* &ruby(しびとうらないし){死人占い師}; [#jcb74216]
** 概要 [#oe9315f2]
#author("2023-10-28T22:17:18+09:00;2023-09-03T04:47:12+09:00","","")
* &ruby(しびと){死人};&ruby(うらな){占};い&ruby(し){師}; [#jcb74216]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|人名|
|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Necromancer|
|~異訳|死霊術士、死人遣い、ネクロマンサー、黒魔術師|
|~その他の呼び名|妖術師(Sorcerer)、きたない魔法使い(black sorcerer)|

** 解説 [#ac3b79c8]
** 解説 [#Explanation]

[[第三紀]]1100年頃、[[サウロン]]が[[ドル・グルドゥア]]に姿を現したときの呼び名。当初はサウロン自身ではなく、[[ナズグール]]の一人と考えられていた。2850年に[[ガンダルフ]]がドル・グルドゥアに潜入したとき、サウロン本人と確認される。その後2941年([[五軍の合戦]]があった年)、[[白の会議]]の攻撃を受けて、死人占い師ことサウロンはドル・グルドゥアを放棄する。
[[闇の森]]の南部にある[[ドル・グルドゥル]]を居城とした妖術師。復活した[[サウロン]]が正体を隠していた時の呼び名。

** コメント [#u69a996b]
[[第三紀]]1100年頃より現れ、その存在によって影の落ちた[[緑森大森林>闇の森]]は次第に怪物や危険に満ちた地へと変わっていき、[[闇の森]]と呼ばれるようになった。
死人占い師は闇の勢力を集め、妖術を執り行って広く恐れられた。彼が投げかける恐怖の影は[[ホビット]]族の[[エリアドール]]移住や[[エーオセーオド]]の北方移住などに影響を及ぼしている。

- 原文だとネクロマンサー。&br;死人占い師という訳はどうか・・・。&br;(左近)手前、死人でござるから・・・。&br;(三成)左、左近・・・。
- 最近、ゲームとかの影響でこの日本語訳はふさわしくない、死人使いとか死霊術師とか食屍魔とかにすべきだ、とかの意見がある。彼の名は死体を動かしたり悪霊を召喚したりするわけでなく、エルからの恩寵である死を捻じ曲げて悪しきと思わせたり、清らかな夜を汚して恐れを見させたりするとされるが故だと思う。 -- yseru
- たしかに辞書で調べても、ネクロマンサーというのは(悪魔とかによる)占い師や魔術師とかを指すもので死人使いをさす言葉ではなかったと思います。ネクロマンシーという意味の中に降霊術というのがあるからそこから死人使いなどというのが生まれたのでは?
- ホビットの冒険読んだとき、この名が不気味だった。なんだかんだ云って牧歌的なのんびりさがただよう(凶悪なスマウグですらどことなくユーモラス)あの話の中で、別格に禍々しい印象。正体は何者なんだろ、ってすごく気になった。で、何が云いたいかというと「このままでいい」に一票 -- 粥村在住 &new{2007-10-25 (木) 00:33:12};
- ↑サンセイ! -- エル・イルヴァタアル &new{2008-08-15 (金) 17:09:25};
[[賢者達>白の会議]]は当初、死人占い師を[[ナズグール]]の一人だと考えていた。
だが[[ガンダルフ]]はその正体がサウロンではないかと早くから警戒し、2063年には最初の[[ドル・グルドゥル]]潜入を行った。まだ完全に力の回復していなかった死人占い師は正体の露呈を恐れて逃亡し、それからしばらく[[警戒的平和]]がもたらされた。
しかし死人占い師は2460年には力を増してドル・グルドゥルに戻り、警戒的平和が終わる。ガンダルフは2850年に再びドル・グルドゥル潜入を決行し、死人占い師の正体が間違いなくサウロンであることを突き止めた。

#pcomment(,6,,,,,reply)
サウロンはドル・グルドゥルを拠点にして[[力の指輪]]の収集や[[一つの指輪]]の捜索を行い、また密かに[[ナズグール]]をはじめとした闇の勢力や様々な手段を使って[[自由の民]]への攻撃を行っていた。
2841年には、[[はなれ山>エレボール]]を目指し旅に出た[[スラーイン二世]]を妨害し、ドル・グルドゥルにおびき寄せて幽閉、[[七つの指輪]]の最後の一つを奪うなどしている。またガンダルフはサウロンがここから[[ロスローリエン]]と[[裂け谷]]への攻撃を計画し、それに[[スマウグ]]を利用するつもりなのではないかと危惧していた。

2941年([[五軍の合戦]]があった年)、ガンダルフの説得に応じた[[白の会議]]はドル・グルドゥルを攻撃し、死人占い師は要塞を放棄して逃亡した(『[[ホビットの冒険]]』)。
これによって北方を狙ったサウロンの当初の計画は実現しなかったが、すでにサウロンはナズグールを通じて[[モルドール]]帰還の準備を進めており、逃亡は見せかけのものだった。彼はそのままモルドールに入ると、2951年にサウロンとして公然と名乗りを上げる。同年、彼は三人のナズグールを派遣してドル・グルドゥルを再占拠した(『[[指輪物語]]』)。

** 名前について [#f1b15264]

英語の''necromancer''とはnecro-「死者」+-mancy「予言、占い」からなる言葉で、一般的に死者の霊を呼び出して未来等を占う呪術者(交霊術師)を指し、転じて魔法使いや黒魔術師全般を指しても使われた語である。訳名の''死人占い師''([[ホビットの冒険]]では''死人のたましいをよびおこす占い師''とも訳されている)はその語義を参照して選択された語と思われる。

[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]がどのような内容を念頭においてこの語を用いたのか本編の記述からは明確ではないが、『[[指輪物語]]』で[[サウロン]]は[[幽鬼>ナズグール]]や[[物言わぬ番人]]をはじめ霊的存在を配下に従えていることが言及されており、『[[シルマリルの物語]]』では[[第一紀]]のサウロンは'''亡霊と妖怪の支配者(master of shadows and of phantoms)'''((『[[シルマリルの物語]]』「ベレリアンドの滅亡とフィンゴルフィンの死のこと」))と述べられ、[[巨狼]]や[[吸血蝙蝠]]のような悪霊の宿った怪物を従えていたことや、[[ゴルリム]]を謀る時に死んだ[[エイリネル]]の姿を幻影(phantom)として見せたことなどが言及されている。
さらに『[[Morgoth's Ring>The History of Middle-earth/Morgoth's Ring]]』では明確に、サウロンは[[マンドス]]の召喚を拒んだ[[エルフ]]の悪霊を配下にして他者の肉体を奪う技などを仕込んでいたとされている。
[[ナズグール]]の首領であり妖術師である[[魔王]]もまた、[[塚人]]をはじめとした悪霊を呼び起こすことができた。

こうした点から、トールキンの用法におけるnecromancerには霊魂を使役する者との意味が含まれていることは確かなようである。

** 備考 [#note]

[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]が『[[ホビットの冒険]]』を書いた当初、死人占い師の正体は明確に決めていなかった。やがてその続編を執筆中、[[姿の見えなくなる指輪>一つの指輪]]と[[死人占い師>サウロン]]との結びつきを思いつき、『[[指輪物語]]』として書き進められた結果、現在のような設定が作られた。

>「指輪。もともとどこから来たのか? 死人占い師か? よき目的に使われればそれほど危険ではない。しかし罰が必要だ。持主は指輪をなくすか、&ruby(・・・){自分を};失うか」((『[[J.R.R.トールキン 或る伝記]]』より、ホビットの続編執筆初期のトールキンの覚え書き))

** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

|~俳優|[[ベネディクト・カンバーバッチ]]|
|~日本語吹き替え|吹き替えなし|

翻訳ではネクロマンサー、死人使いなどとされている。
[[ソーリンの一行>ソーリンとその仲間]]が[[エレボール]]へ旅をしていた頃、[[ラダガスト]]によって存在が知られる。
ラダガストが[[ドル・グルドゥル]]の廃墟で[[モルグルの刃]]を発見したことから、[[白の会議]]は[[アングマールの魔王>魔王]]ではないかと疑うが、特に[[サルマン]]はその存在そのものに懐疑的だった。

『竜に奪われた王国』にて、[[ガラドリエル]]の警告を聞いた[[ガンダルフ]]は(([[エクステンデッド・エディション]]では、[[ビヨルン]]からも警告を聞いている))、[[リュダウル]]にある魔王の塚が空になっているのを確認した後、直接死人占い師の正体を確かめるためドル・グルドゥルに向かう。その結果、正体が[[サウロン]]であることを知る。
『決戦のゆくえ』で、[[ガラドリエル]]によってドル・グルドゥルから撃退され、東へ去った。

** コメント [#Comment]

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