暗黒語あんこくご

概要

カテゴリー言語
スペルBlack Speech
異訳黒のことば

解説

第二紀暗黒時代サウロンが配下たちの共通語とするために作ったといわれている言葉。この言語の統一という試みは失敗したが、第三紀ではオークの間で暗黒語を由来とする多くの単語が広く使用されるようになった。
サウロンが最後の同盟に倒された後、古い形の暗黒語を覚えているのは彼以外にはナズグールだけとなった。だがサウロンが力を盛り返すと再びバラド=ドゥールで使用される言葉となり、モルドールの指揮官たちも使うようになった。また第三紀末に登場したオログ=ハイは暗黒語しか言葉を知らなかった。

一つの指輪には、銘として力の指輪の詩の一節が暗黒語でフェアノール文字を使って記されている。フェアノール文字が使われている理由は、イシルドゥルの推察によると、暗黒語の文字が精細な細工に向かないため。

アッシュ ナズグ ドゥルバトゥルーク、 アッシュ ナズグ ギムバトゥル、 アッシュ ナズグ スラカトゥルーク、 アグ ブルズム=イシ クリムパトゥル
(Ash nazg durbatulûk, ash nazg gimbatul, ash nazg thrakatulûk agh burzum-ishi krimpatul)

一つの指輪は、すべてを統べ、一つの指輪は、すべてを見つけ、一つの指輪は、すべてを捕えて、くらやみのなかにつなぎとめる。
(One Ring to rule them all, One Ring to find them, One Ring to bring them all and in the Darkness bind them.)

自由の民にとって暗黒語の響きは非常に不快であり、イシルドゥルは暗黒語を解さなかったが、一つの指輪の銘をその音の不快な響きだけでモルドールの言葉と推察している。また特にエルフは暗黒語を嫌悪した。

魔法使いの声の変化は胆もつぶれるほどでした。その声はにわかにたけだけしく威圧的になり、石のようにきしみました。高く上った日の上を影がよぎり、一瞬、ポーチも暗くなったように思われました。一座の者はみな身を震わせ、エルフたちは耳にふたをしました。*1

単語一覧

本編中にはごく断片的にしか登場せず、その全貌は明らかではない。以下が登場する暗黒語の単語の一覧である。オーク語も参照のこと。

ナズグール (Nazgûl)
「指輪の幽鬼」の意。
ルグブールズ (Lugbúrz)
バラド=ドゥールを指す暗黒語。
ウルク=ハイ (Uruk-hai)
「オーク族」の意。
スナガ (Snaga)
「奴隷」の意。
オログ=ハイ (Olog-hai)
「トロル族」の意。

一つの指輪の銘以外に纏まった暗黒語の文章としては、メリーピピンを捕えたオーク達の中で、バラド=ドゥールのオークがアイゼンガルドウルク=ハイを罵ったものがある。意味は不明だが、これはバラド=ドゥールの兵士たちが使用していた、崩れた暗黒語である。

ウグルーク ウ バグロンク シャ プシュドゥグ サルマン=グロブ ブボシュ スカイ
(Uglúk u bagronk sha pushdug Saruman-glob búbhosh skai)

またオーク語で「老人」を意味するシャーク (sharkû)も、この崩れた暗黒語の単語である。

映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定

言語監修のDavid Saloにより、『指輪物語』では登場しなかった力の指輪の詩の前半の暗黒語が作られた。

Shre nazg golugranu kilmi-nudu, Ombi kuzddurbagu gundum-ishi, Nugu gurunkilu bard gurutu, Ash Burz-Durbagu burzum-ishi Daghburz-ishi makha gulshu darulu.
(シュレ ナズグ ゴルグラヌ キルミ=ヌドゥ、 オムビ クズッドゥルバグ グンドゥム=イシ、 ヌグ グルンキル バルド グルトゥ、 アシュ ブルズ=ドゥルバグ ブルズム=イシ ダグブルズ=イシ マハ グルシュ ダルル)

(Three Rings for the Elven-kings under the sky, Seven for the Dwarf-lords in their halls of stone, Nine for Mortal Men doomed to die, One for the Dark Lord on his dark throne In the Land of Mordor where the Shadows lie.)
三つの指輪は、空の下なるエルフの王に、七つの指輪は、岩の館のドワーフの君に、九つは、死すべき運命の人の子に、一つは、暗き御座の冥王のため、影横たわるモルドールの国に。)

サウンドトラックでは「アイゼンガルドの戦い」(Treason of Isengard)の題で収録された曲に、詩の一部のAsh Burz-Durbagu burzum-ishi Daghburz-ishi makha gulshu daruluがコーラスで歌われている。

映画『ホビット』における設定

アゾグを中心に、劇中でかなり暗黒語を使用しているが、暗黒語の中でもモルドール語とは別のオーク語という設定になっている。

死人占い師が使う暗黒語は、演じるベネディクト・カンバーバッチが、暗黒語をあえて逆から読み、それをさらに反転して再生したものを使用している。

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • 海外wikiでurukは「オーク」、ologは「トロル」、haiは「folk, people」の意味とありますが、本当ですか? -- 2015-04-10 (金) 01:29:36
    • そうです。だから「オーク族」「トロル族」になります。 -- 2017-10-16 (月) 21:06:39
  • 映画でもアゾグとか戦争中に指揮官が叫んでるっぽいのは暗黒語なのかな? -- 2015-11-18 (水) 14:25:30
  • 決戦のゆくえEE、ガンダルフをいたぶるオークが「ナズガッシュ(ナズグ・ガーシュ=火の指輪)」と言っていましたね。 -- 2015-12-18 (金) 23:32:04
  • kuzddurはドワーフでbaguは君主だろうか -- 2016-08-30 (火) 16:12:40
    • 憶測ですが、「kuzd」「durbagu」で切れるのではないでしょうか。「統べる」が「durbatul」なので、「durbagu」は「統べる者(=君主)」のような意味かもしれません。そして「kuzd」はドワーフ語の「khazâd」と繋がっていそうですね。 -- 2016-09-01 (木) 21:31:27
      • なるほど、そうすると後ろのBurz-Durbaguは冥王になるのか -- 2016-09-01 (木) 22:10:42
  • ぜひWikipediaも出してほしい。 -- 2018-04-29 (日) 11:12:32
  • 暗黒語って、何語を元に作られたのでしょうか? -- 2021-09-17 (金) 21:35:46
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