#author("2019-11-28T00:51:49+09:00","","")
-ゴンドール5代目の王エアレンディル(Eärendil)については[[エアレンディル(ケメンドゥアの息子)]]を参照してください。
-星となったエアレンディル(Star of Eärendil)については[[エアレンディルの星]]を参照してください。
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* エアレンディル [#sd3dd652]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Eärendil|
|~その他の呼び名|半エルフのエアレンディル(Eärendil Halfelven) &br; 航海者エアレンディル(Eärendil the Mariner) &br; 称うべきエアレンディル(Eärendil the Blessed) &br; 光の君エアレンディル(Bright Eärendil)|
|~種族|[[半エルフ]]([[エダイン]]と[[ノルドール]]、[[ヴァンヤール]]の血を引く)|
|~性別|男|
|~生没年|[[第一紀]]503~|
|~親|[[トゥオル]](父)、[[イドリル]](母)|
|~兄弟|なし|
|~配偶者|[[エルウィング]]|
|~子|[[エルロンド]]、[[エルロス]](息子)|

** 解説 [#Explanation]

[[トゥオル]]と[[イドリル]]の息子。[[エルウィング]]と結婚し、[[エルロンド]]と[[エルロス]]の父となる。
[[第一紀]]の[[半エルフ]]の英雄。もっとも名高き航海者であり、[[中つ国]]から[[アマン]]への航海に成功して[[ヴァラール]]の助力を引き出す。その結果、彼の祖父にあたる[[フオル]]が予言したとおり、中つ国の[[自由の民]]の救世主となった。
さらにその後、エアレンディルは天空に渡り、永久に航海を続ける[[明星>エアレンディルの星]]となった。

混同されることがあるが、[[エレンディル]]とは別人。

>エアレンディルは海ゆく人よ、[[アルヴェアニアン>アルヴェアニエン]]にとどまって、[[ニンブレシル]]の木を伐るや、[[船出の船>ヴィンギロト]]をつくりあげた。((『[[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「数々の出会い」[[エアレンディルの歌]]の歌い出し))

*** ゴンドリンで、エルフと人間の望みとして誕生 [#bf3866d8]

[[第一紀]]の[[ゴンドリン]]にて、[[人間]]の[[トゥオル]]と[[エルフ]]の[[イドリル]]の息子として生まれる。彼の耳と心には父トゥオルの場合と同じく、絶えず海が語りかけていたという。ゴンドリンの没落の際には両親と共にゴンドリンを脱出し、[[シリオンの港]]へと落ち延びたが、その途中で休息した[[ナン=タスレン]]の地で父トゥオルから、水の王[[ウルモ]]が[[ネヴラスト]]の岸辺に現われた時の歌を聴き、エアレンディルの心には海への憧れが目覚めた。

*** シリオンの港の領主として [#x6c5c4a1]

[[トゥオル]]と[[イドリル]]に率いられたゴンドリンの遺民は[[シリオンの港]]に辿り着き、先に落ち延びてきた[[ドリアス]]の遺民と共に住まった。
後にエアレンディルはドリアスの王だった[[ディオル>ディオル(ベレンの息子)]]の娘[[エルウィング]]と結婚し、[[エルロンド]]と[[エルロス]]の二人の息子の父となった。
トゥオルとイドリルが西方へと航海して去った後はエアレンディルがシリオンの港の領主となり、[[ベレリアンド]]の各地から避難してきた[[エルフ]]と[[人間]]を共に治めた。

*** 西方への航海 [#d6fd5a7d]

トゥオルとイドリルが西方へと航海して去った後もエアレンディルは[[シリオンの港]]に留まったが、その後を追いたいという望みを強く抱くようになった。さらに彼は[[アマン]]に到達して[[ヴァラール]]に対し、[[中つ国]]のエルフと人間に対する助力と憐れみを請うという目的をも達成したいと願う。そこでエアレンディルは[[キーアダン]]の助けを借りて[[ニンブレシル]]の樺から[[ヴィンギロト]]という船を作り、三人の水夫([[ファラサール]]、[[エレルロント]]、[[アイランディア]])と共に西方への航海に出発する(その時に、母[[イドリル]]が残した[[緑の石]]を身につけていたと言われる)。

だがその航海は[[ヴァリノール隠し>ヌアタレ・ヴァリノーレヴァ]]によって失敗し、彼らは失望して[[中つ国]]に戻ろうとする。しかしその時、[[シルマリル]]を持った[[エルウィング]]が白い鳥の姿となってヴィンギロトに辿り着いた。彼らはシルマリルを掲げ、改めて西方への航海を再開し、その力に守られて遂にアマンに到達する。エアレンディルはアマンに上陸して、[[ヴァラール]]に中つ国のエルフと人間のため、哀れみと助力を請うた。

*** 天空の星となる [#n02cefd4]

エアレンディルの願いは聞き入れられたが、彼が再び[[中つ国]]に戻ることは許されなかった。また[[半エルフ]]である彼と妻の[[エルウィング]]、そして二人の息子である[[エルロンド]]と[[エルロス]]兄弟は、[[エルフ]]と[[人間]]いずれの種族に属するかの選択を迫られた。エアレンディルは本心では父方の人間寄りだったが、選択をエルウィングに委ね、エルフの運命を選んだ彼女に自分も倣った。
[[ヴィンギロト]]は天空を航行する船となり、額に[[シルマリル]]を結びつけたエアレンディルはそれに乗って空の彼方、はるか虚空へまでも航海することになる。シルマリルの光は、[[中つ国]]のエルフや人間への希望の星として空に輝くようになった。[[中つ国]]では、ヴィンギロトが虚空に向かうときと虚空から帰ってくるとき、つまり明け方と宵の時間に空に見ることができる。我々の世界で「明けの明星」「宵の明星」として知られているのが、[[エアレンディルの星]]である。

*** 怒りの戦いへの参加 [#e926354d]

エアレンディルは[[怒りの戦い]]で翼を持つ[[龍]]たちが出撃してきた時、[[ヴィンギロト]]に乗って空から参戦した。夜を徹して空中で闘った末、エアレンディルは日の出前に黒竜[[アンカラゴン]]を打ち倒した。空から墜落したアンカラゴンが激突して、[[サンゴロドリム]]の塔は毀たれた。

*** その後 [#v65d1ca4]

『[[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』作中において、[[裂け谷]]で[[ビルボ・バギンズ]]が作って歌っていたのが[[エアレンディルの歌]]である。[[ガラドリエル]]が[[フロド・バギンズ]]に与えた[[玻璃瓶]]には、[[エアレンディルの星]]の光が込められている。

[[ダゴール・ダゴラス]]の時にエアレンディルは地上に戻り、彼の持つ[[シルマリル]]を差し出して最後の戦いに参加すると予言されているという。

** 名前について [#f3af0447]

以下の名前及びその説明は『[[The Peoples of Middle-earth>The History of Middle-earth/The Peoples of Middle-earth]]』の「The Shibboleth of Fëanor」による。

:エアレンディル(Eärendil)|[[クウェンヤ]]で「わたつみを愛する者(Lover of the Sea)」の意味。父[[トゥオル]]が与えた[[父名>エッシ]]。人間であるトゥオルがこの予言的な名を付けたのは、彼の前に顕現した[[ウルモ]]が[[ゴンドリン]]で生まれる息子が航海者として名声を得ることを予言したからだという。
:Ardamírë(アルダミーレ)|Ardamir(アルダミア)とも表記される。クウェンヤで"Jewel of the World"([[世界>アルダ]]の宝石)の意味。母[[イドリル]]が与えた[[母名>エッシ]]。彼の持つ運命を予見した名。

** 備考 [#Notes]

エアレンディルの名とその物語は、8~9世紀頃の[[古英語]]宗教詩人キュネウルフ(Cynewulf)による詩『キリスト(Crist)』の一節に由来する。

>Eala Earendel engla Beorhtast &br; ofer middangeard monnum sended
>おお、エアレンデル、天使らの中にありて光輝きわまりなきもの &br; 人の世に送られて、中つ国の空にかかる((訳文は『[[J.R.R.トールキン 或る伝記]]』による))

大学在学中にこの詩を目にして強いインスピレーションを受けた[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]は、その後1914年頃に「宵の明星、エアレンデルの航海(The Voyage of Éarendel the Evening Star)」後に「エアレンデルの最後の航海(The Last Voyage of Eärendel)」と改題される詩を書いた。
この詩が、トールキンの[[中つ国]]([[アルダ]])にまつわる神話体系の最初のものとなった。

** コメント [#Comment]

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