指輪物語/二つの塔/あらすじ


本項目では、『指輪物語 第二部 二つの塔』のあらすじについて記述している。

二つの塔 上

一 ボロミルの死 (The Departure of Boromir)

アラゴルンアモン・ヘン視る椅子から周囲を眺めて状況を把握しようとしていると、岸辺の方からオークの声と、ボロミル角笛の音が聞こえてきた。急いでアラゴルンは駆け下りるが、そこには多数のオークの死体、そして重傷を負ったボロミルを発見する。ボロミルは、自分がフロドから指輪を奪おうとしたことを告白し、小さい人をオークが連れて行ったことを伝えて死んだ。
そこに、オークと戦ってきたレゴラスギムリが合流し、まずボロミルの遺体を船に乗せてアンドゥインに流し葬った。それからアラゴルンは残された痕跡を調べ、フロドとサムモルドールへ向かったこと、ピピンメリーオークに囚われて連れ去られたということを推察する。
指輪所持者の運命は自らを去ったと考えたアラゴルンは、ピピンとメリーを救出するためオークを追うことにし、レゴラスとギムリを連れて追跡行を始める。

二 ローハンの騎士たち (The Riders of Rohan)

オークを追跡していたアラゴルンは、サルマンのいるアイゼンガルドに皆が向かっていると判断。さらに一行は追跡を続けていると、ローハンの乗手達に遭遇。アラゴルンは、乗手達のリーダーのエーオメルに、ボロミルを殺して小さい人を掠っていったオークを追跡していると話す。エーオメルは、そのオークを全滅させて戻るところと話したが、オーク以外には何も見なかったという。
エーオメルからを借りたアラゴルン達はファンゴルンの近くまで進み、エーオメル達が倒して焼いたオーク達の死体を発見した。だがホビットは見つからなかった。

三 ウルク=ハイ (The Uruk-Hai)

オークウルク=ハイ)に捕らえられたピピンメリーは、オークに担がれ、あるいは無理矢理走らされ、アイゼンガルドへ向かっていた。だが途中でロヒルリムの乗手達に包囲され、オーク達は攻撃を受ける。その混乱の中でピピンとメリーは逃亡。そしてエルフのマントの力でロヒルリムの乗手にも気づかれず、包囲網から脱出した。そしてファンゴルンの森へと入っていく。

四 木の鬚 (Treebeard)

あてもなくファンゴルンに入り込んだピピンメリーは、エント木の鬚に出会う。ホビット達と木の鬚はさまざまな話をするが、その中で木の鬚は、アイゼンガルド魔法使いサルマンが悪事を働いていることを確信。木の鬚はエントの寄合を開いて他のエントを集め、彼らはサルマンがいるアイゼンガルドを攻撃することを決定、エントは進軍を開始する。

五 白の乗手 (The White Rider)

アラゴルンレゴラスギムリピピンメリーを捜してファンゴルンの中へと入っていく。そこに謎の老人が現れた。一行はサルマンかと思って警戒したが、実はその人物は白の魔法使いとして舞い戻ってきたガンダルフであった。ガンダルフはバルログと共にドゥリンの橋から転落した後、地の底の池に落ち、バルロルと戦いながら無限階段を登ってついにケレブディルの頂でこれを倒したが自分も力尽きた。だが白のガンダルフとして中つ国に送り戻されたというのだ。
ガンダルフは、ピピンとメリーは木の鬚エントたちと共にいて安全であることを告げると、自分の飛蔭を呼び出し、アラゴルン達をローハンセーオデン王がいるエドラスへと連れて行く。

六 黄金館の王 (The King of the Golden Hall)

一行はセーオデンがいる、エドラス黄金館へとやって来た。セーオデンは衰弱しており、代わりに王の相談役蛇の舌グリーマが政治を仕切っていたが、ガンダルフがセーオデンを癒やし、グリーマがサルマンに買収されていることを暴く。グリーマは追放され、ロヒルリムはサルマンとの戦いの準備を始める。

七 ヘルム峡谷 (Helm's Deep)

セーオデン、その後継者で甥のエーオメル、そしてロヒルリムの乗手達は、アラゴルンガンダルフと共に、サルマンの軍勢と戦うため西へ向かう。その途中、アイゼンの浅瀬を守っていたロヒルリムが敗れ(アイゼンの浅瀬第二の合戦)、サルマンの軍勢に突破されたという知らせを受けて、ヘルム峡谷角笛城に立てこもり、サルマンを迎え撃つことにする。その途中でガンダルフ飛蔭を走らせて一時離脱した。
角笛城に辿りついたセーオデンの軍勢およびアラゴルン、レゴラスギムリは夜を通し、城を襲うサルマンの軍勢と戦う。そして日が昇る頃、エルケンブランドらロヒルリムの援軍を引き連れたガンダルフがやって来て、ロヒルリムは勝利を収める(角笛城の合戦)。

八 アイゼンガルドへの道 (The Road to Isengard)

セーオデンエーオメルアラゴルンレゴラスギムリらは合戦の中でも全員無事だった。ガンダルフサルマンと話をしたいと望み、セーオデンも同行すべきだと主張。かくしてガンダルフとセーオデン、エーオメル、そしてアラゴルン達は少数の護衛の兵と共に、アイゼンガルドへ向かうことにする。
そのアイゼンガルドを囲む城壁とその内部は大きく破壊され、さらに水に浸かっていた。そんな廃墟の中でガンダルフやセーオデンを出迎えたのはメリーピピンだった。二人は、今アイゼンガルドは木の鬚の管理下にあるという。

九 漂着物 (Flotsam and Jetsam)

ガンダルフと、セーオデンロヒルリム一行は木の鬚に会いに行くために去ったが、アラゴルンレゴラスギムリらは、ピピンおよびメリーと残った。そして彼らが別れてから何が起こったのかを話す。
ピピンとメリーによると、エントの寄合からアイゼンガルドを攻撃することに決めたエントは、角笛城を攻撃するためウルクが出払って無防備になっていたアイゼンガルドを徹底的に破壊した。だがアイゼンガルド中心部の、サルマンがいるオルサンクの塔にだけは傷をつけることができなかった。そこでエント達はアイゼン川の水をアイゼンガルドに引き込み、オルサンクの周囲を水没させてしまったのだった。

十 サルマンの声 (The Voice of Saruman)

ガンダルフセーオデンらとアラゴルンらは再度合流。オルサンクの側まで行き、塔の中にいるサルマンを呼び出す。サルマンは力ある声を使ってセーオデンとガンダルフを籠絡しようとするが、失敗。ガンダルフは、モルドールとの戦いにサルマンを協力させることを願っていたが、サルマンを賢人団白の会議から追放することを宣言し、さらにサルマンの杖を折って力を奪う。
その時、水晶のような球体の石が塔の上から落ちてきた。エドラスから追放され、オルサンクに逃げ込んでいた蛇の舌が落としてきたのだ。だが石は誰にも当たらず、ピピンが拾って、ガンダルフが預かった。

十一 パランティールの石 (The Palantýr)

木の鬚サルマンの監視を任せてオルサンクを立ち去った一行は夜営を行った。だがピピンは、拾った石のことが気になって仕方がなかった。そこでピピンは、ガンダルフが寝ている隙に石を持ちだし、その石を覗き込む。その石の中に見えたのはサウロンの姿だった。
ピピンの叫び声で夜営中の皆はすっかり目を覚ました。ピピンの拾った石はパランティールであり、アイゼンガルドモルドールの間で連絡に使われていたものだったのだ。ピピンはサウロンの尋問を受けたが、幸い致命的なことを喋ってしまう前にすぐ尋問は終わり、指輪などの秘密は守られた。ガンダルフはゴンドールの王位を継ぐべき者がこれを持つ権利があるとして、パランティールをアラゴルンに渡す。
その時、空飛ぶ獣に乗ったナズグルが空を横切った。ガンダルフは皆に直ちに出発するように言い、自分は飛蔭にピピンを乗せて、ゴンドールミナス・ティリスへと飛蔭を走らせ始めた。

二つの塔 下

一 スメーアゴルならし (The Taming of Sméagol)

大河アンドゥインを東に渡ってエミュン・ムイルの荒れ地に入り込んだフロドサムは、何度も迷いつつ辛うじて東へと進んでいた。その後をゴクリがつけていた。フロドとサムはゴクリを捕らえるが、その時フロドはかつてガンダルフが言っていた言葉を思い出し、ゴクリに情けをかけ、スメーアゴルことゴクリを殺さないことにする。そしてゴクリに道案内をさせる。

二 沼渡り (The Passage of the Marshes)

ゴクリの案内により、フロドサムエミュン・ムイル及び死者の沼地を抜ける。その途中、翼ある獣に乗った幽鬼が上空に現れるが、皆は見つからずに済んだ。またサムは、ゴクリがふたつの人格、スメーアゴルとゴクリとで言い争っているのを目撃する。

三 黒門不通 (The Black Gate is Closed)

フロドサムゴクリの三人は、ついにモルドール黒門に到達した。他に道を知らないフロドは、望みを抱かないまま黒門を抜けることを考える。だがゴクリは危険だと必死でフロドを止め、モルドールへ入るのに別の道があると言い出す。モルドールの西壁であるエフェル・ドゥアスの山脈を西に沿って南へ行き、十字路から東、ミナス・イシルの方面に行くと、もっと警戒が薄いだろう秘密の道があるというのだ。フロドはその案内にかけることにする。

四 香り草入り兎肉シチュー (Of Herbs and Stewed Rabbit)

フロドサムゴクリエフェル・ドゥアスの西側、イシリエンに入っていく。豊かな自然が残っていたイシリエンでは、ゴクリが捕まえてきた兎を、サムがシチューにしてフロドと共に食べ、久し振りのごちそうとなった。
だがその時の焚火の煙から、フロドとサムはイシリエンの野伏に見つかる。彼らのうちのひとりはファラミルだった。フロドは慎重に目的を隠しながら、自分たちがイムラドリス(裂け谷)から出発したこと、途中までゴンドールボロミルらと一緒だったことを話す。
その後、フロド達には見張りがつけられたが、ファラミルは戦いに出ていった。そしてサムは、イシリエンの野伏とハラド人が戦う様、さらにじゅう(ムーマク)を目撃する。だがゴクリは姿をくらましていた。

五 西に開く窓 (The Window on the West)

ファラミルボロミルの弟だった。彼は、ボロミルの遺体が船に乗せられ、アンドゥインを流れていったのを見たと言ってフロドを驚かせる。それからフロドとサムヘンネス・アンヌーンに連行され、フロド達の旅のことや、ゴンドールについてのことなど、さらに色々な話をする。だがその中でサムがつい口を滑らせ、指輪のことに触れてしまった。ファラミルは今までの話から、ボロミルが力尽くでフロドから指輪を奪おうとしたということを正確に考え当てた。
だがファラミルは、その敵の武器を自分が手に入れようとすることは危険であるとして拒否し、フロドを送り出すことを決める。

六 禁断の池 (The Forbidden Pool)

ヘンネス・アンヌーンファラミルによって夜明け前に起こされたフロドは、ヘンネス・アンヌーンから見える池の方に連れて行かれる。そこで、フロド達とはぐれていたゴクリが魚を捕ろうとしているのを見つけた。フロドの要望でゴクリは殺されずに捕らえられた。それからフロドはゴクリの案内で、今はミナス・モルグルと呼ばれているミナス・イシルの側にある秘密の道を通ってモルドールに入るつもりであるという計画を話した。ファラミルは、その計画やゴクリを信用することに難色を示したものの、結局はフロド達を引き留めずに行かせることにする。

七 十字路まで (Journey to the Cross-roads)

食糧などの援助を受けたフロド達は、ヘンネス・アンヌーンを連れ出されてファラミルと別れた。それからゴクリの案内に従い、一行は十字路へと向かう。

八 キリス・ウンゴルの階段 (The Stairs of Cirith Ungol)

ミナス・モルグルの前までやって来たフロド達は、ナズグルが率いる大軍勢がオスギリアスへ向けて出撃するのを目撃する。それから一行はミナス・モルグルを避け、キリス・ウンゴルの峠へ向かう階段を上っていく。

九 シーロブの棲処 (Shelob's Lair)

フロドサムトレヒ・ウンゴルの洞窟にやってきたが、ゴクリは二人を置いてどこかへ行ってしまった。その時フロドに大蜘蛛シーロブが襲いかかり、またゴクリがホビットを裏切ってサムに襲いかかった。サムはゴクリを撃退し、フロドを助けに向かう。

十 サムワイズ殿の決断 (The Choices of Master Samwise)

サムが駆けつけると、フロドは倒れ、シーロブの蜘蛛の糸にまかれているところだった。サムはガラドリエルの玻璃瓶つらぬき丸を手に取ってシーロブを撃退する。だがフロドは息をしていなかった。
サムは、自分ひとりで探索行を続ける決断をし、フロドの身体から指輪を取る。それから先へ進もうとするが、そこにオークがやってきてフロドを発見し、運び始めた。指輪の力で透明になってオークの後をつけたサムは、フロドはただ麻痺していただけであり、生きていることを知る。

物語は王の帰還に続く。

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