#author("2019-12-30T18:22:32+09:00;2019-02-07T16:19:40+09:00","","")
* アングバンドの&ruby(ほうい){包囲}; [#md1b8b69]
** 概要 [#g6ae1fd0]

|~カテゴリー|[[歴史・事件]]|
|~スペル|Siege of Angband, leaguer of Angband|
|~その他の呼び名|モルゴス包囲陣(leaguer upon Morgoth)、北方の包囲(leaguer of the North)、エルダールの囲み(leaguer of the Eldar)|

** 解説 [#i782271c]

[[第一紀]]の[[宝玉戦争]]において、[[ダゴール・アグラレブ]]から[[ダゴール・ブラゴルラハ]]までおよそ四百年間に渡って続いた、[[ノルドール]]の国々による対[[モルゴス]]包囲網のこと。

[[上級王]][[フィンゴルフィン]]はこの包囲について'''自分たちの中から裏切る者が出ない限り、モルゴスは二度と再び、エルダールの囲みを突破することも、あるいは油断を見すまして自分たちを襲うこともできないであろう'''と豪語したこともあったが、実際の包囲陣はモルゴスの根拠地[[アングバンド]]の後背となる[[鉄山脈]]に阻まれてその南側までしか及んでおらず、モルゴスは配下を山脈の北側から迂回させて[[ベレリアンド]]へ送り込むことができた。そのため、包囲の間も完全に戦いが終息することはなかった。

とはいえノルドールの武勇と警戒によってモルゴスの勢力の大規模な伸長が阻まれていたのは確かで、その間[[ベレリアンド]]および[[中つ国]]の東方の地は比較的平穏を享受することができた。

*** 歴史 [#h760c6e8]

>いかにもその後、長い平和の時代が続いたのである。[[かれら>ノルドール]]の剣が、モルゴスによる荒廃からベレリアンドを守り、モルゴスの力は[[その城壁>鉄山脈]]の背後に閉じ込められていた。その頃は、新しい太陽と月の下に喜びがあり、全土が満ち足りていた。とはいえ、北方にはやはり大いなる影が垂れこめていたのである。((『[[シルマリルの物語]]』「ノルドール族の中つ国帰還のこと」))

[[ダゴール=ヌイン=ギリアス]]の後、[[ベレリアンド]]に居を構えた[[ノルドール]]の公子たちは、ベレリアンド北辺にそれぞれの領国を築いて[[モルゴス]]に対峙する。かれらは[[ドル・ダイデロス]]の国境に見張りを立てる一方、ベレリアンドを広く逍遥して助けとなる者とは誰であれ連帯を深めた。
こうした警戒が功を奏し、[[ダゴール・アグラレブ]]はノルドールの勝利に終わったが、公子たちはこれを教訓としてモルゴスへの見張りと囲みをさらに強化した。アングバンドの包囲の始まりである。

西の[[ヒスルム]]には[[フィンゴルフィン]]とその息子[[フィンゴン]]が住まい、[[エレド・ウェスリン]]と[[エレド・ローミン]]を防壁としてこの地を防衛した。
中央部は[[フィナルフィン]]の子らが守った。長兄[[フィンロド]]の下、[[アングロド]]と[[アイグノール]]は[[ドルソニオン]]に拠り、要衝となる[[シリオンの山道]]に建てられた[[トル・シリオン]]の塔は[[オロドレス>オロドレス(フィナルフィンの息子)]]に委ねられた。
東の[[ロスラン]]は防壁となるべき山地に乏しかったが、[[マイズロスの辺境国]]と呼ばれるこの地をあえて選んだ[[フェアノールの息子たち]]は苛烈な武勇でもってこの空隙を埋めた。
この時代、[[アングバンド]]の門は閉じられてその谷間には緑が芽吹き、エルフたちはしばしば[[アルド=ガレン]]まで遠乗りすることもあった。

[[ダゴール・アグラレブ]]から百年近く後、[[モルゴス]]は[[オーク]]の軍勢を極北に送り出し、包囲を迂回する形で南下させ、西から[[ヒスルム]]を不意打ちしようとした。だがそこに至るまでに発見され、[[ドレンギスト]]の入り江の奥の丘陵で待ち伏せていた[[フィンゴン]]の軍勢に敗れ、オークたちのほとんどは[[大海]]に追いやられた。
この戦いにより、モルゴスはオークだけでは[[ノルドール]]に敵わないことに気づいて別の策を模索し始めた為、平穏な状態が長く続いた。

さらに百年後、[[龍]]の祖[[グラウルング]]が初めて[[アングバンド]]の城門から出撃し、[[アルド=ガレン]]を蹂躙した。[[エルフ]]は初めて見る龍に驚き、[[エレド・ウェスリン]]や[[ドルソニオン]]へ逃げてしまったが、[[フィンゴン]]の率いる騎乗弓兵が輪となってグラウルングを取り囲んで矢を射かけ、まだ完全に成長していなかったグラウルングをアングバンドに追い返した。
この勲でフィンゴンは大いに讃えられ、後年に[[マイズロス]]から[[龍の兜]]を贈られた。

グラウルングが撃退された後はほぼ二百年に渡り、''長い平和''(Long Peace)と呼ばれる時代が続いた。この間、国境での小競り合いを除けば戦いらしい戦いはなく、[[ベレリアンド]]の[[エルダール]]は繁栄した。ベレリアンドに[[人間]]の三氏族([[エダイン]])がやって来て、エルダールの盟友となったのもこの時期である。
[[フィンゴルフィン]]はエダインを含む民の増加(それに伴う戦力の増強)、包囲の不完全さ、そして依然として存在する[[モルゴス]]の脅威を踏まえて[[アングバンド]]への攻撃を考えるようになったが、結局それが実行されることはなかった。包囲による平和裏な情勢に[[ノルドール]]の多くが満足しており、彼らは勝敗を問わず大勢の犠牲が出る戦いに打って出て、その平和を終わらせることに二の足を踏んだからである。特に[[フェアノールの息子たち]]はフィンゴルフィンに同調しなかった。一方、アングバンドの正面にある[[ドルソニオン]]でモルゴスの脅威を常日頃感じていた[[アングロド]]と[[アイグノール]]は攻撃に賛成だった。

長い平和は[[ダゴール・ブラゴルラハ]]によって突如として破られ、[[エルダール]]と[[エダイン]]の敗北によってアングバンドの包囲も終わりを迎えた。

** コメント [#s14043ae]

#pcomment(,,,,,,reply)