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褐色国人ダンレンデイング

概要

カテゴリー種族
スペルDunlendings
異訳褐色人ダンレンデイング褐色人かっしょくびと焦茶こげちゃくにの人間、くもぞく*1

解説

エネドワイスにある褐色国ダンランドに住む人間の民族。「褐色国人」とは彼らの肌の色が浅黒く、頭髪が黒っぽいことからロヒルリムが付けた呼名。褐色国人はロヒルリムのことをフォルゴイル(藁頭)と呼んで憎み、ローハンの建国以来ずっと敵対関係にあった。

指輪戦争ではサルマンに懐柔されて同盟を結び、角笛城の合戦アイゼンガルドの軍勢とともにローハンと戦った。

「わたくしはあの言葉を存じております。あれは人間の古い言葉の一つで、かつてはマークの西の谷々の多くで話されておりました。そら! やつらはわれらを憎んでおります。 … 『おれたちはやつらの王を捕えるぞ。フォルゴイルを殺せ! 藁頭どもを殺せ! 北から来た略奪者どもを殺せ!』 … 五百年経っても、やつらはゴンドールの王が青年王エオルにマークを与え、かれと同盟を結んだ恨みを忘れておりませぬ。」*2

歴史

元は白の山脈の谷間地方に住まっていた未開の民族だといわれ、死者の道死者たちや、一説によるとブリー郷人間も同族であるとされる。

褐色国人ダンレンデイングたちのことばもまた異質であった。共通語に似たところがたとえあったとしても、微々たるものでしかなかった。かれらは遠い昔、白の山脈の谷間地方に住まっていた民族の生き残りである。やしろ岡死者たちは、かれらに近い者たちであった。しかし暗黒時代に、ほかの者たちは霧ふり山脈の南の谷々に移り住み、中にはそこからさらにまた、無人の地を求めて、北は塚山丘陵まで移って行った者もあった。ブリー郷人間も、もとはそこからきたのである。しかしかれらはずっと昔に、アルノール北方王国の民となり、西方語を話すようになっていた。ただ褐色国ダンランドに住んでいた者たちだけが、同じ種族ではあったが、自分たちの古いことば、古い習慣を棄てず、ドゥーネダインに好意を持たず、ロヒルリムを憎み、隠れひそんで暮らしていた。*3

終わらざりし物語』ではかれらはゴンドールにはほとんど愛情を抱いていなかったが、頑強で勇敢だったにもかかわらずその数は少なすぎ、また王たちの威光をたいそう恐れていたため、王たちを悩ますことはなく、王たちの目を東方からそらすことにもならなかったとある。また褐色国の北にはエレギオンがあったが、交流はほとんど無く、褐色国人はエルフを恐れていた。

第三紀2050年にゴンドールで王統が途絶えると、褐色国人はゴンドールの臣下であることを止め、次第にカレナルゾンへ浸透しはじめる。
しかし第三紀2510年よりロヒルリムがカレナルゾンに移住してきたことで褐色国人の伸長は阻まれ、以来両者は対立するようになった。ローハンの3代目の王アルドルはかれらをアイゼン川の向こうに完全に追いやった。

だが褐色国人はローハンの北や西の国境から再び浸透をはじめ、アイゼンガルドの環の管理者達がゴンドールとの繋がりを失うと、密かに彼らと結託、ついには砦を奪い取る。このことはデーオルの時代に明らかとなり、褐色国人はアイゼンガルドの環を拠点にアイゼン川を渡り、ローハンに略奪を仕掛けるようになった。
さらにローハン西部にも影響力を持つにいたり、アドルン川沿いに領地を持った西境の領主フレカは褐色国人の血を引いていたという。2754年にフレカがヘルムとの諍いで殺されると、フレカの息子ウルフは褐色国人と結託して、2758年の大侵略の折に黄金館を奪い取り、角笛城に逃れたヘルムを包囲した。だが長い冬の到来で打撃を受け、その後ローハンとゴンドールの反撃にあってウルフは討ち取られ、黄金館とアイゼンガルドは奪い返された。
この一件が元で、2759年にアイゼンガルドはサルマンの手に委ねられることになった。

しかし堕落したサルマンは、再び褐色国人を配下に引き入れる。
指輪戦争ではサルマンに扇動された褐色国人がローハンを攻撃し、アイゼンガルドの軍勢と共に角笛城の合戦にも参加した。褐色国人はサルマンから、ロヒルリムは捕虜を生きたまま焼くと教えこまれていたという。角笛城の合戦でアイゼンガルドの軍勢が敗北すると、褐色国人は降伏し、武装解除されて褐色国ダンランドに戻された。

Iron Crown Enterprisesによる設定

ベレリアンドを目指したエダインから分かれて、エレド・ルインの東側に留まり、エネドワイスゴンドールの最初の住民となったダエン(Daen)という人々の末裔。褐色国人の使用する言語はドゥナエル語(Dunael)とされている。

映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定

サルマンに扇動され、アイゼンガルドオークウルク=ハイと共にローハン西の谷の集落を襲う。エクステンデッド・エディションでは一人の褐色国人がサルマンに忠誠を誓うシーンが追加されている。だが角笛城の合戦には参加していない。

映画の世界観に準拠した『The Lord of the Rings Strategy Battle Game』ではスライダンという名の首長に率いられている。

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • 褐色人がケルト云々とか上で出てるけど、ケルトは印欧系だからお前らが思ってるのはピクトのことだと思うぞ(島のケルトは大陸のケルトと別民族だったんじゃないかって話もあるけど)
    中つ国の直径の先祖たる蛮人コナンの作者、「剣と魔法」の世界の太祖たるロバート・E・ハワードの作品は大体ピクトが出てくる(ブラン・マク・モーンとか) -- 2022-09-03 (土) 14:21:45
    • なんで『お前ら』みたいな余計な火種を撒くんですか? -- 2022-09-03 (土) 14:41:02
      • ドラマをきっかけに初めて除いてみたクチじゃない?なんにしろ百戦錬磨のここの住民にいきなり論争吹っ掛けて簡単に同意を得られるとは思わない方がいい。 -- 2022-09-09 (金) 18:29:25
    • 褐色人がケルトと比較されるのは、同胞のブリー郷の地名にケルト語が使われているのが大きいのと、ゴンドール(ローマ)やロヒアリム(アングロ・サクソン)らと時に融和し時に敵対しつつも勢力的には劣勢、しかし中つ国北西部の文化の第三の基層として確かな影響を各地に残している、という様子がケルトの辿った軌跡と比較できる部分があるからです。ピクト人は実態がよくわかっていない上に北西部文化に遺した影響もほとんど認識されていないので、その点でちょっと弱い。
      あとトールキンのハイ・ファンタジーと、ロバート・E・ハワードなどのヒロイック・ファンタジーは互いに別系統に発達したものなので、中つ国の直系の先祖という言い方は正確ではないかと。 -- 2022-09-03 (土) 22:13:08
    • ならばまず、褐色人は印欧系じゃないという主張がどう成立するかを説明してもらわないと。肌が褐色だからという一点だけだとあまりに脆弱で説得力がない。 -- 2022-09-09 (金) 18:22:52
    • フォン・ユンツトがかの書でゴルちゃんに言及していたのをハイボリア(ハイパーボリア?)でコナンさんも読んで知っていて、彼の知り合いのハワードさんがピクトがらみにしたのかもしれませんね。(ハワードSAN値とラブクラフト御大のこと知らない方、ごめんなさい。(イルーヴァタァル宇宙に関係なくてごめんなさい。)) -- 2022-09-09 (金) 23:15:22
    • ローマ時代にガリア人と呼ばれてる連中だね -- 2022-09-16 (金) 09:36:34
      • ガリア人はケルト民族でしょ。(ベルギーやライン川付近にはゲルマン民族もいたけど)
        ピクト人はスコットランド、古代ハイランド辺りにいたからなあ。 -- 2022-09-16 (金) 09:53:54
      • だからガリア人と呼ばれてた(ケルト人)だって言ってるがな -- 2022-09-16 (金) 10:52:57
      • ローランドやランスロットはガリア人の子孫になるのかな? -- 2022-09-16 (金) 18:48:25
  • 他所のサイトの説明だと
    ◆『褐色人 Dunlending』
    霧降山脈の西麓からゴンドール北部の山岳地帯に住んでいる部族。東夷と同じく日に焼けた浅黒い肌と表現されているため誤解されやすいがゴンドール建国以前から当地に住み続けていた先住民でれっきとした白人系である。アラゴルンが招集した死者の軍勢やブリー村の人間たちの多くも褐色人と共通の祖先を持つ。
    元々住んでいた土地から放逐された歴史からローハンを深く恨んでおり、映画で描かれたようにサルマンやオークと結託してローハンの領内への襲撃を繰り返していた。
    モチーフになったのはギリシャ・ローマと敵対し、後にゲルマン人に土地を追われたケルト人やガリア人等の欧州の先住民族。 -- 2022-09-09 (金) 14:52:00
  • どこかでトールキンが、褐色人や南方人を黒人やアジア人をとして差別してるってあったけど、そんな思いでトールキンは書いていないと思うんだが。 -- 2023-04-02 (日) 21:51:47
    • 差別というのにも色々形があってですね。大まかには、人種間での能力に優劣をつけたりその存在を認めたりする事と、出自を理由に不当な扱い(搾取・圧政・迫害etc)の対象にする事。後者に関してはトールキンは明確に全力で否定・批判してる(当時の列強外国はもちろん、自国ですら冷ややかな目で見てた)。ただ前者に関してはあると考えてたとしてもおかしくはない。 -- 2023-05-03 (水) 16:16:50
      • そもそも100年単位の後世の感覚から、
        「この描写は差別的だ!」
        「作者には差別的精神があった!」
        と言うこと自体がナンセンスなんよ。
        そんなん究極の後出しジャンケンだし。
        俺たちだって100年後の倫理観から見たら、100%野蛮で差別的な人間扱いされると思うぜ。 -- 2023-05-03 (水) 19:37:16
    • そもそも褐色人って欧州の先住民(ブリトンやケルト人、または彼らに征服された民族)ってイメージだしな。
      褐色って単語が一人歩きして肌の色差別や人種差別ネタに使われているような気がする。 -- 2023-05-10 (水) 08:32:45
  • クライヴ・オーウェンのキング・アーサーはゴンドール人の傭兵隊長が東夷の騎馬隊や褐色人を束ねて北国人の侵略と戦うみたいな構図の映画 -- 2023-05-10 (水) 18:12:37
  • DunとSwartって色彩的にはどう違うんだろう -- 2023-09-05 (火) 21:47:24
  • ハラドや東夷みたいに遠方からやって来る民はともかく、国境を跨いだらすぐ隣が蛮族の土地っていう感覚は現代人にはイマイチピンと来ない物がある。 -- 2024-01-24 (水) 16:01:06
    • 現代人つうか日本人じゃねえかな。
      現に今もヨーロッパには不法移民が波のように来ているわけだしな。
      古代から中世なんてなおさら。
      イタリアとかにとっては海を跨ぐとはいえ大した距離じゃねえですし。 -- 2024-01-24 (水) 16:47:27
    • 「蛮族」による支配や侵略を経験したことがない国家や民族の方が世界史を通じてめちゃんこレアな存在ですからね…。
      日本やアメリカくらいしか思いつかない。アメリカもネイティヴアメリカンからしたら「あり」になるしなぁ。 -- 2024-01-24 (水) 18:32:43
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