#author("2019-07-07T14:52:21+09:00","","")
* エント [#ve7b9b97]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[種族]]|
|~スペル|Ent(単) / Ents(複)((Entとは[[古英語]]で「[[巨人]]」を意味し、『[[追補編]]』では[[ローハン語]]とされている。一方、『[[Guide to the Names in The Lord of the Rings]]』では、[[ローハン]]を含む[[アンドゥインの谷間]]の言葉と説明されている))|
|~その他の呼び名|木の牧人(Shepherds of the Trees, tree-herds)、オノドリム(Onodrim)((種族名。単数形はオノド(Onod)、複数形はエニド(Enyd) ))、木の人たち(Tree-folk)|

** 解説 [#Explanation]

[[シンダール語]]での名は''オノドリム''。[[ヴァリエ]]の[[ヤヴァンナ]]が樹木を保護する者として願ったことから生まれた種族。''木の&ruby(まきびと){牧人};''と呼ばれる樹木の守護者のような存在で、森を見回って木々を育て、それらに歌を歌いかけたり自らの身を守る術を仕込んだりして世話をする。

>エントたちは、木と木と互いに異なるように、お互いに異なっていました。同じ名前でも育った場所や経歴がまったく違う木が互いに異なるように相異する者たちもいました。そしてまた、樺が橅と異なるように、樫が樅と異なるように、木の種類で異なる木々のように互いに相異する者たちもいました。年をとったエントたちも何人かいました。顎鬚を垂らし、ふしこぶだらけで、まるで年経ても元気な木のようでした … 。そしてまた背の高い強壮なエントたちもいました。手足は形よく伸び、皮膚はすべすべと、今が盛りの木々のようでした。しかしここには若いエントは一人もおりませんでした。木でいえば若木はいなかったのです。((『[[指輪物語]] [[二つの塔>指輪物語/二つの塔]]』「木の鬚」))

** 特徴 [#ic800cd6]

:外見|~木のような特徴を備えた巨人。皮膚は樹皮のようであり、また体毛は枝葉や苔のようで、手足の指はがっしりとして根のようである。木に多くの種類があり、また一つ一つの木が異なるように、エントもそれぞれに異なった外見を持つ。
:能力|~非常に強力な存在で、頑強な岩壁も指をかけるだけでぼろぼろにちぎることができ(('''それはまるで大樹の根が百年の間になしとげる仕事を目に見てるようだった。ただそれがほんの短い時間に圧縮されて見せられたんだ。'''『[[二つの塔>指輪物語/二つの塔]]』))、あるいは叫び声だけでも岩を砕くことができる。腕力も強く、また必要なら非常に速い速度で動き回れる。さらに生命力も高いため毒も効かず、深手を負わせるには重い斧の一撃か火焔を用いるしかない。
寿命は存在せず簡単に死ぬことはないが、エントと[[エント女]]が離れ離れになって新たなエント([[エントっ子]])が生まれなくなったため、[[中つ国]]においてその存在はどんどん少なくなっていった。
知能は高く、深い智慧と知識を蓄えている。大変思慮深いため長考を重ねた上でなければ滅多な行動に出ようとはしないが、いざ動き出せば機敏であり、またひとたび怒り狂えば恐ろしい存在となる。
:文明・文化|~多くの知識を蓄えてはいるが、文明というものはほとんど持たず、基本的には単独で暮らす。男のエントは深い森林と樹木を好む一方で、[[女のエント>エント女]]はよく手入れされた田園や庭園を好む。[[エントの寄合]]と呼ばれるエント同士の会合を開いて重要な行動を決定することもある。
かつて[[人間]]は、エント女より農作や園芸の技術を学んだという。
:住居|~一人のエントは幾つかの[[エント小屋]]というものをもっており、そこに(立って)寝る。小屋といっても洞窟のようなものに過ぎず、石のテーブルがある程度。またエント小屋には[[エント水]]が湧き出ており、エントはそれを飲むことによって活力を得る。
:歴史|~[[上古]]から[[中つ国]]にいたことは確かだが、[[冥王]]との戦いにはほとんど関与せず、歴史上に現れることはほとんど無かった。[[第一紀]]に[[ドリアス]]を襲撃した[[ドワーフ]]を攻撃したことがあるというのと、[[第三紀]]末の[[指輪戦争]]の記録に現れた程度である。
エントと[[エント女]]はかつては共に暮らしていたが、性向の違いのために次第に離れ離れとなり、[[第二紀]]から[[第三紀]]にかけての戦争と混乱でエント女は行方不明になってしまっている。エントがエント女を探してさすらう話は、多くの種族に知られ歌にされたこともあったという。
かつて中つ国の大地を広大な森林が覆っていた頃、エントは森伝いに[[ロヴァニオン]]から[[ベレリアンド]]にいたるまで広大な範囲を自由に歩き回っていた。だが森林の減少と、元々少子であった上にエントとエント女とが疎遠になっていったせいで、その活動は次第に低下し、上古の時代を憶えている者は[[第三紀]]には[[木の鬚]]一人となっていた。
:氏族|~エントの女性は[[エント女]]、エントの子供は[[エントっ子]]と呼ばれる。また[[フオルン]]は、エントが語りかける内にエントのようになった木とも、逆にほとんど木のようになってものを考えることができなくなってしまったエントとも考えられる。[[トロル]]は、エントをまねて[[モルゴス]]が作り出したものと言われる。
:言語|~[[エルフ]]が話していたのを目撃して会話することへの憧れを覚え、エルフから言葉を学んだ。エント同士が話すには[[エント語]]を使う。エントは語学に巧みで、一度覚えたどんな言葉も忘れなかった。エント語以外では[[エルフ語]]を特に好み、それをエント流に繋げて使うことをよく行った。[[西方語]]も知っている事が多い。一方でエント語はその特性から他種族が習得することは不可能だった。
:偏見|~木の敵を憎み、木の味方を愛する。そのため森を汚す[[オーク]]を強く憎んでおり、薪を切る[[ドワーフ]]を警戒している。
[[エルフ]]に対しては友好的だが、[[第三紀]]末には、[[レゴラス]]も伝承の歌でしかエントのことを知らなかったり、[[ケレボルン]]は[[ファンゴルン]]に近づかないよう[[指輪の仲間]]に忠告したりするなど、エルフにとってもエントは謎の多い存在となっていた。
[[ローハン]]には、エントに由来する地名が数多く残されているが、[[ロヒアリム]]にとってもエントは伝承上の存在でしかなかった。

** 登場するエントの名 [#ha5b0b09]

- [[木の鬚(ファンゴルン)>木の鬚]]
- [[せっかち(ブレガラド)>せっかち]]
- [[橅の骨]]
- [[木の皮肌(フラドリヴ)>木の皮肌]]
- [[木の葉髪(フィングラス)>木の葉髪]]
- [[たおやかな橅娘(フィンブレシル)>たおやかな橅娘]]

** コメント [#Comment]

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