとなれば火薬や火種に頼らずにそれらを生じさせることができた。
[[ルーン文字>キアス]]の「G」を自らの印とする。

>長くて先のとんがった青い帽子をかぶり、灰色の長いマントを着て、銀色のスカーフを巻いた老人でした。長い白い顎鬚と帽子のつばより長く突き出したもじゃもじゃ眉毛の持ち主でした。((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]]』「待ちに待った誕生祝い」))

>…荒れ地の国から西の海辺にかけて、北の荒野から南の山中にかけて、あの人は歩きまわった、思いのままに、竜の臥所も隠し戸も、暗い森も。
 ドワーフやホビットにも、エルフや人にも、死すべき者にも、不死の者にも、枝の小鳥にも、ねぐらの獣にも、他には知られぬそれぞれの言葉でかれは話した。
 必殺の剣、生命いやす手、重荷に折れたわむ背、われ鐘の声、火をふく杖、疲れた漂泊人は、旅にあった。
 智恵の王者の御座に坐して、たちまち怒り、たちまち笑う、ひしゃげ帽子のこの老人は、とげある木の杖にすがっていた。 … ((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]] 下』「七 ガラドリエルの鏡」モリアに消えたガンダルフを悼んだフロドの詩より))

>かれは心温かく熱意にあふれ、 … 望みが萎えて尽きんとする時燃え上がる救いの炎となって、貪りつくす滅びの炎に対峙しサウロンの敵として立ち向かった。だが喜びも激しやすい気性も灰の衣の下に隠されていたがゆえに、内なる炎に気づくのはかれをよく知る者だけだった。((『[[終わらざりし物語]]』「第四部II イスタリ」))

ガンダルフは、中つ国にやってきた時に[[灰色港]]で彼を迎えた[[キーアダン]]から密かに[[ナルヤ]]を譲り受けており、[[第三紀]]を通じてその守護者であった。

*** [[第三紀]]のガンダルフ [#ree93176]

>第三紀はわしの時代じゃった。わしはサウロンの敵じゃったからな。((『[[指輪物語]] [[王の帰還]]』「執政と王」ガンダルフの台詞))

[[イスタリ]]が西方より船に乗って中つ国へ上陸したのは、[[緑森大森林>闇の森]]に影が差し始めた第三紀1050年頃であった。
ガンダルフは中つ国北西部をあまねく歩きまわって[[自由の民]]の友となったが、中でも[[エルフ]]と親しく交流した。

第三紀2063年には力を増す闇の森の影を憂慮して、[[死人占い師]]の正体を見極めるために単身[[ドル・グルドゥア]]へ潜入した。その結果死人占い師は要塞を捨てて逃亡し、[[警戒的平和]]がもたらされた。
死人占い師がドル・グルドゥアに帰還し、警戒的平和が終わると、賢人達はこれに対処するため2463年に[[白の会議]]を結成、ガンダルフもその一員となる。発起人の[[ガラドリエル]]は当初ガンダルフを議長に推したが、ガンダルフが辞退したため、[[白のサルマン>サルマン]]が議長となった。
2850年、ガンダルフは再びドル・グルドゥア潜入を決行し、死人占い師の正体が[[サウロン]]本人であることを確認するとともに、その土牢で今際の際にあった[[スライン二世]]から、[[エレボール(はなれ山)>エレボール]]の鍵と地図を受け取る。後にガンダルフはこの鍵を[[トーリン二世]]に渡し、彼らがはなれ山に潜入するのに使われることになった。
これに相前後する時期、スラインの消息を追い求めて[[モリア]]を東から西へ通過したようであり、この経験が後に[[指輪の仲間]]を同地へ導く助けとなった。

2758年から翌年に渡って到来した[[長い冬]]は、各地に甚大な被害をもたらしたが、[[ホビット]]も例外ではなく、その折にガンダルフは彼らを援助するために[[ホビット庄]]へやって来た。以来、多年に渡ってホビットと親しく交友し、この種族の真価を見抜いていたおそらく唯一の人物となる。ホビットの間では、ガンダルフはもっぱら巧みな花火師として名声を得ており、その打ち上げ花火は語り草となっていた。ガンダルフは、トゥック翁として知られる[[ゲロンティウス>ゲロンティウス・トゥック]](2790~2920)と親しかったが、彼の死後は上述のドル・グルドゥア潜入等の任務のため、長らくホビット庄をおとなうことがなかった。

約20年ぶりとなる2941年、ガンダルフはホビット庄を訪れ、ドワーフのエレボール遠征のためにトゥック翁の孫である[[ビルボ・バギンズ]]を旅に連れ出した(『[[ホビットの冒険]]』 詳細は後述)。
ガンダルフは、エレボールへの遠征の途上で発見された、サウロンの[[一つの指輪]]の存在にもいち早く気づき、3018年から3019年([[大いなる年]])にかけて、一つの指輪の破壊を任務とした[[指輪の仲間]]の一員にもなり、第三紀を締めくくる[[指輪戦争]]においても中心的かつ主導的な役割を果たした。その中で一度は戦いに傷つき倒れるも、「白のガンダルフ」として復活した(『[[指輪物語]]』 詳細は後述)。

*** 『[[ホビットの冒険]]』におけるガンダルフ [#t52f7d91]

>「ガンダルフ! ガンダルフですって! これはしたり。では、旅から旅へ、ところさだめぬ魔法使いではありませんか。 … おとなしい若者たちを、見知らぬ土地へ船出する船につれこんで、青海原へむかわせ、むこうみずな冒険へとかりたてたのが、ガンダルフではありませんか。」((『[[ホビットの冒険]]』 [[ビルボ]]の言葉))

この当時ガンダルフは、サウロンが機先を制して[[ロリアン]]と[[裂け谷]]攻撃の準備を進めていること、すでに[[北方>ロヴァニオン]]の[[自由の民]]は[[ゴブリン]]や[[龍]]や天険によって分断されており、もしサウロンの攻撃が実行に移されればそれに抗しきる望みがないこと、加えてこの攻撃に[[スマウグ]]が破滅的な役割を果たすかもしれないことなどを思い悩んでいた。
2941年、ガンダルフは休息のため[[ホビット庄]]へ向かっていた途上、[[ブリー村]]で偶然[[トーリン二世]]と出会う。トーリン二世の[[はなれ山]]遠征に事態を打開する望みを見出したガンダルフは、彼の遠征計画を手助けすることを約束するとともに、(サウロンの注意を引くことを避けるため)遠征は隠密任務とするべきであることと、助っ人として[[ホビット]]の[[ビルボ・バギンズ]]を連れて行くべきであることをトーリンに説得した。

ホビットを思いついたのは、主として隠密任務に大いに役立つだろうという見込みと、何らかの虫の知らせに従ったためであり、それにビルボを選んだのは、[[トゥック翁]]を訪っていた当時、ビルボ少年が外の世界への憧れを抱いていたのを見抜いていたためだった。だが中年に達したビルボはすっかり落ち着いてしまっており、そのためトーリンの説得とビルボを焚き付けるのに大いに苦慮するはめになる。
[[思いがけないお茶会>ホビットの冒険/ストーリー#n5dff664]]を演出し、スロールの地図と鍵を切り札に使うことでその二つをなんとか切り抜けたガンダルフは、そのままトーリンら[[13人のドワーフ>トーリンとその仲間]]とビルボの旅に同行し、彼らを助けた。だが[[白の会議]]を動かすため、[[闇の森]]に差し掛かったところで一行と別れる。

サウロンがトーリンらの遠征を妨害することを妨げる必要性から、ガンダルフは[[ドル・グルドゥア]]へ攻撃を加えるよう会議を説得し、彼自身も攻撃に加わった。この攻撃によって、[[死人占い師]]を[[ロヴァニオン]]から追い出すことに成功する。
その後、[[五軍の合戦]]がはじまろうとする[[はなれ山]]においてビルボと再会。また、[[ゴブリン]]と[[アクマイヌ>ワーグ]]の連合軍が迫っていることを諸勢力に警告するなど、自由の民が合戦を切り抜けられるよう尽力した。

結果として、トーリンの戦死をはじめとしたいくつもの犠牲はあったものの、エレボール遠征は上首尾に終わり、はなれ山の[[山の下の王国]]と[[谷間の国]]は再建され、スマウグと[[霧ふり山脈]]のゴブリンの多くは滅び、[[北方>ロヴァニオン]]の安全と交通、諸種族の束帯は大いに回復された。
これによってサウロンの当初の計画は頓挫したばかりでなく、後の[[指輪戦争]]において[[モルドール]]が動員するはずだった兵力を減らし、その被害を大幅に食い止めることができた。

>「ひょっとしたらあり得た事態を考えてもみるがいい。[[エリアドール]]を[[竜]]の火と野蛮な剣が荒れ狂い、[[裂け谷]]には夜が訪れる。[[ゴンドール]]に[[妃>アルウェン]]はおわさぬことになったかもしれぬ。わしらにしてもこの地における勝利からただ廃墟と炎の中に戻ることを望むしかなかったかもしれぬ。じゃが、これはさけられた――それももとはといえば、ある春の始めの夕べ、ブリー村でわしがトーリン・オーケンシールドに出会ったからじゃ。[[中つ国]]でいうめぐり会いというやつじゃのう。」((『指輪物語 [[追補編]]』「III ドゥリンの一族」 [[指輪戦争]]後、[[ゴンドール]]で当時のことを振り返ったガンダルフの言葉。))

またこれ以後ガンダルフは、ビルボたちとの冒険の途中で手に入れた[[グラムドリング]]を旅路に帯びるようになった。

*** 『[[指輪物語]]』におけるガンダルフ [#dab440bb]

>「[[そなた>フロド・バギンズ]]と、[[そなたの忠実な僕>サムワイズ・ギャムジー]]とともに、ガンダルフが行くだろう。なぜといえば、これはかれ一代の大仕事となるだろうし、おそらく生涯のいさおしをしあげる花となるかもしれぬ。」((『指輪物語 旅の仲間』「指輪、南へ行く」 [[指輪の仲間]]を選出した際の[[エルロンド]]の言葉。))

ガンダルフはビルボとの親交を保ち続けていたが、ビルボが[[冒険>ホビットの冒険]]で手に入れた“魔法の指輪”について当初から懸念を抱いていた。ビルボを問い詰めて彼が[[指輪を手に入れた経緯>なぞなぞ遊び]]の真相を聞き出したガンダルフは、これを不安に思い、さらにいつまでも老いないように見えるビルボの様子にも不安を抱く。
この不安は[[ビルボの111歳の誕生日>ビルボの別れの宴]](3001年)、指輪が彼に決定的に邪悪な影響を与えているのを目の当たりにしたことで、切迫した恐怖に変わった。指輪を手放して[[フロド]]に譲るようビルボを説得することに成功したガンダルフは[[ホビット庄]]を後にし、疑念を確かめるために多年を費やすことになる。

友人の[[アラゴルン二世]]に恐れを打ち明けたガンダルフは、[[野伏]]にホビット庄の守りを任せる一方、自らアラゴルンと共に十数年にわたって[[ゴクリ]]を捜索。3017年には捜索の目を転じて[[ゴンドール]]で古文書を渉猟し、[[イシルドゥア]]が書き残していた巻物から[[一つの指輪]]の判別法の知識を得る。時を同じくしてアラゴルンがゴクリを捕獲したことにより、ゴクリの口から指輪がイシルドゥアの没した[[あやめ野]]で発見されたいきさつを聞き出した。

[[大いなる年]]の3018年4月、ホビット庄のフロドを再訪したガンダルフは、彼の所持する指輪がまさしく[[サウロン]]の[[一つの指輪]]に他ならないことを確認し、その正体と危険性をフロドに明かす。フロドの従者に[[サムワイズ・ギャムジー]]を選ぶと、危険を逃れるためにホビット庄を旅立って[[裂け谷]]へと向かうよう忠告した。

そのままガンダルフはフロドに同行するつもりで[[袋小路屋敷]]に滞在していたが、6月、サウロンの[[オスギリアス]]攻撃の報が届いたことで大きな不安に満たされ、情報を集めに[[ブリー村]]まで足を伸ばしたところ、そこで[[茶のラダガスト>ラダガスト]]に出会った。ラダガストは、[[ナズグール]]が出現したことを告げると共に、[[白のサルマン>サルマン]]が助力を申し出ていることを伝える。不安が的中したガンダルフは、フロドに直ちに[[裂け谷]]へ出発するよう警告する手紙を[[バーリマン・バタバー]]に託し、自分はナズグールに対抗する助力を乞うため急遽[[アイゼンガルド]]へ向かう必要に迫られた。
だがこれは裏切り者サルマンの罠であり、サルマンは一つの指輪を我が物とするためにガンダルフをアイゼンガルドへ呼び寄せたのであった。サルマンへの協力を拒絶したガンダルフは、そのままひと月あまり[[オルサンク]]の頂上に監禁されてしまう。しかし、これはラダガストの善意で飛来した[[グワイヒア]]によって難を救われる。

9月下旬、[[ローハン]]で[[飛蔭]]を借り受けたガンダルフはフロドを救うべくホビット庄に急行したが、既に[[黒の乗手]]はフロドの間近に迫っている絶望的な状況であった。[[アラゴルン>アラゴルン二世]]がフロド達に合流したとの報せに希望を託したガンダルフは、ナズグールを撹乱しつつ[[裂け谷]]に向かうことを決意。この結果、[[風見が丘]]でナズグールと交戦し、かれらの力をフロド達から逸らすことに成功している。
10月下旬、裂け谷に到達したガンダルフは[[エルロンド]]と共に[[ブルイネン]]の水流を操ってナズグールを押し流し、間一髪でフロドを救出した。

フロドが[[エルロンドの会議]]においてあらためて[[指輪所持者]]に指名されると、ガンダルフは[[指輪の仲間]]の統率者として、フロドの旅の導き手となる。
彼は地上の旅においてはアラゴルンの、[[地下>モリア]]の旅においては[[ギムリ]]の助けを借りつつ、[[モルドール]]への道を探し求めた。しかし[[モリア]]において一行が[[バルログ]]に襲撃された時、ガンダルフはただひとりバルログと対峙して共に[[ドゥリンの橋]]から奈落に落ち、姿を消す。そのため仲間たちには、ガンダルフは死んだものと思われた。

*** 白のガンダルフ [#fe289bff]

>かれは任務の最終段階ではひどく傷つきさらには斃されたが、死の淵をさまよったのも束の間、呼び戻され、白の装束を纏い輝く炎となって蘇った。((『終わらざりし物語』「第四部II イスタリ」))

だがガンダルフは落下後も[[バルログ]]と戦い続けており、[[モリア]]の地の底、いやはての石の土台から[[無限階段]]を通って[[ケレブディル]]の頂にある[[ドゥリンの塔]]にいたるまで、バルログを追い詰める。[[山頂の闘い]]で、とうとう彼はバルログを山腹に投げ落として滅ぼしたが、彼自身も傷つき斃れた。
しかしガンダルフは使命を成し遂げるまでの間、あらためて[[中つ国]]に送り返される。ふたたび[[グワイヒア]]に見いだされて[[ロスローリエン]]に運ばれた彼は治療を受け、灰色のマントで隠された白装束を身にまとい、とねりこの杖を携えた''白のガンダルフ''として蘇生した。そして、身内に隠された焔と、遠方を見通す視力を与えられていた。

ロリアンを出発したガンダルフは[[グワイヒア]]と連携を取りつつ[[指輪の仲間]]の後を追い、[[アモン・ヘン]]でフロドに迫った[[サウロン]]の目を逸らし、その後[[オーク]]に拉致された[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]と[[ピピン>ペレグリン・トゥック]]を捜していた[[アラゴルン>アラゴルン二世]]、[[レゴラス]]、[[ギムリ]]と[[ファンゴルン]]の森で合流した。
情勢を見通したガンダルフは、メリーとピピンのことは[[木の鬚]]に委ね、アラゴルン達を戦乱の迫る[[ローハン]]の王宮[[エドラス]]に導く。そこで[[サルマン]]の術に蝕まれていた[[セオデン]]を癒やし、その謝礼としてセオデンから[[飛蔭]]を正式に譲り受け、以来愛馬とする。このため''白の乗手''と呼ばれるようになる。

[[アイゼンガルド]]と[[ローハン]]との戦いでは、[[ヘルム峡谷]]に籠城するようセオデンを説得、さらに飛蔭の俊足を活かして[[木の鬚]]に[[フオルン]]の援軍を派遣するよう要請するとともに、追い散らされていた[[エルケンブランド]]ら西谷の軍勢を呼び集めるなど、[[角笛城の合戦]]を勝利に導くのに貢献した。
合戦後はセオデンやアラゴルンらを連れて、[[エント]]によって陥落した[[アイゼンガルド]]に向かい、[[サルマン]]と最後の談判を行う。ガンダルフは投降して協力するよう説得を試みるが、サルマンは拒否し、そのためガンダルフは白の賢者としてサルマンの杖を折って力を奪い、彼を[[イスタリ]]と[[白の会議]]の両方から追放した。
さらにこの時塔から投げ落とされた黒い球を[[ピピン>ペレグリン・トゥック]]が覗いてしまったことで、これが[[パランティーア]]であることに気づくと、パランティーアの危険性と[[ゴンドール]]へ迫るサウロンの攻撃を察知、球を[[アラゴルン>アラゴルン二世]]に預けると、ピピンを連れて急遽[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]へ向かった。

ガンダルフは、[[デネソール二世]]もまたサルマンのようにパランティーアを通じてサウロンに与しているのではないかと疑念を抱いたが、デネソールはそんな彼の疑念を暗に一蹴する。しかし後に明らかになったように、ガンダルフの恐れは半分は的中していた。
ゴンドールを援助するためそのままミナス・ティリスに留まったガンダルフは、しばしば灰色の衣を脱いでその身に宿る白い焰を顕わにし、[[ナズグール]]が投げかける恐怖の影から人々を救い出した。[[ペレンノール野の合戦]]では、彼は前線に立ってゴンドールの兵士を鼓舞し、[[魔王]]と対峙する。しかし負傷した[[ファラミア]]に絶望したデネソールは狂気に陥り、彼とともに焼身を図ったため、ガンダルフはピピンと[[ベレゴンド]]と共にファラミアを救出すべく城中に留まる。この時、[[白の塔]]のパランティーアの秘密が明らかとなった。

合戦後の最終戦略会議では西軍の大将たちを前に、望みは[[指輪所持者]]の任務達成にしかないと語り、その任務を助けてサウロンの目をそこから逸らすため、[[ゴンドール]]と[[ローハン]]の軍勢を囮にした[[黒門]]への陽動攻撃を仕掛けることを提案。自らもその軍勢の中に身を置き、門前では[[サウロンの口]]の虚勢を見抜いてフロドの装身具を奪い返した。
[[黒門の戦い]]のさなか、指輪所持者は任務を達成、[[一つの指輪]]が破壊されてサウロンは滅び、サウロンの王国も瓦解した。ガンダルフは援軍としてやってきた[[グワイヒア]]と彼の一族の[[大鷲]]に、[[滅びの山]]にいるフロドたちの救出を頼む。かくしてフロドとサムは滅びの山の崩壊から救われた。

[[コルマルレン]]の野において生き残った[[指輪の仲間]]は再会。
[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]の門前で行われた戴冠式において、[[エレスサール王>アラゴルン二世]]はガンダルフの手によって戴冠を果たした。その後エレスサール王の結婚式の直前、彼を[[ミンドルルイン]]の[[白の木]]の苗木がある場所まで導き、後の世の[[中つ国]]を担っていくのは[[人間]]達であることを告げる。
ガンダルフは、フロドたちがミナス・ティリスを出発するまで一緒に留まり、フロドたちと共に[[裂け谷]]、そして[[ブリー村]]の[[躍る小馬亭]]まで旅をする。それからガンダルフは、[[ホビット庄]]へと帰るフロドたちと別れ、[[トム・ボンバディル]]に会いに行ったようである。

[[第三紀]]最後の年、3012年9月29日、[[灰色港]]において[[ガンダルフ]]は[[フロド]]たち[[ホビット]]と再会した。この時、もはやガンダルフは灰色の外衣ではなく、青と銀のマントを身に帯び、その指には赤の指輪[[ナルヤ]]が公然とはめられていた。
[[フロド>フロド・バギンズ]]や[[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]、そして[[エルロンド]]や[[ガラドリエル]]たち[[指輪所持者]]と共に、[[中つ国]]における最愛の友[[飛蔭]]を連れて、ガンダルフもまた船に乗って[[西方>アマン]]へと去って行った。

*** マイアとしてのオローリン [#b3dde763]

>[[マイアール]]の中で最も賢明なのはオローリンであった。かれもまた[[ローリエン]]に住まっていた。しかしかれはしばしば[[ニエンナ]]の許を訪れ、かの女から憐れみと忍耐を学んだ。((『[[シルマリルの物語]]』「ヴァラクウェンタ」))

[[ヴァリノール]]においてオローリンはもっぱら目に見える姿をとらずにエルフの間を歩き回り、その心に美しい心象を注入するマイアだった。そのためエルフはその啓示がどこから来るのかを知らなかったが、オローリンはエルフを愛していたという。

『[[終わらざりし物語]]』にはより詳細な記述がある。オローリンは[[マンウェ]]と[[ヴァルダ]]に所属するマイアであり、[[アマン]]においても彼は旅にあり、纏う衣も灰色であった。彼は[[サウロン]]を恐れ、[[イスタリ]]の任務に当たるには力劣ると自認していたが、それゆえに一層マンウェとヴァルダにイスタリとして推挙されたという。
彼の名を構成する語幹「オロル」(olor)あるいは「オロス」(olos)とは、[[クウェンヤ]]および[[シンダール語]]において「夢、心象、ファンタジー」を意味し、未だ[[アルダ]]に実在していないがもし実現されれば世界を豊かにするであろう美しいヴィジョンを指す概念であると説明されている。

*** 多数の名の意味 [#o82e2c47]

>『わしの名はさまざまな国でさまざまに呼ばれる。』と、かれはいった。『[[エルフ]]の間ではミスランディア、[[ドワーフ]]にはサルクン、今は忘れられた西方での青年時代にはわしはオロリンだった。南の国ではインカヌス、北の国ではガンダルフ、東の国には行かぬ。』とな。((『[[二つの塔]]』[[ファラミア]]によるガンダルフの言動の回想))

:ガンダルフ (Gandalf)|[[北方の人間>北方の自由の民]]の言葉で「杖持つエルフ」(Elf of the Wand)の意。彼を[[エルフ]]と勘違いした北方の人間たちが付けた名。トールキンはこの名を『古エッダ』「巫女の予言」に登場する[[ドワーフ]]の名前から取り、その理由を「(魔法の)杖を持つエルフ的人物」の意味と考えられなくもないから、としている。
:ミスランディア (Mithrandir)|[[シンダール語]]で「灰色の放浪者」(Grey Pilgrim)の意。エルフたち及びゴンドールの人間からはこう呼ばれた。
:サルクーン (Tharkûn)|[[クズドゥル]]で「杖持つ人、杖の人」(Staff-man)の意。
:インカーヌス (Incánus)|[[ハラドリム]]の言葉で「北方の間者」(North-spy)を意味するインカー+ヌーシュ(Inkā + nūš)が[[クウェンヤ]]に取り入れられた名という説((セイン本の註釈にそう記されているという))と、ゴンドールで付けられた「心の支配者」という意味のクウェンヤ名であるという説がある。なお[[トールキン]]はこの名を「灰色髪」(grey-haired)を意味するラテン語のインカーヌス(incánus)から考案したようである。
:オローリン (Olórin)|クウェンヤで「夢幻者」の意。[[ヴァリノール]]における名で、彼は心象を生じさせる[[マイア]]であった。
:灰色衣 (Greyhame)|[[ローハン]]での名。『[[Guide to the Names in The Lord of the Rings]]』によると、'''greycoat'''を意味する[[古英語]]の'''grēg-hama'''を現代英語化したもの。

** 画像 [#occ4ec98]

&ref(フロド・バギンズ/AlanLee-02-ShadowOfThePast.jpg,,25%,アラン・リー作画によるフロドとガンダルフ); &ref(JohnHowe-Gandalf.jpg,,35%,ジョン・ハウ作画によるガンダルフ); &ref(gandalfbyterashima.jpg,,35%,寺島龍一作画によるガンダルフ(ホビットの冒険)); &ref(Terajima-Gandalf.jpg,,25%,寺島龍一作画によるガンダルフ(指輪物語));

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[イアン・マッケラン]]|
|~日本語吹き替え|[[有川博]]|

性格、設定などは原作をほぼそのまま踏襲している。だが、原作ではまだ時間的猶予があると思っていたため、フロドの出発を彼の誕生日にするという計画を認めたが(これは、フロドが突然消えることが大きな騒ぎにならないようにするためもあった)、映画では一つの指輪の正体がわかると、フロドにただちに出発させている。
また原作では、ガンダルフは裂け谷までフロドと同行するつもりであったが、[[ラダガスト]]に会って[[サルマン]]が会いたがっていることを知ったため行動を別にすることになった形となっている。一方映画ではラダガストは登場せず、ガンダルフはフロドの出発後、自発的に一旦フロドと別れて、助言を求めにサルマンに会いに行き、その後[[躍る小馬亭]]で合流する考えだったことになっている。

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** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

|~俳優|イアン・マッケラン|
|~日本語吹き替え|[[羽佐間道夫]]|

原作では最初から、[[エレボール]]の旅の最後は[[ビルボ・バギンズ]]と[[トゥーリン二世]]一行に任せるつもりだったことになっているが、映画ではガンダルフはエレボールまで皆と同行するつもりでいた。だが[[ガラドリエル]]の警告を受けて急遽[[ラダガスト]]とともに[[ルダウア]]にある[[ナズグール]]の塚の確認に向かった。そこが空になっているのを知った後、単身で[[ドル・グルドゥア]]へ向かった形となっている(ガンダルフは、一行がエレボールに入る前に再び合流するつもりだったが、[[ドル・グルドゥア]]で時間を取られたため間に合わなかった)。
ガンダルフは、[[死人占い師]]こと正体を現した[[サウロン]]の力に圧倒され、囚われの身となる。そこに[[ガラドリエル]]、[[エルロンド]]、[[サルマン]]、[[ラダガスト]]が救援に現れ、ガンダルフはガラドリエルによって蘇生させられたあと、ラダガストによってドル・グルドゥアから脱出させられる。その後、ガンダルフはラダガストから馬を借りると、エレボールを攻撃しようとしているドル・グルドゥアの軍勢のことを警告するため、自らもエレボールへ急行した。
ビルボは(原作とは異なり)指輪のことを終始秘密にしていたが、ガンダルフはゴブリンの洞窟で魔法の指輪をビルボが拾ったことに気づいていた(ただしそれが[[一つの指輪]]だとまでわかったわけではない)。そして帰郷時の別れ際「魔法の指輪は軽々しく使うものではないぞ」と忠告している(この時ビルボは指輪を落としたと噓をついている)。そしてビルボと別れたあと、意味深な表情を浮かべ去っていった。

[[エクステンデッド・エディション]]ではドル・グルドゥアから救出されたあと、ラダガストより杖を借りるシーンが明示されているが、その杖がうまく扱えず、トロルと遭遇した際には呪文を唱えるものの不発に終わっている。一方で、ゴブリンの群れを光と衝撃波で吹き飛ばす、同じ系統の魔法で砦内の敵を探知したり、バリアーを張ってサウロンに取り込まれるのを防ぐ、脱走を防ぐ幻術を破る、杖で大岩を砕くなど、前三部作で見せたよりも強力な魔法を使用している。

日本語吹き替え版では、『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』でガンダルフを担当した[[有川博]]が2011年10月に死去したため、『ホビット』では[[羽佐間道夫]]が吹き替えを勤めている。

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** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#Lotro]
** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

[[サルマン]]のもとから脱出し、[[ブリー村]]に到着した直後のガンダルフと冒険者が遭遇、[[東街道]]の偵察や、[[ラダガスト]]の援助を冒険者に依頼してくる。
その後、[[指輪の仲間]]として出立するガンダルフを見送った後、[[ガラドリエル]]の依頼により、[[モリア]]のいやはての土の土台と[[無限階段]]でガンダルフの痕跡を発見。このことを[[ガラドリエル]]に報告する。
その後、白のガンダルフと再会することになる。

&ref(CO3jvhNU8AEvkUT.jpg,,20%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における灰色のガンダルフ); &ref(ScreenShot00602.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるガンダルフ(五軍の合戦前)); &ref(ScreenShot00343.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるミスランディア(白のガンダルフ)); &ref(ScreenShot00601.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるミスランディアと飛蔭);


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