ミスリル

概要

カテゴリー物・品の名前
スペルmithril
その他の呼び名まことの銀(true-silver)、モリア銀(Moria-silver)

解説

シンダリンでmithは「灰色の」、rilは「輝き」の意。まことの銀とも呼ばれ、モリアでのみ産出した*1ことからモリア銀とも呼ばれる。ドワーフが付けたおそらくクズドゥルによる名もあるが、他の種族には秘密にされているという。

「ミスリル! すべての民がこれを欲しがった。これは銅のように打ち延ばすことができた。またガラスのように磨くことができた。ドワーフたちはこれを軽くてしかも鍛えた鋼よりも堅い金属に作り上げることができた。その美しさはふつうの銀のそれに似ておるが、ミスリルの方はくろずむこともなく、曇ることもなかった。」*2

美しく有用である上に極めて貴重な金属であり、モリアが繁栄していた当時ですら金の10倍の価値があったという。
ミスリルはモリア繁栄の礎となったが、ドワーフは鉱脈を求めるあまりカラズラスの地下深くを掘り進み、地の底からバルログを解き放ってしまう。第三紀1981年、モリアはバルログのために滅亡し、ミスリルは新たに産出されなくなった。さらにミスリルはサウロン垂涎の的でもあったため、それまでに産出されたものもほとんどがオークによってかき集められ、サウロンに献上されてしまった。
こうしてミスリルは地上にほとんど存在しない、値のつけようもないほどの貴重品となった。

作中では、ミスリルの胴着ネンヤアルウェンの旗印エレンディルミア城塞の近衛部隊の兜にミスリルが使われていることが判明している。また、イシルディンエルフがミスリルから作り出したものである。
第四紀に入ると、燦光洞の領主となったギムリと彼の民のドワーフは、魔王によって粉砕されたミナス・ティリスの大門に代わり、ミスリルと鋼による新たな門を作ったという。

他作品に与えた影響

トールキンが描く以前から言葉、伝承などで存在していたエルフドワーフなどと異なり、ミスリルはトールキンの完全な創作である。だがその影響は大きく、後のファンタジー作品でも“ミスリル”という金属が頻繁に登場することとなった。

ただMithrilMiddle-earth Enterprisesの登録商標になったため、近年欧米では他作品においてのMithrilという単語の使用が避けられる傾向にある。日本で作られたファンタジーもののゲーム、マンガ、ライトノベルなどでは現在も頻繁にミスリルという単語が使われているが、それらの欧米翻訳版だと綴りなどが変更されていることがある。

ドラマシリーズ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』における設定

霧ふり山脈の麓の歌(the Song of the Roots of Hithaeglir)”と言われる伝承によると、シルマリルが隠されていたという一本の木を巡りエルフの戦士とバルログが戦ったが、その木に稲妻が落ちて山の中にシルマリルの力が届き、結果シルマリルの力を宿したミスリルという金属が生まれた。そして滅びゆくエルフを救うには、ヴァリノールの光を宿したミスリルを使う必要があるという設定が独自に作られている。
原作では、シルマリルとミスリルの関連を示すものはない。

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • ゴンドールの近衛兵の兜に使われてるのが凄い
    地味に作中屈指の高級装備な気がする -- 2023-07-17 (月) 20:54:54
  • 固いのは武具としてまあ良いんだけど、衝撃が吸収できないと結局中の頭は割れるか首が折れる。そこの所どうなってるのか。 -- 2023-07-18 (火) 00:14:34
    • そこはファンタジー的な力で衝撃も減るんじゃないかと。ミスリルの胴着を着たフロドも、槍で突かれて内蔵は無事だったようですし。 -- 2023-07-18 (火) 19:06:25
    • 衝撃が吸収できると考えなければならない理由はなにも無いので、普通に衝撃は通るのでは。(ミスリではないですが類似の話に、アゾグに首を切りつけられたナインがドワーフの鎖帷子の強度で刃を防いだものの衝撃で首が折れて死んだ、というエピソードがあるように、衝撃の問題は普通にトールキンも念頭に置いている)
      上の人がフロドが槍で貫かれた話をしてますが、まさにあの時フロドは串刺しは免れたものの衝撃でひどい打ち身をこしらえて治療を必要としてますから、ミスリルであっても普通に衝撃は通る証拠。 -- 2023-07-18 (火) 22:02:59
      • それって逆にミスリルに衝撃を緩和なりなんなりの機能がある証左になってると思うんですが…。
        オークの首領に切り付けられた頑健なドワーフ戦士の王が、防具で防いだが首が折れて死ぬ→衝撃を防ぎきれなかった
        オークの首領に槍で刺された一般人ホビットが、ミスリルの胴着で防ぎ打撲傷で済んだ→ショックアブソーバできてる
        ってならないですか?
        ミスリルが全ての衝撃を緩和できるわけはないですが、フツーの防具装着で右脇を槍で貫かれたなら、たとえ肌に刃が届いていなくても衝撃で肋骨を折ったり重態になるのは間違いないと思いますよ。
        骨が折れたら2、3ヶ月は治癒にかかりますし、打撲だけだったとしても痛みや断裂で歩くなんて到底出来ません。
        それを応急措置程度でフツーに旅を続けられ、後遺症も特にないのをミスリルのおかげ以外に解釈求めるのは困難でしょう。
        首ほどではないですが脇も普通に急所ですし。 -- 2023-07-19 (水) 04:07:44
        • 首と肋骨を同列にはできないでしょう。歴史に名のある豪傑オークのアゾグと、名もなきオークの戦士も同列にはできないと思います。 -- 2023-07-19 (水) 21:06:14
          • いや…肋骨は首よりはるかに折れやすい骨ですよ?
            あと、無名のただのオークでなくモリアのオークの首領ですし。
            その逃げは苦しすぎません? -- 2023-07-19 (水) 21:08:09
            • 頚椎を横から力を加えて折るのと、肋骨を正面から突いて折るのでは、人力の場合前者の方がより容易じゃないかと個人的には思うのですが、どうなんでしょう。いずれにせよ、衝撃の影響を定量的に推し量るにはこの二つのわずかな描写からだけでは、憶測の要素が多くなって無理だと思います。(上で言及したのは比較のためではなく、あくまでトールキンにも衝撃による負傷という概念があったという例証として)
              あとフロドを槍で突いたのは「オークの戦士」としか記述されておらず、モリアの首領でも何でもないですよ(旅の仲間「カザド=ドゥムの橋」) -- 2023-07-19 (水) 21:38:05
              • それは都合良すぎでしょう。
                →(上で言及したのは比較のためではなく、あくまでトールキンにも衝撃による負傷という概念があったという例証として)
                なら衝撃による負傷の概念がある上で、その扱いに明らかな差異があるのはミスリルによるものと判断するのは自然では。
                オークのネイムドを挙げて論拠にしてますが、だったら「被験者」はミスリルを着用していない方が遥かに頑健ですよ。
                仰っているアゾグの剛力を最大限に評価しても、それとモリアのオークの差はドワーフの戦士王の肉体とホビット一般人の差とプラマイゼロでは?いいとこ。 -- 2023-07-19 (水) 21:50:12
        • 「槍で突かれたけど貫通せず打ち身で済んだ」って描写が衝撃吸収力を示してるとはちょっと同意しづらいです。トールキンは衝撃は防げなかったという描写のつもりで書いていると考えるのが自然では? -- 2023-07-19 (水) 21:28:00
          • そういう我々が陥りがちな我田引水な解釈ではないのでは。
            「槍で刺されたが無事、ただし打ち身はこしらえた」という記載で教授が言いたかったのはミスリルの途方もない価値と素晴らしさ、それをビルボに譲ったトーリンの友情、そして更にそれをフロドに譲ったビルボの卓見などが重要であって衝撃云々は瑣末ごとでしょう。
            そんな意図はなかったと思いますよ。
            教授が、明らかに周りが死を覚悟するような傷に対して軽傷で済んだ、というミスリルに関わる描写をしたのは
            「ミスリルすげーだろ?」
            「でもこれさえ着てれば絶対無傷、みたいな北欧神話的ファンタジー便利アイテムじゃないからそこんとこ注意な!」
            という地に足の付いた物語描写をしたかったのみで、衝撃を殺せる殺せないみたいなつまらない事は我々ファンの想像に過ぎませんよ。 -- 2023-07-20 (木) 08:46:31
    • 銃弾なら無傷で弾き返せそう -- 2023-07-19 (水) 01:42:33
      • 実際、『武器甲冑図鑑』を編纂した一人である市川定春氏によれば、鎖帷子のほうがプレートアーマーより銃弾や矢には遥かに強いらしい。
        ただ衝撃を殺せないから、鎖帷子は投石のような重量のある飛来物には弱い。同じ理由で斧や槌なんかにも弱い。 -- 2023-07-20 (木) 11:39:55
    • それはミスリルじゃなくても金属よろい全般の問題では? -- 2023-07-19 (水) 07:19:17
    • 浅く考えるなら少なくともホビットが打撲で済むレベルまでは軽減できるという事かもしれない。鎖帷子だから衝撃が波状に分散したとか。板金鎧なら当たった衝撃がそのまま相手の得物に跳ね返ってバウンドしたり、上で言及されてるように折れたり砕けたりするのかも。 -- 2023-07-20 (木) 02:26:23
      • 鎖帷子には構造からして衝撃を吸収、分散できる機能はほぼ全くないですよ。斬撃や刺突、矢にはめっぽう強いですが。※wikipediaにも記述あります。
        (ぶら下げられた鎖をかき分ける事は人間の力でも簡単に出来ますが、千切ったり折り曲げたりする事は到底できない理屈)
        ですのでフロドが作中で槍や矢の貫通を防げたのは、ミスリルだけでなくドワーフの鎖帷子技術の高さにもよるものと思いますが、その際の衝撃を緩和した(と思われる)のはミスリルによるものなのかな?という推測です。
        結論付けはできませんがねー。 -- 2023-07-20 (木) 08:31:24
        • 二重織三重織のようなことができる物性と、それを可能にする工房の技術・・・針金グシャグシャっとして身につければ衝撃吸収できそう。 -- 2023-07-20 (木) 09:14:45
        • 正面から攻撃を受けると衝撃が背中側に逃げて、着用者もそっちに体を引っ張られるとか、逆に攻撃した方に跳ね返ってコケるとかならそれはそれで面白い。 -- 2023-07-22 (土) 22:48:41
  • →→→トールキンは衝撃は防げなかったという描写のつもりで書いていると考えるのが自然では?
    (´・ω・`) なんでトールキン御大が、そんな後世のオタク論議の為にしかならない要素をわざわざ気にするんだよ
    (´・ω・`) ミスリルに耐衝撃性があるかないかなんて、世界観や物語に関わりないだろ
    (´・ω・`) 『槍で刺されたが打ち身で済んだ』というのは、衝撃を防げる防げないどちらにも解釈できちゃうだろ
    (´・ω・`) 価値観の押し付けはダメだって管理人も書いてるでしょ
    (´・ω・`) 俺自身もミスリル自体には耐衝撃性はなかったと思うけど、自分の都合の良いようにだけ教授の言葉を解釈するのは反対 -- 2023-07-20 (木) 11:30:25
  • 中学知識である展延性(物質が圧縮されたり引き伸ばされる事への力学的特性)がよいと、衝撃に負けず金属は柔軟に変形する。
    ミスリルの設定からも、最も展延性のよい金属である金と同等またはそれ以上の展延性があったのは、確実に間違いない。
    ただそれが耐衝撃性や衝撃吸収力にまで結び付けられるレベルかどうかは不明。
    一方でオークの槍に貫かれても、ミスリルの胴着に変形があった描写は見直したところなかったので(それどころか革の下着を貫き肉に食い込んだりしてる)
    “加工時の衝撃では加工、変形しやすいが攻撃時の衝撃では変形せず破断も許さない”
    という意味不明きわまる結果になっている。
    でもファンタジーの特殊アイテムってそんなもんじゃないの。そこに目くじら立ててもしょうがなくね。 -- 2023-07-20 (木) 12:02:15
    • ミスリルはドワーフと縁深いけど、人間では両立させがたい性質を両立させている点では、エルフの神秘的な技にも似てる気がします。サムが頼りにしていたエルフのロープの結び目は崖下りを支えてくれるほどしっかりしている反面、サムが持っていきたいと願って引っ張ればすぐに解ける。ミスリルも使い手の想いに沿うよう柔軟になったり強固になったりするんじゃないかと。 -- 2023-07-21 (金) 12:39:49
      • 自分も全く同意ですね。いわゆるマジックアイテムの領域にある、我々の物理法則が通用しないファンタジーオリジナルの物品に対して作者の思考まで勝手に規定してまで我々の常識を当て込むのは、お門違いもよいとこかと。 -- 2023-07-21 (金) 15:50:00
      • 自分は「ただでさえ熱伝導率が高い銀がさらに展延性や加工の容易さを兼ね備え、さらに軽量だったらヒートシンク向きに決まってるじゃないか」と言おうとしていた者です(提唱者ではない上そもそも物理や工学はド素人)しかし、架空物質に過度の妄想をするのも無謀なら逆に現実の要素を強引に当てはめるのも無謀と思えますね。ミスリルは金の十倍の価値があり、採掘するにはバルログというリスクを背負いかねない超有用物質と言う以外、何も分からないというのが実際だと思います。 -- 2023-07-22 (土) 15:56:03
        • コメ主ですが100%同意します。 -- 2023-07-22 (土) 18:45:24
    • そもそも展延性が良いってどこの記述から来てるんですか?読み込んでるとは言えない読者なんで、判断がつきません。 -- 2023-07-23 (日) 01:49:23
      • この項目の冒頭にもありますが、ガンダルフが本編中でミスリルの特性として「これは銅のように打ち延ばすことができた」と語ってますね。
        銅の展延性が良いかどうかは別にして。 -- 2023-07-23 (日) 07:01:18
  • 作者が全く明らかにしていない設定を「〇〇に決まってる」「作者だってそう言いたかったに決まってる」と言いつのる行為自体が、ね…。どの作品にもいるけどさそういう人。
    ifを語るのは大いに結構だが、そのifを他人に強制するのは流石に許容外。 -- 2023-07-22 (土) 20:24:55
  • 過去ログにも少し書かれてたけどサウロンは集めたミスリルをどうしたのかね?
    ドラマ版の設定だと魔術的要素も充分に感じるしそういった用途に使ってたのか
    後はミナス・ティリスの城門修復にミスリルが使われてたけど、モリアの脅威がなくなって採掘が再開されたんじゃなきゃサウロンの埋蔵ミスリル使って直したり? -- 2023-07-25 (火) 18:30:44
    • 上のログでも述べられてますが、「サウロンは涎が出るほどミスリルを欲しがった」という記述からして自分の宝飾品として求めていたのだと思われます。ヌメノールの大寺院も銀と黒で装われていましたから、サウロンは銀(と黒)が好きなのでしょう。バラド=ドゥアのサウロンの居所はミスリルでふんだんに装飾されていたと想像。
      崩壊したバラド=ドゥアを掘り返した者がいたとは考えづらいため(それだったら失われたイシルのパランティアとかも見つかってよさそう)サウロンの貯蔵ミスリルを使った可能性は低いんじゃないでしょうか。大門のその記述は、ドゥリン七世によってモリアが再興されたことを示しているのではという意見が海外フォーラムなどにあったりしますが、ドゥリン七世の治世がいつだったかは議論が多く結論が出ていない問題なので、ギムリの一党が使ったミスリルの出処についても「詳細不明」というのが実際のところだと思います。 -- 2023-07-25 (火) 19:21:23
    • 上で過去ログに回答しただろう方が再度回答していますが、自分も似たような感じですかねー。
      ただ自分は、サウロンは創造や製作そのもの(特にエルフ的な美笑)を愛したというフシを感じてますので、彼がミスリルを集めた理由としてはそれを以て宝飾品に限らず偉大なものを作りたかった、または指輪や肉体を完全に取り戻した時に仕事にかかれるように手元に集めておいたというイメージがあります。
      ただ手元にだけ置いてニマニマするモルゴスっぽい感じはあまりないかなーと。パランティアもそうですがサウロンの興味を引くものってだいたい実用的ですしw
      再建城門のミスリルの出所は…どうなんですかね。バラド=ドゥア跡地とかミナスモルグルで精錬したミスリルの貯蔵を見つけたとか? -- 2023-07-25 (火) 21:58:58
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