野伏のぶせ

概要

カテゴリー役職・組織・団体
スペルRangers
異訳さすらい人*1、レンジャー
その他の呼び名北方の野伏、北の国の野伏(Rangers of the North)
北方のドゥーネダイン、北の国のドゥーネダイン(Dúnedain of the North)

解説

エリアドールにおける流浪のドゥーネダインの呼び名。

北方王国の滅亡後、生き残った同国のドゥーネダインは王統であるイシルドゥルの世継を族長として戴き、エルロンドをはじめ裂け谷エルフらと協力しながら北方に残るサウロンの手先と戦い続けた。以後彼らは野伏と呼ばれる放浪の民となり、その土地の人々に訝しがられながらも人知れずかれらを守ることを任務とした。

「われら荒野の野伏たちは、孤独な人間だ。われらは野伏であり、狩猟者である――といっても、常にわれらの敵の召使どもを追い求める狩猟者なのです。 …
平和と自由、とあなたは言われるか? もしわれらの存在がなければ、北の国々もこの二つのものをほとんど知ることがなかったでありましょう。恐怖がかれらを滅ぼしたでありましょう。 … もしわれらドゥネダインが惰眠をむさぼっていたとしたら、あるいは一人残らず死に絶えてしまってたとしたら、人はどの道を安心して通ったらいいのだろうか? 平和な国々や、素朴な人々の家々に、夜分どのような安全が保障されているというのだろうか?
しかもわれらは、それに対してあなた方よりも感謝されることが少ない。旅人たちはわれらを見て顔をしかめ、里人たちはわれらを軽蔑の名で呼ぶ。 … 素朴な者たちは心配や恐怖を知らなければ、素朴なままでいられるのだ。そのためにわれらは隠れていなければならぬ。われら一族はこれを任務としてきた。その間に年月は移り変わり、草は伸びた。」*2

野伏はガンダルフとも親交があり、ビルボからフロドに譲られた指輪が一つの指輪である疑いが出てきてからは、ガンダルフと連携してホビット庄を密かに守ってきた。しかし3018年(大いなる年)の9月22日にナズグールがやってくると、さしものドゥーネダインといえども抗しきることはできず、日暮れとともにサルンの浅瀬を突破されてしまった。

その後の指輪戦争では、彼らはアラゴルンからの召集*3に応え、急ぎ集められた30人がハルバラドに率いられて南方へ馳せ参じた。ローハンでアラゴルンを見出した野伏たちは灰色の一行としてゴンドールへ遠征し、ペレンノール野の合戦黒門の戦いに参戦。生き残った者はコルマッレンの野の栄誉礼やエレッサール王の戴冠式に列席した。

だがこれにより北方で野伏が不在になった結果、ブリー郷ホビット庄にはサルマンの息のかかったごろつきなどの無法者が浸透するようになり、土地の人々は遅ればせながらようやく野伏が果たしてきた役割に気づくことになった。指輪戦争が終結して躍る小馬亭に立ち寄ったガンダルフは、やがて王の治世の到来と共に野伏たちも戻ってきて、全ては平和に復するだろうとバーリマン・バタバーに請け負っている。

野伏の歴代の族長

名前在位
初代アラナルス第三紀1976~2106 (130年間)
2代アラハエル2106~2177 (71年間)
3代アラヌィル2177~2247 (70年間)
4代アラヴィル2247~2319 (72年間)
5代アラゴルン一世2319~2327 (8年間)
6代アラグラス2327~2455 (128年間)
7代アラハド一世2455~2523 (68年間)
8代アラゴスト2523~2588 (65年間)
9代アラヴォルン2588~2654 (66年間)
10代アラハド二世2654~2719 (65年間)
11代アラッスイル2719~2784 (65年間)
12代アラソルン一世2784~2848 (64年間)
13代アルゴヌイ2848~2912 (64年間)
14代アラドール2912~2930 (18年間)
15代アラソルン二世2930~2933 (3年間)
16代アラゴルン二世2951~3019 (68年間)

シンダリンで付けられる名前にはアルノール全土の主権を主張して接頭辞ar(a)-をつけるようになったアルゲレブ一世以来のアルセダイン王の伝統を受け継いでいる。

名前の登場する野伏

訳について

原語のRangerは、本来は英語の動詞'range'に由来するもので、「うろつく人」「歩き回る人」の意である。
日本語訳の野伏のぶせは、古語の野伏のぶし野伏のぶせりという、山野に野宿する修行僧や伏兵、山賊などの意がある言葉を元にしている。

ロード・オブ・ザ・リング』の字幕ではさすらい人レンジャー、あるいはただ単にレンジャーとなっている。

ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定

エステルディンを拠点として、エリアドールの各地に野伏が散らばっており、アングマールの軍勢と戦う任務についている。彼らはNPCとして、プレイヤーにクエストを与え、あるいはプレイヤーを守る存在となる。
エピッククエスト Volume III. Allies of the Kingでは、プレイヤーは灰色の一行に同行して、南方へと旅をすることになる。
また、野伏の不在によって不安定になったエリアドール各地にて戦うことになるクエストもある。

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • 御庭番や対モルドール専門のアサシンなどのイメージも浮かぶけど、ルーツを考えるとDQばりの「勇者」とも近い存在かもしれない。 -- 2020-07-11 (土) 22:50:33
    • それはどっちかというとトゥーリンじゃね? -- 2020-07-12 (日) 05:21:31
    • なぜそうなったのか理由を聞きたいわ...。???ってなった久々に。 -- 2020-07-12 (日) 23:54:13
      • 半エルフの血筋のアラゴルンとナルシルの関係はそう見えなくもない -- 2020-07-13 (月) 00:11:56
    • それ野伏ってかアラゴルンのイメージじゃね...? -- 2020-07-13 (月) 07:14:05
    • 主人公補正の凄さはまあそれなんだが、後代の作品に例えると脊髄反射で**る住人にも配慮してくれ。 -- 2020-07-13 (月) 18:48:46
      • 脊髄反射と言うかさすがに野伏=DQ勇者は???となったわ。アラゴルン=DQ勇者ならまだわかるがさ。 -- 2020-07-13 (月) 21:14:28
  • ドゥーネダインの野伏を北方王国の残照というか残影と解釈すると、実はナズグルと対を為す存在でもある。フード付きの外套を羽織るって外見も似てなくはないし。映画でもアラゴルンが他のドゥーネダインを率いる光景が見たかったな。 -- 2020-07-24 (金) 10:29:46
    • まあ映画は特にそこんとこ意識はさせてるよね。子馬亭での出会いのシーンとか。 -- 2020-07-24 (金) 13:34:11
  • 北方のレンジャーって何人くらいいたのだろうか
    数百人くらい? -- 2022-01-14 (金) 16:20:50
    • 数百人なんて規模ではなく結構大きいはず。拠点もいくつか持っていたようだしね。 -- 2022-02-14 (月) 13:30:07
    • 家族や後方人員(生産担当)を入れたらかなり大きなコミュニティだろうけど、北方からナズグルも去り明確な脅威もない中で急ぎ召集されて南下できたのが30人だから実働人員は100〜200人ってとこじゃないかな。 -- 2022-02-14 (月) 13:46:36
    • ブリー郷みたいな比較的大きな町や村に定住して金銭や物資面で援助するような家族とかも僅かかもしれないけどいたんじゃないか。ドゥネダインでなくても歴史を知る土地の有力者の中に協力する者らもいたりして。 -- 2023-06-07 (水) 01:17:16
  • 先祖が仕えていた王の血筋の男を族長として戴いて流浪するだけじゃなく、延々といつ終わるかもわからない戦いを続けるってよく考えるとすごいな -- 2022-08-18 (木) 12:12:06
    • アラゴルン(二世)は報われたからいいけれど、代々の族長たちや彼らに仕える戦士たちはよく腐らずに己の使命を全うできたなぁ -- 2022-10-09 (日) 22:50:55
      • エルロンドの会議のアラゴルンの発言が代々の族長をはじめとする北方のドゥネダインの共通認識だったんでしょうね
        代々の族長自身は最終的には南北ドゥダインの再統合が大願だったのでしょうが族長に仕えるドゥネダイン達にとっては平和に暮らしてるエリアドールの民の姿を最大の報酬として受け取るようにノブレス・オブリージュの精神を叩き込まれていたのかもしれません -- 2022-10-09 (日) 23:01:41
  • 最初の頃はドゥネダイン以外にも戦乱で寄る辺を失って野党と化した流民とか集団が多くいて、そういう組織との抗争に悩まされたりして。タイマンならまあ負けないだろうけど数では圧倒的に不利だっただろう。 -- 2023-06-07 (水) 01:21:19
  • ベア・グリルスとかいう現代の野伏 -- 2023-08-10 (木) 22:21:28
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