* ガラドリエル [#n283a860]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Galadriel|
|~その他の呼び名|ローリエンの奥方(Lady of Lórien)&br;ロスローリエンの奥方(Lady of Lothlórien)&br;森の奥方(Lady of the Wood)&br;アラタリアル(Alatáriel)((「光の姫」の意。([[終わらざりし物語]]によると)[[ケレボルン]]がガラドリエルに与えたという名で、彼女はこの名の[[シンダール語]]形であるガラドリエルを[[中つ国]]で使うようになった))&br;アルタニス(Artanis)((「高貴な女」の意。(終わらざりし物語によると)ガラドリエルが父であるフィナルフィンから呼ばれた名))&br;ネアウェン(Nerwen)((「男勝りの乙女」の意。([[終わらざりし物語]]によると)ガラドリエルが母である[[エアルウェン]]から呼ばれた名))&br;ガラズリエル(Galadhriel)((「木の姫」の意だが、彼女が[[ローリエン>ロスローリエン]]で[[ガラズリム]]を統治していることから生じた混同に基づく誤った呼び名))|
|~種族|[[エルフ]]([[ノルドール]])|
|~性別|女|
|~生没年|不明|
|~親|[[フィナルフィン]](父)、[[エアルウェン]](母)|
|~兄弟|[[フィンロド・フェラグンド>フィンロド]]、[[オロドレス>オロドレス(フィナルフィンの息子)]]、[[アングロド]]、[[アイグノール]](兄)|
|~配偶者|[[ケレボルン]]|
|~子|[[ケレブリアン]](娘)|

** 解説 [#Explanation]

名は[[シンダール語]]で「光の花冠の娘」の意(この名は[[ケレボルン]]から与えられた名であるといわれる)。[[フィナルフィン]]と[[エアルウェン]]の娘。[[フィンロド・フェラグンド>フィンロド]]、[[オロドレス>オロドレス(フィナルフィンの息子)]]、[[アングロド]]、[[アイグノール]]の妹。
[[第三紀]]には[[ロスローリエン]]の奥方と言われ、[[中つ国]]に残っていた[[エルフ]]の中で、もっとも力ある[[上のエルフ]]のひとりとなっていた。
夫の[[ケレボルン]]との間に生まれた一人娘の[[ケレブリアン]]は、[[エルロンド]]の妻となっている。そのため[[エルラダン]]、[[エルロヒア]]、[[アルウェン]]は孫にあたる。

*** [[二つの木の時代]]から[[第一紀]]のガラドリエル [#v259ef38]

[[二つの木の時代]]に、[[エルダマール]]で生まれた[[ノルドール]]の姫。元来黒髪が特徴のノルドール・エルフだが、ガラドリエルは母の[[エアルウェン]]から[[テレリ]]の銀髪を、祖母の[[インディス]]から[[ヴァンヤール]]の金髪を受け継いでおり、その髪は[[銀の木テルペリオン>テルペリオン]]と[[金の木ラウレリン>ラウレリン]]の光が混ざり合ったようだと讃えられた。
彼女は[[ヴァリノール]]の[[エルダリエ]]の中にあっても抜きん出た存在であり、闘技に優れ、肉体的にも精神的にも強い力を持っていた。

ガラドリエルは、[[フェアノール]]とは常に不仲であった(『[[終わらざりし物語]]』には、その髪の光輝に魅せられたフェアノールが髪の毛を分けてほしいと三度頼んだというが、彼女は頑なに拒んだというエピソードが書かれており(([[クリストファー・トールキン]]によると、このエピソードは『[[指輪物語]]』でガラドリエルがギムリに自分の髪の毛を与えたというエピソードが書かれた後に考案されたものであろうという))、それがフェアノールに[[シルマリル]]を制作することを思い立たせたという)。だが[[ティリオン>ティリオン(地名)]]においてフェアノールが、復讐とシルマリル奪還のため[[モルゴス]]を追跡して[[中つ国]]に帰還することを呼びかける演説を行うと、ガラドリエルはそれに触発されて、未踏の中つ国の原野への憧憬と、そこに彼女自身の王国を打ち立てたいという望みを搔き立てられる。
[[フィナルフィン]]が[[同族殺害]]と[[マンドスの呪い]]に後悔し、進軍を取り止めて[[アマン]]へ引き返した後も、ガラドリエルを含む五人のフィナルフィンの子らは[[フィンゴルフィン]]の子らへの愛情から進軍を続けることを選び、フェアノールらに[[アラマン]]に置き去りにされても、ノルドールの大多数を指揮して[[ヘルカラクセ]]を横断し、中つ国への帰還を果たした。

[[ベレリアンド]]でガラドリエルは、はじめ兄[[フィンロド]]の治める[[ナルゴスロンド]]に住んでいたが、やがて[[ドリアス]]に移り住んだ(フィナルフィンの子らは[[エアルウェン]]を母に持つ関係から[[シンゴル]]王の縁者でもあり、ドリアスで歓迎された)。その地でガラドリエルは[[マイア]]の[[メリアン]]から多くの教えを受ける。また、ドリアスで出会った[[ケレボルン]]と親しくなって結婚した。

ドリアス以後のガラドリエルとケレボルンの足取りは不明瞭である。『[[指輪物語]]』本文中で彼女は'''([[第一紀]]の)[[ナルゴスロンド]]あるいは[[ゴンドリン]]の没落以前に[[霧ふり山脈]]を(東に)越え'''と述べている。だが[[追補編]]および『[[シルマリルの物語]]』の記述によれば、二人が[[青の山脈]]以東に入ったのは[[第二紀]]以降のこととなる。
いずれにせよ、ベレリアンドの水没後も([[ヴァラール]]の憐れみをよしとしない誇りのためか、[[中つ国]]への愛着のためか)ガラドリエルは中つ国に留まった。

*** [[第二紀]]のガラドリエル [#ef8df0f2]

[[第二紀]]以降の[[ガラドリエル]]の行動についても幾つか説があり、はっきりしていない。
『[[終わらざりし物語]]』によれば、一時期霧ふり山脈西方の[[エレギオン]]に住んでいたとある。ガラドリエルは、閉ざされる以前の[[カザド=ドゥーム(モリア)>モリア]]の[[ドワーフ]]とも親交があり、直接カザド=ドゥームを訪れたこともあったようである((「[[ケレド=ザラム]]の水は暗く、[[キビル=ナーラ]]の泉は冷たい。そして山の下の強大な王の没落する日まで、上古の世の[[カザド=ドゥム>モリア]]の柱立ち並ぶ数々の広間のなんとみごとであったことでしょう。」(『[[指輪物語]] [[旅の仲間]]』[[ギムリ]]と会ったときのガラドリエルの台詞)))。
[[サウロン]]の[[一つの指輪]]の存在が明らかになったとき、[[三つの指輪]]を分散して隠すよう[[ケレブリンボール]]に勧めたのはガラドリエルであるとされる。ガラドリエルはケレブリンボールから水の指輪[[ネンヤ]]を受け取り、以後この指輪の所持者となった。

*** [[第三紀]]のガラドリエル [#g7e6b556]

第三紀1981年に[[アムロス]]と[[ニムロデル]]が失踪すると、ガラドリエルと[[ケレボルン]]は統治者のいなくなった[[ロスローリエン]]に迎えられ、この地を治めるようになる。だが二人は君主としての称号を帯びることをせず、あくまで[[ガラズリム]]の指導者かつ守護者としての立場に留まった。
ロスローリエンの地でガラドリエルは、[[第三紀]]の[[中つ国]]の[[エルフ]]の中で、最も力ある者となった。彼女は[[ネンヤ]]の力を使い、ロスローリエンが過ぎ去った上古の世を偲ぶ避難所となるように心を配ったが、[[中つ国]]から次第にエルフの力が消失し、ロスローリエンに保たれていた上古の世の夢が急速に灰色の目覚めに向かっていることを悟ると、悲嘆と不安に満たされた。

一方、蘇った[[サウロン]]の脅威に対抗するため、ガラドリエルは2463年に[[エルフ]]と[[魔法使い]]の賢者らを招集して[[白の会議]]を結成する。ガラドリエルは議長に[[灰色のガンダルフ>ガンダルフ]]を推したが、彼が辞退したため、[[白のサルマン>サルマン]]が議長となった。
2510年に[[ゴンドール]]を援助するため[[ケレブラントの野の戦い]]に向かっていた[[エオセオド]]の軍勢が[[ドル・グルドゥア]]の影に脅かされた際には、ロスローリエンより黄金の霧を送り出してエオセオドを助けるなどしている。

[[指輪戦争]]においては、[[モリア]]を抜けてきた[[指輪の仲間]]をロスローリエンで匿い、助言と助力を与えた。
ガラドリエルは一行の一人ひとりの心に語りかけ、彼らの内心の願望を確かめさせるとともに彼らの決意を試す(この時[[ボロミア]]は自らが[[一つの指輪]]を欲していることを自覚し、以後その誘惑に苦しむようになる)。
また、[[フロド・バギンズ]]と[[サムワイズ・ギャムジー]]に水鏡を見せ、サムワイズには故郷[[ホビット庄]]に迫る危機の、フロドには中つ国の歴史の断片と、[[指輪所持者]]を捉えようとする[[サウロン]]の目のビジョンをそれぞれ垣間見させた。この際ガラドリエルは、彼女もまた一つの指輪の力を自分が使ってみたいという欲望を抱えていることをフロドに指摘され、一つの指輪を差し出される。だがガラドリエルはこの誘惑と試練に打ち勝ち、小さくなって西方に去ることを受け入れた。
ロスローリエンを出立する一行にはそれぞれに贈り物を与えて送り出す。全員に[[エルフのマント]]や小舟などを与え、フロドには[[玻璃瓶]]、サムワイズには[[マルローン樹>マルローン]]の種と彼女の庭の土が入った小箱、[[アラゴルン二世]]には[[緑の石]]と[[アンドゥリル]]の鞘、[[レゴラス]]には[[ガラズリム]]の弓矢といったものをそれぞれ与え、これらは旅の間や旅の後を通じて彼らの力となった。また[[ギムリ]]には、彼の願いを聞き届けて自らの髪の毛を三筋与え、周囲のエルフを驚愕させた。

また彼女は水鏡によって、[[バルログ]]と戦って果てた[[ガンダルフ]]が送り返されたのを見届け、[[グワイヒア]]を派遣して彼を[[ケレブディル]]の頂から救い出した。ロスローリエンでガンダルフは治療され、白の衣に装われた。この時ガラドリエルは、アラゴルン、レゴラス、ギムリへの助言をガンダルフに言付けている。

一つの指輪が破壊され[[サウロン]]が滅ぼされると、ガラドリエルはケレボルンが指揮するロスローリエンの軍勢と共に進み、[[ドル・グルドゥア]]の要塞を破壊して浄化した。
その後、ケレボルンやエルロンドたちと共に[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]に行き、エレスサール王とアルウェンの結婚式に参列。ゴンドールからローハンへの[[セオデン]]の葬列にも参加して一時[[エドラス]]にとどまった後、[[アイゼンガルド]]で[[木の鬚]]に会ってから、他の者に別れを告げ、[[ケレボルン]]と共にロスローリエンへと戻った。この時、[[波の下に横たわる地>ベレリアンド]]が再び持ち上がることを予言している。

だがガラドリエルは[[力の指輪]]の力が失われていくのを感じ、[[第三紀]]の終わり3021年9月22日に、[[指輪所持者]]たちとともに[[灰色港]]より[[西方>アマン]]へと去った。彼女は、ヴァラールに反抗して中つ国へと向かったことの浄罪として、[[アマン]]の大陸ではなく[[トル・エレッセア]]にとどまったという。

*** ガラドリエルの来歴についての異説 [#q228f6e6]

[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]の生前に刊行された『[[指輪物語]]』では、彼女の来歴は非常に断片的にしか語られていない。トールキンの死後、子息の[[クリストファー>クリストファー・トールキン]]によって編纂・出版された『[[シルマリルの物語]]』ではより詳しいことが述べられているが、トールキン自身は最晩年に至るまで大小さまざまな異同を含んだ案をいくつも残しており、『指輪物語』と『シルマリルの物語』の間にも少なからぬ曖昧な点や矛盾が残されている。ガラドリエルの来歴に残された問題点については『[[終わらざりし物語]]』に詳しい。

『終わらざりし物語』に収録されているトールキンの最晩年の草稿によれば、ガラドリエルは(『シルマリルの物語』で述べられていることとは大きく異なり)[[フェアノール]]の反逆からも[[ノルドール]]族の離反からも距離をとり、[[ケレボルン]]とともに''単独で''[[中つ国]]への帰還を果たしたことになっている。
彼女とケレボルンは[[アルクウァロンデ]]で[[ファルマリ]]の側に立って[[同族殺害]]に抵抗して戦い、その後無事だったファルマリの船に乗って中つ国の岸辺に辿り着いた。そして[[第一紀]]が終わる以前に、中つ国に残された[[エルフ]]の教化に努めるために[[青の山脈]]を越えて東方に勢力を築いたのだとされる((この箇所のみ'''ナルゴスロンドあるいはゴンドリンの没落以前に霧ふり山脈を(東に)越え'''という指輪物語本編の記述と一致する))。
これらは『シルマリルの物語』や『指輪物語 [[追補編]]』に述べられている内容とは隔たりが大きく、晩年のトールキンの構想の変化を示す好例の一つである。

** 画像 [#occ4ec98]

&ref(galadriel.jpg,,25%,アラン・リー作画によるガラドリエル、フロド、サムと、ガラドリエルの鏡); &ref(mirrorbyterashima.jpg,,27%,寺島龍一作画によるガラドリエル、フロドと、ガラドリエルの鏡のヴィジョン); 

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[ケイト・ブランシェット]]|
|~日本語吹き替え|[[塩田朋子]]|
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「当時の中つ国に住まう者の中で、最も知識あるもの」ということで、第一部冒頭のナレーションを行っている(ナレーションの中に、原作で[[木の鬚]]の台詞であった言葉も含まれている)。

** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

|~俳優|ケイト・ブランシェット|
|~日本語吹き替え|塩田朋子|

原作には登場していないが出演。
『思いがけない冒険』で、[[サルマン]]が召集した、[[裂け谷]]で開催された[[白の会議]]に出席している。
『竜に奪われた王国』では、[[ドル・グルドゥア]]の勢力についての警告を[[ガンダルフ]]に伝えている。その結果ガンダルフは一時[[トーリン・オーケンシールド>トーリン二世]]と行動を別にし、[[ルダウア]]にある[[ナズグール]]の塚へと向かった。
『決戦のゆくえ』では、ドル・グルドゥアに捕らえられたガンダルフの救出に現れる。その後、[[ネンヤ]]の力を使って[[サウロン]]を撃退している。

** コメント [#Comment]

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