- ベレリアンドのトル・シリオンにあったミナス・ティリス(Minas Tirith)については、ミナス・ティリス(トル・シリオン)を参照してください。
ミナス・ティリス †
概要 †
カテゴリー | 地名 |
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スペル | Minas Tirith |
その他の呼び名 | 守護の塔(Tower of Guard) ミナス・アノール(Minas Anor) 太陽の塔(Tower of the Sun) 日の 防備堅固な城市(Guarded City) ムンドブルグ(Mundburg)*1 石の都(Stone-city)*2 |
解説 †
シンダール語で「守護の塔」の意。ゴンドールの首都であり、アノリアンの主府でもある。ローハン語ではムンドブルグと呼ばれる。
白の山脈の東端、ミンドルルイン山から突き出た丘の上に建造されている。周囲にはペレンノール野が広がり、防壁であるランマス・エホールに囲まれている。
かつてこの都は「太陽の塔」の意であるミナス・アノールと呼ばれており、ゴンドール元来の首都オスギリアスを防衛するためのアンドゥイン西岸の砦であった。これに対してアンドゥイン東岸にあった砦が「月の塔」の意であるミナス・イシルである。
しかし第三紀2002年にミナス・イシルがナズグールに奪い取られてミナス・モルグルに変貌すると、ミナス・アノールは名をミナス・ティリスに改められた。
しかし、ミナス・アノールは持ちこたえ、新たにミナス・ティリス、即ち〈守護の塔〉と命名された。なぜなら、王たちによりこの城砦に白い塔が建てられ、その高い美しい塔は、多くの土地を見張っていたからである。この都は依然として誇り高く堅固であり、王宮の前には、白の木がなおしばらく咲き続け、ヌーメノール人の残存者たちが今なお大河の水路を守り、ミナス・モルグルの戦慄すべき恐怖の者たちに、そして西方世界のすべての敵、即ちオークや怪物や悪しき人間たちに対していた。かくて、アンドゥイン以西の後方の地は、戦禍と破壊から守られたのである。*3
七層の城壁に囲まれた難攻不落の城塞都市であり、中に武器を取ることのできる者がいる限り、敵の大軍もこれを落とすことはできないと言われる。しかし第三紀末にはゴンドールの国力の衰退とともにこの都も衰微し、いくつもの彫刻や古の貴人の名が刻まれた石の通りにある邸宅は住む者も少なく静まり返っていた。
ミナス・ティリスの白の塔にはパランティーアの一つが保管されていたが、これは都を守る執政のみが知る秘密となっていた。
構造 †
そしてこの山の膝のように外に突き出たところに防備堅固な城市が、七重の城壁にとり巻かれていて、城壁は人力の建造したものとは見えず、巨人たちが大地の骨なる岩塊を刻んで作ったと思われるほどの堅固で年ふりた石で作られていました。
ピピンが驚嘆の眼を瞠っている間にも、おぼろに灰色に浮かび上がって見えた城壁が暁の光にかすかに赤く染まりながら、白く変わっていくうちに、突然東の暗い影の上に朝日が上り、さっと光の箭を放って城市の面を照らしました。その時ピピンは思わず声をあげました。一番高い城壁の内側に高く聳え立つエクセリオンの塔が大空にくっきりと輝き、高く見事に形よくまるで真珠と銀の大釘のようにきらめきわたって、その頂の尖塔が水晶で作られたように光ったからでした。また胸壁からは白い旗が朝の微風にはためき、ずっと向こうの高いところから、銀の喇叭のような澄んだ響きが聞こえてきました。*4
ミナス・ティリスはミンドルルイン山から突き出た守りの丘(Hill of Guard)の上に建てられた。丘をえぐって作られた円周状の層が第1層から第7層まで存在し、それぞれが白い城壁で隔てられ、環状区(circle)を形成している。
第1層と第2層を結ぶ門は南東、第2層と第3層を結ぶ門は北東、第3層と第4層を結ぶ門は南東というように、各層を結ぶ門は北東と南東に交互に配置されている。ただし都の入り口である第1層の城壁の大門と、最上層の第7層(城塞)の門は東を向いていた。さらにこれら七つの門(Seven Gates)を通り抜けるには合言葉が必要であった。
大門の背後には、船首の竜骨のように鋭く切り立った大岩(rock)がそそり立っており、その高さは第7層にまで達している。大岩の高さは700フィート(約213m)あり、その頂は胸壁で囲まれ、胸壁の東の突端には狭間が一つ空いている。この大岩によって第2層~第6層は二分されており、交互にうねる道は大岩に穿たれたアーチ型のトンネルを通るようになっていた。
- 第1層
- 第一環状区は最も幅が広い環状区であり、古旅籠がある燭工通りが存在する。
- 城壁
- 都の最も外壁にあたる第1層を囲む城壁は特に巨大で、外側の壁面がオルサンクを形作っているものと同じ黒く滑らかな物質でできており、いかなる攻撃も寄せ付けない。
- 大門(Great Gate)
- 第1層の城壁にある、都の出入り口である門。東に面し、鉄の扉と鋼の柱でできており、石の塔と稜堡で守られている。とはいえ破壊不能の城壁にあっては大門が唯一の弱点であった。大門の背後には広大な中庭があり、そこから大岩が第7層までそそり立っている。
- 第6層
- 第六環状区には執政の使者たちの宿舎、そのすぐ近くに駿馬を養ういくつもの立派な厩舎があり、南側城壁近くには医療施設の療病院*5がある。またラス・ディネンに通じる開かずの入り口フェン・ホルレンもこの環状区の背後の城壁にある。
- 第7層
- 第7層は高庭(High Court)や都(High City)と呼ばれる。この城壁の内部は城塞(Citadel)である。城塞には高さ300フィートの白の塔が聳え、塔の前には噴水の庭があり、そこには枯れた白の木がそのまま残されていた。そのほか多数の建物があり、ガンダルフとピピンが滞在した賓客を泊めるための宿舎(lodging)は、“肩”から程遠くない北側の城壁近くにあった。この宿舎の二階からはエミン・ムイルの山々とラウロスの大瀑布が見えた。
『Sauron Defeated』では、草稿に残された城塞内部の簡単な配置図が紹介されている。(以下、項目編集者訳。なお方角と位置関係については、都・城塞の正面が東を向いていることに注意)
刊行された『指輪物語』の本文中においてメレスロンドは登場するが、正確な位置は述べられていない。王宮(King's House)は、『追補編』の追補A及び第三紀の年表1640年の項にタロンドール王がオスギリアスからミナス・アノールへ永久的に移したと述べられている*7。ミナス・ティリスの宴会用の大広間、メレスロンドは、草稿Bでは「城塞に」あるとされる(この記述はCでは省かれた)。この段落の粗原稿のページに、父は城塞のちょっとした図面を走り書きした。それは一つの円として示されており、円周の内側に等間隔で七つの小さな円(塔)があり、小さな円のうち一つは入り口の側にある。噴水の庭と記された場所の向こう、円の中心に白の塔と王たちの広間があり、そのまた向こう、城塞の西側に王宮がある。白の塔の右(北)には宴会用の広間がある。他の建物の輪郭が塔の間に大まかに書かれている。*6
歴史 †
第二紀3320年にゴンドールを建国したイシルドゥアとアナーリオンは、首都オスギリアスを東西から守るべく、エフェル・ドゥーアスとミンドルルインの山の肩に一つずつ砦を築き、それぞれの居城とした。アナーリオンが白の山脈の山岳人への盾として築いたのがミナス・アノールである。そしてそこには分割された七つの視る石(パランティーア)の一つが置かれた。
第二紀3429年にサウロンとの戦いが始まると、ミナス・アノールはアナーリオンによって防衛される。
第三紀2年、王国を継いだイシルドゥアは北の領地に向かう前にミナス・アノールに立ち寄り、ミナス・イシルから救出した白の木の実生を移植した。
420年にはオストヘア王によって再建される。それからミナス・アノールはゴンドール王の夏の離宮として利用されるようになる。
1636年から発生した悪疫でオスギリアスの人口が激減し、さらにミナス・アノールの白の木の枯死すると、1640年に当時の王タロンドールはゴンドールの王宮をミナス・アノールへ永久的に移し、城塞に新たな白の木の実生を移植する。以来この都は、歴代のゴンドール王(エアルヌアより後は執政)の居城となった。
1900年にはカリメフタール王によって白の塔が築かれる。この塔は2698年に執政エクセリオン一世によって再建されたため、以後は「エクセリオンの塔」とも呼ばれる。
2002年、ナズグールの攻撃によって陥落したミナス・イシルがミナス・モルグルに変貌すると、モルグルの脅威に対峙する警戒怠りない都として、ミナス・アノールは名をミナス・ティリスに改められた。
2852年、執政ベレクソール二世が死ぬと、ミナス・ティリスの白の木も枯れた。新たな苗木が見出されなかったため、枯れた木は「王還りますまで」そのまま噴水の庭に残されることとなった。
指輪戦争の頃にはゴンドールの衰退もあり、都たるミナス・ティリスも寂れ、人口は収容可能な人数の半分になっていた。戦争の気運の高まりにより、一部を除く女子供や高齢者などの疎開が行われた後、3019年(大いなる年)3月にミナス・ティリスはモルドール及びその同盟軍による包囲攻撃を受ける(ペレンノール野の合戦)。投石機で攻撃されたことにより第一環状区に大きな被害が出て、さらに魔王とグロンドによって大門が破壊されたが、ローハンからの援軍と、アラゴルン二世が率いてきた辺境の諸侯国からの援軍によってモルドール軍は駆逐され、ミナス・ティリスは守られた。
第四紀となって再統一された王国が実現すると、ミナス・ティリスはエレスサール王の王宮となる。ギムリらエレボールのドワーフたちの手によって、指輪戦争により破壊された大門はミスリルと鋼を用いて再建され、街路は白い大理石で舗装された*8。
指輪の仲間のメリアドクとペレグリンは最晩年をこの地で過ごして亡くなった。エレスサール王はミナス・ティリスで身罷り、ラス・ディネンの王たちの墓に葬られた。二人のホビットの棺は王の両隣に並んで置かれたという。
画像 †
映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定 †
原作での第1層の外壁がオルサンクと同じ黒い物質でできているという記述は反映されておらず、他の層と同じ白い普通の石造りとなっている。
原作ではミナス・ティリスに投石機が設置されているという描写はないが、映画ではトレビュシェット型の投石機(Wikipedia:トレビュシェット)が城壁の塔に設置されており、ミナス・ティリスの攻囲戦で使用されている。
画像 †
グッズ †
ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定 †
各階層に通じる六つの門全てに固有の名前がつけられており、下層から順に剣の門(Sword-gate)、銀の門(Silver Gate)、主君の門(Lord's Gate)、星の門(Gate of Stars)、石の門(Gate of Stones)、城塞の門(Gate of the Citadel)という。また、各門を通るのに必要な合言葉も定められている。
第二層は兵士の層と呼ばれ、兵舎や武器庫などの軍事施設が集中している。第三層は職人の層(Craftsmen's Tier)で、多数の商工業者が軒を連ねている。第四層は遊者の層(Players' Tier)で、劇場や公衆浴場などの娯楽施設がある他、町全体に水を供給する貯水槽もある。第五層は賢者の層(Sages' Tier)といい、図書館や研究施設などの学問に関係する施設が築かれている。第六層は主の層(Masters' Tier)という名で、政治の場となっており、身分の低い者は入る事ができない。第七層の城塞は一部の市民から王の層(Kings' Tier)と呼ばれている。
コメント †
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