#author("2022-10-18T22:20:41+09:00","","")
* ミスリル [#r94d5d7d]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[物・品の名前]]|
|~スペル|mithril|
|~その他の呼び名|まことの銀(true-silver)、モリア銀(Moria-silver)|

** 解説 [#Explanation]

[[シンダール語]]でmithは「灰色の」、rilは「輝き」の意。
鉱物の一種。別名「まことの銀」、また[[モリア]]でのみ産出するため「モリア銀」とも呼ばれる。ただし『[[終わらざりし物語]]』によると、[[ヌーメノール]]でも発掘されたそうである。ミスリルは、モリアが繁栄していた時期でも、金の10倍の価値がつけられていたという。
[[シンダリン]]でmithは「灰色の」、rilは「輝き」の意。''まことの銀''とも呼ばれ、[[モリア]]でのみ産出した((ただし『[[終わらざりし物語]]』「あやめ野の凶事」によると、[[ヌーメノール]]でも産出したとされる。))ことから''モリア銀''とも呼ばれる。[[ドワーフ]]が付けたおそらく[[クズドゥル]]による名もあるが、他の種族には秘密にされているという。

この金属は、銅のように打ち延ばすことができ、ガラスのように磨ける。[[ドワーフ]]の手にかかれば、軽くてしかも鍛えた鋼よりも堅い金属に加工される。しかも、銀のように美しく、一方で銀のように黒ずむことも曇ることもないという。
[[第三紀]]末になると、地上にほとんど存在しない貴重品となっていた。ドワーフはこの金属を求めてモリアを深く掘り進みすぎ、[[ドゥリンの禍]]([[バルログ]])を呼び覚ましてしまう。
>「ミスリル! すべての民がこれを欲しがった。これは銅のように打ち延ばすことができた。またガラスのように磨くことができた。ドワーフたちはこれを軽くてしかも鍛えた鋼よりも堅い金属に作り上げることができた。その美しさはふつうの銀のそれに似ておるが、ミスリルの方はくろずむこともなく、曇ることもなかった。」((『[[旅の仲間>指輪物語/旅の仲間]]』「暗闇の旅」 [[ガンダルフ]]の言葉))

>しかし、世界でここだけにしか見いだせないものにモリア銀があった。すなわち人呼んでいうところのまことの銀、[[エルフ]]の言葉でミスリルじゃ。ドワーフたちがつけた名もあるが、かれらはそれを人にはいわぬ。当時でもその値打ちは金の十倍もあった。今では価のつけようもないほどじゃ。というのもそれは地上にはもうほとんど残されてはおらず、[[オーク]]どもですら、あえてそれをここで掘り求めようとはせぬからじゃ。鉱脈はここから北の[[カラズラス]]の方に向かって続き、暗闇の中へ下っておる。ドワーフたちは自分たちのことを語らぬが、ミスリルはかれらの富の基になったとともに、かれらの破滅にもつながったのじゃ。かれらはあまりにも貪欲に、あまりにも深く掘りすぎた。そして、そのためにかれらが逃げ出したもの、すなわち『ドゥリンの禍』の目を覚まさせたのじゃ。かれらが掘り出して明るい所にもたらしたものは、オークどもがほとんど全部かき集め、これを[[サウロン]]に貢物として贈った。サウロンめは涎が出るほどこれを欲しがっておったのじゃ。
「ミスリル! すべての民がこれを欲しがった。これは銅のように打ち延ばすことができた。またガラスのように磨くことができた。ドワーフたちはこれを軽くてしかも鍛えた鋼よりも堅い金属に作り上げることができた。その美しさはふつうの銀のそれに似ておるが、ミスリルの方はくろずむこともなく、曇ることもなかった。エルフたちはこれを非常に好んだ。そしていろんなものに用いたが、これで[[イシルディン]]、すなわちあんた方が[[扉>モリアの壁]]の上に見た星月を作ったのじゃ。((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]]』暗闇の旅 [[ガンダルフ]]の言葉))
美しく有用である上に極めて貴重な金属であり、[[モリア]]が繁栄していた当時ですら金の10倍の価値があったという。
ミスリルはモリア繁栄の礎となったが、[[ドワーフ]]は鉱脈を求めるあまり[[カラズラス]]の地下深くを掘り進み、地の底から[[バルログ]]を解き放ってしまう。[[第三紀]]1981年、モリアはバルログのために滅亡し、ミスリルは新たに産出されなくなった。さらにミスリルは[[サウロン]]垂涎の的でもあったため、それまでに産出されたものもほとんどが[[オーク]]によってかき集められ、サウロンに献上されてしまった。
こうしてミスリルは地上にほとんど存在しない、値のつけようもないほどの貴重品となった。

[[スマウグ]]が死蔵していた宝の一つに[[ミスリルの胴着]]があった。これは[[トーリン二世]]から[[ビルボ・バギンズ]]に与えられ、さらにその後[[フロド・バギンズ]]に与えられた。
また[[ネンヤ]]はミスリルで作られていた。
作中では、[[ミスリルの胴着]]、[[ネンヤ]]、[[アルウェンの旗印]]、[[エレンディルミア]]、[[城塞の近衛部隊]]の兜にミスリルが使われていることが判明している。また、[[イシルディン]]は[[エルフ]]がミスリルから作り出したものである。
[[第四紀]]に入ると、[[燦光洞]]の領主となった[[ギムリ]]と彼の民のドワーフは、[[魔王]]によって粉砕された[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]の大門に代わり、ミスリルと鋼による新たな門を作ったという。

[[第四紀]]に入ると、[[燦光洞]]の領主となった[[ギムリ]]と彼の民のドワーフは、[[魔王]]によって粉砕された[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]の城門代わりに、ミスリルと鋼による新たな門を作ったという。
** 他作品に与えた影響 [#vd37d5ab]

[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]が描く以前から言葉、伝承などで存在していた[[エルフ]]、[[ドワーフ]]などと異なり、ミスリルはトールキンの完全な創作である。だがその影響は大きく、後のファンタジー作品でも“ミスリル”という金属が頻繁に登場することとなった。

ただ''Mithril''は[[Middle-earth Enterprises]]の登録商標になったため、近年欧米では他作品においての''Mithril''という単語の使用が避けられる傾向にある。日本で作られたファンタジーもののゲーム、マンガ、ライトノベルなどでは現在も頻繁にミスリルという単語が使われているが、それらの欧米翻訳版だと綴りなどが変更されていることがある。

** ドラマシリーズ『[[ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪]]』における設定 [#RoP]

“[[霧ふり山脈]]の麓の歌(the Song of the Roots of Hithaeglir)”と言われる伝承によると、[[シルマリル]]が隠されていたという一本の木を巡りエルフの戦士とバルログが戦ったが、その木に稲妻が落ちて山の中にシルマリルの力が届き、結果シルマリルの力を宿したミスリルという金属が生まれた。そして滅びゆくエルフを救うには、[[ヴァリノール]]の光を宿したミスリルを使う必要があるという設定が独自に作られている。
原作では、シルマリルとミスリルの関連を示すものはない。

** コメント [#Comment]

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