フォルンオストの合戦

概要

カテゴリー歴史・事件
スペルBattle of Fornost
異訳フォルノストの合戦

解説

第三紀1975年にフォルンオストの北の平原で行われた、アングマールとそれに対抗する自由の民の戦い。この戦いでアングマールは滅ぼされ、魔王は北方から駆逐された。

参戦国、勢力

西軍
ゴンドールの派遣軍、アルノールの残党、リンドンエルフ裂け谷のエルフ
ホビット庄の弓兵
アングマール

戦況

開戦にいたるまで

第三紀1300年頃に北方に出現した魔国アングマールは、三国に分裂した北方王国アルノールを繰り返し攻撃し、追い詰められたアルセダインは衰退していった。一方の南方王国ゴンドールでは同族の争い悪疫馬車族の来寇といった災いに相次いで見舞われたが、全盛期に築いた強大な国力の名残をまだ保持していた。

1940年、北方王国と南方王国は同盟を新たにし、アルセダイン王アラファントの息子アルヴェドゥイがゴンドール王オンドヘルの娘フィーリエルを娶る。しかし1944年に馬車族の侵攻でオンドヘルとその息子たちが戦死した時、アルヴェドゥイはゴンドールの王位を要求したが、アルセダインが小国と映じるものになってしまっていたためにゴンドールの貴族たちに拒否される。ゴンドールの王位を継いだエアルニル二世は、しかし両国の友情を疎かにするものではなく、予は貴国が必要とされる時には、可能な限り、援軍を送るつもりでいる。とアルヴェドゥイに伝えた。

はたして1973年の秋、アルセダインが危急存亡の時にあり、アングマールが最後の攻撃を加えるべく準備中であるとの報せがゴンドール王エアルニル二世の許に届く。エアルニルは約束通り、割ける限りの兵力を艦隊で速やかに北方へ送ったが、ゴンドールも度重なる災いからの復興の途上にあり、その援軍は時期を逸していた。
1974年の冬が終わる前にアングマールはアルセダインを襲ってその国土を席捲。首都のフォルンオストを占領し、ドゥーネダインの残党をルーン川の西へ追いやった。アルセダインの最後の王アルヴェドゥイはフォロヒェルに逃れた末に命を落とした。

エアルニルから援軍を任された息子のエアルヌルは、1975年にようやくリンドン灰色港に上陸する。それはゴンドールにとっては小派遣軍に過ぎなかったが、灰色港だけでなくフォルロンド港もハルロンド港も船で埋まり、当時のエリアドールの民にとっては驚嘆すべき規模のものに映った。わけてもアンドゥインの谷間から来たとその乗手たちは驚異の的だった。キールダンはリンドンから集められる限りの者を集め、さらにその下にはアルノールの残党も集結した。
全ての準備が整うと、西軍はアングマールの魔王に挑戦するべく、彼が占領するフォルンオストを目指し、ルーン川を越えて北へ進軍していった。

合戦

進軍してくる西軍に対し、魔王は増上慢を嵩じさせ、敵が本拠にやってくるをの待たずフォルンオストから出撃。これに対して西軍は夕おぼろ丘陵から襲いかかり、両軍はネヌイアル湖と北連丘の間の平原で激突した。

アングマール軍は劣勢であり、フォルンオストに向かって退却しようとしたところを北連丘から周ってきたゴンドールの騎馬の主力部隊に北から攻め下られ、散々に敗退。魔王は敗残兵を集めるとカルン・ドゥームに向かって逃走を試みたが、エアルヌル率いる騎兵隊が再び彼に追いつき、さらに裂け谷からはグロルフィンデル率いる軍勢が出撃してきた。挟撃されたアングマール軍は完全に殲滅され、エリアドールにその国人は一人として残らなかったという。

アングマールの軍勢が全滅した時、魔王その人がエアルヌルの前に現れて彼を襲おうとした。エアルヌルは立ち向かおうとしたが、彼を運ぶ馬が恐怖に駆られて彼を遠くに運び去ってしまった。そこでグロルフィンデルが魔王に向かっていくと、魔王は再び逃走に転じ、夕闇にまぎれて姿を消した。

こうしてアングマールは滅ぼされた。

戦後

西軍は勝利を収めたが、戦禍によってエリアドールの人口は減少し、北方王国が再建されることはなかった。北方のドゥーネダインは荒野をさすらう野伏となり、その初代族長にはアルヴェドゥイの息子アラナルスが就いた。かれらは人知れず人々を悪しき者から守ることを任務とし、エリアドールの遺民はそうと知らず大きな禍からたびたび救われた。

魔王は北方で自分を敗北せしめたエアルヌルへの憎しみを忘れず、エアルヌルがゴンドールの王となると彼を挑発し、ついにはミナス・モルグルに誘い出して罠にかけ、非業の死を遂げさせた。これによりゴンドールでは王統が途絶えた。

王国の再建と王の帰還は、大いなる年(3019年)指輪戦争でのエレッサール王の戴冠を待つことになる。

ホビットの弓手

名目上アルセダイン王の臣下であったホビット庄ホビットが主張するところによると、この戦いに彼らは弓の名手たちを王への加勢として送ったが、誰一人帰ってこなかった。このことは人間の歴史には記されていない。

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • 規模的には多くてせいぜい数千人から10000人程度の戦いだったんだろうな。主力となったゴンドール軍も、黒門の戦いにおける7000人の軍をイムラヒル大公が「全盛期ゴンドールの一部隊にすぎない数」と言ってるくらいだし。アングマール軍もその倍がいいとこか。 -- 2019-09-28 (土) 21:11:08
    • ゴンドールおよび北方連合軍10,000
      vs
      アングマールおよび山岳人・ルダウア連合軍14,000 程度のイメージです。 -- 2022-05-16 (月) 22:15:35
  • かなり激しい戦いだったんだろうな -- 2020-02-28 (金) 19:14:22
    • 規模はそれほどでなくても凄惨だったのは間違いないな。アルセダインが滅んだことで、魔王は戦力を出し惜しみする必要がない。(たとえ全滅しても目的は達成してるから構わない) 一方ゴンドールやリンドンや裂け谷はアルセダインという防波堤が失われたことで、ここで徹底的にアングマールを滅ぼさないと後に凄まじい禍根を残す事になるからね。 -- 2020-02-28 (金) 19:32:45
      • 魔王としては寧ろ少しでもエルフとゴンドールを弱体させたほうが良いし、敗戦が確定してカルン・ドゥームへの撤退を選んだ段階でもせめて何らかの形で大将に打撃を与えたら儲かりものと考えていたかも。実際エアルヌアに対する武器にはなりましたし。 -- 2020-10-25 (日) 20:09:09
    • そして誰もいなくなった状態 -- 2020-03-12 (木) 22:27:32
    • なまじっか大軍同士の会戦だと、実際にぶつかり合えるのは全体のごく一部でその分ダラダラとした展開になったりしますが。
      「アングマール軍は誰一人残らなかった」という事からも相当激しいものだった事と多分そこまでお互い大軍ではなかった事が推測できます。 -- 2022-05-17 (火) 07:25:48
      • ペレンノール野の合戦などは一万~数万規模の戦いでモルドール方がほぼ全滅しているので、そういうことは言い切れないと思います -- 2022-05-18 (水) 22:23:46
      • ペレンノール野の合戦は
        ・総大将も友軍の王(ハラド)も討死
        ・想像してない突然の逆包囲
        ・遠征先で詳しくない地、しかも相手の首都での敗北
        ・周囲が川や山に囲まれ、逃げ場がない
        という状況でしたが、それでも討ち漏らした兵達はいました。
        それに対して「一兵も」という描写からの推定です。
        それだけ、大軍を一兵も残さず殲滅するというのは至難ごとなわけで。
        当時の破壊され尽くした北方で大軍を編成できるか、というのもありますが。
        勿論、ただの推定にすぎません。 -- 2022-05-19 (木) 03:51:12
  • バギンズ家以前で歴史に残るホビットの活躍ぶり?って精々この辺りか? -- 2020-05-10 (日) 20:38:01
    • でも誰一人も帰還しなかったのなら、活躍を語る人もいないわな...。それを憐れんだエルフが作った鎮魂歌とかがあるのかしらん。 -- 2020-06-16 (火) 23:19:57
      • 逆に想像の翼を広げ放題とも考えられるんだが、ホビットの性分として、あまり戦さ関連の話題は好まれなかったんだろうね -- 2020-06-17 (水) 00:39:11
      • それはあるだろうねー。『フォルノストの勇士達の詩 ~ゆきて帰らざる物語~』って吟遊詩と『フォルノスト名物!王様もペロリなサマープディングをつくろう』ってレシピ歌があったとしたら、ホビット庄の99.9%は後者を聞きたがるだろうしなァ。 -- 2020-06-17 (水) 01:21:14
    • 俺はてっきり「王への加勢」とあったからフォルノストが陥落した時のアルセダイン防衛戦にホビット達が参戦したのかと思ってた。それなら負け戦だし包囲戦だろうから全滅もやむなしだが、勝ち戦なのに全員帰ってこないってもしかしてとんでもなく悲惨な配置に置かれていたんじゃなかろうかホビット軍。エアルヌアがアングマール軍の突出を誘うための囮にしていたとか…。 -- 2021-01-20 (水) 13:12:59
      • もしそうだとしたら、人間の歴史には残っていないのも納得なんだよね。非常に恥ずべき歴史になるわけだからさ。尤もただの妄想で、実際は違うだろうけど。 -- 2021-01-20 (水) 13:15:07
      • ホビットの加勢も大所帯じゃなく、数名の義勇兵が参加して、激戦の中で全滅してしまったというところなんじゃないかな。そうだとすれば、北方王国の崩壊という歴史的な悲劇の中で覆い隠されてしまったのもわかるし。 -- 2021-04-13 (火) 13:20:13
      • 僕は、ホビットたちは戦争目的で出征したものの、肝心の戦には参加しないで、リンドンやらどこへやらに移住してそのまま帰ってこなかっただけだと思ってました。 -- 2023-10-11 (水) 07:37:13
  • 近代軍編成を知っている作者らしい書き方ではある。 -- 2020-10-24 (土) 18:50:33
    • この戦いは妙に史実の戦史臭が漂うよね。なんか元ネタあるのかな。 -- 2020-10-25 (日) 17:52:08
  • そのときのエリアドールってどれくらい人住んでたのかな -- 2023-10-11 (水) 07:40:38
    • 全土で100万人も人口いないのは確実だと思う。 -- 2023-10-11 (水) 08:01:12
      • ゴンドール末期よりさらにひどい… -- 2023-10-11 (水) 18:19:35
        • そりゃそうですよ。ゴンドールは末期でも統治機構はしっかりしてますし、モルドールの攻勢が激しすぎるだけでまとまった軍隊や防衛体制を作る国力やシステムがしっかり残され、機能しています。大都市も住民減が描写されつつも維持されている。
          それに対してアルセダイン滅亡後のエリアドールは、灰色港みたいなエルフ勢力を除けば都市すらない有様で、「一部の集落を除き無人の野になった」というのがひたすら強調されています。
          失礼ながら、ゴンドールとは比較することすら烏滸がましいレベルですよ。 -- 2023-10-11 (水) 18:37:20
        • 海外の考察だとゴンドールは指輪戦争時点でも250~500万はいるんじゃないかって話だからね..... -- 2023-11-05 (日) 13:53:20
          • そもそもゴンドールは衰退傾向にあり、かつ敵対国が強大すぎるだけでフツーに大国だしね。モルドールがサウロンと共に滅び、アラゴルンが即位したら超大国になるんだから人口は相応にいないとおかしい。 -- 2023-11-05 (日) 14:26:33
    • ヘタしたら10万人も居ないかもしれないレベルよな。
      アルセダイン滅亡後、ブリー「村」がアルノール系住民の最大居住区っぽいのは心底やばい。 -- 2023-10-11 (水) 21:43:00
    • SFのポストアポカリプスみたいなイメージ。ゾンビウィルスとか核戦争で人類が死滅したみたいなああいう世界。 -- 2023-10-11 (水) 23:12:19
      • 島状に点在する集落、その間の荒野をバイクに乗った無法者(ワーグに乗ったオーク)が走り回り、廃墟をゾンビ(死霊)が徘徊する。ドラマの舞台としては格好ではある。冒険野郎(野伏)もいるし -- 2023-10-11 (水) 23:57:48
    • ・魔王による人狩り(魔王の目的は北方王国の滅亡と再建を防ぐための無人化なので)
      ・アングマールのヒャッハーどもを喰わせるための掠奪
      ・アングマールのヒャッハーどもがやる無意味な略奪や焼討
      ・疫病
      ・長い冬
      ・内続く内乱
      人口激減して一大王国の既存社会が村落レベルにまで落ち込んでるんだから、もう絶滅に近い感覚だろうな。 -- 2023-10-11 (水) 23:20:49
      • 逆に第三紀始まった頃は人口どれくらいだったんだろうか。
        イメージとしては
        ・アルノール国民500万人
        ・エルフ数万人
        ・その他100万人
        かなー -- 2023-10-12 (木) 06:05:37
  • 前にフォルノストの合戦時のホビットの弓兵たちの取り扱い方が話題になってたけど、結局ホビットの弓兵たちは王国滅亡時のフォルノスト陥落に防衛側で加勢したのかな。それともフォルノストの合戦に参加したのだろうか。原作だと
    ・アングマールの魔王との最後の合戦場フォルノスには、かれらは王の味方に弓の名手たちを送った(sent some bowmem to the aid of the King)
    ・しかしこの戦いで北方王国は終わりを告げた
    と書いていて、どちらとも解釈できるんですよね。
    北方王国が終わりを告げる前だからフォルノスト陥落時だ、ともいえるし。
    いやアングマールの魔王との最後の合戦場(The last battle at Fornost with the Witchlord of Angmar)だし、王の味方に送った(to the aid of the King)からフォルノストの合戦時だ、とも読み取れますし。
    個人的にはフォルノスト陥落時に送ったのだと思いますが。
    (仕え先が滅びてから送ってもしゃーないですしね) -- 2023-11-05 (日) 08:11:02
    • 確かに、フォルノスト陥落時にホビットたちが送られてたんなら、一人も帰ってこないのは納得ですね。 -- 2023-11-05 (日) 12:21:08
      • ですねー、それも理由の一つです。
        あと決定的なのは「人間側の記録には残っていない(ホビットたちが主張しているのみ)」というところですね。
        ゴンドールやエルフ連合軍に参加したのなら、彼らのうちの誰かが必ず証言なり記録なり残すでしょうし。 -- 2023-11-05 (日) 13:41:33
    • その点には私も前から気になっていて、記述からはどっちとも確定しがたいというのに賛同です。
      個人的には、負け戦だったフォルノスト陥落時の戦いで、孤立無援の王にあえて加勢し、その忠義も犠牲も世に知られることはなく戦場の露と消えた、という事情の方がロマンがあって好きではあります。
      ただそうすると、フォルノスト陥落の戦いには加勢したのに、エリアドール中から反アングマール勢力が糾合された感のあるフォルノストの合戦にはノータッチだった、といういささか不自然なことになってしまうのが難点(本分の書き方からしても歴史物語的な興趣からしても、加勢を送ったのは一度きりであって二度目はないというのが重要だと思うので)←この点なんとか解釈をつけられないこともないが、それをするともう本文から離れすぎて屋上屋を架すみたいな感になってしまう -- 2023-11-05 (日) 14:31:49
      • コメ主です。ですね、そこらへんは教授も明確な答えを出してませんからねー。あくまで個人的には、ですがホビットたちが2回目の援軍を送らなかった理由として考えられるのは
         
        ・送り出した弓兵たち(おそらく現役世代かつ勇敢な者たち)が誰1人として帰らなかった事に慄然とした
        ・弓兵たちの壊滅が人的被害として甚大すぎて、援軍を出したくても出せなかった
        ・忠誠を誓う先である北方王国が滅びたから、無関係な戦さと判断した(復讐という動機はホビットに似つかわしくないので)
        ・討伐連合軍があまりに堂々としすぎて、気後れや場違い感すら感じてしまった、または頼もしさと共に恐ろしさすら感じ、身をすくめてしまった
        ・ホビットたちに募兵や糾合がそもそもかからなかった
         
        これらのどれか、またはそれらの複合的な理由なのではないかなーと。 -- 2023-11-05 (日) 14:41:37
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