- ゴンドールの執政家の祖、エミン・アルネンのフーリン(Húrin of Emyn Arnen)についてはフーリン(エミン・アルネン)を参照してください。
- ゴンドールの統治権を持つ5代目の執政フーリン一世(Húrin I)についてはフーリン一世を参照してください。
- ゴンドールの統治権を持つ14代目の執政フーリン二世(Húrin II)についてはフーリン二世を参照してください。
- ミナス・ティリスの鍵鑰主管長、身の丈高きフーリン(Húrin the Tall)についてはフーリン(ミナス・ティリス)を参照してください。
フーリン†
概要†
カテゴリー | 人名 |
---|---|
スペル | Húrin |
その他の呼び名 | フーリン・サリオン(Húrin Thalion) 不撓不屈のフーリン、不屈なるフーリン(Húrin the Steadfast) |
種族 | 人間(エダイン) |
性別 | 男 |
生没年 | 第一紀(441)年~†(502年以降) |
親 | ガルドール(父)、ハレス(母)、ハルディル(養父) |
兄弟 | フオル(弟) |
配偶者 | モルウェン |
子 | トゥーリン(息子)、ラライス、ニエノール(娘) |
解説†
ハドル家の当主ガルドールと、ハレスの族の族長の娘ハレスとの間の息子。フオルの兄。妻はベオル家のモルウェンで、息子にトゥーリン、娘にラライスとニエノールがいた。
第一紀の人間(エダイン)の英雄の一人。ドル=ローミンの領主で、ハドル家の事実上最後の当主であった。
シンダリンで「不動なる者、強き者(Steadfast, Strong)」を意味するサリオンと呼ばれ、モルゴスですら覆し得ないほどの強固な意志の持ち主だった。だがそのためにモルゴスの呪いを受け、彼の一族に非業と破滅がもたらされることになった。このことはナルン・イ・ヒーン・フーリンすなわち「フーリンの子らの物語」に歌われている。
フーリンは父やその父祖たちにくらべ、あるいは息子にくらべても背はそれほど高くはなかったが、疲れを知らず、耐久力があり、母方即ちハラディンのハレスの血を
享 けて、身のこなしがしなやかで敏捷 であった。*1
ガルドールとハレスの間にはフーリンとフオルのふたりの息子が生まれた。三歳年長のフーリンは一族の中では小柄な方で、この点では母方の一族似といえたが、それ以外の面では祖父ハドルに似て、高貴な顔立ちに金色の髪、屈強な体軀に炎のごとき気性の持ち主だった。かれの中の炎は絶えず燃え続けており、また強い忍耐心をも備えていたのだった。北方の全ての男たちの中で、かれが最もよくノルドールの計画について知っていた。*2
ブレシルでの少年時代†
フーリンと弟のフオルはエダインの慣習に基づき、ブレシルで母方の伯父のハルディルによって養育された。ダゴール・ブラゴッラハでベオル家が没落する以前には、フーリンとベレンは友人であったという。
ダゴール・ブラゴッラハの後の時代、16歳のフーリンと13歳のフオルは、ブレシルを襲撃に来たオークとの戦いに出陣するが、彼らは仲間とはぐれ、ブリシアハの浅瀬でオークに包囲された。しかしウルモの加護によって立ち昇った川霧に救われて敵の目から逃れ、それからディンバールをさまよっていたところをソロンドールの大鷲達によって救い上げられ、ゴンドリンに送られた。
ゴンドリンへの滞在†
フーリンとフオルはトゥルゴンに受け入れられ、ゴンドリンに一年近く滞在し、エルフから様々なことを学んだ。だが二人は同族の元に戻ることを望むようになり、ゴンドリンの存在は秘密にすると誓い*3、トゥルゴンに別れを告げると、再び大鷲によって運ばれてドル=ローミンに戻った。フーリンとフオルは誓いを守り、自分たちが約一年間どこで何をしていたのかは誰にも語らなかった。
ハドル家の当主として†
父ガルドールがエイセル・シリオンの包囲戦で戦死すると、フーリンはハドル家を継承してフィンゴンに仕えた。またダゴール・ブラゴッラハの際にドルソニオンから逃れてきたベオル家のモルウェンを妻とし、トゥーリン、ラライス、ニエノールの父となった。
ニルナエス・アルノエディアドでの悲劇†
フーリンは、ニルナエス・アルノエディアドと呼ばれることになる戦いに、フオルと共にドル=ローミンの軍勢を率いて参戦した。その大乱戦のさなかにフーリンはトゥルゴンと再会したが、ウルドールら東夷の裏切りによって部隊は崩れ、フーリンの部隊は撤退するトゥルゴンの部隊の最後衛を守った。彼らはセレヒの沢地にまで退き、フオルも他の者も全て討ち死にした中で、フーリンはただ独り斧を振るってゴスモグの護衛のトロルたちと戦い続けた。だが遂にフーリンは、自らが切り落としたオークたちの腕に埋もれて身動きが取れなくなったことで捕らえられ、ゴスモグによってアングバンドに連行された。
フーリンはモルゴスの前に引き出されて尋問されたが、モルゴスを歯牙にもかけず嘲った。するとモルゴスはフーリンやフーリンの家族を呪った。フーリン自身はサンゴロドリムの高みにある石の椅子に座らされて金縛りにあわされ、モルゴスのねじ曲がった目と耳によって中つ国の出来事を知ることになり、エルフ、特にシンゴルとメリアンへの憎しみが増大されるように仕組まれた。
釈放後、不幸をもたらした行動†
フーリンはトゥーリンの死の一年後(アングバンドに囚われてから二十八年後)にモルゴスによって釈放された。フーリンはまず自身の領国ドル=ローミンがあったヒスルムに向かったが、ヒスルムまでの道中ではアングバンドの兵たちが護衛に付き、モルゴスから重要人物として礼遇されているように見えた。そのため東夷はフーリンに手を出さずヒスルムの地を自由に歩かせ、ハドルの族の生き残りは彼を避けた。
フーリンは再びゴンドリンに行くことを望み、ヒスルムを去って、かつてソロンドールに見出され救い上げられたディンバールに入り、エホリアスの麓に来た。フーリンの姿はソロンドールに発見され、トゥルゴンに知らされたが、フーリンがモルゴスに屈して間者になったのではと恐れたトゥルゴンは、フーリンの救出を躊躇した。その後考えを改めたトゥルゴンは大鷲たちにフーリンを連れて来るよう命じたが、遅すぎて彼らはフーリンを発見できなかった。
一方、ゴンドリンを発見することができず絶望したフーリンは、ゴンドリンがあるはずの方角に向けてトゥルゴンを呼んで叫んだ。その声はモルゴスの間者に聞かれ、モルゴスにゴンドリンのおおよその位置を知らせてしまうことになった。
その後フーリンは、眠りの中で妻モルウェンの嘆きの声を聞いたため、声がする方へ向かい、カベド・ナエルアマルスにあるトゥーリンとニエノールの墓石(不運なる者たちの墓石)に辿り着いた。この場所でフーリンはモルウェンと再会して彼女の死を看取り、墓石のそばに葬った。
それからフーリンはナルゴスロンドの廃墟へ赴き、そこでトゥーリンを裏切った者への復讐としてミームを殺した。そしてナルゴスロンドの大量の財宝の中からナウグラミールだけを持ち出してドリアスへ向かい、アエリン=ウイアルで国境警備のエルフに捕えられ、メネグロスに連行された。
シンゴルの御前でフーリンは、自分の妻子がシンゴルによってドリアスから追放されたというモルゴスの目によって見せられた偽りのために怒りを滾らせ、妻子の保護への返礼と称してシンゴルの足許にナウグラミールを投げ出した。だがその時、彼の言動を咎めるメリアンの言葉によって呪いから解放され、自分がモルゴスに惑わされていたことを悟った。フーリンは改めてナウグラミールを自身の形見としてシンゴルに贈ると、ドリアスを去った。彼がもたらしたナウグラミールは、この後のシンゴルの死とドリアス滅亡の原因となった。
最後にフーリンは目的も望みも全て失って、西海に身を投じたという。
コメント†
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