しょうドワーフ

概要

カテゴリー種族
スペルPetty-dwarves*1
その他の呼び名ノエギュス・ニビン、ノイギス・ニビン(Noegyth Nibin)
ニビン=ノグリム(Nibin-Nogrim)
ニビン=ノイグ(Nibin-Noeg)

解説

シンダリンノエギュス・ニビンの訳。『終わらざりし物語』では、シンダリンの別の呼び名としてニビン=ノグリム、ニビン=ノイグが言及されている。
星々の時代に「東の大きな都市」から追放されたドワーフの末裔。西へ放浪してベレリアンドに入ったが、身長も技術も退化していき、隠れ潜んで暮らすようになった。

小ドワーフは自分の一族以外は愛さず、オークを憎むのに劣らずエルフを、わけても自分たちの家と土地を奪ったという理由でノルドール族のエルフを憎んでいた。
かつてシンダール族のエルフからは動物の一種だと思われており、狩り立てられて殺されることもあった*2ノグロドベレグオストドワーフがやって来てエルフと交流を持つようになると、その素性も知られたが、同時に相手にもされなくなった。

後にナルゴスロンドが築かれる洞窟はもともと小ドワーフが開拓し住んでいたものだが、そこを追われた後はアモン・ルーズを最後の住居としていた。だが数を減らしてゆき、ミームイブンキームの親子を最後に第一紀で絶滅した。

そしてミームは、ドワーフの年齢からいってももう老齢であった。年を取り、忘れられた存在であった。かれの館では、鍛冶工たちは怠惰で斧は錆び、かれらの名前は、ドリアスとナルゴスロンドの古い物語の中に記憶されているに過ぎなかった。*3

文化

ヌルッキズディーン (Nulukkizdîn)
後にナルゴスロンドとなる洞窟を指す小ドワーフの言葉だが、意味は不明。フィンロドがここを自らの居館に定めて開拓を始めると、先に住んでいた小ドワーフは追い散らされた。
シャルブフンド (Sharbhund)
小ドワーフの言葉でアモン・ルーズのことを指すが、意味は不明。頂上付近に小ドワーフの岩屋が穿たれていたが、ミームは自らの身代にここをガウアワイスに明け渡した(バル=エン=ダンウェズ)。
大地のパン (earth-bread)
小ドワーフが食糧にしている荒れ地の根くず。小ドワーフの言葉による呼び名もあるようだが、ミームは明かさなかった。

Iron Crown Enterprisesによる設定

外見

ホビットと同じ位の背丈しかないが、頭はそれよりも大きく不格好。姿勢は曲がり、手足は節くれだって捻じれている。わずかばかりの鬚は土や埃、食物の根くずがこびり付いて汚れている。

歴史

トールキンの資料では語られていない、彼らの起源やその後について語られている。

星々の時代モルゴスが解放されるよりも昔、トゥムンザハールのドワーフたちは内紛に陥った。その発端となったのは、剛拳のブロール(Bror Grimfist)だった。彼の祖父フロールン(Frorn)は、多くの恐るべき獣を狩った者として名声を得ていた。その戦鎚モルセレグ(Morsereg)は偉大なる戦士の証として、息子のズリム(Zrim)に受け継がれた。ブロールはこれを大いに欲したが、その所有権は叔父の死後、賢者である兄ブローリン(Brorin)に移った。ブロールはブローリンが鎚を受け継ぐ器に相応しくないと、再三に渡って自分に譲るように要求したが、兄は頑なにそれを拒んだ。ブローニンは恨み言を呟き続ける弟を平手打ちにし、頭から流血させた。それを見たブロールは激昂し、兄を殴り殺してしまった。

怒りと悲嘆にくれながら、ブロールはノグロドから追放された。妹の子オルン(Orn)、ゾルン(Zorn)、フォーリ(Foli)が彼に付き従った。彼の同志であったキーム(Khim)、ズロール(Zror)、イビール(Ibir)も共に去った。彼らのうちでもっとも哀れなのが、末の姪シースト(Thist)であった。彼らは何か月もの間、住処を求めて荒れ地を彷徨った。そしてある冬の日、が西方の地平線から射した日に、リングウィル川とナログ川の合流する地に仮住まいを築いた。それから間もなく、シーストは洞窟の入り口を発見した。内部は大理石や宝石などの壁や柱が複雑に入り組んでおり、住居とするのに最適な壮大な空間が広がっていた。彼らはそこで放浪をやめ、ヌルッキズディーンの掘削を始めた。

ブロールの一族はしばらくの間は栄え、噂を聞きつけた他の追放されたドワーフが洞窟に集まるようになった。だが次第に、彼らの元には星の如き瞳を持つ、弓の扱いに長けた背が高い民の噂がもたらされるようになった。ベレリアンドに進出してきたエルフたちは、小さく醜い彼らを動物の一種と思うだけでなく、こそこそと隠れ潜む姿からオークの仲間かもしれないと警戒心も抱いていた。災いの種を取り除こうと、彼らは手当たり次第に小ドワーフを狩った。ノグロドとベレグオストの正式な使者がエルフの下を訪れると、彼らは過ちに気付いた。だが結局、小ドワーフはヌルッキズディーンを捨てて、より隔絶されたシャルブフンドの地下に隠れた。何者からも干渉されずただひっそりと静かに暮らすことを望んでいた彼らは数を減らし続け、何処とも無く去って行く者も少なくなかった。

ナルゴスロンドの廃墟でフーリンと対峙した時、ミームは自身を“わが同族の最後の者”と名乗った。だが実際は彼が小ドワーフの最期の者というわけではなかった。ミームと共にオークに捕らわれ、その後消息不明となった息子のイブンは、父の手引きによってバル=エン=ダンウェズが襲撃された時、荒野に身を潜めて難を逃れていた。そして、フーリンがナルゴスロンドに来る直前にミームと決別して去っていた。母方の親族を訪ねたイブンは、エリアドールに向かい、カメス・ブリン(Cameth Brin 後のリュダウル)で再開した。また、そこから南に旅を続け、後のカルドランにあるラスト・ヴォルン(Rast Vorn)に辿りつき、一族の長となった。

生き残った小ドワーフたちは、氏族が反映する陰で細々と命脈を保ち、決して繁栄しなかった。どちらの一族も、第一紀と同様に貧しく卑しい存在であり続けた。

出典

Include/ドワーフ

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • ダンジョンズ&ドラゴンズでは溝ドワーフって幼児レベルの知能しかない氏族が出てくるが少ドワーフがモチーフだろうか -- 2016-05-07 (土) 10:29:13
    • どっちかというとディズニー的ドワーフ(小人)? -- 2016-05-07 (土) 22:08:35
    • 灰色ドワーフ(デュエルガー)もだろうな -- 2017-01-20 (金) 16:38:52
    • そもそもドワーフって妖精時代は半ばゴブリンに近い立ち位置でしたので -- 2019-12-12 (木) 23:01:07
  • しかし狩りの対象になるというのは、人間型種族なのにあまりに悲しい… -- 2016-10-08 (土) 08:08:39
    • コレ多分モチーフはオーストラリアのアボリジニなんだろな 最初サルだと思われてたらしいからな -- 2019-12-12 (木) 22:53:39
      • 1788年からのイギリスによる植民地化によって、初期イギリス移民の多くを占めた流刑囚はスポーツハンティングとして多くのアボリジニを虐殺した[18]。「今日はアボリジニ狩りにいって17匹をやった」と記された日記がサウスウエールズ州の図書館に実際に残されている[19]。 1803年にはタスマニアへの植民が始まる。入植当時3,000〜7,000人の人口であったが、1830年までには約300人にまで減少した[20][要ページ番号]。虐殺の手段は、同じくスポーツハンティングや毒殺、組織的なアボリジニー襲撃隊も編成されたという[21]。数千の集団を離島に置き去りにして餓死させたり、水場に毒を流したりするといったことなども行われた[22]。 -- 2020-05-05 (火) 15:08:48
      • 他人の書いた情報源を丸々引用してそれで論議してるつもりなの? -- 無 2020-05-05 (火) 17:43:29
      • 酷いことするなと -- 2020-05-05 (火) 19:36:04
    • ゴブリンかオーク類に間違われてしまったとか? -- 2019-12-28 (土) 20:16:59
      • それは同じものやろ エルフってやっぱり性格悪いわ -- 2019-12-29 (日) 10:05:23
      • きっとそうじゃない?だから多くの小ドワーフ達が殺されたんでしょう。 -- 2021-09-27 (月) 08:30:20
      • ↑↑ロヒアリムもドルーエダインを人間とみなさず、狩りの対象にして追い回したとある。性格の問題ではなく、種族の問題でもなく、なんならアボリジニの例もあるように現実にも起こる事にすぎないよ。強いて言えば現実のモデルがある分「人間は怖い」ではないか。 -- 2022-03-11 (金) 02:19:09
    • 全く、同意。 -- 2019-12-29 (日) 18:55:05
      • 第三者目線から見てるから言える事。自分がロヒアリムや白人の入植者だったら同じ事をしないとどうして言い切れる? -- 2019-12-29 (日) 22:40:29
    • 人型種族ったってオークどもも人型だし、人型じゃないけど喋る知的生命体かつ敵対種族がいる世界だし。人型だから、二本足だから、喋るから、変わった見た目してるけど人間かもしれないってのはこの世界の現代人ならではの感覚ではないか。なんなら現実世界の人間でも何百年か前なら病気や遺伝で異形だったら人間だと思ってなかったりするでしょうし。 -- 2022-03-11 (金) 02:12:47
  • エルフで言うところのアヴァリ的な存在なんだろうか -- 2017-01-22 (日) 10:21:10
    • アヴァリは迫害されるわけでも、同族から蔑まれるわけでもなく暮らしていたから違うかと。 -- 2017-01-22 (日) 18:40:59
    • いわゆる普通のドワーフ、エルフから下に見られているイメージです。ティルヴィングの製作スタッフとか。冗談抜きでリアル(の伝承)だとゴブリン扱いされます。というかフィンロドさん、弱いものいじめなんかするからサウロンに競り負けるんですよ。 -- 2019-12-13 (金) 18:54:56
  • かわいそう -- 2019-03-12 (火) 20:47:12
  • 小ドワーフというのは世界が後に生まれた者達の時代へと移り変わっていくと、次第に地上からは姿を消していった。ある者は海の彼方のエルフ本国に去り、中つ国に留まった者も矮小化して消えていくか、目に見えない記憶のような存在へと変わっていった←これのドワーフ版の先駆け的な存在では無いですかね -- 2020-05-05 (火) 15:10:29
  • 食肉を得る為の狩りなのか?それならかつてのシンダールはそうとは知らずに人肉食していたのか? -- 2020-05-05 (火) 20:00:35
    • アボリジニと同じスポーツハンティングでしょ気持ち悪い生物排除する為とか? -- 2020-05-05 (火) 21:02:20
    • 資源獲得の為の狩りではなくて、メルコールに歪められた醜い獣を駆除する為の狩りだね多分。だから、オーク退治やカルハロス狩りと同じ感覚なのでは。 -- 2020-05-06 (水) 01:36:44
    • してないでしょ。本には「シンダールが人肉食をした。」という記述はしてないし、していたら本に書かれているでしょう。 -- 2021-09-26 (日) 18:50:12
    • ナルゴスロンドの事例を見ると住処と資源をめぐる縄張り争いのようにも見える。 -- 2021-09-26 (日) 20:58:10
    • オーク狩りしたエルフがオークを食わないだろうように、小ドワーフも食べないでしょ…。 -- 2021-09-26 (日) 21:12:53
      • 本当そう思います。 -- 2021-09-27 (月) 08:30:57
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