* &ruby(のぶせ){野伏}; [#s29ae472]
** 概要 [#sef2ba67]

|~カテゴリー|種族|
|~スペル|Ranger|
|~異訳|さすらい人|
|~その他の呼び名||

** 解説 [#ab922de6]

主に北方の流浪の[[ドゥーネダイン]]の俗称。『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』では「さすらい人」と訳されている。
[[北方王国]]の滅亡後、生き残った[[エリアドール]]のドゥーネダインは、「ドゥーネダインの族長」である[[イシルドゥア]]の直系の者によって束ねられ、[[エルロンド]]らと協力しながら北方の[[サウロン]]の残党と戦い続けた。以後彼らは野伏と呼ばれ、その土地の人々に訝しがられながらもさまざまな土地を放浪し、人知られず人々を守った。

>しかし[[ブリー村]]の先の荒れ果てた土地には、得体の知れない放浪の民がいました。ブリー村の人々はかれらのことを野伏と呼び、彼らの素性については何一つ知りませんでした。かれらはブリー村の[[人間]]たちよりも背が高く、色は黒く、ふしぎな視力と聴力をもち、鳥や獣の言葉を解すると信じられていました。かれらは思いのままに南にさすらい東にさすらい、[[霧ふり山脈]]にまでも足をのばしました。しかし今ではかれらはごく少人数で、その姿を見かけることも稀になりました。かれらが姿を見せるときには、遠い国々の噂をもたらし、すでに忘れられた数々のふしぎな話をきかせてくれるので、ブリー村の住人たちは熱心にそれらの話に聴き入ったのですが、それ以上かれらと親しくしようとはしませんでした。((『[[旅の仲間]]』「[[躍る小馬亭]]で」冒頭の解説))

>「しかし、ふるさとというものがもしわたしにあるとすれば、それはここ北方の地にある。なぜなら、[[ヴァランディル>ヴァランディル(イシルドゥアの息子)]]の世襲たちは、父から子へと何世代にもわたって途切れることなくずっとこの地に住まってきたからだ。われらの時代は暗くなり、われらの数もへった。しかし剣は次々と新たな持ち主へ渡されてきた。[[ボロミア]]よ、最後にこれだけ申し上げよう。われら荒野の野伏たちは、孤独な人間だ。われらは野伏であり、狩猟者である――といっても、常にわれらの敵の召使どもを追い求める狩猟者なのです。と申すのは、かれら召使どもは[[モルドール]]のみならず、そこかしこに見いだされるからです。
「ボロミアよ、[[ゴンドール]]が堅固な塔であったと申されるなら、われらはわれらでまた別の役割を果たしてまいった。あなた方の強固な城壁や輝く剣をもってしても防ぎきれない悪しきものたちがたくさんいるのです。あなた方はご自分の国境の外の国々のことはほとんどご存じない。平和と自由、とあなたはいわれるか? もしわれらの存在がなければ、北の国々もこの二つのものをほとんど知ることがなかったでありましょう。恐怖がかれらを滅ぼしたでありましょう。しかし、家なき無人の山々から、昼なお暗き森林から、暗いものたちがひそかに忍び出てきても、かれらはわれらを見てたちまち逃げ失せます。もしわれらドゥネダインが惰眠をむさぼっていたとしたら、あるいは一人残らず死に絶えてしまってたとしたら、人はどの道を安心して通ったらいいのだろうか? 平和な国々や、素朴な人々の家々に、夜分どのような安全が保証されているというのだろうか?
「しかもわれらは、それに対してあなた方よりも感謝されることが少ない。旅人たちは我らを見て顔をしかめ、里人たちはわれらを軽蔑の名で呼ぶ。[[ある肥った男>バーリマン・バタバー]]からすれば、わたしは『[[馳夫]]』なのだ。その男は、敵が一日もかからないで歩いてこられる所に住んでいるというのに。もしわれらによって絶えず守られているのでなければ敵はその男の心の臓まで凍らし、その[[小さな町>ブリー村]]を廃墟と化してしまうだろう。しかしわれらが、そうはさせないだろう。素朴な者たちは心配や恐怖を知らなければ、素朴なままでいられるのだ。そのためにわれらは隠れていなければならぬ。われら一族はこれを任務としてきた。その間に年月は移り変わり、草は伸びた。((『[[旅の仲間]]』[[エルロンドの会議]]で[[アラゴルン二世]]が[[ボロミア二世]]に語った台詞))

彼らの一部は[[灰色の一行]]の一員として、[[アラゴルン>アラゴルン二世]]たちとともに[[ゴンドール]]へと遠征した。

*** アルノールの野伏の歴代の族長 [#g93151f1]

[[北方王国]]([[アルセダイン]])最後の王[[アルヴェドゥイ]]の長子であるアラナルスが、最初のドゥーネダインの野伏の族長となった。

||名前|在位|h
|初代|[[アラナルス]]|[[第三紀]]1976~2106|
|2代|[[アラハイル]]|2106~2177|
|3代|[[アラヌゥイア]]|2177~2247|
|4代|[[アラヴィア]]|2247~2319|
|5代|[[アラゴルン一世]]|2319~2327|
|6代|[[アラグラス]]|2327~2455|
|7代|[[アラハド一世]]|2455~2523|
|8代|[[アラゴスト]]|2523~2588|
|9代|[[アラヴォルン]]|2588~2654|
|10代|[[アラハド二世]]|2654~2719|
|11代|[[アラススイル]]|2719~2784|
|12代|[[アラソルン一世]]|2784~2848|
|13代|[[アルゴヌイ]]|2848~2912|
|14代|[[アラドール]]|2912~2930|
|15代|[[アラソルン二世]]|2930~2933|
|16代|[[アラゴルン二世]]|2951~3019|

***イシリアンの野伏 [#rdb35ab9]

南方の[[ドゥーネダイン]]である[[ゴンドール]]における[[イシリアン]]の遊撃部隊も野伏(Ranger)と呼ばれている。

>日射しが熱くなるにつれ、男たちは涼気を取るために時折り覆面を外しましたので、[[フロド>フロド・バギンズ]]はかれらがりっぱな顔立ちの男たちであることを知りました。皮膚の色は薄く、髪の毛は黒っぽく、灰色の目と悲しげで誇り高い顔の持ち主たちでした。かれらは低い声で話し合っていました。初めのうちは[[共通語]]を用いていましたが、その語法は古風でした。しかしそれもやがて自国語に変わっていきました。聞くともなしに耳を傾けていたフロドは、かれらが話している言葉が[[エルフ語]]か、そうではないにしてもそれとほとんど変わらぬ言葉であることに気がついてびっくりしました。そしてかれは驚きの色を浮かべて二人を見つめました。なぜならかれはこの男たちが[[西方の王たち>ヌーメノール]]の血筋をひく南の[[ドゥネダイン>ドゥーネダイン]]であるに違いないと知ったからです。
しばらくしてかれは二人に話しかけましたが、二人とも口が重く、答えは慎重でした。かれらは自分たちの名が[[マブルング>マブルング(ゴンドール)]]と[[ダムロド]]であり、ゴンドールの兵士であること、そしてイシリアンの野伏であることを教えてくれました。かれらは敵に攻略される前のイシリアンに住んでいた者たちの子孫であったのです。このような者たちの中から[[デネソール>デネソール二世]]候は敵中潜入者を選んだのです。かれらは密かに[[アンドゥイン]]を渡り(その方法と場所についてはかれらは言おうとしませんでした)、[[エフェル・ドゥアス>エフェル・ドゥーアス]]と大河の間を徘徊する[[オーク]]やその他の敵どもを襲撃するのです。((『[[二つの塔]]』[[イシリアン]]で[[ファラミア二世]]に捕らえられた[[フロド>フロド・バギンズ]]の視点))

** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#d3e5ca78]

[[エステルディン]]を拠点として、[[エリアドール]]の各地に野伏が散らばっており、[[アングマール]]の軍勢と戦う任務についている。彼らはNPCとして、プレイヤーにクエストを与え、あるいはプレイヤーを守る存在となる。

** コメント [#y3896132]

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