第二紀 †
概要 †
解説 †
中つ国の歴史で、モルゴスの滅亡から最後の同盟の戦い、サウロンの最初の敗北までの期間。3441年間。
怒りの戦いによる冥王モルゴスの没落とベレリアンドの崩壊後、あくまでエルフとヴァラールに忠実だった人間であるエダインには、報償として大海に浮かぶ島ヌーメノールが与えられた。
一方、マンドスの呪いを解かれたノルドール族の中には、中つ国を去り難く思う者達も多く、リンドンには灰色港が、内陸にはエレギオンが築かれた。生き残ったシンダール族は、それよりもさらに内陸に逃れ、エゼルロンドやローリナンド、緑森大森林などに住み、シルヴァン・エルフらと交わるものが多かった。
また、中つ国奥地には、モルゴスの没落を逃れた邪悪な人間達や、モルゴスの圧政もヴァラールの召出も等しく拒んだ自由な人間達が暮らしていた。
モルゴスの副官サウロンもまた中つ国に潜伏していた。サウロンは素性を隠してエレギオンのグワイス=イ=ミーアダインに接近し、彼らが力の指輪を鍛えるように仕向けた。その一方でサウロンは中つ国の人間達を恐怖によって支配下に置き、モルドールに拠点を築いて火の山で一つの指輪を鍛え上げた。
だがサウロンの正体と目論見に気付いたエルフ達は力の指輪を隠し、そのためサウロンとエルフとの間で指輪を巡る戦いが起こった。一つの指輪によって絶大な力を得たサウロンはエレギオンを滅ぼしたものの、ヌーメノールの挑戦を受けてモルドールに撤退し、代わりに中つ国の東方に勢力を伸ばした(暗黒時代)。
ヌーメノール人(ドゥーネダイン)は当初は恩寵によって長寿と穏やかな心を持ち、エルフとの交流も活発だったが、モルゴスが人間の心に投げかけた影は大海を越えてヌーメノールにまで達し、ヌーメノール人は次第に死を恐怖するようになる。かれらは中つ国の沿岸に恩恵をもたらす訪問者から、巨大な砦を築き富を収奪する圧政者に転じ、その栄華はかつてないほど高まっていった。だがそれに反比例するように、かれらの死への恐怖はますます強まり、寿命も短くなっていった。
繁栄と堕落の絶頂を極めた黄金王アル=ファラゾーンは中つ国の覇権をめぐってサウロンに挑戦し、彼を戦わずして屈服させる。だが捕虜としてヌーメノールに入り込んだサウロンは、甘言によってヌーメノール人の間に影響力を行使するようになり、ついにはアマンへ攻め込んで不死を奪い取るよう王を唆した。
強大な軍勢を仕立てたアル=ファラゾーンはアマンに上陸したものの、イルーヴァタールの介入によってアルダは作り変えられて球形となり、アマンはそこから取りのけられ、世界の圏外に移された(世界の変わる日)。ヌーメノールは大海の亀裂に没し(ヌーメノールの没落)、アル=ファラゾーンと彼の軍勢は世界が終わる最後の戦いまで忘却の洞窟に閉じ込められることになった。
あくまでヴァラールとエルフへの敬愛を失わなかったヌーメノールの忠実なる者達は、ヌーメノールの没落を逃れて中つ国に漂着し、亡国の民の王国であるアルノールとゴンドールの国を築いた。
一方でサウロンもまた没落を逃れてモルドールに帰還し、一つの指輪の力で勢力を再建した。サウロンは、ヌーメノールにおいて自分の意のままとならなかった忠実なる者達が生き残って中つ国に王国を作っていることを知ると怒り、ゴンドールへと攻め入った。
ノルドールの上級王ギル=ガラドと亡国の民の王国の上級王エレンディルは最後の同盟を結び、サウロンと戦った。この戦いではエルフを除き、中つ国のほとんど全ての生き物が両陣営いずれの側にも見られたという。ドワーフはほとんどどちらの側にもつかなかったが、モリアのドワーフはサウロンを敵として戦った。
モルドールにおける長いバラド=ドゥーア包囲戦の末、ついにたまりかねて出てきたサウロンはエレンディル、ギル=ガラドと相打ちになって倒れ、エレンディルの長子イシルドゥアがその指から一つの指輪を切り取って我が物とすることで、サウロンの霊魂は逃亡した。
年表 †
第一紀から続く
※英語版では年表が改訂されており、削除された部分には取消線を、追加された部分には下線を敷いた。
年 | 事象 |
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1 | 灰色港とリンドンの創建。 |
32 | エダイン、ヌーメノールにいたる。 |
40 | この頃多くのドワーフ、エレド・ルインの古い町々を去り、モリアに移住、ためにモリアの人口が増大する。 |
442 | エルロス タル=ミンヤトゥア死す。 |
500 | この頃、サウロン中つ国で再び活動し始める。 |
521 | ヌーメノールにシルマリエン生まれる。 |
600 | ヌーメノール国の船団初めて中つ国沖合に現われる。 |
750 | ノルドールによるエレギオンの創建。 |
1000 | この頃、サウロン、しだいに強大となりゆくヌーメノールの力に驚き、拠点とすべき地にモルドールを選んでバラド=ドゥーアを築城し始める。 |
1075 | タル=アンカリメ、ヌーメノール最初の女王となる。 |
1200 | サウロン、エルダールを誘惑しようと努める。ギル=ガラドはかれと交渉を持つことを拒むが、エレギオンの金銀細工師たちは説き伏せられる。ヌーメノール人、常設の港を作り始める。 |
1500 | この頃、サウロンに教示を受けたエルフの金銀細工師たちの技がその絶頂に達する。かれらは力の指輪を鍛え始める。 |
1590 | この頃、エレギオンで三つの指輪完成する。 |
1600 | この頃、サウロン、オロドルインで一つの指輪を鍛える。サウロン、バラド=ドゥーアを完成する。ケレブリンボール、サウロンの下心に気づく。 |
1693 | エルフとサウロンの戦い始まる。三つの指輪隠される。 |
1695 | サウロンの軍勢エリアドールに侵入する。ギル=ガラド、エルロンドをエレギオンに遣わす。 |
1697 | エレギオン戦禍に荒廃する。ケレブリンボール死す。モリアの門閉ざされる。エルロンド、ノルドールの残党を率いて退却し、イムラドリスの隠れ処を作る。 |
1699 | サウロン、エリアドールを席捲する。 |
1700 | タル=ミナスティア、ヌーメノールからリンドンに大海軍を派遣する。サウロン敗退する。 |
1701 | サウロン、エリアドールから駆逐される。西方諸国はこのあと長期にわたり平和を楽しむ。 |
1800 | この頃からヌーメノール人、沿岸各地に領土を持ち始める。サウロンその勢力を東に伸展させる。ヌーメノールに暗影落ちる。 |
2251 | |
2280 | ウンバール、ヌーメノールの大要塞と化する。 |
2350 | ペラルギアの建設。この港がヌーメノール節士派*2の主要港となる。 |
2899 | アル=アドゥーナホール王位につく。 |
3175 | タル=パランティアの悔悛。ヌーメノールの内戦。 |
3255 | アル=ファラゾーン黄金王王位を奪う。 |
3261 | アル=ファラゾーン船を進め、ウンバールに上陸する。 |
3262 | サウロン捕虜としてヌーメノールに連れて来られる。3262から3310にかけ、サウロン、王を誘惑して、ヌーメノール人を堕落せしめる。 |
3310 | アル=ファラゾーン大軍事力を備え始める。 |
3319 | アル=ファラゾーン、ヴァリノールに攻め寄せる。ヌーメノールの崩壊。エレンディルとその息子たちは逃れる。 |
3320 | 亡国者の王国アルノールとゴンドールの創建。パランティーアの石分割される。サウロン、モルドールに戻る。 |
3429 | サウロン、ゴンドールを攻撃し、ミナス・イシルを陥して、白の木を焼く。イシルドゥアはアンドゥインを下って逃れ、北方のエレンディルの許に赴く。アナーリオン、ミナス・アノールとオスギリアスを防衛する。 |
3430 | エルフと人間の最後の同盟が結成される。 |
3431 | ギル=ガラドとエレンディル、東のイムラドリスに兵を進める。 |
3434 | 同盟軍霧ふり山脈を越える。ダゴルラドの戦いとサウロンの敗北。バラド=ドゥーアの包囲攻撃開始される。 |
3440 | アナーリオン討ち死にする。 |
3441 | エレンディルとギル=ガラド、サウロンを打ち倒す。かれらもまた落命する。イシルドゥア一つの指輪を奪う。サウロン消え失せ、指輪の幽鬼たちも暗闇に去る。第二紀終わる。 |
第三紀へ続く
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