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#author("2018-10-08T19:37:52+09:00","","")
* クウェンヤ [#z23a7999]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[言語]]|
|~スペル|Quenya|
|~異訳|クゥエンヤ|
|~その他の呼び名|古き言葉(Ancient Tongue) &br; 古い言葉(Ancient Speech)&br; &ruby(かみ){上};のエルフ語(High-elven) &br; 上のエルフの言葉(High-elven speech) &br;古エルダール語(High Eldarin tongue) &br; 西方の正統語(High Speech of the West) &br; タルクウェスタ(tarquesta)((「上の言葉」の意)) &br; パルマランベ(parmalambe)((「綴り言葉」の意))|
|~その他の呼び名|古き言葉(Ancient Tongue) &br; 古い言葉(Ancient Speech) &br; &ruby(かみ){上};のエルフ語(High-elven) &br; 上のエルフの言葉(High-elven speech) &br;古エルダール語(High Eldarin tongue) &br; 西方の正統語(High Speech of the West) &br; タルクウェスタ(tarquesta)((「上の言葉」の意)) &br; パルマランベ(parmalambe)((「綴り言葉」の意))|

** 解説 [#Explanation]

[[エルフ語]]の一つ、[[上のエルフ]]の言葉。クウェンヤは元来「言葉」の意。

元々クウェンヤは全ての[[エルダール]]が使う言語であったが、[[大いなる旅]]で[[アマン]]へ渡らず[[中つ国]]の[[ベレリアンド]]に残った[[シンダール]]の言語は次第に変化し、[[シンダール語]]を使うようになった。そのためクウェンヤは、アマンに渡った[[上のエルフ]]([[ノルドール]]、[[ヴァンヤール]])の言葉となった。
クウェンヤはもともと全ての[[エルダール]]が使う言語であったが、[[大いなる旅]]で同族と分かれて[[中つ国]]に留まった[[エルフ]]の言葉はしだいに変化していき、別の言語となった。このため古くから続くクウェンヤを保っているのは[[アマン]]へ渡った[[上のエルフ]]のみとなった。
[[第一紀]]に[[ノルドール]]族がアマンから中つ国に戻ってきたことで、クウェンヤも再び中つ国にもたらされる。以後、クウェンヤは古雅な上の言葉として、エルフと親交のある種族にも教養語として用いられるようになった。

>エレン シラ ルメン オメンティエルボ &br; Elen síla lúmenn' omentielvo
>(われらのあい出会う時、一つ星が輝く) &br; (A star shines on the hour of our meeting)((『[[旅の仲間]]』「三人寄れば」[[フロド]]が[[ギルドール>ギルドール(フィンロド王家)]]にかけた挨拶の言葉))
>エレン シラ ルメン オメンティエルボ
Elen síla lúmenn' omentielvo
>われらのあい出会う時、一つ星が輝く
(A star shines on the hour of our meeting)((『[[旅の仲間]]』「三人寄れば」[[フロド]]が[[ギルドール>ギルドール(フィンロド王家)]]にかけた挨拶の言葉))

*** 中つ国のエルフのクウェンヤ [#c72e6fcc]
*** エルフのクウェンヤ [#c72e6fcc]

[[アマン]]より帰還した流謫の[[ノルドール]]によって、[[第一紀]]の[[ベレリアンド]]にクウェンヤがもたらされた。だが[[シンゴル]]が[[同族殺害]]を犯したノルドールを忌避して[[シンダール]]にクウェンヤの使用を禁止する命を出し、ノルドールも自分たちより遥かに数の多いシンダールと交じって暮らすために[[シンダール語]]をすぐに習得して使うようになったため、以降の中つ国においてクウェンヤは日常ではほとんど使われなくなった。ノルドールの間でクウェンヤは儀礼、伝承、歌などに用いる高尚な言葉として残り続けたが、伝わった当時のままにはならず、幾分の変化も遂げた。
[[アマン]]に暮らす[[上のエルフ]]のうち、[[ヴァンヤール]]と[[ノルドール]]はクウェンヤを日常語とした。[[テレリ]]([[ファルマリ]])は他の二氏族としばらくの間分かれて暮らしていたため、そのクウェンヤはやや異なったものになった([[テレリ語]])。

[[第一紀]]に流謫のノルドールが[[中つ国]]に帰還してきたが、彼らが[[同族殺害]]を犯したことを知った[[ベレリアンド]]の王[[シンゴル]]は、クウェンヤを忌避してその使用を禁ずる。そのためノルドールは[[シンダール語]]を日常的に用いるようになった。
こうしてクウェンヤは中つ国においては日常的に用いられない言語となったが、ノルドールは儀礼、伝承、歌などには相変わらずクウェンヤを使用し、クウェンヤは高尚な言葉として残り続けた。しかし伝わった当時のままにはならず、幾分の変化も遂げた。

『[[指輪物語]]』劇中では、[[ガラドリエル]]の哀歌「[[ナマリエ]]」が、クウェンヤの歌である。

*** 人間のクウェンヤ [#t196a9aa]

[[第一紀]]の[[エダイン]]は[[ベレリアンド]]の[[エルダール]]から[[エルフ語]]を教わり、その知識は[[第二紀]]の[[ヌーメノール人]]に受け継がれ、彼らの間でクウェンヤは[[中つ国]]のエルダールと同様に高尚な言葉として扱われた。[[ヌーメノール]]の公用語は[[アドゥーナイク]]であり、エルダールとの交流では[[シンダール語]]が用いられたが、伝承に通じた者はクウェンヤを習得し、重要な地名・人名などにはクウェンヤの名が付けられ、歴代の王はクウェンヤの名で即位していた。
ヌーメノール人がエルダールと疎遠になるにつれエルフ語は忌避され、王は[[アドゥーナイク]]の名で即位するようになった([[アル=アドゥーナホール]]が初めてアドゥーナイクの名で即位した王である)。その一方で古来の慣習を破ることが恐れられ、アドゥーナホール以後の王もアドゥーナイクの他にクウェンヤでの名を持っていた。
[[第一紀]]の[[エダイン]]は[[エルダール]]諸侯に仕えて[[エルフ語]]を教わり、中にはクウェンヤを習得した者達もいた。

[[ヌーメノール]]の滅亡後、[[中つ国]]に[[亡国の民の王国]]([[アルノール]]・[[ゴンドール]])を建国した[[ドゥーネダイン]]は[[西方語]]を母語とした。彼らの間でも[[エルフ語]]の知識は生き続け、地名・人名は主に[[シンダール語]]で付けられ、クウェンヤは高尚な伝承の言葉として扱われた。
両国の王侯は元々クウェンヤの名を持ったが、アルノールでは国が分裂して生まれた後継国家の[[アルセダイン]]の王がシンダール語で名付けられるようになり、その後継である[[野伏]]の族長もそれに倣った。ゴンドールでも王に代わって国を統治するようになった[[執政]]はクウェンヤではなくシンダール語の名を持った。
その知識は[[第二紀]]の[[ヌーメノール人]]に受け継がれた。ヌーメノールの公用語は[[アドゥーナイク]]であり、エルダールと交流する時には[[シンダール語]]が用いられたが、伝承に通じた者はクウェンヤをも解し、重要な地名・人名などにはクウェンヤで名がつけられた。歴代のヌーメノール王もクウェンヤの名で即位した。
しかしヌーメノール人が堕落してエルダールと疎遠になるにつれてエルフ語は忌避され、後期の王はアドゥーナイクの名で即位するようになった(とはいえ古来の習慣を破ることが恐れられたため、後期の王達もクウェンヤの名を併せ持っていた)。

*** 備考 [#e78dae67]
エルダールへの敬愛とエルフ語の知識は[[忠実なる者]]によって保たれ、[[ヌーメノール]]の没落後は[[亡国の民の王国]]([[アルノール]]・[[ゴンドール]])に受け継がれることになる。
[[中つ国]]の[[ドゥーネダイン]]は[[西方語]]を母語とし、地名や人名には[[シンダール語]]で名をつけたが、クウェンヤも高尚な伝承の言葉として扱われた。特に王侯はクウェンヤの名を持った。
だが両国の王侯ともに次第にシンダール語を用いるようになり、クウェンヤは賢者達が知識として解するのみとなっていった。[[北方>北方王国]]では[[アルセダイン]]の時代に王達がシンダール語で名乗るようになり、後継である[[野伏]]の族長もそれに倣った。南方では王統が途絶えた後に[[執政]]がシンダール語の名を持った。

王国の再統一を果たした[[エレスサール王>アラゴルン二世]]は、再びクウェンヤの名で即位し、この古雅な言葉を復活させたようである。

*** ホビットのクウェンヤ [#vbec8fcf]

[[ホビット]]の大半はクウェンヤはもとより、[[エルフ語]]を解さない。
だが[[エルフ]]と親しく交わった[[ビルボ・バギンズ]]および[[フロド・バギンズ]]はエルフ語に堪能で、クウェンヤすら解した。ビルボは[[裂け谷]]の伝承から[[上古]]の歴史である「[[エルフ語から翻訳したもの>シルマリルの物語]]」を著した。フロドもまた、[[ギルドール>ギルドール(フィンロド王家)]]の一行にクウェンヤで話しかけて彼らを驚かし、かつ喜ばせた。

** 備考 [#e78dae67]

日本語の資料として『[[指輪物語 エルフ語を読む]]』がある。
[[トールキン>ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]は「エルフにとって(日常では使用されないが、日常言語の元になり、儀礼などでは使用され続けている)ラテン語[[(Wikipedia:ラテン語)]]に相当するもの」としてこの言葉を位置づけた。言葉自体はフィンランド語[[(Wikipedia:フィンランド語)]]が元にされている。

** 外部リンク [#Links]

- [[Quenya - the Ancient Tongue:http://folk.uib.no/hnohf/quenya.htm]]

** コメント [#Comment]

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