#author("2023-01-29T11:37:48+09:00;2023-01-29T00:42:37+09:00","","")
* ウンゴリアント [#pb60d6f8]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Ungoliant|
|~その他の呼び名||
|~種族|[[蜘蛛]]|
|~種族|[[蜘蛛]]の形をした悪霊|
|~性別|女|
|~生没年|不明|
|~親|不明|
|~兄弟|不明|
|~配偶者|多数|
|~子|多数|
|~子|多数(末裔に[[シーロブ]])|

** 解説 [#Explanation]

[[二本の木の時代]]以前から生息した[[大蜘蛛>蜘蛛]]。
ウンゴリアントは、[[アルダ]]を取り巻く暗闇からやって来た。その後、[[メルコール(モルゴス)>モルゴス]]は自分の召使いとするためウンゴリアントを堕落させたが、ウンゴリアントは自らの食欲を満たすことのみをよしとしたためメルコールと袂を分かっていた。それからウンゴリアントは[[エルダマール]]湾の南、[[ペローリ]]山脈の東の裾の[[アヴァサール]]にいた。
[[上古]]の世を騒がせた巨大な[[蜘蛛]]の形をした悪霊。
もともと[[メルコール(モルゴス)>モルゴス]]が自分の召使とするために堕落させた存在だと言われるが、彼女は自らの食欲を満たすことのみをよしとしてメルコールとは袂を分かっていた。やがて[[アルダ]]を取り巻く暗闇からやってくると、次第に光に引き寄せられて[[アマン]]へ忍び寄り、[[ペローリ]]山脈の東の裾野[[アヴァサール]]に潜んだ。

そこに[[ヴァリノール]]から逃走した[[モルゴス(当時はまだメルコールと呼ばれていた)>モルゴス]]がやってきて、自分の[[ヴァリノール]]に対する復讐に協力するよう要求。その代償としてモルゴスは、ウンゴリアントが求める物を何でも与えると誓った。
ウンゴリアントはこの取引に応じ、モルゴスと共に[[ヴァリノール]]を襲撃する。その時ウンゴリアントは[[二本の木]]([[テルペリオン]]と[[ラウレリン]])の樹液を吸い尽くして枯死させた。それからウンゴリアントは闇を紡いで、自分とモルゴスの逃走を助けた。
逃走後に[[ヘルカラクセ]]で、ウンゴリアントはモルゴスが[[フォルメノス]]から奪った宝物を要求して、これらを食らい尽くす。さらに最後には[[シルマリル]]をも喰らおうとこれを要求する。だがモルゴスが拒むと、ウンゴリアントはモルゴスを糸にかけて捕らえ、息の根を止めようとした。
するとモルゴスが恐ろしい叫び声を上げ(ために以後その地は[[ランモス]]と呼ばれた)、その声によって[[アングバンド]]に潜んでいた[[バルログ]]が呼び寄せられる。モルゴスはバルログによって救出され、ウンゴリアントは煙幕を吐いて逃走した。
>かの女は、峡谷に棲み、巨大な蜘蛛の形をとり、山々の裂け目に黒い蜘蛛の糸を張りめぐらせていた。そこで見出せる限りの光を吸い上げ、それを再び糸に紡いで、窒息するばかりの闇でできた暗黒の蜘蛛の巣を作り上げていたので、もはやいかなる光もかの女の棲処には達し得ず、かの女は飢餓に瀕していた。((『[[シルマリルの物語]]』「ヴァリノールに暗闇が訪れたこと」))

その後ウンゴリアントは[[ベレリアンド]]の[[エレド・ゴルゴロス]]に住み着いて、その地の[[蜘蛛]]を喰らっては自分の子を残した([[闇の森]]の蜘蛛や[[シェロブ]]はその子孫に当たる)。やがてウンゴリアントは忘れられた南の地に姿を消し、飢えた極みに自分自身を食ってしまったと言われる。
そこに[[ヴァリノール]]から逃走してきたメルコールがやってきて、ヴァリノールへの攻撃に協力するよう要求する。ウンゴリアントは[[ヴァラール]]の力を恐れて渋ったが、メルコールは彼女の飢えが満たされるまで望むものを何でも与えると空約束をして、ついに協力を取り付ける。
二人は[[イルマリン]]で祝宴が開かれている隙をついてヴァリノールを襲撃し、メルコールが槍を突き刺した傷口からウンゴリアントが樹液を吸い上げ、毒を注入することで、[[二つの木]]を枯死させる。さらに二人は[[フォルメノス]]を襲撃すると[[フィンウェ]]を殺して宝物庫から[[シルマリル]]をはじめとする[[ノルドールの宝石]]を奪い、そのまま[[ヘルカラクセ]]を渡って[[中つ国]]へと逃亡した。
この間ウンゴリアントは暗闇を紡ぎだして襲撃と逃走を大いに助けたが、そのためにメルコールは彼女から逃れることができなかった。

ウンゴリアントは[[二つの木]]の樹液と[[ヴァルダの泉]]を飲み干して巨大に膨れ上がり、さらに逃走後にはメルコールに[[ノルドールの宝石]]を要求してそれらをすべて喰らい、さらに強大になってしまった。
彼女は[[シルマリル]]をも要求したが、メルコールが拒んだため、怒ったウンゴリアントは彼を糸にかけて息の根を止めようとした。だがこの時メルコールは恐ろしい叫び声をあげ(ためにその地は以後[[ランモス]]と呼ばれるようになった)、その声に呼び起こされて[[アングバンド]]から[[バルログ]]たちがやって来た。バルログたちは火の鞭で糸を切り裂いてメルコールを救出し、ウンゴリアントは煙幕を吐いて逃走した。

その後ウンゴリアントは[[シンゴル]]の[[王国>ドリアス]]への侵入を試みたが[[メリアン]]の力に阻まれたため、その北にある[[エレド・ゴルゴロス]]の麓の谷間に長く住み着き、その地にいた[[蜘蛛]]の姿の怪物たちと番い、かつ彼らを喰らって子を残した([[シーロブ]]や[[闇の森]]の蜘蛛はその末裔に当たる)。そのため谷間は[[ナン・ドゥンゴルセブ]]と呼ばれるようになった。
やがてウンゴリアントは忘れられた南の地へ去った。

その後の彼女について伝える物語はないが、飢えた極みに自分自身を喰ってしまったとも言われている。

*** 画像 [#x24ac486]

&ref(モルゴス/johnhowe KillingoftheTrees.jpg,,30%,ジョン・ハウ作画による二つの木を枯らすモルゴスとウンゴリアント);

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