龍 †
概要 †
カテゴリー | 種族 |
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スペル | dragon, drake*1 |
異訳 | 竜、ドラゴン、ドレイク |
その他の呼び名 | ウルローキ (Urulóki) 北方の火龍 (fire-drakes of the North) 長虫 (worm)*2 |
解説 †
クウェンヤでは「火の蛇(fire-serpent)」を意味するウルローキと呼ばれる。上古にモルゴスが作り出した巨大な怪物。
第一紀末の怒りの戦いでほとんどが滅ぼされたが、一部は後の世まで生き残った。第三紀の頃には主にロヴァニオン北方(灰色山脈付近)に棲息していた。
邦訳では『ホビットの冒険』『指輪物語』『終わらざりし物語』では竜の字が使われているが、『新版 シルマリルの物語』では龍の字が使われている。
特徴 †
- 外見
巨大でとぐろを巻くほどの長い体を持ち、足は四本。全身が硬い鱗に包まれており、通常の攻撃を寄せ付けないが、腹の側だけは柔らかく容易に致命傷を受ける。怒りの戦いでは、空を飛ぶ有翼の龍が初めて現れた。
- 能力
強い生命力と怪力を持つ。口から炎を吐くことができ、龍の火は力の指輪を溶解させられるほど強力であるという。翼を持ち飛行することのできる者もおり、そうした龍は大変な脅威となった。充分に成長した鱗は、通常の攻撃を寄せ付けないほど堅い。聴覚や嗅覚にも優れ、遠くからでも敵の接近を察知できる。また非常に高い知能を持って悪巧みを行う。呪言や邪視の力を持つものもいる。
寿命は長く、年を取るごとに成長して強力になっていき、狡知も深まっていく。だがその分、成長も遅く、龍の祖グラウルングは初めて存在を知られてから完全に生長しきるまでに200年以上かかっており、それまでは身を鎧う鱗が完全ではなく傷つきやすかった。- 文明・文化
文明と言えるものはなく、もっぱら単独で暮らす様子がある。自分で作ることも使うこともしないのに金銀宝石などの宝物を好み、奪い取ったそれらを積み上げて体を横たえて眠り、死蔵する。また高い狡知を持つためか、謎かけの魅力に抗えないという性質がある。
- 住居
- 歴史
第一紀のアングバンドの包囲の時代にはじめて龍の祖グラウルングが地上に現れ、エルフを仰天させた。グラウルングはダゴール・ブラゴルラハでモルゴス軍の先陣を切って突撃し、包囲を打ち破った。
ニアナイス・アルノイディアドではモルゴス軍の切り札としてグラウルングの他にも多くの龍たちが出撃し、やはりエルフと人間に大損害を与えた。その後グラウルングは、自らが滅ぼしたナルゴスロンドに巣食って周辺の脅威となったが、最後にはトゥーリン・トゥランバールに退治された。
怒りの戦いでは、モルゴスの最後の切り札としてアンカラゴンをはじめとする翼を持つ龍たちがはじめて出撃し、一時はヴァリノールの軍勢をも押し返すほどの猛威を見せた。この有翼の龍たちはヴィンギロトで駆けつけたエアレンディルとソロンドール率いる大鳥たちによって退治された。
第三紀にはロヴァニオン北方の灰色山脈やヒースのかれ野に主に巣食っていたらしく、付近のドワーフや人間を悩ました。特にフラムに退治されたスカサや、ドワーフを襲った大冷血竜などが知られている。
2770年に灰色山脈から飛来して山の下の王国と谷間の国を滅ぼしたスマウグは有翼の火龍で、2941年にバルドに退治されるまでエレボールの廃墟に巣食い、北方の大きな脅威であった。
スマウグの死後、強力な火龍の類は途絶えてしまったと思しい*3。しかしその末裔は後代まで残った。- 氏族
火を吐くウルローキ(火龍)には、翼のない龍と、翼のある龍とがいる。また火龍とは別に、冷血竜という種類もいたと思われる。小さい龍は小竜(dragonet)*4と呼ばれることがある。
- 言語
複数の言語を巧みに操る。
- 偏見
他の全ての種族を蔑視しており、略奪と殺戮の対象としか思っていない。
名の残っている龍 †
その他 †
原作者のトールキンは幼少時から龍を非常に好み、手がけた作品のほとんどに龍を登場させ、龍を題材にした詩も残している。
『仔犬のローヴァーの冒険』には、月の裏側に住み蝕などを起こさせる「白い龍」が登場する。月の白い龍はトールキンが子供達のために書いた『サンタ・クロースからの手紙』でも言及されている。
『農夫ジャイルズの冒険』では、主人公ジャイルズに
どんな世界にいようと、竜がいるところは別世界なのである。
空想 、すなわち別世界を創造したり、あるいは眺めたりすることは、妖精の国を知りたいという願望の真髄だったのである。私は竜を深く望んだ。近所に竜がいて、比較的安全な私の世界に侵入してくることを、この臆病な私が願わなかったことはもちろんである。 … しかし、想像のうちにおいてだけでも、ファフニールをもつことのできる世界は、たとえどんな危険が伴うにしても、平穏な私の世界よりも、はるかに豊かで美しい世界である。*5
『Iron Crown Enterprises』における設定 †
生息している場所と翼の有無によって細かく分類されている。また、原作に登場する個体以外にも多数の名のある龍について言及されている。
氏族 †
- 洞窟龍(Cave Drakes)
- クウェンヤでロンドローキ(Rondolóki)と呼ばれる、最も初期の頃に現れた龍とその子孫。比較的小さく、翼も火を吐く能力も持たない種で、知性も後代の龍に劣る。グラウルングのように策謀を練るよりも本能に忠実なため、原石のまま輝きの無い宝石よりも、光沢のあるガラスの方を好む。縄張り意識が強く好戦的だが、他の強力な龍を恐れており、自由の民には殆ど脅威とならない。中にはスカサら名のある龍と知己であるとうそぶく個体もいる。
- 洞窟長虫(Cave Worms)
- 洞窟に住む竜の中で最も主要でかつ忌まわしい種。四肢は小さく、視力も色覚も僅かしかないため、専ら舌を感覚器兼腕代わりとしている。骨を好んで食べるが、可能なものは殆ど何でも食す。全身を粘液で保護し、頭の角で岩を砕きながら地底を這いまわる。決して地表には出てこないため、モリアなど一部の地域で見られる程度である。
- 冷血竜
- クウェンヤでヘルカローキ("Helkaloki)と呼ばれる。最も古くかつ一般的な種。他の全ての龍はこの種から派生した。亜種として翼を持たない氷龍(Ice Drakes)、地龍(Land Drakes)の他、翼を持つ種(Winged Cold Drakes)もいる。
- 水龍(Water Drakes)
- 離島や海など、水のある場所に住む種。鰭と鶏冠を持ち、身体に密着した細かい鱗を持つ。火ではなく、体内に蓄えた水を一息に噴出する水雷(Water Bolt)という能力を持つ。長期間水中に潜ることができるため、多くの個体は深い場所に隠れて滅多に姿を現さない。
- 雨龍(Rain Drakes)
- 水龍のうち、主に川や湖などの真水に生息する種。青みのかかった黒か、完全な黒色をしている。洞窟に住むものだけでなく、岩や木などで自ら巣を作るものもいる。
- リングウィローキ(Lingwilóki)
- 水龍の本種(True Water Drakes)で、あらゆる水域に生息している。殆どの個体が藍色(Deep blue)や青緑色(Sea green)をしている。日光や火を恐れているため、浅瀬や陸地には滅多に近づかない。イルカのように音波を用いて獲物を探知したり、地形を調べる事ができ、大きな個体は小型の船を掴んで押し潰すこともできる。
- 恐ろしい長虫(Were Worms)
- 砂漠や草原に住む種。見た物や念じた物に擬態するという、他の種にはない魔力を持っている。東方の山脈に住む翼を持たない種と、ハラドの砂漠に生息する有翼の砂龍(Sand Drakes)があり、ホビットの伝承ではこの2種が混同されている。
火龍 †
亜種として、沼地に住む龍(Marsh Drakes)がいる。引火性の有毒ガスを吐くが、棲息地の環境上、火を起こすよりも毒で獲物を蝕んだり、窒息させる事に使われる。
出典 †
- 『Cratures of Middle Earth』
ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定 †
翼のない種はworm、翼のある種はdrakeと定義されている。
大型の龍としては、トログやDraigochなどが登場する。ダイン一世らを殺した冷血竜には、Vethúg Wintermindという固有名がつけられている。
コメント †
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