ムマキル †
概要 †
カテゴリー | 動物 |
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スペル | mûmakil |
異訳 | ムーマキル |
その他の呼び名 | じゅう(oliphaunt) |
解説 †
単数形ムーマク(mûmak)。ハラドに棲息する巨大な獣。現代の象に似たような動物と思われるが、象よりもずっと大きい。ハラドリムはムマキルを調教し、背中に攻城櫓(war-tower)を乗せて、戦いに連れて行った。
かれと同じものは今ではもう中つ国を歩いてはいません。この末の世にまだ生きているその同類の中に、わずかながらありし昔のかれの胴まわりと堂々たる姿の記憶が留められているに過ぎません。 … その大きな脚ときたらまるで大木のよう、とてつもなく大きな耳は帆のように広がり、長い鼻は今にも打ってかかろうとする大蛇のように持ち上がっていました。小さな赤い目は怒り狂っています。角のような形をした上向いた牙は金の帯輪で巻かれ、ぽとぽとと血を滴らせていました。かれを飾っていた緋色と金色の飾りものもずたずたに切れて体の周りにはためいていました。攻城やぐらそのものと見える物の残骸が山のような背中にのっていました。猛り狂って森を通り過ぎる間につぶされてしまったのです。そしてかれの首の上の方に死に物狂いにまだしがみついている小さな人影と見えたのは――スワート人の中では大男ともいえる力ある戦士の体でした。*1
指輪戦争では、イシリアンでファラミアの率いる野伏がハラドリムと戦ったときに一頭のムーマクが現れる。またミナス・ティリスの包囲戦には多数のムマキルが投入され、攻城櫓(siege-tower)や機械装置などの牽引にも使われた。
ロヒアリムの馬はムマキルを怖れて近づこうとせず、エオメル達はハラドリムに苦戦を強いられた。また、黒根谷のドゥイリンとデルフィンはムマキルの目を射抜こうとして踏み潰された。このようにムマキルはゴンドールとローハンの軍勢を苦しめたが、最終的にはペレンノール野の合戦で全滅した。
じゅう (Oliphaunt) †
この動物の存在はホビット庄にも伝承・おとぎ話として伝わっており、ホビットはこれをじゅうと呼び、サムがじゅうについての歌を歌っている。
サムはイシリアンで現実にじゅうを目にして感動したが、南方から連れて来られたじゅうは全てペレンノール野の合戦で滅ぼされたと後に聞いてがっかりしている。
なお英語のoliphauntとは象の古称。
「ハラドのことば」 †
邦訳『追補編』の固有名詞便覧には「ムマク、ムマキルはハラドのことばである。」とあるが、トールキンがそのように断言している記述は存在しない。ただし『The Peoples of Middle-earth』に収録された草稿には以下の記述がある。
Of the speech of Men of the East and allies of Sauron all that appears is múmak, a name of the great elephant of the Harad.
(東方の人間とサウロンの同盟者たちの言葉で登場するのはムーマクだけで、ハラドの大きな象の名前である。)
画像 †
映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定 †
Oliphauntはオリファントとそのまま音訳されている。
非常に巨大な獣として描かれている。現実の象と異なり、牙は三対六本。牙と牙の間に、敵をひっかけるための縄が張られていたり、足の周りに敵を近寄らせないためのスパイクがまかれたりしているなど、武装が強調されている。
怯える馬の表現が困難だったためかアクションを優先したためか、ロヒアリムの馬がムマキルを恐れる様子はない。
Iron Crown Enterprisesによる設定 †
豊かな自然が広がるハラドの南半分の地域が主な生息地となっている。中には、そのまま「ムーマクの国」を意味するムーマカン(Mumakan)という名前の国もあり、ムマキルを操るのに長けたハラドリムが住んでいた。ナズグールの一人であるインドゥアはかつてこの国の君主で、ムーマクの主とも呼ばれていた。
ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定 †
ゲーム『シャドウ・オブ・モルドール』における設定 †
直接の登場はないが、同作にて紹介されている「グレートビースト」と呼ばれる大型動物がムマキルの遠縁種であるという。同様の呼称をされる生物が、実写映画『王の帰還』のペレンノール野の合戦にて見られたが、全く異なる種族である。
姿こそムマキルと似ていないが、体高は10.7m弱になる(実写映画のオフィシャル・トランプカードに記載されていたムマキルの体高と同じである)。戦争が近づくにつれて規模が拡大する暗黒軍において、運搬用に使役される動物達の中でも際立っている。また、突進すればトロールですら粉砕される程の攻撃力を持つので、武力としての使役もありえる。地響きを起こしながら進むので、追跡は簡単だが、この強力な生物をもしかしたら狩れるのかもしれないのは、グラウグかカラゴルの大群ぐらいだろうとされている。
コメント †
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