ニムロデルの歌

概要

カテゴリー詩・歌
スペルSong of Nimrodel

解説

ニムロデル川を渡り終えた指輪の仲間レゴラスが歌って聞かせたニムロデルの歌。闇の森の王国では森エルフの言葉で歌われるとのことだが、仲間の前では西方語で歌ってみせた。
本当はもっと長い歌なのだが、レゴラスはその多くを忘れてしまったという。

邦訳

そのかみエルフのおとめがいた。
 光まばゆい昼の星よ、
白いマントに金のふちどり、
 はく靴の色は銀ねずみだった。

おとめの額に星が結ばれ、
 おとめの髪に光がさした。
美しいロリアンの森の
 黄金の枝に日がさすように。

おとめの髪は長く、四肢は白く、
 おとめは美しく、自由だった。
風の中をゆく身の軽さは
 菩提樹の葉のそよぎだった。

ニムロデルの滝つ瀬に近く
 冷たく澄んだ水のほとり
おとめの声は銀の滝のように
 きらめく(ふち)にこぼれおちた。

おとめはいずこか、光か陰か、
 さまよう場所をだれも知らない。
かつてニムロデルに迷って、
 行方しれずになってしまった。

山陰の()(ぐら)
 エルフの船がおとめを待った。
荒れさわぐ海のかたえで、
 いたずらに日ごと夜ごとを。

北の地に夜半の嵐が吹き起こって、
 ごうごうとたけり叫び、
エルフの岸から船を追い、
 (しお)()のかなたに押しやった。

ほの暗く夜が明ければ、
 山はなく陸地は見えず、
大波がよせてくだけて、
 目にしぶく水沫(みなわ)をのこすばかり。

波間に低くうすれてゆく
 岸を望んで、アムロス
ニムロデルから自分をひき離した
 頼みがたい船をのろった。

そのかみ、アムロスはエルフの王で、
 美しいロスロリアンに春が来れば、
枝々に金色の花の咲く
 木々と園とを()べていた。

人々は見た、へさきから海へ、
 (つる)を離れた矢のようにアムロスが
跳びおりて、はばたく(かもめ)のように
 深く水をかずくのを。

風はアムロスの髪をなびかせ
 泡はアムロスのまわりにきらめいた。
人々は見た、白鳥のように波にのって、
 強く美しいアムロスの進むのを。

けれど西方から便りはとどかなかった。
 また此岸に住まうエルフのもとに
アムロスの消息がわかったことも
 そのさきたえてありはしなかった。*1

原文

An Elven-maid there was of old,
 A shining star by day:
Her mantle white was hemmed with gold,
 Her shoes of silver-grey.

A star was bound upon her brows,
 A light was on her hair
As sun upon the golden boughs
 In Lórien the fair.

Her hair was long, her limbs were white,
 And fair she was and free;
And in the wind she went as light
 As leaf of linden-tree.

Beside the falls of Nimrodel,
 By water clear and cool,
Her voice as falling silver fell
 Into the shining pool.

Where now she wanders none can tell,
 In sunlight or in shade;
For lost of yore was Nimrodel
 And in the mountains strayed.

The elven-ship in haven grey
 Beneath the mountain-lee
Awaited her for many a day
 Beside the roaring sea.

A wind by night in Northern lands
 Arose, and loud it cried,
And drove the ship from elven-strands
 Across the streaming tide.

When dawn came dim the land was lost,
 The mountains sinking grey
Beyond the heaving waves that tossed
 Their plumes of blinding spray.

Amroth beheld the fading shore
 Now low beyond the swell,
And cursed the faithless ship that bore
 Him far from Nimrodel.

Of old he was an Elven-king,
 A lord of tree and glen,
When golden were the boughs in spring
 In fair Lothlórien.

From helm to sea they saw him leap,
 As arrow from the string,
And dive into the water deep,
 As mew upon the wing.

The wind was in his flowing hair,
 The foam about him shone;
Afar they saw him strong and fair
 Go riding like a swan.

But from the West has come no word,
 And on the Hither Shore
No tidings Elven-folk have heard
 Of Amroth evermore.

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