#author("2016-12-18T15:51:35+09:00","","")
#author("2017-02-09T02:44:57+09:00","","")
* エルロンド [#jd5adf56]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Elrond|
|~その他の呼び名|[[半エルフ]](Halfelven, Half-elven)&br;裂け谷の領主(Lord of Rivendell)&br;伝承の大家(Master of Lore)&br;医術の大家(Master of Healing)|
|~種族|[[半エルフ]]|
|~性別|男|
|~生没年|[[第一紀]]~|
|~親|[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]](父)、[[エルウィング]](母)|
|~兄弟|[[エルロス]]|
|~配偶者|[[ケレブリアン]]|
|~子|[[エルラダン]]、[[エルロヒア]](息子、[[エルロンドの息子]])、[[アルウェン]](娘)|

** 解説 [#Explanation]

名は[[シンダール語]]で「星の館」(Star-dome)(([[シンダール語]]のロンド(rond)は、丸天井やアーチ形の屋根、またはそのような屋根を持つ広間や館のこと。そこから転じて天(heavens)の意味もある。つまりエルロンドの名は「星空」(star-dome)の意味にもなる))の意。[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]と[[エルウィング]]の息子。[[エルロス]]の兄弟((邦訳『[[追補編]]』の索引では、エルロンドの項で「兄[[エルロス]]」とあるが根拠は不明。邦訳『[[シルマリルの物語]]』では、エルロンドが兄、エルロスが弟と訳されているが、原文は単に'''brother'''。『[[The War of the Jewels]]』の「The Tales of Years」では双子とされている))。[[ケレボルン]]と[[ガラドリエル]]の娘[[ケレブリアン]]と結婚し、[[エルラダン]]、[[エルロヒア]]、[[アルウェン]]の三人の子供の父となる。
[[半エルフ]]と呼ばれ、[[エルフ]]の隠れ里[[裂け谷(イムラドリス)>裂け谷]]の領主。伝承と医術の大家であり、[[白の会議]]の一員でもある。エルフの[[三つの指輪]]の内、最大の力を持つ[[風の指輪ヴィルヤ>ヴィルヤ]]の守護者でもあった。

>エルロンドの顔は、若くもなく、年老いてもおらず、年齢がありません。とはいえそこには、記憶に残る喜びと悲しみの数々が書きこまれていたのです。夕闇の影のようなその黒髪には銀の飾り環がはめられていました。目の色は晴れた夕暮れの灰色、そしてその日に浮かぶ光は、星々の光にまがうほどでした。かれは玉座にあってあまたの齢を重ねた王のように神々しく、同時に、力に満ちあふれた百戦錬磨の戦士のように強健でした。かれは裂け谷の主であり、エルフにも、人間の間にも隠然たる力を持っていました。((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]]』))

*** 第一紀、第二紀のエルロンド [#kc5d24b4]

>「だが、わたしの記憶は上古の時代にまでさかのぼる。エアレンディルがわが父である。わが父は没落前の[[ゴンドリン]]で生まれた。わが母は、[[ドリアス]]の[[ルシアン]]の息子、[[ディオル>ディオル(ベレンの息子)]]の娘、エルウィングである。わたしは西方世界の三つの時代を見てきた。多くの敗北と、多くの空しい勝利を見てきた。」((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]] 下』「二 エルロンドの会議」))

[[第一紀]]末に[[シリオンの港]]に生まれる。父[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]が[[西方>アマン]]を目指す航海に出て留守になると、港は[[シルマリル]]の一つを求める[[フェアノールの息子たち]]の攻撃を受け、母[[エルウィング]]はシルマリルを抱いたまま海に身を投げて行方不明になった。エルロンドとエルロスの兄弟はフェアノールの息子たちの捕虜になるが、自らの行為を悔い兄弟を憐れに思った[[マグロール]]に養育されて育ち、兄弟もマグロールを愛した。

[[第二紀]]以降、エルロンドは[[エルフ]]として生きる道を選び、[[中つ国]]に留まる。はじめは[[ギル=ガラド]]、[[キーアダン]]と共に[[リンドン]]に住まい、[[サウロン]]が正体を隠して[[エルフ]]に接近を試みた時には、ギル=ガラドと共に彼を訝しみリンドンから締め出した。[[サウロン]]の正体が判明し、[[力の指輪]]を巡る戦いで[[エレギオン]]が荒廃すると、リンドンの軍勢を率いてエレギオン救援に赴く。エレギオンを救うことはできなかったが、エルロンドはエレギオンの[[ノルドール]]の残党を率いて[[イムラドリス(裂け谷)>裂け谷]]の隠れ家を造り、サウロンが[[エリアドール]]を席巻している間それに抵抗し続けた。

サウロンがエリアドールから駆逐されると、エルロンドはギル=ガラドよりエリアドールの副摂政(vice-regent)に任じられ、青の指輪[[ヴィルヤ]]を託される。[[最後の同盟]]の戦いではギル=ガラドの伝令使を務め、[[オロドルイン]]山腹で行われた最後の戦いにおいては[[キーアダン]]、[[イシルドゥア]]と共に、ギル=ガラドと[[エレンディル]]が倒れ、サウロンもまた打ち倒されるのを目撃した。イシルドゥアが[[折れたナルシル>アンドゥリル]]の柄本でサウロンの指から[[一つの指輪]]を奪い取ると、それを[[オロドルイン]]の火口に投ずるべきだと、キーアダンと共に助言する。だがイシルドゥアはそれを無視して、指輪を「購いの品」として、自分のものにした。

*** 第三紀のエルロンド [#e96e8282]

[[第三紀]]にはエルロンドは[[イムラドリス]]に戻り、密かに[[ヴィルヤ]]の力を使ってそこを守護しつつ、叡智と伝承を蓄えた。エルロンドは[[「最後の憩」館]]の館主として、助けを求めてやってくる[[自由の民]]に、休息と助言を提供し続けた。

以後エルロンドは自ら出陣することはなかったようだが、[[緑森大森林>闇の森]]に影が落ち、[[イスタリ]]が[[西方>アマン]]からやってくると、[[死人占い師]]の脅威に対抗するために結成された[[白の会議]]の一員となる。

[[アングマール]]の脅威にさらされた[[アルノール]]には、援助のために[[グロールフィンデル]]をはじめとしたイムラドリスのエルフを派遣し、北方からサウロンの軍勢を駆逐するために協力するなどしている。1975年の[[フォルンオスト]]の合戦では、[[エアルヌア]]率いる[[ゴンドール]]からの援軍と協力して[[魔王]]の軍勢を殲滅することに成功したが、アルノールの滅亡を防ぐことはできなかった。
アルノールの滅亡後は、「折れたる剣」[[ナルシル]]や[[アンヌーミナスの王笏]]といった王家伝来の宝器を預かって保管していた。また、生き残ったアルノール王家の末裔([[野伏]]の族長達)を裂け谷に引き取って養育するようになる。[[アラゴルン二世]]も幼少期は裂け谷に住み、エルロンドの養子として育てられた。

2509年、妻の[[ケレブリアン]]が[[ロスロリアン]]からの帰りの途上、[[霧ふり山脈]]で[[オーク]]に捕えられ、拷問を受ける。ケレブリアンは[[エルラダン]]と[[エルロヒア]]によって救出され、受けた傷はエルロンドが癒したものの、彼女はもはや[[中つ国]]で生きる望みを失い、翌年[[西方>アマン]]へ去った。

*** 物語本編の中でのエルロンド [#w0b1f24e]

エルロンドは『[[ホビットの冒険]]』『[[指輪物語]]』において、共に旅の助言者として登場する。

『ホビットの冒険』においては、[[エレボール]]へ遠征する途上の[[トーリン>トーリン二世]]一行を[[「最後の憩」館]]に迎えて、休息と助言を提供した。
エルロンドは[[ドワーフ]]たちの[[スマウグ]]への復讐と[[はなれ山]]の奪還については不本意だったが、[[龍]]を強く憎んでおり[[谷間の国]]の荒廃を嘆いていたため、トーリンたちに協力。[[スライン二世]]が残したはなれ山の地図の[[月光文字]]を解読し、また[[グラムドリング]]と[[オルクリスト]]の由来を教えた。
エルロンドは[[ドワーフ]]たちの[[スマウグ]]への復讐と[[はなれ山]]の奪還については不本意だったが、[[龍]]を強く憎んでおり[[谷間の国]]の荒廃を嘆いていたため、トーリンたちに協力。[[スライン二世]]が残した[[スロール地図]]の[[月光文字]]を解読し、また[[グラムドリング]]と[[オルクリスト]]の由来を教えた。

『指輪物語』においては、[[一つの指輪]]を携えて[[裂け谷]]への逃亡を果たそうとする[[フロド・バギンズ]]を助けるため、[[グロールフィンデル]]をはじめとした[[ナズグル]]に対抗できる[[上のエルフ]]を送り出し、フロドが[[ブルイネン]]の浅瀬に到達した時には[[ガンダルフ]]と共に川の水を氾濫させ、ナズグルを押し流した。
そして「医術の大家」として、[[モルグルの刃]]に刺されたフロドを治療し、無事に刃の破片を取り出すことに成功した。

一つの指輪の再発見と時を同じくして、各地の[[自由の民]]が助言を求めて裂け谷に集まってきたことを運命と受け取ったエルロンドは、[[サウロン]]の脅威に対抗すべく[[エルロンドの会議]]を開催、見出された一つの指輪の処遇を話し合った。エルロンドは一つの指輪を[[オロドルイン]]の[[滅びの罅裂]]に投じて破壊すべきだと最初に提言し、唯一名乗り出た[[フロド・バギンズ]]を[[指輪所持者]]に指名した。彼と共に行く[[指輪の仲間]]を選んだのもエルロンドである。

また、エルロンドにとって[[指輪戦争]]はもう一つの局面を持った戦いでもあった。

>『わたしが失うことによって人間の王権が回復されるのかもしれぬ。おそらくそのような定めであったのだろう。それゆえ、わたしはそなたを愛しているにもかかわらず、これだけは言っておく。 …… ゴンドールとアルノール両国を統べる王以上の人間でなければ、何人もアルウェンを花嫁にはできぬ。その時はわれらの勝利でさえ、わたしにもたらされるのはただ悲しみと別れのみである――しかしそなたにはしばしの喜びの望みをもたらそう。』((『指輪物語 [[追補編]]』「アラゴルンとアルウェンの物語(その一部)」))

[[追補編]]に収録されている「[[アラゴルンとアルウェンの物語]]」では二人の仲とアルウェンの選択を知った時、[[アラゴルン二世]]に上記のような[[統一王国>亡国の民の王国]]再建の難題を課した次第が語られている。
エルロンドはアラゴルンを援助するため、集結した[[北方の野伏>野伏]]と共に息子の[[エルラダン]]・[[エルロヒア]]を南に派遣し、[[アルウェン]]の織った王旗と助言を託した。エルロンドの助言には[[死者の道]]のことが言及されており、これがアラゴルンに[[ロヒアリム]]と別行動を取らせ、[[灰色の一行]]を率いて死者の道を経由して[[ゴンドール]]に向かうことを決意させる一助となった。

[[指輪所持者]]の任務と、アラゴルンに課せられた難題がともに達成されると、エルロンドは[[アルウェン]]および[[裂け谷]]家中の者を引き連れて[[ゴンドール]]まで旅し、婚礼の式において[[エレスサール王(アラゴルン)>アラゴルン二世]]に[[アンヌーミナスの王笏]]と[[アルウェン]]の手を引き渡した。
その後、[[人間]]の運命を選択した娘アルウェンと最後の別れをし、裂け谷へと戻った。

やがて[[三つの指輪]]の力が失われてゆくと、[[第三紀]]3021年([[第三紀最後の年>大いなる年#year3021]])9月29日、他の[[指輪所持者]]らと共に[[灰色港]]に到り、[[西方>アマン]]へと船出して去った。

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[ヒューゴ・ウィーヴィング]]|
|~日本語吹き替え|[[菅生隆之]]|
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[[最後の同盟]]の戦いでは、[[ハザファング]]という剣を持っている。

[[イシルドゥア]]のせいで[[一つの指輪]]が滅ぼされなかったことから、[[人間]]の弱さに不信感を持ち、指輪を厄介物として扱うといった、原作とは隔たりのある独自のキャラクター付けがなされている。また[[指輪の仲間]]が出立した後、[[アルウェン]]が[[モルドール]]の力の伸長によって衰弱すると、彼女を[[西方>アマン]]に去らせようとした。
だがアルウェンの嘆願を聞いて考え直し、鍛え直された[[ナルシル]]を[[馬鍬砦]]にいた[[アラゴルン>アラゴルン二世]]に自ら届けに向かった。そして[[死者の軍勢]]を召集するようアラゴルンに直接助言している。

** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

|~俳優|ヒューゴ・ウィーヴィング|
|~日本語吹き替え|菅生隆之|
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『思いがけない冒険』では[[裂け谷]]の近くに出没した[[オーク]]を、自ら兵を率いて掃討した様子が描かれている。
[[エクステンデッド・エディション]]では[[ガンダルフ]]との会話シーンなどが増えており、[[トーリン>トーリン二世]]が彼の祖父[[スロール]]と同様に、黄金の魅力に取り憑かれるのではないかという懸念を示す場面もある。

『決戦のゆくえ』では[[サルマン]]とともに、[[ドル・グルドゥア]]にいた[[ガンダルフ]]と[[ガラドリエル]]の救援に現れ、[[ナズグール]]と戦っている。この時[[ハザファング]]を使っているのが確認できる。

** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

&ref(ScreenShot00654.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるエルロンド); 

** コメント [#Comment]

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