モルドール

概要

カテゴリー地名
スペルMordor
その他の呼び名黒の国、暗黒の国(Black Land)
影の国(Land of Shadow)
暗黒の国、暗黒の地(Dark Land)
暗黒の国(Dark Country)
黒の国(Black Country)
名をいうをはばかるかの国(Nameless Land)

解説

シンダリン黒の国の意。冥王サウロンの王国。この国の心臓部である滅びの山の火を用いて一つの指輪は作られた。
サウロンはこの地の大城砦バラド=ドゥールを本拠とし、国土と軍勢はサウロンの意志によって支配されている。

地理

視野に現われた土地は荒々しく無情で仮借のないものでした。 … 牙なす岩が突兀とっこつと連なって山際はぎざぎざのいりくみを見せ、背後から照らされる赤い光に黒々ときわだっていました。 … この尾根のずっと向こう、しかしほとんど真っ直前方に当たって、小さな火の点在する広大な湖のような暗闇のさきに、真っ赤に燃えるものがありました。そしてそこから渦巻く煙が途方もなく太いすじとなって幾条も立ち昇って、煙のもとの方は黒ずんだ赤色で、上の方は黒く、この呪われた地一帯をおおう波立つ天蓋に吸い込まれていました。*1

エレド・リスイ(灰の山脈)の南、エフェル・ドゥーアス(影の山脈)の東にある、ふたつの山脈に囲まれた難攻の地。北の入り口であるキリス・ゴルゴル(幽霊峠)には黒門歯の塔が、西の入り口にあたるモルグル谷にはナズグールの城であるミナス・モルグルが、そこから分かれたキリス・ウンゴル(蜘蛛峠)には蜘蛛の怪物シーロブ住処である洞窟に加えてキリス・ウンゴルの塔があるなど、すべての道は徹底して監視され防衛されており、忍び込むのも抜け出るのも容易ではない。

北西部のゴルゴロス高原の中央部に滅びの山が聳え、その東の方向にサウロンの城砦であるバラド=ドゥールが建っている。
滅びの山の活動時、国土は絶えずその噴煙に覆われるため昼でも薄暗い。

北部には鉱山や鍛冶場、軍勢の野営地などが広がっている。軍勢が移動するための道路網も整備されており、道路沿いには砦がいくつも設置されている。影の山脈モルガイの山並みの間にある谷間にもそうした道路の一つが走り、その北端にはドゥルサングの砦がある。影の山脈と灰の山脈が合流するところにウドゥーンの盆地があり、その南側の出口はアイゼン口となっている(北側の出口が黒門である)。
一方で南部のヌアネン湖周辺には大規模な奴隷農場があり、そこで生産される食糧で軍隊を養っている。

東のリューンや南のハラドにある隷属国とは大街道によって繋がっており、それらの国々からもたらされる多量の貢物と奴隷によっても国力が維持されている。

地名

歴史

「モルドールの名は、いくらホビットといえども耳にしたことはあるじゃろう。昔話の辺境にうずくまる影のごとき存在じゃ。敗北とそれに続く小休止の後、影は必ず別の形をとって、ふたたび勢いを盛り返すものよ。」*2

第二紀中つ国で活動を再開したサウロンは、1000年頃にオロドルイン(滅びの山)があるこの地を拠点に選び、その火を妖術や鍛造に利用すると共にバラド=ドゥールの築城を始める。1600年頃にサウロンは滅びの山の火で一つの指輪を鍛え上げ、バラド=ドゥールを完成させた。
1693年から1701年まで続いた力の指輪を巡る戦いでは、サウロンの軍勢はエリアドールへ侵攻したものの、ギル=ガラドヌーメノールの反撃で敗退する。するとサウロンはモルドールに戻り、東方南方に勢力を伸ばして中つ国に暗黒時代をもたらした。

3261年にアル=ファラゾーンウンバールに上陸すると、3262年にサウロンは降伏してヌーメノールへと連れ去られる。その間モルドールは放置されていたが、3319年にヌーメノールが海底に没するとサウロンはこの地に帰還し、再び滅びの山を噴火させた。
戦力を再建したサウロンは3429年にゴンドールに戦いを仕掛けたが、翌年締結された最後の同盟によってモルドールは攻撃を受ける。3434年のダゴルラドの戦いでサウロンの軍勢は敗北し、バラド=ドゥールは3441年まで包囲された。滅びの山の山腹で行われた最後の戦いにおいてサウロンは斃された。
しかし一つの指輪が破壊されずサウロンの力は完全には消滅しなかったため、バラド=ドゥールは破壊することができず、廃墟のまま残された。

第三紀になると、モルドールはゴンドールの監視下に置かれる。国境には歯の塔キリス・ウンゴルの塔ドゥルサングといった砦が築かれ、悪しき者が戻ってくることがないよう封鎖された。
そのため復活したサウロンは闇の森ドル・グルドゥルに潜んで好機を伺い、悪疫や戦乱を引き起こしてゴンドールの国力が衰微するよう仕向けた。そのため1640年頃には監視がおそろかになり、やがて悪しき者達が再び密かにこの地に戻ってくるようになる。
1980年にはナズグールがこの地に集結し、2000年から2002年にかけてミナス・イシルを包囲攻撃した。陥落したミナス・イシルはミナス・モルグルへと作り変えられた。
2475年からはウルク族がたびたびモルドールから現れ、イシリエンを襲撃した。
そのうち国境にあった砦もすべてモルドールが奪い取り、モルドールを防衛するために、あるいは国内の奴隷が逃亡するのを防ぐために用いられるようになった。

2942年、かねてから手筈を整えていたサウロンが遂にドル・グルドゥルを放棄して、密かにモルドールへ帰還する。2951年に彼は公然と名乗りを上げ、全ての悪しき者達をモルドールに集結させるとともにバラド=ドゥールの再建を始める。2954年には滅びの山が再び噴火した。
以後、モルドールの影は着々と中つ国に広がっていったが、ゴンドールの働きによってその力が公然と大河アンドゥインの西側に及ぶことはかろうじて阻まれた。

指輪戦争において、サウロンはモルドールおよびそれに隷属する東方南方の軍勢を動員して、西方諸国へ一斉攻撃を仕掛けた。だが一つの指輪が破壊されたことでサウロンの力は完全に滅び、その軍勢は総崩れとなり、バラド=ドゥールは崩壊した。
ゴンドールのエレッサール王はモルドールの奴隷を解放し、ヌアネン湖付近の土地をかれらに与えた。

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • 昨今の黒人運動でモルドールが黒の国を意味するのはどうこう言われそうな気がする -- 2020-07-03 (金) 16:58:06
    • TV版ロード・オブ・ザ・リングもポリコレでヒデェ出来になるかもな -- 2020-07-03 (金) 17:07:16
    • 恨むならやらかした警官を恨め -- 2020-07-03 (金) 19:39:16
    • 第二紀について取り上げられるらしいという噂もあるので、しばしば最悪の人種として取り上げられる黒きヌーメノール人(白人)こと王党派ヌーメノール人をメインの悪役に据えて中つ国世界の「黒」系統の名前の大意について説明を入れる可能性も。まあクレーム入れる方はそんなこと関係なくクレーム付けそう -- 2020-07-04 (土) 02:30:08
      • ここでもたまに見るが、差別や間違いに対する義憤を演じてただ他人を叩きたい人、いますからねー。一方で「こりゃ叩かれるわ」って人もいたりしますが...。荒れそうな話題ですが、本当にLotRはあの時代に作られて良かったです。今ならポリコレ対策で美人アジアンのオリジナル武将に率いられた東夷やら、ファラミアを救う黒人ゴンドール兵(その後ガンダルフの代わりに指揮を執る)とか出ていたでしょうからね。 -- 2020-07-04 (土) 05:29:18
        • 血統主義とか(東方や南方を下げることに繋がる)西方優位主義とか読み取れるところ、指輪物語には結構あって、正直、気になるところだからなぁ……。何かしらでバランスをとってそういう『くさみ』を中和してくれるのなら、むしろ歓迎したいかなぁ。その方が安心して楽しめるってところは、ある。 -- 2023-07-11 (火) 17:40:30
          • あー。やっぱりそういうところ気にする人居るんだなあ。個人的には微塵も理解できないが…。
            それじゃあ力の指輪なんかは大歓迎だったんでしょうね、申し訳ない。間接的に貶して。 -- 2023-07-11 (火) 21:08:09
            • そりゃ単純に勧善懲悪の冒険活劇として読むのとその裏の政治的歴史的な部分も含めてよむのとでは違うからでは?
              劇中でも西方人はいいやつも悪い奴もいるという書き方なのに対して東方と南方はそのような対立構造は描写されなかったし -- 2023-09-17 (日) 21:47:04
              • こういうポリコレイチャモンを、今とは常識も時代状況も異なる中で執筆された歴史的作品にする人間は何が楽しいのだろうか。
                そりゃ指輪物語が今の時代に、今の価値観の中で生み出された作品ならその指摘もわかるが。
                『共産主義国家は全て失敗したからマルクスの資本主義は愚にも付かぬ空論!』
                と嬉々として語るバカとなんら変わらない。
                後出しジャンケンなら、誰もが過去の人間に対しては無条件に大賢人になれる。 -- 2023-09-17 (日) 22:21:53
                • この作品が今も出版されているからだな。それによって影響を受ける場合があるから。
                  アメリカで銅像が倒されたのもその当時は問題がなくても今では問題があって、それを銅像として讃えていたから。
                  だから作品内の表現なんかで指摘や批判を受けることはバカでもなんでもない。
                  むしろそんなことを言う方が馬鹿とさえ言える。 -- 2023-09-22 (金) 22:15:18
                  • こういう阿呆な人間がいる、というサンプリングとしては参考になったな。
                    好きなだけ「銅像」を引き倒せばいいんじゃないかな。 -- 2023-09-23 (土) 05:45:13
      • シャドウオブウォーでは設定ちゃんとありますが ハラドリム=黒人のゴンドールの防衛指揮官が出ましたからね DLCでは主人公化 -- 2020-07-04 (土) 11:39:46
      • ディズニー辺りに任せたらロヒアリム自体がアジア系にされそう。ハラドリムの方はゴンドールと交流があったからドル・アムロスの騎士の中に何人か混じってそうだけど -- 2020-07-04 (土) 14:00:36
      • クレームつける側には、クレームつける事が目的のたち悪い人もいるからね...絶対安全な立場から石を投げたいだけの。しかしハラドで権力争いに負けた亡命貴族がゴンドールに仕えるってのはありそうだけど、実際どうなんだろうなぁ。サウロンのスパイであることをまず疑われそうだ。本人が親モルドール派に敗れて亡命したとしても。 -- 2020-07-09 (木) 08:14:15
    • そもそもこの間みたいに現実に死人が出たわけでも無いのに、今更指輪物語の描写に黒人側が怒るかね?抗議が来るなら白人側の急進的なグループからの方がありそう。 -- 2020-07-04 (土) 19:24:02
  • LotRは映画しか見てないので、モルドールが曲がりなりにも国というか社会の体を為していたのに驚いた。なんかこう、魔界というか「モンスターの領域」かと思ってた。 -- 2020-07-09 (木) 11:15:25
    • それは合ってるウルク=ハイなどで下地拵えていたがモルドールはサウロンに放置されてたからね長年 -- 2020-07-09 (木) 21:20:15
  • 案外リューンあたりの王や豪族たちは、貢納を通じてモルドールを対西方の壁や傭兵として飼いならしている感覚だったのかも。サウロンとしても支配に気づかれない方が便利な点もありそうだし。まあ現実はお察しだが。 -- 2021-02-10 (水) 07:50:34
  • サウロンだからこそ上手く統治できた国という気がしなくもない。火山や荒廃を抜きにしてもここの国民性は閉鎖的にならざるを得ないだろうな。
    南から強国が来たら網の中の魚のように逃げ場がないひでえ立地。 -- 2021-04-27 (火) 21:21:24
  • 恐ろしい国ですね・・・。モルドールって・・・。 -- 2021-11-28 (日) 21:21:38
  • モルドールは引き篭もるには良い立地に見えるけど、実際には逃げ場がないし発展性もないし、サウロンやナズグルみたいな魔術とかがないと統治もロクにできないよな。
    シミュレーションだと最初は嬉々として侵略や防衛するけど、あっという間に拡大した第一勢力になす術もなく飲み込まれる事が容易に想像できる立地。 -- 2021-11-29 (月) 20:38:14
    • サウロンの本国である東方に大きく開いているので、そちらに発展するかと
      作中で語られている戦略的状況からして、閉ざされて逃げ場がないのは西方諸国の方 -- 2021-11-29 (月) 21:46:43
      • 会話微妙に噛み合ってなくない? -- 2021-11-29 (月) 22:21:47
      • 裏を返せばサウロンが支配しなきゃ東側には対抗しようがない、もしくは対抗が難しいって事になるね。 -- 2021-12-07 (火) 09:16:28
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