ヴァラール

概要

カテゴリー種族
スペルValar*1
その他の呼び名諸力、諸神、力ある者(Powers)
アルダの諸力、アルダの諸神(Powers of Arda)
西方の諸王(Lords of the West)
ヴァリノールの諸王(Lords of Valinor)
世界の守護神(Guardians of the World)
偉大なる者たち、大いなる者たち(Great Ones)
アルダの支配者たち、アルダの統治者(Rulers of Arda)
神々(Gods)

解説

クウェンヤで「諸力」の意。ヴァラールは複数形で、単数形はヴァラ。女性形はヴァリエア(単数形ヴァリエ)であり、彼女たちは「ヴァラールの妃(Queens of the Valar)」とも呼ばれる。
エアが創造されたとき、アルダを築き、治める存在としてやってきたアイヌア。彼らは中つ国の民には神々と解釈されることも多いが、実際にはあくまで唯一神イルーヴァタールに仕える天使のような存在である。だが、イルーヴァタールがアルダにほとんど介入しなかったこともあり、ヴァラールのほうが(特にイルーヴァタールについての話を直接ヴァラールより聞いたことがない中つ国の民にとっては)身近な存在となっている。

ヴァラールには真の意味では肉体は存在しない。ただアルダの者に接するときなどに都合が良いため、普段は肉体の“姿”を装っている(そのためかれらには肉体的な性別は存在しないが、精神的な性別は存在し、男あるいは女の姿をとることによってそれが示される)*2

さてここで、ヴァラールは、地上の形と色を身に着けた。かれらは、かれらが望みをかけているイルーヴァタールの子らへの愛に引かれてこの世界に引き寄せられたのであるから、イルーヴァタールの示された幻の中でかれらが見たイルーヴァタールの子らの形を真似たのである。ただ、かれらの威厳と(さん)たる輝きは、イルーヴァタールの子らの及ぶところではなかった。さらに、かれらの形は、世界そのものというより、むしろ、目に見える世界についてかれらが懐いている知識から出たものである。
… しかし、この偉大なる者たちが装う姿は、必ずしもイルーヴァタールの子らの王たち、王妃たちの姿に似ているわけではない。なぜなら、時にはかれらは、自分たちの考えるあるものに合わせて身を包み、威厳ある恐ろしい姿をとって現われることもあるからである。*3

ヴァラールの一覧

マンウェがヴァラール(ヴァリエア)の指導者であり、また全アルダ長上王であった。
とはいえヴァラールはアルダを知悉する者としていずれも同格にあり(後述のアラタールにおいては特にそうであった)、アルダと自由の民の命運にかかわる重要な案件は審判の輪に集い、合議によって決定された。

冥王メルコール(モルゴス)もかつてはヴァラールの一員であったが、度重なる叛逆によってその座を追われ、もはやヴァラールの一人には数えられない。

アラタール

ヴァラールのうち、特に偉大な八者はアラタール(Aratar)*4、すなわち「アルダのいと高き者たち(the High Ones of Arda)」と呼ばれる。
これに数えられるのはマンウェヴァルダウルモヤヴァンナアウレナーモニエンナオロメである。

こちらも元々はメルコールを含めて九者だったが、彼は叛逆によって除外された。

ヴァラールの歴史

ヴァラールによるアルダの形成と、中つ国からの撤退

アイヌアの音楽を奏でた後、エアに下ったアイヌアの中で、特に主導的な役割を果たしたのがヴァラールであり、中でもアルダの形成において中心的な役割を担ったのがマンウェウルモアウレであった。ヴァラールは彼らの下にマイアールを集めてアルダの形成を進めていったが、メルコールとその下に集まった悪霊達による絶えざる妨害に遭った。そのため、ヴァラールによるアルダ建造の計画は、常に変更と挫折を余儀なくされた。とはいえ、トゥルカスによってメルコールが一旦放逐されると、ヴァラールはアルダの形成を成し遂げた。

アルダが形を成すと、ヴァラールは世界を照らす光として二つの灯火を築き、中つ国アルマレンに住まった(灯火の時代)。しかし虚空から舞い戻ったメルコールによって二つの灯火が破壊されると、これ以上アルダが傷を被ることを恐れたヴァラールは西の果てにあるアマンへ撤退する。
この時にメルコールが招いた騒乱と破壊のため、ヴァラールが元々抱いていたアルダの構想は二度と実現不可能となった。

二つの木の時代におけるヴァラール

アマンへ撤退したヴァラールはそこにヴァリノールを築き、防壁としてペローリの山脈を積み上げた。ヤヴァンナは新たにヴァリノールを照らす光として二つの木を生み出した。
ヴァルダテルペリオンの雫から星々を作ると、中つ国のクイヴィエーネンエルフが誕生する。オロメ中つ国に遠征した際、クイヴィエーネンでエルフを発見し、彼らがメルコールの暗闇に脅かされているとの報をヴァラールにもたらした。そのためヴァラールはエルフを救い出すため、軍勢と共に進撃してメルコールを打ち破り、捕囚としてアマンへ連行し三期の間幽閉することを決める(力の戦い)。

メルコールの脅威が取り除かれると、ヴァラールはエルフをアマンへ連れてこようとしたが、全てのエルフがそれに応じたわけではなかった(詳細はエルフの項目を参照)。
アマンに渡った上のエルフは、その地で直接二つの木の光とヴァラールの教えを受け、大いに才能を開花させた。一方でヴァラールは、中つ国に残ることを選んだエルフや、その他の中つ国の民に対しては、なるべく介入しない方針をとっていた(オロメやウルモヤヴァンナといったごく一部のヴァラだけが、上古にもたびたび中つ国を訪れた)。

しかし三期の刑期を終えて釈放されたメルコールは、エルフの間に不和を撒いてヴァラールから引きはがそうと目論み、その悪意が露呈すると二つの木を枯死させてヴァリノールに暗闇をもたらす。シルマリルを奪われたフェアノールはメルコールをモルゴスと呼んで追跡を誓い、ノルドール族を扇動して中つ国へ帰還した。
ヴァラールは当初、ノルドール族の造反を黙認したが、かれらが同族殺害を犯すに及んでついに怒り、マンドスによってヴァラールの宣告が下される。ヴァラールはヴァリノール隠しによってアマンと中つ国の往来を遮断し、中つ国においてモルゴスを敵として戦う者達に救いの手が差し伸べられることはほとんどなかった。

月と太陽の創造第一紀

しかし、ヴァラールは完全に中つ国を見棄てたわけではなく、ヤヴァンナの歌とニエンナの涙によって生じた二つの木の最後の花と果実から、ヴァラールはそれぞれ太陽を築き、新たにアルダを照らす光として送り出した。また、ウルモマンドスの宣告に抗い、中つ国の民へさまざまな助力を行った。
第一紀末にエアレンディルアマンへの航海を達成し、モルゴスと戦う中つ国の民への救助と憐れみを乞うと、ヴァラールはそれを聞き入れ、三度目となるヴァリノールの軍勢を派遣してアングバンドを攻撃し、モルゴスを打ち破って捕らえ、虚空へと放逐した(怒りの戦い)。

マンドスの呪いは停止され、エルフには再びアマンへ渡ることが許されるようになった。

第二紀のヌーメノールの創造と破壊

ヴァラールは、人間の中で唯一モルゴスを敵として戦ったエダインに報いるため、海底からヌーメノールの島を持ち上げてエダインに与えた。ヌーメノール人はヴァラールから与えられた恩寵によって、中つ国の人間を遥かに凌駕する技量と寿命を持つにいたる。しかしヴァラールは、かれらが死すべき運命の人間には許されない“不死”を望むようになるのを防ぐため、かれらにものが朽ちることのない西方(アマン)へ渡航することを禁じた(ヴァラールの禁)。
にも関わらず、ヌーメノール人の心には次第に影が忍び寄り、かれらは自分達には許されていない“不死”を妬むようになる。堕落したヌーメノール人はエルフやヴァラールを敵視するようになり、とうとうサウロンに誑かされて、力ずくで不死を奪うためにアマンへ進軍してくるにおよび、ヴァラールはアルダの統治権を一時返上してイルーヴァタールの裁きを求めた。

結果イルーヴァタールによってヌーメノールは沈められ、それにとどまらずアルダの構造は大変革を被って球形に作り替えられた(世界の変わる日)。アマンは人間には到達できない世界の圏外に移されたが、このためにヴァラールの中つ国に対する影響力はさらに減少することになった。

第三紀以降のヴァラールと中つ国

ヴァラールは、第三紀以降の中つ国の歴史には、ほとんど、あるいはまったく関わっていないと考えられている。
だが中つ国のことを見捨てたわけではなく、サウロンと戦う自由の民を助けるためにイスタリを遣わした。

関連項目

コメント

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 威厳ある恐ろしい姿ってどんな姿? -- 2017-05-26 (金) 02:30:03
    • 教授はキリスト教の三位一体(トリニティ)を信じる心と結びついた表現としてヴァラールを書いたと書簡で言ってますので、シンプルに読めば三位一体的な威厳と恐ろしさなのではないかと。 -- 2017-05-26 (金) 12:22:26
      • クリスチャンとしての弁明みたいなものが全くないとも言えないのでは。異教的な神話体系を準創造したことに多少の葛藤はあったでしょうし。クリスチャンではないので全くわかりませんけど。 -- 2017-12-01 (金) 13:00:25
  • 誰も話題にしてないような気がするから聞くんだけど、ノルドールが言うことちゃんと聞いてモルゴスを追わなかったらヴァラールはその後どうするつもりだったんだ? -- 2018-08-09 (木) 19:36:37
    • まさか放置するんじゃなかろうな?って不安になるよな -- 2020-12-12 (土) 20:37:24
  • 二つの木を枯らせたメルコールですら一度は許してるのに、木の光を残す働きをしたフェアノールとその同胞には散々な呪いをかける。自分たちからすれば圧倒的に弱く、守るべきエルの子(人)を、自分たちの失敗であるメルコールと一緒に中つ国に放っておいて、エアレンディルが救いを求めるまでは大した援助もしないとか、残念な神々にしか見えない。せめてメルコールについては、もうちょっと責任ある対応が取れんかったのか。 -- 2018-08-11 (土) 11:15:05
    • ヴァラールは無責任と茶化して書き込んだことはあったが、この視点はなかった。確かに。エルダールに甘くしろ、という話じゃなくメルコールに甘すぎる、って話だよな。ウルモやオロメは立派に保護や恩恵を用意したから別だけど。 -- 2019-09-28 (土) 21:37:14
      • メルコールをあえて必要悪として放置することにより、人間に試練を与え、ヴァラールへの帰依と成長への機会を与える・・・・・という解釈は二次創作的でしょうか? -- 2019-09-28 (土) 22:07:50
    • 二つの木を害したメルコールを許したことなどないのでそこは事実誤認。単純に同じヴァラであるメルコール相手に戦を起こすとアルダが大損害を被ってエルの子らも巻き込まれかねないからうかつに手を出せないだけです。 -- 2019-09-28 (土) 21:54:37
      • メルコールを一度許したのは、二つの木を枯らせる前ですね -- 2019-09-29 (日) 19:49:10
  • 身内には甘いよなコイツら -- 2019-09-28 (土) 08:14:36
  • メルコールさんが抜けたあとが男女同数のあたり、対応するパートナーが用意されなかった彼女なし男 ( みなしご )の反逆は宿命ということなのか -- 2020-01-25 (土) 13:00:33
  • アラタール にメルコール退けられる肌の武勇を持つトゥルカスが含まれないのはアホの子だからか -- 2020-06-19 (金) 20:01:40
    • 脳筋ですからね彼は -- 2020-06-19 (金) 21:06:46
  • ヴァラールって人間やエルフと同じ姿を纏ってもその体格まで合わせる事はできない気がする。4メートル位までしか縮小できなさそう -- 2020-12-12 (土) 18:34:42
    • ↑同感 -- 2020-12-12 (土) 20:09:42
    • 常時テンション爆上げだと思われるバルログが推定6~8メートル位だからヴァラも平常時に肉体を纏う時はその位の大きさなイメージがある。下位の種族と接触する時はもう少し小さくて4メートルくらい。ただ、肉体を纏う必要がある機会がどの程度あるかはよく分からない -- 2020-12-19 (土) 22:27:56
    • アイヌアの肉体は仮初めのものに過ぎないので、ホビットや小動物のような小さな肉体すら不可能ではないはず。イスタリや堕落した連中のように受肉していれば変身はかなり限られると思いますが。 -- 2020-12-20 (日) 08:56:14
  • ちなみにヴァラールってなんで人間が目覚めたときはエルフと違って不干渉だったんだ?ヴァリノール行きは無理にしてもモルゴスに寝返らんよう色々と教えてやればよかったんじゃ。せめてイルーヴァタールのことは教えてやれよ。 -- 2020-12-12 (土) 20:12:16
  • エルフには過干渉、反省したのは良いが反省し過ぎて人間には不干渉をとり、ドワーフに至っては元部下に弾圧をくらう。三種族共に色々とヴァラールに酷い目にあってる。 -- 2020-12-19 (土) 16:40:35
    • 三種族からしたらしっかりしろ案件すぎる -- 2020-12-19 (土) 19:39:56
  • ヴァラ―ルやらエルフやらを嬉々として叩く奴はいわゆる『批判が自分の仕事』みたいなクレーマー気質なのかもしれん。が、それにしてもヴァラ―ルには両極端やブレブレすぎるアクションが多い。時たまトゥルカスが理性的に見えるくらいに。流石は超越的存在。 -- 2020-12-22 (火) 07:58:28
お名前:

人種差別をあおるもの、公序良俗に反するもの、項目とは関係ないコメント、他コメント者への個人攻撃及び価値観の押しつけや、相手を言い負かすことが目的の非建設的な議論、現実世界の政治および近代・現代史、特定国家、団体、民族などに結びつけ批判、揶揄するようなコメントなどは削除の対象となります。その他コメントについて。
Last-modified: