ブロッダ†
概要†
解説†
ヒスルムに住み着いた東夷の一人。ドル=ローミンでハドルの族を奴隷にし、残されたフーリンの家族を困窮させて苦しめたが、フーリンの息子トゥーリンに殺された。
ドル=ローミンの侵入者†
ニルナエス・アルノエディアドの合戦後、モルゴスに命じられてヒスルムに来住した東夷はエルフを「白い魔物」と呼んで恐れていたため、多くのエルフが避難した南部の山脈を避けていたが、ブロッダはフーリンの領国ドル=ローミンの南東部、エレド・ウェスリン(影の山脈)にほど近いフーリンの屋敷がある土地にやって来た。彼は勇敢な男だったが東夷の中では低く扱われていたために、富を求め、他の東夷が欲しがらない土地でも手に入れようとした。
ブロッダはフーリンの領民(ハドルの族)から略奪し、彼らを麦藁頭と呼んで奴隷にした。そして自分の屋敷をフーリンの屋敷のすぐ近くに建てた。
フーリンの屋敷ではフーリンの妻モルウェンが困窮しつつも合戦で消息不明となった夫に代わり家中を守っていた。東夷たちは彼女を白い魔物と通じる魔女であると恐れていたので直接手を出すことはなかった。ブロッダはフーリンの屋敷を一度襲ったことがあったが、モルウェンから白い魔物の眼光を浴びせられたと思って怖気づき、略奪もせず退散した。
ブロッダはフーリンの縁者であるアエリンと結婚した。この結婚はアエリンに強制させたものだったが、彼女のことは奴隷ではなく妻として扱った。彼の一党には女性が少なく、その女性もエダインの女性に劣っていたためであり、また自分が領地の支配権を確立し、それを受け継ぐ後継ぎを持つことを望んでいたからである。
アエリンのおかげでブロッダの屋敷では宿を乞う者を受け入れるなどの古き良き風習が保たれた。しかしアエリンが困窮したモルウェンを密かに援助していたことに対し、ブロッダはアエリンに暴力を振るった。
モルウェンが娘のニエノールとともにドリアスへ逃れると、ブロッダはフーリンの屋敷を略奪し、残されたハドルの族を奴隷にした。
トゥーリンによる殺害†
過酷な冬の最中、ナルゴスロンドの陥落時にグラウルングから呪縛をかけられたトゥーリンが、モルウェンとニエノールを救おうとドル=ローミンに帰還した。トゥーリンがブロッダの屋敷に押し入り、客である東夷の首長たちもいる食卓でアエリンにモルウェンとニエノールの行方を尋ねると、ブロッダは激怒し、モルウェンのことを奴隷の一族と罵って彼に立ち去るよう命じた。これに対しトゥーリンはグルサングの剣を抜いてブロッダを人質に取り、アエリンから二人が既にドリアスへ亡命していたことを聞き出した。トゥーリンはグラウルングに謀られたことを悟り、モルウェンを迫害した者たちへの憎しみも相まって黒い怒りを爆発させ、ブロッダを他の東夷に向かって投げつけた。
「奴隷の一族のモルウェンと申したか? 父祖も知れぬ者の
裔 、盗っ人の身で。奴隷の中の奴隷めが!」*1
投げ落とされたブロッダは首の骨が折れて死に、屋敷内ではトゥーリン及び彼に味方するハドルの族の奴隷たちと東夷たちの間で凄惨な殺し合いが発生した。殺し合いの後、アエリンから逃げるよう促されたトゥーリンは生き残ったハドルの族を連れて逃亡し、アエリンはブロッダの屋敷に火を放って自害した。
コメント†
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