ヤヴァンナ†
概要†
解説†
クウェンヤで「果実をもたらす者(Giver of Fruits)」の意味。アラタールの一人に数えられるヴァリエで、アウレの妃。ヴァーナの姉。
ヴァルダ(エルベレス)に次いで尊崇されるヴァリエであり、クウェンヤで「大地の女王(Queen of the Earth)」の意味のケメンターリの異名を持つ。
アルダの大地に育つありとあらゆる動植物(オルヴァールとケルヴァール)を司り、それらを愛し育む。
彼女はエントを世に送り出した。またアマンにおいて、ヤヴァンナが歌う前で二つの木が生まれ、成長していった。
地上の形をとる時には、かの女は背の高い婦人の姿になり、緑の長衣を着るが、時にはほかの形をとることもある。かの女が太陽を冠に、まるで一本の木のように空の下に立っているのを見た者は何人もいる。その木の枝という枝から金色の露が零れ落ちると、荒地に、五穀が緑豊かに生い育った。その木の根はウルモの水の中に浸り、その葉にはマンウェの風の声が聞こえた。*1
大地の女王†
かの女は、土に育つものすべてを愛し、それらの無数の形、即ち原始の森林に塔のように聳える木々から、岩にむす苔、あるいは地中の小さな、ひそやかなものたちに至るまですべてを心に留めている。*2
ヤヴァンナはイルーヴァタールの子らを除き地上に育つすべての生類の作り手である。
これらの最初のものはアルダの春に目覚め、生育していったが、二つの灯火がメルコールによって破壊されるとアルダの春も終わる。
ヴァラールがアマンへ撤退すると、灯火に代わるものとしてヤヴァンナは緑の築山エゼッロハールの上で歌い、彼女が為した中で最大の偉業である二つの木を生じさせた。
アマンの繁栄にあっても、ヤヴァンナはウルモやオロメらと同じように中つ国を心にかけるのを忘れず、暗闇に取り残されたオルヴァールとケルヴァールを憂い、メルコールが彼らの上に加える損害を嘆いた。そのため彼女はしばしばアマンを後にして中つ国に赴いて、彼女の製作物の傷を癒し、時が来るまでかれらを眠りにつかせた。これはヤヴァンナの眠り(Sleep of Yavanna)と呼ばれる。
中つ国の消息をヴァラールに伝え、メルコール打倒を熱心に訴え続けたのもヤヴァンナであった。ヴァルダが天空に星を置き、それによってエルフが目覚めたのも、元はと言えばヤヴァンナの提言がきっかけである。
エントの誕生†
夫のアウレから彼がドワーフを創造し、それがイルーヴァタールに嘉納されたことを打ち明けられたヤヴァンナは、アウレの心性を受け継いだドワーフや、メルコールの影響を受けたエルフや人間によって彼女の作った動植物が思うがままに利用され、虐げられるかもしれないことを嘆き悲しんだ。
そこで彼女はマンウェに自らが抱いた懸念のことを相談し、彼女がアイヌルの歌で見た木々の守り手のことをマンウェに訴えた。
「どれにも、それぞれ値打ちがございます」と、ヤヴァンナは言った。「それぞれが、ほかのものの価値に寄与しているのでございます。しかし、ケルヴァールは飛んで逃げることも、自分を守ることもできます。ところが、土から生えておりますオルヴァールにはそれはできません。これらの中では、わたくしは木を大事に思います。育つに長い時がかかり、切り倒されるとなると、たちまちでございます。枝に果実を実らせて己の地代とするのでなければ、その死を悼む者もほとんどおりますまい。わたくしの考えでは、そのように思われるのでございます。根あるすべてのものに代わり、木にものが言え、かれらを虐げる者たちを罰することができればよろしいのに!」*3
ヤヴァンナのこの願いはマンウェの中に入ってイルーヴァタールの目に留まり、マンウェはアイヌルの歌が歌われた時のことを幻に見た。そこで彼は、当時は気に留めなかった多くの物事がそこに歌われていたことに気付き、エントと大鷲のこともその中に含まれていたことを知った。
かくしてエントもまた、イルーヴァタールの子らが目覚めると同時に地上に生を受けることが判った。
ヤヴァンナの民のマイアール†
ヤヴァンナの民として言及があるのは以下のマイアールである。
- アイウェンディル
「鳥を愛する者」の意。
Include/アイヌル†
コメント†
最新の6件を表示しています。 コメントページを参照