中 つ国 †
概要†
カテゴリー | 地名 |
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スペル | Middle-earth |
異訳 | ミドルアース |
その他の呼び名 | エンドール(Endor) エンドーレ(Endórë) エンノール(Ennor) 此岸(Hither Shore) 此岸の地、此岸の国(Hither Lands) 外なる陸地(Outer Lands) 大いなる国、大陸、大いなる地(Great Lands) 暗黒の地(Dark Lands) |
解説†
アルダ(地球)の中央にある大地。西には大海を隔ててアマン(至福の国)があり、東には東の海を隔てて太陽の地がある。
「中の陸地」(Middle Land)を意味するクウェンヤのエンドールまたはエンドーレ、シンダリンのエンノールの西方語訳。彼岸たるアマンに対して此岸と呼ばれ、また楽園たるアマンの外に捨て置かれた地であることから外なる陸地とも呼ばれる。
『ホビットの冒険』及び『指輪物語』は、中つ国の北西部にあるエリアドール、リョヴァニオン、ローハン、ゴンドール、モルドールといった地域が舞台。『シルマリルの物語』の舞台の中心となったベレリアンドも中つ国北西部にあったが、ベレリアンドの大部分は第一紀末に怒りの戦いにて崩壊、大海の下に水没してしまった。
主な地理については地図の項目を参照。
歴史†
灯火の時代†
中つ国は元々、イルーヴァタールの子らの住処とするべくヴァラールがアルダの中央に建造した陸地だった。
灯火の時代、ヴァラールはやがて目覚める子らと共に暮らすため、中つ国の中央にあったアルマレンの島に住み、その南北にイッルインとオルマルという二つの灯火を立てて世界を照らした。この時代に植物と動物のうち、最古のものが目覚める。
だがアルダの支配を目論む冥王メルコールは、北の果てに鉄山脈とウトゥムノを築き、大地と生類を侵食。さらに二つの灯火を破壊し、その衝撃で中つ国も大きく破壊された。
ヴァラールは、メルコールとの争いによってこれ以上中つ国が破壊されることを恐れ、大海の西にあるアマンへ撤退した。
星々の時代†
アマンでヴァラールは新たな光として二つの木を生み出したが、中つ国にその光は届かず、暗闇と星空の下に捨て置かれた。そのためアマンの二つの木の時代は中つ国にとっては星々の時代である。
この大半の期間、中つ国はウトゥムノに君臨するメルコールの事実上の支配下にあり、彼が生み出す無数の悪によって侵食されていた。
やがてヴァルダが新たな星々を空に撒くと、中つ国の東方にあったクイヴィエーネン湖のほとりでエルフ族が目覚めた。
これに気づいたメルコールは暗闇を投じてエルフを脅かしたため、ヴァラールはエルフを救うために力の戦いを起こし、ウトゥムノを撃破してメルコールを捕縛した。この戦いで中つ国の北西部は甚だしく破壊された。
ヴァラールは中つ国からアマンへ移住するようエルフに勧告したが、全てのエルフがそれに応じたわけではなく、中つ国に留まる者も多く出た。(詳細はエルフや大いなる旅の項目を参照)
メルコールの悪もまた完全に一掃されたわけではなかったが、主人が不在の間はなりを潜めていた。そのため星空の下、中つ国に留まった暗闇のエルフたちは比較的平穏に暮らすことができた。この平和な時代にドワーフとエントも目覚め、中つ国の星空の下を歩くようになる。
しかしこの時代の終わりに、アマンで二つの木を殺害してシルマリルを奪ったメルコールが、中つ国へ逃亡してくる。帰還したメルコールはアングバンドを拠点として勢力を再建し、再び中つ国の支配を目論んだ。
モルゴスと呼ばれるようになったメルコールを追い、アマンへ渡っていたノルドール・エルフの大部分も中つ国に帰還してくる。かれらはモルゴスへの復讐とシルマリルの奪回、そして未踏の中つ国に自由な王国を打ち立てることを目指していた。
太陽の第一紀†
ヴァラールは全世界を照らす新たな光として月と太陽を生み出し、アルダの空に送り出した。これにより太陽の時代がはじまり、中つ国ではその光に照らされて定められていた数多くのものが目覚めの時を迎えた。しかし同時にこの時代以降、時の流れは速やかになり、生滅の気を強くはらむようになる。
太陽の出現とともに、中つ国の東方にあるヒルドーリエンでは人間族が目覚めた。だがかれらの許にヴァラールの使者は訪れず、その運命は人間自身にゆだねられることになる。
東夷をはじめとする人間の多くはモルゴスの投じる暗闇に転向して、その従属下に入ったが、そこから逃れて西方を目指す者達もおり、そうした人間はエダインと呼ばれるようになる。
中つ国の北西部ベレリアンドは宝玉戦争の舞台となった。
エルフの諸王国はエダインの助けを得て、モルゴスの力を一時アングバンドに封じ込めることに成功する。しかしそれも長くは続かず、包囲は破られ、エルフとエダインは一つまだ一つと滅ぼされていった。
ベレリアンドがモルゴスに制圧されようとした時、半エルフのエアレンディルは取り戻された一つのシルマリルの光を頼りに西方のアマンへ航海し、彼の嘆願を容れたヴァラールは怒りの戦いを起こしてモルゴスを完全に打ち破った。
この怒りの戦いでベレリアンドの大部分は破壊されて水没し、残されたリンドンとエレド・ルインが中つ国北西部の新たな西境となった。
王国を失ったノルドール・エルフの多くはアマンへと戻ったが、中つ国を去りがたく思う者はなおも留まった。
エダインには報償として大海の只中にヌーメノールの島が与えられ、大部分のエダインが中つ国を去ってそこへ渡った。
モルゴス配下の悪霊や怪物、邪悪な人間たちの内、わずかに生き残った者たちは中つ国の東方に逃れて後世に禍根を残した。
太陽の第二紀†
中つ国に残ったノルドールを中心とするエルフは、その北西部に灰色港やエレギオンを築いて留まった。より奥地の緑森大森林やその他の森林にはシンダールに率いられたシルヴァン・エルフが住んでいた。
その他の地域では、モルゴスにもヴァラールにも与しなかった未開の人間たちが暮らしていた。
サウロンもまた中つ国に隠れ潜んでいた。彼は、ノルドールが荒廃した中つ国を美しく豊かにする力を求めていることに目をつけ、かれらが力の指輪を鍛えるのに手を貸す。その一方で、密かにモルドールを本拠地として一つの指輪を鍛え上げ、すべての力の指輪を支配しようと目論んだ。
サウロンは指輪の力によって中つ国の人間の大部分をふたたび暗闇に転向させ、さらにモルゴス時代の邪悪な者達を傘下に呼び集め、第二の冥王となる(暗黒時代)。
この時代のはじめに、ヌーメノールに渡ったエダインの子孫ドゥーネダインが中つ国に戻ってきて、居住地を築くようになる。当初かれらは中つ国のエルフと人間の援助者であったが、やがて欲望に駆られて堕落し、サウロンと競って中つ国の覇権を握ろうとした。
その黄金王アル=ファラゾーンはサウロンをも打ち破って彼をヌーメノールに連れ去った。この時、中つ国は一時の平和を享受した。
しかしヌーメノールでサウロンは王を操り、とうとうヌーメノール人の大半を堕落させてアマンを攻撃するよう仕向ける。この時、ヴァラールは唯一神イルーヴァタールの介入を願い、イルーヴァタールによってアルダの構造は大変革を被って、球形の世界に作り変えられた(世界の変わる日)。
ヌーメノールは海底へ沈み、アマンはまっすぐの道を通らなければ辿りつけない世界の圏外へ移された。
ヌーメノールの没落を逃れた節士派は中つ国に亡国の民の王国を築いたが、サウロンもまた没落を逃れて中つ国に舞い戻っていた。
エルフと人間は最後の同盟を結んでサウロンを打ち破ったが、その力の源である一つの指輪は破壊されず、行方不明となった。
太陽の第三紀†
アマンが地上から取り除かれたことで、中つ国ではいよいよ上古から続いた数多くのものが変化し、失われていく時代となった。
一つの指輪が破壊されなかったためサウロンは復活し、ドル・グルドゥルやモルドールなどを拠点として再び勢力を拡大した。
亡国の民の王国のうち、北方王国アルノールは分裂し、やがてサウロンの意思の下アングマールに現れた魔王によって滅ぼされる。以後北方のドゥーネダインは荒野をさすらう野伏となり、エリアドールの人口は大きく減って、生き残った人々は細々と自治を続けた。
一方、南方王国のゴンドールは、一時はかつてのヌーメノールを想起させるほどに勢力を拡大したが、戦乱や疫病によって次第に国力は衰え、やがてモルドールに帰還したサウロンとの戦いが始まる。最終的にサウロンが滅びたのは第三紀末、指輪戦争が起こり、一つの指輪が破壊されてからである。
サウロンが滅び、三つの指輪の守護者が中つ国を去って第四紀に入っても、中つ国の東方や南方にはサウロンの勢力の残党が残っており、なお戦いは続いたが、中つ国北西部は西方の王ことエレッサール王によって平定され、平和を獲得した。
第四紀以降†
中つ国には、灰色港や裂け谷、闇の森、ロスローリエンなどにエルフが残っていたが、彼らは次々とアマンへと去っていったため、エルフと人間の運命は隔てられた。また他の種族も衰退していったことにより、次第に中つ国は人間の世界となっていった。
現実の地理との関係†
ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキンは、『ホビットの冒険』『指輪物語』『シルマリルの物語』を「有史以前の地球の物語」と想定しているため、中つ国は現在のアフロ・ユーラシア大陸にあたる。
その中で、ホビット庄はトールキンの故国であるイギリスと緯度、経度が同じように設定されている。またトールキンは、ゴンドールのミナス・ティリスはベネツィアに相当し、ペラルギルはコンスタンティノープルに相当すると発言したことがある。
大陸の全体像†
上述したように、中つ国は有史以前のアフロ・ユーラシアに該当するため、その形状も似通ったものになっている。第一紀の大陸の形状は、アルダの全体像を記したトールキン直筆の地図で確認する事ができる。第三紀以降は物語の舞台となる地域が西方に限定されてしまい、地図の範囲も北西部に限られている。そのため、第三紀以降の海岸線の形状、東方や南方、北方の地理については不明な点が多い。
カレン・ウィン・フォンスタッドはトールキンが残した資料を基に中つ国(および他の大陸)の全体図を作成しており、『「中つ国」歴史地図 トールキン世界のすべて』に収録されている。アルダ#画像の項目を参照。
名称について†
‘Middle-earth’という言葉については、古英語で「中の地」(世界、大地、地上、人間の世界)を意味するmiddanġeard、北欧神話のMidgard(Wikipedia:ミズガルズ)などに由来している。
日本語訳の「中つ国」は、古事記に登場する
グッズ†
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トールキンの原作では記述の少ない東方や南方について、独自に詳細な設定がなされている。そうした地方には、西方語やエルフ語の他、現地の民の言葉に由来する地名も付けられている。詳細はWild landsを参照。
コメント†
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