#author("2016-06-06T08:12:53+09:00","","")
* &ruby(りゅう){龍}; [#af1c6fc8]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[種族]]|
|~スペル|dragon, drake((dragonを意味する中期英語))|
|~異訳|竜、ドラゴン、ドレイク|
|~その他の呼び名|ウルローキ(Urulóki) &br; 北方の火龍(the fire-drakes of the North) &br; 長虫(worm, long-worm, great worm)((英語の'''worm'''は芋虫やミミズ、蠕虫など体の長い生き物全般を指し、特に古語表現では蛇を意味する。古英語では'''wyrm'''であり特に大蛇(serpent)を意味し、ベーオウルフ等の伝承文学では龍を指しても使われる。日本語の'''長虫'''(ながむし)は蛇を指す異称。))|

** 解説 [#Explanation]
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[[上古]]に[[モルゴス]]が[[アングバンド]]で作り出した巨大な怪物。[[怒りの戦い]]でほとんどが滅ぼされたが、一部は[[第三紀]]まで生き残った。
[[クウェンヤ]]では「火の蛇」(fire-serpent)を意味する''ウルローキ''といい、その始祖は[[グラウルング]]である。

『[[指輪物語]]』では''竜''の字が使われているが、[[新版]]『[[シルマリルの物語]]』では''龍''の字が使われている。

** 特徴 [#zbc88885]

:外見|~巨大でとぐろを巻くほどの長い体を持ち、足は四本。体は硬い鱗に包まれており、通常の攻撃を寄せ付けないが、腹の側だけは柔らかく容易に致命傷を受ける。[[怒りの戦い]]では、空を飛ぶ''翼を持った龍''(the winged dragons)が初めて現れた。
:能力|~強い生命力と怪力を持つ。口から炎を吐くことのできる者もおり、龍の火は[[力の指輪]]を溶解させられるほど強力であるという。翼を持ち飛行することのできる者もいる。十分に成長した龍の鱗は、通常の攻撃を寄せ付けないほど堅い。聴覚や嗅覚にも優れ、遠くからでも敵の接近を察知できる。また非常に高い知能を持って悪巧みを行う。呪言や邪視の力を持つものもいる。
寿命は長く、年を取るごとに成長して強力になっていき、狡知も深まっていく。だがその分、成長も遅く、龍の祖[[グラウルング]]は初めて存在を知られてから完全に生長しきるまでに200年以上かかっており、それまでは身を鎧う鱗が完全ではなく傷つきやすかった。
:文明・文化|~文明と言えるものはなく、もっぱら単独で暮らす様子がある。自分で作ることも使うこともしないのに金銀宝石などの宝物を好み、奪い取ったそれらを積み上げて体を横たえて眠り、死蔵する。また高い狡知を持つためか、謎かけの魅力に抗えないという性質がある。
:住居|~[[エルフ]]や[[ドワーフ]]、[[人間]]などの砦、洞窟などを奪って住み着く。
:歴史|~[[第一紀]]の[[アングバンド]]包囲の時代にはじめて竜の祖[[グラウルング]]が地上に現れ、[[エルフ]]諸侯を仰天させる。グラウルングは[[ダゴール・ブラゴルラハ]]で[[モルゴス]]軍の先陣を切って突撃し、包囲を打ち破った。
[[ニアナイス・アルノイディアド]]ではモルゴス軍の切り札としてグラウルングの他にも多くのウルローキ(火龍)族が出撃し、やはりエルフと[[人間]]に大損害を与えた。その後グラウルングは、自らが滅ぼした[[ナルゴスロンド]]に巣食って周辺の脅威となったが、最後には[[トゥーリン・トゥランバール>トゥーリン]]に退治された。
[[怒りの戦い]]では、モルゴスの最後の切り札として[[アンカラゴン]]をはじめとする翼ある龍達が出撃し、一時は[[ヴァリノール]]の軍勢をも押し返すほどの猛威を見せた。この翼ある龍達は[[ヴィンギロト]]で駆けつけた[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]と[[大鷲]]達によって退治され、アンカラゴンの落下によって[[サンゴロドリム]]は毀たれる。この怒りの戦いで龍達はほとんどが滅ぼされた。
[[第三紀]]には[[ロヴァニオン]]北方の[[灰色山脈]]やその麓[[ヒースのかれ野]]に主に巣食っていたらしく、付近の[[ドワーフ]]や[[人間]]に脅威を与えた。特に[[フラム]]に退治された[[スカサ]]や、ドワーフを襲った[[大冷血竜>冷血竜]]などが知られている。
2770年に灰色山脈から飛来して[[エレボール]]と[[谷間の国]]を滅ぼした[[スマウグ]]は翼を持った火龍で、2941年に[[バルド]]に退治されるまでエレボールの廃墟に巣食い、北方の大きな脅威であった。
スマウグの死後、強力な火龍の類は途絶えてしまったと思しい(('''竜の火は力の指輪を溶かし、焼き尽くすことができると昔からいわれておった。しかしこの地上には、それだけの熱を持った古い火を体内に燃やしている竜は、もはや残っておらん。'''[[指輪物語]]本編の[[ガンダルフ]]のセリフ))。
:氏族|~厳密な定義はないが、翼のない龍は長虫(worm)と呼ばれることがあるようである(長虫は龍全般に対する別称としても使われる)。火を吐くウルローキ(火龍)とは別に、[[冷血竜]]という種類もいたようだ。ウルローキは[[グラウルング]]を祖とする。翼ある龍の中で最強の存在は[[アンカラゴン]]である。
:言語|~複数の言語を操る。
:偏見|~他の全ての種族を蔑視しており、略奪の対象としか思っていない。

*** 名の残っている龍 [#bf28f100]

- [[グラウルング]]
- [[アンカラゴン]]
- [[スカサ]]
- [[大冷血竜>冷血竜]]([[ダイン一世]]を殺した)
- [[スマウグ]]

** その他 [#f58015be]

原作者の[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]は幼少時から龍を非常に好み、手がけた作品のほとんどに龍を登場させ、龍を題材にした詩も残している。

『仔犬のローヴァーの冒険』では、月の裏側に住み蝕などを起こさせる「白い龍」が登場している。トールキン自身によるこの白い龍の挿絵のデザインは、後に『[[ホビットの冒険]]』の地図にある[[スマウグ]]の図像に転用された。月の白い龍はトールキンが子供達のために書いた『[[サンタ・クロースからの手紙]]』でも言及されている。
『[[農夫ジャイルズの冒険]]』では、主人公ジャイルズに&ruby(こうびとう){噛尾刀};(龍退治のために鍛えられた剣)で脅されて言うことを聞かされる「黄金龍」が登場する。

>どんな世界にいようと、竜がいるところは別世界なのである。&ruby(ファンタジー){空想};、すなわち別世界を創造したり、あるいは眺めたりすることは、妖精の国を知りたいという願望の真髄だったのである。私は竜を深く望んだ。近所に竜がいて、比較的安全な私の世界に侵入してくることを、この臆病な私が願わなかったことはもちろんである。 ...... しかし、想像のうちにおいてだけでも、ファフニールをもつことのできる世界は、たとえどんな危険が伴うにしても、平穏な私の世界よりも、はるかに豊かで美しい世界である。((『[[妖精物語について]]』より))

** コメント [#Comment]

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