#author("2017-03-09T01:35:59+09:00","","")
#author("2024-02-02T17:25:23+09:00;2024-02-02T01:43:31+09:00","","")
* 鉄拳族 [#d87c0b60]
** 概要 [#v18fcb1f]

|~カテゴリー|[[種族]]|
|~スペル|Ironfists|
|~その他の呼び名||

** 解説 [#o6c00a70]

『[[The Peoples of Middle-earth]]』に記載されている[[ドワーフ]]七氏族の一つ。その父祖は同じドワーフの氏族である[[堅鬚族]]の父祖とともに、東方の地で目覚めたという。
『[[The Peoples of Middle-earth>The History of Middle-earth/The Peoples of Middle-earth]]』に記載されている[[ドワーフ]]七氏族の一つ(“Ironfists”の公式訳は存在せず“鉄拳族”の訳は本サイトによる)。その父祖は[[堅鬚族]]の父祖とともに、東方の地で目覚めたという。

[[第三紀]]2790年に[[ドゥリン一族]]の王[[スロール]]が殺され、その死体が辱められた時、全ドワーフがその仕打ちに怒り、[[スライン二世]]の下に軍勢が集結したとあり、鉄拳族もスライン二世の要請に応じて[[ドワーフとオークの戦争>ナンドゥヒリオンの合戦]]に加勢したようである。
[[第三紀]]2790年に[[ドゥリン一族]]の王[[スロール]]が殺され、その死体が辱められた時、全ドワーフがその仕打ちに怒り、[[スラーイン二世]]の下に軍勢が集結したとあり、鉄拳族もスラーイン二世の要請に応じて[[ドワーフとオークの戦争>ナンドゥヒリオンの合戦]]に加勢したようである。

** 派生作品における設定 [#e4a56433]
** 『[[Iron Crown Enterprises]]』の設定 [#df97db46]

***[[Iron Crown Enterprises]]』の設定 [#df97db46]
鉄拳族に該当する氏族として、始祖の名をとって「セーロルの一族」(Thélor's tribe)と呼ばれる氏族が登場する。

鉄拳族に該当する氏族として、始祖の名をとって「セロールの一族」(Thelór's tribe)と呼ばれる氏族が登場する。
全氏族の中でも最も悲劇的な命運を辿った氏族。当初霧ふり山脈の北端にあるグンダバド山に本拠地を構えたが、長年[[ドゥリンの一族>長鬚族]]との抗争が続き、さらに度々[[オーク]]の攻撃を受けたためやむを得ず東方へと移住した。彼らは[[リューン]]の山に移り、およそ700年間平和のうちに繁栄した。
しかし、一族の王セーロル14世(Thélor XIV)とその兄弟スーリン(Thúlin)の間で王座を巡る凄惨な争いが起こり、平和な時代は終焉。スーリンは奢れる王を殺害し、自ら玉座に就いた。しかしそのスーリンもまたセロールの娘スリース(Thrîs)によって討たれ、スリスの息子スレリン(Threlin)が王となった。
スレリンは一族の生き残りを集めてさらに南へ移住。山脈エレド・ハムラルに新たな国ナマガルーズ(Namagaluz)を建設した。この都市はへブ・アーラーン(Heb Aaraan)の湖の畔に門戸が築かれており、近隣にはチェイ(Chey)をはじめとする人間の国々もあった。こうした立地条件もあって、この国は中つ国の[[中央地域>パリソール]]におけるドワーフの最大の都市として栄えた。

 全氏族の中でも最も悲劇的な命運を辿った氏族。当初霧ふり山脈の北端にあるグンダバド山に根拠地を構えたが、長年[[ドゥリンの一族>長鬚族]]との抗争が続き、さらに度々[[オーク]]の攻撃を受けたためやむを得ず東方へと移住した。彼らは[[リューン]]の山に移り、およそ700年間平和のうちに繁栄した。
 しかし、一族の王セロール14世(Thélor XIV)とその兄弟スーリン(Thúlin)の間で王座を巡る凄惨な争いが起こり、平和な時代は終焉。スーリンは奢れる王を殺害し、自ら玉座に就いた。しかしそのスーリンもまたセロールの娘スリース(Thrîs)によって討たれ、スリスの息子スレリン(Threlin)が王となった。
 スレリンは一族の生き残りを集めてさらに南へ移住。山脈エレド・ハムラルに新たな国ナマガルーズ(Namagaluz.)を建設した。この都市はへブ・アーラーン(Heb Aaraan)の湖の畔に門戸が築かれており、近隣にはチェイ(Chey)をはじめとする人間の国々もあった。こうした立地条件もあって、この国は中つ国の[[中央地域>パリソール]]におけるドワーフの最大の都市として栄えた。

**『[[The Lord of the Rings RolePlaying Game]]』の設定 [#of4feba7]

***『[[The Lord of the Rings RolePlaying Game]]』の設定 [#of4feba7]

鉄拳族という名称が直接登場する事はないが、身体的特徴が鉄拳族という名称に合致する氏族について言及されている。

:歴史|始祖の名をとって「シンドリの一族」(Sindri's Folk)と呼ばれている。[[中つ国]]の中央にある山脈アルダの背骨(Spine of Arda)で目覚めた後、本拠地ガミル=ナーラ(Gamil-Nâla)を築き、数千年に渡って繁栄した。山脈は彼らによって封鎖され、そこを通行あるいは侵略しようとしする[[人間]]たちには攻撃を加えた。技術の面で圧倒的に不利な立場にあった人間たちは間もなく和平を結び、交易を行うようになった。
 [[第二紀]]になると、利益さえ上げられれば相手を選ばないシンドリの一族は、[[モルドール]]とも取引し始める。[[サウロン]]は多額の黄金で彼らに武器を発注し、彼らは喜んで求めに応じた。その結果、[[最後の同盟]]との戦いが始まると、シンドリの民は[[ドゥリンの一族>長鬚族]]と[[冥王]]のどちらの陣営に属するかの選択を迫られた。多くの者は冥王と商取引以上の関係を築く事は望んでいなかったため、戦争を静観する事を選んだが、王とその配下の軍勢は[[ダゴルラド]]での戦いに参じた。
 サウロンが姿を消した後。西方のドワーフたちは彼らに裏切者の烙印を押した。また、[[ヌーメノール]]の滅亡に伴う[[アルダ]]の大変動によって彼らの住処は壊滅的被害を受けており、王が追放されたことで統一的な指導者も失われてしまう。それでも彼らは父祖の地に住み続けたが、取引相手であった[[東夷]]の国々も度重なる戦争で弱体化しており、交易という基盤が揺らぎ始めたシンドリの一族は徐々に衰退していった。
 [[第三紀]]の中ごろに起こった竜戦争(Dragons War)が一族の分裂を決定的にした。翼を持つ[[龍]]たちがアルダの背骨を占領し、ドワーフ達は[[リューン]]の各地に散り散りとなった。西方のドワーフたちは彼らの不幸を当然の報いとして忌諱するか無視した。こうしてシンドリの民は[[東夷]]に混じって細々と生きることを余儀なくされた。
[[第二紀]]になると、利益さえ上げられれば相手を選ばないシンドリの一族は、[[モルドール]]とも取引し始める。[[サウロン]]は多額の黄金で彼らに武器を発注し、彼らは喜んで求めに応じた。その結果、[[最後の同盟]]との戦いが始まると、シンドリの民は[[ドゥリンの一族>長鬚族]]と[[冥王]]のどちらの陣営に属するかの選択を迫られた。多くの者は冥王と商取引以上の関係を築く事は望んでいなかったため、戦争を静観する事を選んだが、王とその配下の軍勢は[[ダゴルラド]]での戦いに参じた。
サウロンが姿を消した後、西方のドワーフたちは彼らに裏切者の烙印を押した。また、[[ヌーメノール]]の滅亡に伴う[[アルダ]]の[[大変動>世界の変わる日]]によって彼らの住処は壊滅的被害を受けており、王が追放されたことで統一的な指導者も失われてしまう。それでも彼らは父祖の地に住み続けたが、取引相手であった[[東夷]]の国々も度重なる戦争で弱体化しており、交易という基盤が揺らぎ始めたシンドリの一族は徐々に衰退していった。
[[第三紀]]の中ごろに起こった竜戦争(Dragons War)が一族の分裂を決定的にした。翼を持つ[[龍]]たちがアルダの背骨を占領し、ドワーフ達は[[リューン]]の各地に散り散りとなった。西方のドワーフたちは彼らの不幸を当然の報いとして忌諱するか無視した。こうしてシンドリの民は[[東夷]]に混じって細々と生きることを余儀なくされた。
:外見|[[ドワーフ]]の中では比較的背が高く、痩せ型で骨ばっている。肌の色は褐色や黄色、黒が多い。髪も眼も黒い。粗末な服装で、鍛冶や呪術等、仕事に必要な道具を常に携行している。
:文化|西方のドワーフ達からはしばしば「溝のドワーフ」(Gully Dwarves)と呼ばれ軽蔑されている。国を失った後は、新たな都市を築かずに小規模な世帯ごとに纏まって暮らしている。多くの者は鍛冶職人や祈祷師として生計を立てている。特に、鉱物を使った錬金術や占術に造詣が深く、それらを利用して天候の予測、病の診断、除霊などを行うEarth-Reader(地の語り手)と呼ばれる祈祷師たちは人間たちから敬意を払われてる。中には内容を歪曲して悪事を働く者もいるが、ドワーフたちが秘術を独占しているため、彼らを頼るしかない人間たちが疑いを持つことは少ない。
:偏見|利益を重んじる性格で、利益を得られる相手ならばたとえ冥王であっても取引の対象とした。人間との接触は初め敵対的なものであり、その後の関係も彼らの造った品を人間が作った食物と交換するという利害関係を重視したもので、友情よりも恐れや畏敬の念によって成り立っていた。また、高度な技術は口外せずに独占することで、常に人間たちよりも有利な立場に立てるようにしていた。
:人物|
|~スペル|~読み|~人物|
|Sindri|シンドリ|一族の祖。ブンドゥシャル山の地下に王国ガミル=ナーラを築く|
|Darsha|ダルシャ|[[七つの指輪]]の一つを受け取り、金属と鉱物の秘密を研究。錬金術を大成させた|
|Buldin|ブルディン|ダゴラルドにおいてサウロン側に付いたことで民から信望を失う。最後の同盟との戦いの後に、新たに築いた館ヌルンキズディン(Nurnkhizdin)に支持者と逃げ込んだ。その後の運命は知られていない。|

** 『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

ゼルルカ(Zhélruka)という名で登場する。

中つ国の東にある山脈[[エレド・ケルニン(Ered Cernin)>オロカルニ]]に住んでいた氏族で、[[第一紀]]の末に起こった大変動で住処を失い、流浪の民となって西方へやって来た。
彼らの境遇を不憫に思った[[カザド=ドゥーム]]の[[ドゥリン二世>ドゥリン]]は彼らのために[[グンダバド]]の一部を居住地として割譲したが、王に率いられたZhélrukaの移住者たちはそこに辿り着く事なく、[[灰色山脈]]で消息を絶った。何年も経った頃、移住者の生き残りを名乗るグーレク(Gúrek)という一人のドワーフがグンダバドにたどり着き、語った内容によれば、[[ミスリル]]の鉱石が敷き詰められた川を見つけた彼らはその源流を辿り、金銀やその他のあらゆる宝石が埋蔵された峡谷を見つけた。彼らは旅を中断してその地にサファル=ガソル(Thafar-gathol)、別名灰色城塞(Grey Citadel)という入植地を切り開いたという。
長鬚族のドワーフたちは[[モリア]]に匹敵する富があるというその都市を何世紀も捜索したが、結局発見する事はできなかった。その都市がどうなったのか、何故Gúrekだけがグンダバドにやって来たのかは伝承にも語られていない。
殆どのドワーフはこの伝承をただの作り話だと考えているが、Zhélrukaは未だにその場所を探し求めて灰色山脈を訪れ、発見した砦の一部の領有権を主張している。また、成功する見込みの無い努力で払った無駄な犠牲の事を「要塞を探し求めて(seeking the Citadel)」と表現する諺もある。

ドワーフの[[七つの指輪]]のうち、Zhélrukaにはティンヤ(Tínya)が与えられたが、王と共に龍のフリーミル(Hrímil Frost-heart)に食われた。

長鬚族とは幾度か同盟を結んでいるが、身内以外の種族は同じドワーフであっても信用していない。特に同じく東方の山脈で目覚め、隣接して住んでいた氏族カンブラダ(Kámbrada)とは長年紛争状態にあったため、その子孫で冥王に隷属した堅斧族(Staut-Axes)の事を軽蔑している。

ドワーフとオークの戦争ではヴェラト王(Vélat)に率いられて参陣した。王が戦いで命を落とした後は息子のヴェークン二世(Vékun II)がその座を引き継ぎ、指輪戦争の時点では孫のオーテク七世(Ótek VII)が王となっている。また、オーテクの弟のインゴール(Ingór)は指輪戦争終結後にドゥリン王子がグンダバドを奪回するために結集した連合軍Gabil'akkâに参加している。

***備考 [#ed5db098]

Zhélという音節はスラヴ系の諸言語で鉄を意味する単語に広く用いられている(ロシア語のzhelezo、スロバキア語のželezo、ポーランド語のżelazoなど)。また、同じくrukaにはロシア語や南スラヴ(旧ユーゴスラビア)の諸言語で手という意味がある。
したがってZhélrukaという名称は英語のIronfistないしはIronhandをスラヴ語がクズドゥル風に訛ったものである事が分かる。また、Zhélrukaの服装もスラヴ文化を彷彿とさせる。

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** コメント [#n4f26449]

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