ほろびのやま

概要

カテゴリー地名
スペルMount Doom
その他の呼び名火の山(Mountain of Fire, Fire-mountain, Fiery Mountain)
オロドルイン(Orodruin)
アモン・アマルス(Amon Amarth)

解説

モルドールに聳える火山で、サウロンの王国の心臓部。一つの指輪が造られた場所であり、フロド・バギンズ一つの指輪を破壊するために向かった目的地。
かつてはシンダリンで「燃えさかる炎の山」(Mountain of Blazing Fire)の意味であるオロドルインと呼ばれていた。だが、ヌーメノールの没落を逃れたサウロンがモルドールで勢力を再建した時、この山が再び噴火する。サウロンが戻ってきたこと知った人々は、この山をシンダリンでアモン・アマルス共通語滅びの山と呼ぶようになった。

この尾根のずっと向こう、しかしほとんど真っ直前方に当たって、小さな火の点在する広大な湖のような暗闇のさきに、真っ赤に燃えるものがありました。そしてそこから渦巻く煙が途方もなく太いすじとなって幾条も立ち昇って、煙のもとの方は黒ずんだ赤色で、上の方は黒く、この呪われた地一帯をおおう波立つ天蓋に吸い込まれていました。
サムが眺めたのは、オロドルイン、すなわち火の山でした。この円錐灰岩のずっと下方の火炉は時折熱くなって、巨大なうねりとなり、ドッドッと脈打って、その山腹にいくつもある深い裂け目から、溶岩の川を溢れ出さすのでした。*1

地理

それは灰と燃えかすと焼けた石の巨大な塊であり、そこから切り立った山腹の円錐形の火山が雲の中に聳えていました。 …
でこぼこしてまとまりのない肩部を見せた巨大な基体は、平地から多分三千フィートぐらいの高さかと思われます。そしてさらにその上をぎざぎざの噴火口のついたとてつもなく大きな乾燥かまどか煙突のように、中心となる高い火山錐が、基体の半分ほどの高さに聳え立っていました。*2

山の基部はゴルゴロスの平地からおよそ3000ft(約915m)の高さがあり、更にその半分ほどの高さの切り立った円錐形の中心部が突き出ている。全高は4500ft(約1370m)ほどと思われるが、平地に聳える単独峰なので、実際よりも高く見える。
突き出た円錐部の東側の麓に火の室サンマス・ナウルがあり、その中に一つの指輪を破壊することができる火の裂け目滅びの罅裂がある。

この山の東の方向にバラド=ドゥールがある。バラド=ドゥールの西門とサンマス・ナウルはサウロンの道路で結ばれており、またサンマス・ナウルの入り口とバラド=ドゥールの「目の窓」は向かい合っている。さらに山腹の裂け目から溢れ出る溶岩流の一部は大きな溝を通ってバラド=ドゥールへ向かって流れている。

歴史

この山は大地の中心から火が噴出する場所であり、そのため第二紀1000年にサウロンはこの山のあるモルドールを本拠地に定め、その火を妖術や鍛造に利用した。1600年、サウロンはサンマス・ナウル一つの指輪を完成させる。

サウロンがヌーメノールに連行されていた3262年から3319年までの間、この山は休止状態にあったようだが、彼がモルドールに帰還して戦力を再建すると再び噴火する。
最後の同盟の戦いでは3441年に滅びの山の山腹で最後の戦いが行われた。サウロンはギル=ガラドエレンディルの二人の上級王と相打ちになって斃され、イシルドゥル一つの指輪を奪い取った。エルロンドキールダンは指輪を直ちにこの山の火中に投ずることを勧めたが、イシルドゥルは聞き入れなかった。

第三紀初頭にはゴンドールがモルドールを監視下に置いたが、そびえ立つこの山の不気味さのためにゴルゴロスは灰土のまま捨て置かれた。
サウロンは2942年にモルドールに帰還し、2951年に公然と名乗りを上げて再び戦力を集結させる。2954年、滅びの山は再び噴火して、イシリエンに留まっていた最後の住人は逃れた。
指輪戦争ではサウロンはこの山の噴煙を東風に乗せて送り出し、ゴンドールローハンをはじめとした西方諸国を暗闇で覆った(曙光のない朝)。だがこの噴煙はペレンノール野の合戦の最中、日の出と共に訪れた西風によって吹き払われた。

指輪所持者の任務が達成されて一つの指輪滅びの罅裂に投げ込まれると、滅びの山は大噴火を起こして火焔を放出し、巻き起こった嵐の中に没した。

そしてその時遂に彼我の間何里にもわたって、遠雷のような轟きが起こり、それはしだいに高まって、耳をろうするばかりの一大響動となりました。地は震動し、平原は隆起して、ひび割れ、オロドルインは突如揺れ動きました。裂けた絶頂から火が噴き出しました。空に雷鳴が轟き、稲妻が天をこがしました。振りおろされる鞭のように黒い雨が滝つ瀬となって振り下りました。*3

訳について

‘Mount Doom’は直訳すると「運命の山」だが、このDoomの語は特に「破滅的な運命」「終末」「破局」を意味する暗く重々しい言葉である。特に世界の終末に全ての善と悪が裁かれて物事の明暗が決する「最後の審判(Doom's Day)」を示唆する。
旅の最終目的地としてふさわしい語であると共に、ここで指輪所持者フロドゴクリ)とサウロンそして中つ国自由の民に運命が決することが言葉の上でも表現されている。

画像

トールキン作画による滅びの山のスケッチ アラン・リー作画による滅びの山

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • ミンドルルインのルインはluinなのに対してオロドルインはruinなんですね。「滅びの山」と合わせて英語のruin破滅を思い起こしますが、教授はなにか意図があったんでしょうか? -- 2020-07-26 (日) 18:58:45
    • ミンドルルインのluinは「青」の意味。オロドルインのruinは「燃えさかる炎」の意味(Orodが「山」の意味) -- lotroスキー 2021-01-31 (日) 15:31:58
  • ずっと疑問なんだけど、何で火の室の入り口塞がなかったんだろう。
    自分の支配が及ばない場所にあるなら分かるけど、お膝元と言って良いくらい近いのに。
    ノコノコ指輪捨てに来た奴が入り口で絶望してるところを奪い取るのが一番楽でかつ安全じゃん。 -- 2021-07-06 (火) 03:19:09
    • 人間ならそのまま指輪使って力を得て自分に対抗してくるはずでこんなとこにまで捨てに来ると思ってなかったからじゃないかな
      捨てる直前までアラゴルンが持ってると思い込んでたわけだし
      仮にホビットが捨てに来るの知ってても指輪に関しては絶望与えるよりさっさと取り戻すのが先決だからそんな回りくどいことはしないと思う -- 2021-07-06 (火) 07:35:02
    • 上の方のコメントに加えて使えば捉えられる、火の室に近づく程精度が上がりかつ指輪に屈して捨てられなくなる(実際フロドも屈した)ことに過信もあったかもしれません
      火の室に来る時点で想定外でしょうが来たのが武勇的な意味では殆ど無力かつ土壇場で取っ組み合いの末足を踏み外して墜落とかサウロンには理解できないのでは -- 2021-07-06 (火) 08:12:55
    • そもそも指輪は捨てようとすればする程
      逆に持ち主に執着を抱かせるのでまさかあんな目前までたどり着いて見せるやつがいるとは思わなかったのでは -- 2021-07-06 (火) 09:24:56
    • ・そもそも指輪を火口に捨てることは出来ないため(事実イシルドゥアもフロドも自らの意思で指輪を葬る事はできなかった。例えビルボでも無理だろう)
      というのが他の方々の言う様に事実なんでしょうが、
      ・実は滅びの罅裂には定期メンテナンスが必要なため出入り口は必須
      ・滅びの罅裂への入り口を閉じると、一つの指輪にも悪影響が出る可能性がある
      こんな理由もあったりしないかな。 -- 2021-07-06 (火) 09:47:27
    • 滅びの山の火の室はサウロンの「昔日の力の源」ですから、それを塞ぐことは力の源を絶つことになるのでしょう -- 2021-07-06 (火) 21:40:41
      • サウロンはマッドサイエンティストと化したとはいえ
        アウレに仕える技巧系の下級神のTOPな訳だし

それが自分の研究室を自分で封鎖するような真似するかなって感じだろうな -- 2021-07-10 (土) 16:32:52

  • サウロンは「マイアとしての魔力の量」は退化していたかもしれないが、テクノロジーの研究開発という点では進化を続けていたのかもしれないな。だが番人は置こうぜ。-- 2021-07-10 (土) 17:09:24
  • すでに書いてる方がおられますが、滅びの山の火なんてサウロン以外に利用できる者はいないでしょうから火の室もサウロン以外には意味のない場所で、わざわざ番人を置く必要を感じなかったのでしょう。
    また、一つの指輪の力の使えばサウロンの配下は圧倒されてしまうため(ナズグルですら指輪の所持権を宣言したフロドに手が出せない)、どんな番人を置いても指輪所持者の阻止は不可能だったと思われます。それこそサウロン当人が24時間番をするでもしないと無意味 -- 2021-07-10 (土) 19:07:50
  • 魔王は指輪を持っていたフロドを刺せたので、ナズグルクラスなら番人として成立するのでしょうが、〝絶対来るわけがないたわけ者〟ただそれだけのためにいわば戦略的兵器であるナズグルを番人にするとかキ○ガイざたですよね。
    俺たち読者は結末知ってるので、神の視点ではなんとでも言えますが。 -- 2021-07-11 (日) 11:07:46
  • 別に番人が侵入者を倒せなくても所定の時間に番人からの報告がなかったり所定の位置に番人がいなかったりすれば「侵入者がいる」という雄弁な証明になるのではないかな。早期に異常に気が付けばナズグルをよこしたり自身で迎撃したり対応方法はあると思われる。そのあたりの感覚の鈍さがサウロンの弱点の一つではないかと。 -- 2021-07-11 (日) 13:00:40
  • 問題が起きてバラド=ドゥアまで報告に行っても報告が届く頃にはすでに手遅れだと思いますが・・・ -- 2021-07-11 (日) 15:57:23
  • それを言うなら関所や哨戒網を突破するのにも時間はかかるのではないか?そしてモルドール陣営の現場指揮官はそれほど無能で伝令はそれほど遅かったのだろうか。ある程度滅びの亀裂から離れた中途半端な位置でフロドが指輪をはめてくれたら逆にサウロンにとっては探知しやすく好都合でもある。 -- 2021-07-11 (日) 21:01:32
  • 皆様疑問にお答えいただいて有難うございます。
    「塞いだら指輪に悪影響説」は自分も考えてましたが、「そもそも指輪を手に入れたものが捨てに来るという発想がなかった」と捉えるとしっくりきました。
    自分がサウロンならガチガチに固めると思ったので。
    何ならバラドドゥアをオロドルインの前に建設してたら詰んでたよなと。

とするとイシルドゥアが手に入れた時、直接持ってないとはいえすぐさま指輪を捨てることを提案したエルロンドの精神力がエグかったんですかね? -- 2021-07-17 (土) 04:02:10

  • → 「そもそも指輪を手に入れたものが捨てに来るという発想がなかった」
    これについては原作の黒門遠征前の会議で、ガンダルフが
    「(サウロンは)利巧な戯けよ。もし奴が全兵力を守りに傾ければ我々は一歩たりとモルドールに入れず、指輪所持者も使命を果たせない。だが奴は指輪を手にした者が自らに挑戦せず、我々のようにただそれを葬りたいだけと理解できないのじゃ。
    (だから我々はそれをあえて装って、囮にならねばならぬ)」
    と演説している事からも、滅びの山にてフロドが指輪を填めた時にサウロンに対して
    「彼は初めて敵の思惑と、累卵の危機にある己が運命を知ったのです」
    と描写されている事からも明らかですね。
    トールキン教授は明確にサウロンがその発想自体なかったと書いてると判断できるのでは。 -- 2021-07-17 (土) 07:55:56
  • >何ならバラドドゥアをオロドルインの前に建設してたら詰んでたよなと。
    何でそうしなかったんだろうねえ?滅びの山までえっちらおっちら長距離歩いていかなくて済むのに。 -- 2021-12-30 (木) 12:31:40
  • 普通に炉としての利用価値があったから塞ぐのが惜しかったのだと思う。第三期以降にサウロンが新たな指輪を鋳造した記録はないものの、その膨大な熱量は他の武器や攻城兵器などの製造に役立てたものと考えられる。仮に実用的な使い道がなかったとしても己の力を誇示し敵対勢力を畏怖せしめる意味では火山の力は残した方が有益であり、逆に第三者が指輪を破壊しに来ると言う発想が全くない以上は塞ぐ必然性はない。 -- 2021-07-17 (土) 13:50:30
  • 指輪を持ってるじゃなくて虜になって所有を宣言したな -- 2021-07-11 (日) 12:30:42
  • サウロンが"利口な戯け"って言葉すげー分かるわ -- 2021-07-17 (土) 11:43:33
  • 滅びの山の火の室の入り口をなぜ塞がなかったんだ、って意見あるけどサウロンからしたらいくら入り口を塞ごうが、敵に指輪がある時点でそれを使われて自分が打倒されたら意味ないわけで。
    (というか、普通に考えたらその結論と対策に行き着く)
    サウロン個人からしたら指輪を破壊されようが、指輪の新しい主人に打倒されようが自分の敗北と消滅に変わりはないからね。そのあと中つ国がどうなろうがしったこっちゃないし。 -- 2021-10-23 (土) 07:03:01
  • 指輪を破壊した際の大噴火が終わった後、この山はどうなったのだろう。
    死火山になったのかな?それともいつまたすぐ噴火するかわからない、火山活動は継続したままの活火山だったのか。
    後者ならモルドールの統治を委ねられた連中はヒヤヒヤだろうな揺れるたび。 -- 2023-09-19 (火) 18:32:14
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