#author("2017-01-11T03:30:20+09:00","","")
#author("2017-01-15T01:13:03+09:00","","")
* いとしいしと [#gb4206f9]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[言葉・単語]]|
|~スペル|(my) precious|
|~異訳|[[僕チン]]、愛シ子ちゃん|
|~その他の呼び名||

** 解説 [#Explanation]

[[ゴクリ]]が[[一つの指輪]]を呼ぶ言葉。「いとしいひと」ではなく「いとしい'''しと'''」なのは、'''my precioussss'''と時折原文で摩擦音が強調されているものを[[瀬田貞二]]が日本語的に再現したため。
ゴクリは自己と指輪を半ば同一視し、指輪に向かって絶えず独り言のように話しかけることを常としていた。そのため「いとしいしと」は指輪への呼びかけであると同時に彼自身への呼びかけでもあり、一人称も基本的に「わしら」と複数形を使用した。((『[[ホビットの冒険]]』の初版では[[ゴクリ]]の自分自身に対する呼びかけだったが、第2版(1951)で[[なぞなぞ遊び]]の場面が改訂され、指輪に対する呼びかけにもなった。))

>「いてて、ス、ス、ス! 気いつけろ、いとしいしと! 急がば、まわれ。わしら、首根っこ折るようなしどいことしちゃなんねえぞ、いとしいしと、なんねえとも、いとしい――ゴクリ!」((『[[指輪物語]] [[二つの塔]]』「スメアゴルならし」 岩壁を這い下りようとするゴクリの独り言。))

[[山本史郎]]([[原書房]])訳の旧版では「[[僕チン]]」とされていたが、新版では「愛シ子ちゃん」に修正された。

*** 「いとしいもの」 [#r9a33795]

>『サウロンのありとある業のうちにて唯美しきはこれのみ。このものを贖うに、大いなる痛手をはらいたるも、予にとりていとしきものなればなり。』((『[[旅の仲間]]』「エルロンドの会議」 [[イシルドゥア]]の巻物にあった言葉。))

>「いっときますが、これはわたしの物ですからね。わたしの持ち物、わたしのいとしいもの。そう、いとしいものなんだ。」((『[[旅の仲間]]』「待ちに待った誕生祝い」 指輪を手放すことを拒む[[ビルボ]]の言葉。))

[[一つの指輪]]を「いとしい」(precious)と表現したのは[[ゴクリ]]だけではない。

[[イシルドゥア]]は、一つの指輪について記述した巻物の中でそれを''予にとりていとしきもの''(precious to me)と呼んでおり、これが彼の手に入ることになった[[サウロン]]との[[戦い>最後の同盟]]で弟[[アナーリオン]]と父[[エレンディル]]を喪ったにも関わらず、なおそう感じられると書き残している。

[[ビルボ・バギンズ]]もまた、[[誕生祝い>ビルボの別れの宴]]の後に指輪を手放すことを[[ガンダルフ]]に迫られた際、激昂して''わたしのいとしいもの''(my precious)と口走った。指輪に対してビルボがゴクリと全く同一の表現を用いたことはガンダルフを愕然とさせ、この指輪が健やかならざるものであるという彼の疑惑を確信に変える決定打となった。

映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』では[[スマウグ]]も、正体は知らぬものの一つの指輪の存在を感じ取り「いとしい……」と表現している。

** コメント [#Comment]

#pcomment(,,noname,,,,reply)