ドワーフ

概要

カテゴリー種族
スペルDwarf(単) / Dwarves(複)*1
その他の呼び名カザード(Khazâd)
ナウグリム(Naugrim)
ノゴスリム(Nogothrim)
ゴンヒルリム、ゴンヒアリム(Gonnhirrim)
アウレの子ら(Children of Aulë)

解説

ヴァラアウレが独断でアルダに創造した種族。イルーヴァタールに召し上げられて改めて中つ国の住人として世に送り出されたため、「イルーヴァタールの養い子」とも呼ばれる。
ドワーフは自らのことを、クズドゥル(ドワーフ語)カザードと呼ぶ。シンダリンでは「発育を阻まれた者たち(Stunted People)」の意であるナウグリムノゴスリム、「石の名工たち(Masters of Stone)」の意であるゴンヒルリムなどと呼ばれる。

工芸の技術に優れ、特に石の扱いにかけては並ぶものがない名工である。精神的にも肉体的にも頑強・頑固で、優れた戦士でもある。エルフ人間とは古くから交流があるが、財宝をめぐって諍いに発展することも少なくない。しかし基本的には礼儀正しく信義を重んじる種族である。

しかし第三紀にはまだ、かれらの種族が昔から保持していた性格と力が、すでにいくらか弱められていたとはいえ、多少なりとも瞥見べっけんされたのである。かれらは上古の代のナウグリムの子孫であり、心臓には、鍛冶神アウレの古の火がなお燃えており、長い間エルフ族にいだいてきた恨みの燠火おきびがくすぼっていたのである。そしてかれらの手には、何人なんぴともこれを凌駕することのできない石工の技が変わらず生き続けていたのである。*2

特徴

外見

エルフ人間より背は低く、平均身長120cm~150cm程度で非常にがっしりとしている。肌は比較的色白で、髪の色は赤、黒、焦げ茶など。男女共に鬚を伸ばしており、編み込んでいることも多い。ドワーフ以外の種族には、外見や声からドワーフの男女を判別することは非常に困難である*3

能力

メルコールの支配する中つ国の暗黒の時代を生き抜くようにとアウレが考えて作ったため、肉体的にも精神的にも非常に頑強で、耐久力も持久力も非常に高い。
恩も仇も簡単に忘れることがなく、他人をなかなか信用しようとしないが、本質的には誠実である。
寿命は250歳前後で、長ければ300歳を越える者もいる。身体は3、40年程で大人と言えるまでに成長するが、社会的に成人と見なされるにはさらに倍近い年月を要する。婚姻の適齢期も同様で、夫婦となった男女の多くは90~110歳の間に第一子をもうける。その後も若く壮健な時期が長く続き、死期を向かえる直前の数年間に老化が加速する。
地下の洞窟など暗闇でも目が利き、方角を見失うことがなく、またそれに倦むこともない。

文明・文化

採掘と工芸の技術に非常に長け、多くの見事な武具や美しい装飾品を作り出し、時にはその品に魔法の力を込めることもある。その技術のなかにはエルフを凌駕するものもあり、特に石の扱いにかけては並ぶものがない。ミスリルはドワーフがモリアで見つけ出し、その扱いに熟達した金属である。また、火起こしの名手でもあるようである。
ドワーフの女性は全ドワーフの1/3以下と言われ、表に出ることは滅多にない。ドワーフは結婚を一生に一度しかしないが、男性は仕事に没頭するあまり結婚を望まない者がとても多く、女性の方も結婚する意志が全くなかったり、意中の相手以外と添い遂げるよりは独身を貫くことが多い。そのためドワーフの婚姻率は低く、男性の中で結婚する者は1/3以下である。
死者を石で築いた墓の中に葬る習慣を持ち、死体を放置したり、土葬や火葬にすることを好まない(ただし例外もある。火葬にされたドワーフを参照のこと)。ドワーフの信仰では、死んだドワーフはアウレによって彼らのためのマンドスの館に運ばれるという。また七人の父祖たちはそれぞれの一族のもとに戻り、同じ名を帯びるとも伝えている(その例が不死のドゥリン)。
秘密主義者であり、自分達について他の種族に語ることはめったにない。

住居

坑道と仕事場を兼ねる、地下や山岳をくり貫いて造った住居に住むことを好む。それは「洞穴」などというものではなく、その内部は非常に雄大で都市の様相を呈することがあり、また大変美しい装飾が凝らされる。よく知られたものに霧ふり山脈カザド=ドゥーム(モリア)青の山脈ノグロドベレグオストエレボール山の下の王国などがある。
ドワーフの住居の扉は閉まっていると目に見えず、秘密を知らなければドワーフ自身ですら発見することも開けることもできない。モリア西門の扉はイシルディンで紋様が施されており普段は岩壁にしか見えず、外側から開くには合言葉を唱える必要があった。エレボールの秘密の通路も普段は岩壁にしか見えず、特定の日の特定のタイミングでのみ鍵穴が出現するという厳重な仕掛けになっていた。

氏族

すべてのドワーフは、アウレによって直接生み出された七人の父祖を先祖としていると彼らは信じている。七人の父祖の最長老は不死のドゥリンであり、彼を祖とする一族は長鬚族ドゥリンの一族)と呼ばれる。『The Peoples of Middle-earth』では他の一族に、Firebeards(火の鬚族)Broadbeams(広腰族)Ironfists(鉄拳族)Stiffbeards(堅鬚族)Blacklocks(黒巻毛族)Stonefoots(石足族)の名が出ている(各氏族の公式日本語訳名は存在せず、本サイトによるもの)。七人の父祖は四つの場所で目覚めたが、そのうち西方の人間エルフに知られているのはグンダバド長鬚族)とエレド・ルイン火の鬚族広腰族)だけである。
シルマリルの物語』や『終わらざりし物語』では、小ドワーフと呼ばれる者たちも描かれているが、滅亡している。

言語

ドワーフ自身の言語(クズドゥル)を持っているが、その言語はドワーフの秘密として他の種族にはほとんど明かそうとしない。ドワーフ個人の「内向き」の名前、つまりクズドゥルによる真の名は決して他の種族に明かそうとはせず、墓にすら刻まれなかった。
ドワーフは言語の習得にも秀で、他の種族と話をするときは、その種族の言葉を巧みに使った。記録に残る個人名もほとんどが他種族の言語によって付けられた「外向き」の名前であり、作中に登場する主なドワーフたちの名は、谷間の国など北方の人間が用いていた言葉の名前である。
文字は特にキルスを好み、種族の秘密であるクズドゥルもキルスで記す。また特定の条件下でのみ目に見えるようになる月光文字を考案した。

偏見

オークを強く憎んでいる、ただ『ホビットの冒険』によると、邪悪なドワーフはゴブリンと同盟を組むものもいたとある。他の種族にはあまり関心を持とうとはせず、ドリアス滅亡の経緯(シルマリルナウグラミールを巡る争い)でシンダールエルフと確執がある。しかし他の種族とよく交易を行い、ノルドールのエルフとは、共に工人としての共通点もあり比較的親しい(特にエレギオンのノルドールと友好的だった)。東方で目覚めた人間ともはやくから関係を結び、工芸の面で彼らの師となったが、やはり財宝を巡って争うこともあった。
生命あるものよりも工芸の品を好む傾向にあったという。

歴史

アルダエルフ人間が誕生するのを待ちきれなかったアウレによって、ドワーフの七人の父祖たちが作り出された。だが、ヴァラールの権能を超えたその行為はイルーヴァタールに直ちに見咎められ、アウレは許しを請いながらドワーフ達を槌で打ち殺そうとする。アウレの恭順と、ドワーフ達が恐れて身をすくませる様子に哀れさを見たイルーヴァタールは、ドワーフが既に命を得ていることを告げてアウレを赦し、アルダの住人とすべくドワーフを召し上げた。ただしアルダに最初に生まれるのはエルフであると定められていたため、エルフが誕生するまでドワーフの父祖達は眠りにつかせられた。

ドワーフがいつ眠りから目覚めたのかははっきりしないが、クイヴィエーネンにてエルフが誕生した後、二つの木の時代ベレリアンドでエルフとドワーフが遭遇していることが、エルフの歴史に記録されている。また『The Peoples of Middle-earth』によると、ドワーフのうち長鬚族の父祖(不死のドゥリン)はグンダバド火の鬚族広腰族の父祖がエレド・ルインで目覚めたという。他の四つの氏族の父祖がどこで目覚めたかは西方の人間エルフには知られておらず、中つ国のはるか東方であるという。

ドゥリンの一族は、霧ふり山脈カザド=ドゥーム(モリア)を築き、そこが最大の拠点となった。エレド・ルインにはノグロドベレグオストが築かれ、そこのドワーフはベレリアンドシンダール・エルフの王シンゴルと友好関係を結び、シンゴルの王宮メネグロスの建造に手を貸すなど活発に交流した。

第一紀には中つ国に帰還してきたノルドールとも非常に親密な友好関係を結び、カランシルとは交易関係を結んだほか、フィンロドと親密な関係を築いて彼の王宮ナルゴスロンドの建造にも手を貸した。また、ニルナエス・アルノエディアドではマエズロス同盟軍(マエズロスの連合)としてモルゴスの軍勢と戦い、ドワーフ王アザグハールの部隊がグラウルングを撃退するなど、優れた戦士として名を挙げた。
このようにエルフと友好関係を構築していたドワーフだが、シルマリルを巡ってシンゴルと諍いを起こした末に彼を殺害してしまったことからドリアスとの戦争に発展し、これが原因となって以後シンダールとの関係は非常に険悪なものとなった。一方でノルドールとの友情は維持し続けた。

怒りの戦いによるベレリアンドの崩壊後、エレド・ルインのドワーフは大部分がカザド=ドゥームに移住する。第二紀にカザド=ドゥームはエリアドールのノルドールの国であるエレギオンと交易関係を結んで非常に栄えた。しかしサウロンとの戦争でエレギオンが荒廃すると、カザド=ドゥームの門を閉ざして抵抗し、最後の同盟ドゥリンの一族はサウロンを敵として戦った。一方、七つの指輪を受け取ったドワーフ達はその力によって莫大な富を築き上げるものの、やがて指輪に込められたサウロンの悪意のために富を失って不幸な末路をたどることとなった。

第三紀には、他の妖精的種族と同様に次第に衰退していった。ドゥリン六世の代にドゥリンの一族はミスリルを求めすぎてバルログを呼び覚ましてしまい、カザド=ドゥームは荒廃してモリアと呼ばれるようになった。モリアを逃れたスラーイン一世らのドワーフはエレボールに移住して山の下の王国を築き、北方人くろがね連山のドワーフ達と交易を結んで栄えた。さらにスラーイン一世の子のソーリン一世灰色山脈にも居住地を立てて富を築いたものの、やがてダーイン一世の代に冷血竜に襲われ、その子スロールはエレボールに戻った。しかしエレボールも2770年にスマウグに襲撃されて滅亡し、スロールとその息子スラーイン、孫のソーリンらは褐色国ダンランドなどに逃れて放浪の生活を余儀なくされる。
その上スロールは2790年に無謀にもモリア帰還を果たそうとしてオークアゾグに殺されて侮辱される。ドゥリン一族の王に加えられたこの侮辱に全ドワーフは激怒し、霧ふり山脈のオークとの間で6年に及ぶ、熾烈なドワーフとオークの戦争が起こった。アザヌルビザールの合戦鉄の足のダーインがアゾグを討ち取り、ドワーフは合戦に勝利したものの、モリア奪還は果たせず、ドワーフの連合軍も解散した。さらに青の山脈に一旦落ち着いたスラーイン二世は、2841年にエレボールに戻ろうとして死人占い師の罠にはまり、ドル・グルドゥルの地下牢で非業の死を遂げる。だがその間際にスラーインは地下牢を訪れた灰色のガンダルフスロールの地図と鍵を手渡していた。

スマウグへの復讐と、エレボールへの帰還を切望していたソーリン・オーケンシールドは、2941年にブリー村でガンダルフと出会い、彼の助力によってエレボールへの遠征が計画され実行に移される。この遠征とそれによって引き起こされた五軍の合戦の末に、エレボール山の下の王国ダーイン二世によって再興された(『ホビットの冒険』)。
指輪戦争では、ギムリ指輪の仲間として活躍した他、山の下の王国も東夷の攻撃を受け、谷間の国の合戦が行われた(『指輪物語』)。

登場するドワーフの一覧

長鬚族の王については長鬚族の項も参照。

スペル邦訳名人物説明
Balinバリン13人のドワーフの一人。後に一党を率いてモリアへ入植する
Bifurビーフール13人のドワーフの一人
Bofurボーフール13人のドワーフの一人
Bomburボンブール13人のドワーフの一人
Borinボリンダーイン一世の弟。灰色山脈からはなれ山へ戻った
Dáin Iダーイン一世灰色山脈冷血竜に殺された長鬚族の王
Dáin IIダーイン二世鉄の足ナーインの息子。くろがね連山のドワーフの領主で、後にはなれ山の長鬚族の王
Dísディースソーリン二世の妹。記録に登場する唯一の女性
Doriドーリ13人のドワーフの一人
Durinドゥリン不死のドゥリン。長鬚族の父祖
Durin IIIドゥリン三世七つの指輪の一つを手にした長鬚族の王
Durin VIドゥリン六世モリアバルログに殺された長鬚族の王
Durin VIIドゥリン七世記録に残る最後の長鬚族の王
Dwalinドワリン13人のドワーフの一人
Farinファリンボリンの息子
Fíliフィーリ13人のドワーフの一人。ソーリン二世の甥
Flóiフロイバリンの一党の一人
Frárフラールバリンの一党の一人
Frerinフレリンソーリン二世の弟
Frórフロールダーイン一世の次男
Fundinフンディンバリンドワリンの父
Gimliギムリ指輪の仲間の一人。13人のドワーフグローインの息子
Glóinグローイン長鬚族の王
グローイン13人のドワーフの一人。ギムリの父
Gróinグローイン13人グローインの父
Grórグロールダーイン一世の三男。灰色山脈からくろがね連山へ移住する
Kíliキーリ13人のドワーフの一人。ソーリン二世の甥
Lóniローニバリンの一党の一人
Náinナーイングロールの息子。アゾグに殺された
Náin Iナーイン一世ドゥリン六世の息子。父と同じくバルログに殺された長鬚族の王
Náin IIナーイン二世長鬚族の王
Náliナーリバリンの一党の一人
Nárナールスロールの従者
Narviナルヴィかつてのモリアの名工
Noriノーリ13人のドワーフの一人
Óinオーイン長鬚族の王
オーイン13人のドワーフの一人。後にバリンの一党の一人としてモリアへ入植する
Oriオーリ13人のドワーフの一人。後にバリンの一党の一人としてモリアへ入植する
Thorin Iソーリン一世スラーイン一世の息子で長鬚族の王。はなれ山から灰色山脈へ移住した
Thorin IIソーリン二世オーケンシールドスラーイン二世の息子で長鬚族の王。13人のドワーフの筆頭
Thorin IIIソーリン三世石の兜。ダーイン二世の息子で長鬚族の王
Thráin Iスラーイン一世モリアからはなれ山へ移住し、アーケン石を発見した長鬚族の王
Thráin IIスラーイン二世スロールの息子で長鬚族の王。死人占い師に捕えられ、獄死した
Thrórスロールダーイン一世の長男で長鬚族の王。スマウグによってはなれ山を追われ、アゾグに殺された
Azaghâlアザグハール第一紀ベレグオストの王。ドワーフ語の名前
Telcharテルハール第一紀のノグロドの名工。恐らくシンダリンの名前
Gamil Zirakガミル・ジラクテルハールの師。ドワーフ語の名前
Mîmミーム小ドワーフ。ドワーフ語の名前
Ibunイブンミームの息子。ドワーフ語の名前
Khîmキームミームの息子。ドワーフ語の名前

作中に登場する名前の多くが、『古エッダ(Wikipedia:古エッダ)』の「巫女の予言(Wikipedia:巫女の予言)」に登場するドワーフの名前の一覧から取られている*4。設定ではトールキン西境の赤表紙本を「翻訳」する際に、登場するドワーフたちの「外向き」の名前には北方の人間の言葉に属する谷間の国の言葉が使われているので、北欧風の名前をあてたことになっている。
ホビット ゆきてかえりし物語』での邦訳名に関しては小説『The Hobbit』の翻訳対比表を参照のこと。

他作品に与えた影響

トールキン以前の近代におけるドワーフは、単純に「小びと」の意味で使われることが多く、有名なのが『白雪姫』に登場する「7人のこびと」である。低身長の小人症も英語ではdwarfismと表記する。
だがトールキンがドワーフを上記のように描いたことにより「頑強な戦士にして工人」というイメージでのドワーフが広まり、近代ファンタジー作品ではそのイメージを踏襲したドワーフが多数登場するようになった。
ただ女性のドワーフに関しての描写は作品によってさまざまである。

映画『ホビット』における設定

ソーリンに付き従ったドワーフは全部で12人いるが、原作『ホビットの冒険』では、キャラクターが細かく描写されているのはその一部のみで、多くは行間にしか存在をうかがえなかった。映画ではそうした存在感の薄いドワーフにもスポットを当て、性格、年齢、社会的身分、職業、旅に参加した背景などの細かな設定を付随させて、物語の密度を高めている(エクステンデッド・エディションではさらに個性を際立たせる演出が行われている)。
ビルボがエレボールの繁栄と滅亡を語る冒頭のシーンには、女性、子どものドワーフが多数登場した。女性ドワーフは、外見は一目で女性と分かる者から、男と変わらない量の髭を持つ者まで様々で、服装を含めて男性よりも個人差が大きくなっている。全体的に口髭・顎鬚が薄く、頰髯が長く伸びた者が多い。

ドラマシリーズ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』における設定

ドゥリン四世妃のディーサのほか、脇役にも複数の女性ドワーフが確認できるが、いずれも髭がなく、身長と恰幅の良さ以外はほぼ人間の女生と同じ姿をしている。
アウレが作ったと言われる、ドワーフの忍耐を試す儀式として、岩を割る力と忍耐で勝負する“スィギン=タルァグ(Sigin-tarâg)”というものが描かれている。

Iron Crown Enterprisesによる設定

ソースブック『Lords of Middle Earth Vol 3』を中心に長鬚族以外の6氏族について詳細に設定されている。一方で、これらのソースブックは『The Peoples of Middle-earth』が刊行され(1996年)、トールキンが定めた六氏族の名前が明らかにされるよりも以前(1989年)に刊行されたものであるため、トールキンの草稿に記されている設定とは多少の差異が存在する。

それによれば、6氏族の父祖の名はそれぞれバーヴォル(Bávor)、ドワーリン(Dwálin)、スラール(Thrár)、セロール(Thelór)、ドルーイン(Drúin)、バリン(Barin)という。彼らがどのようにして目覚めたのかは具体的には記されておらず、ドゥリンとの関係もはっきりとしないが、いずれも霧ふり山脈を起点として自らの民を率い、中つ国の各地へと移住していった。バーヴォル(Bávor)の一族は南方へと向かい、黄の山脈に定住してバルジマブール(Baruzimabul)という都市を築いた。ドワリンの一族とスラールの一族は共にエレド・ルインに住み、それぞれノグロドベレグオストを築いた。セロールの一族は当初グンダバドに住んだが、後にドゥリンの一族と対立したため東に向かい、中つ国の中央にある山脈エレド・ハムラルにナマガルズ(Namagaluz)を築いた。ドルインの一族はリューンを横断し、オロカルニの山間に外界から隔絶された盆地を見つけ王国ルーリーク(Ruuriik)を創建。後に中つ国の北方に進出していたバルインの一族がこれに合流し、ルーリークの北側にバルインの一族が、南側にドルインの一族が住むようになった。

『HoME』の記述に従うならば、このうち青の山脈に住んだドワリンの一族とスラールの一族が火の鬚族と広腰族に該当すると考えられる。

また、これらの氏族以外にも、ドワーフ人間のハーフとされるウムリという種族が登場する。

The Lord of the Rings RolePlaying Game』における設定

ソースブック『Dwarves of Middle-Earth』にドゥリンの一族以外の氏族の名前と詳細な情報が記されている。このシリーズは映画の世界観をTRPG化したものであり、世界観を共有しているため、このシリーズにおけるドワーフの設定を映画版の設定として捉えることもできる。

ドゥリンの一族以外の氏族はそれぞれウーリの一族(火の鬚族)、リンナルの一族(広腰族)、シンドリの一族(鉄拳族)、スーリンの一族(堅鬚族)、ヴァールの一族(黒巻毛族)、ヴィグディスの一族(石足族)と呼ばれている。このシリーズは『HoME』に関するライセンスを得ていないため、HoMEに記載されている氏族名は直接は登場していない。しかし、ウーリの一族は鬚が赤く、ヴァールの一族は鬚や髪が黒く縮れている等、各々の氏族の身体的特徴や性格などにそれらの名前が反映されており、どの氏族がトールキンの記載した氏族に該当するのかが分かるようになっている。

ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定

敏捷性などにペナルティがつくが、耐久力や斧による攻撃などにボーナスを得ることができる。他のプレイアブルな種族と異なり、性別の選択そのものがない。
Update 24.3よりプレイヤーが選択可能な種族として追加された追加されたStout-axe(堅斧族)は『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』独自の設定で追加された種族であり、元来はDrása's Folkと呼ばれていたドワーフの一氏族で、七つの指輪のうちひとつを手にしたためサウロンに隷属を強いられていたことになっている。またStout-axeは通常のドワーフとは異なって性別が選択できるが、外見上は男女で差はない。

氏族

『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、アザルヌビザールの合戦のため集結した各氏族

七つの氏族の内、Narfanghothはシンダリンで「炎の鬚の一族」、Landorrimは「幅広い人々」という意味になるため、それぞれ火の鬚族と広腰族に相当すると分かる。
また、Zhélrukaは鉄拳族、Kámbradaは堅鬚族、Abnúzhuは石足族である事が間接的に示唆されている。したがって、最後に残ったTemámirも黒巻毛族である事が分かる。

NPC(敵キャラクター)に、ドルハンドという氏族が登場する。

Include/ドワーフ

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • ナンドゥヒリオンの戦い(映画)でトーリン、バーリンと一緒に戦っていたドワーフってダインとドワーリンのどちらだろうか -- 2022-12-16 (金) 07:19:36
    • まだハゲではないドワーリンが画面に映っていたはず -- 2022-12-17 (土) 20:39:42
    • お尋ねのドワーフはドワーリンですが、そのほかにグローインもいたような気がする。戦に勝った直後の放心状態で。 -- 2023-06-13 (火) 22:50:31
  • ふと気になったのですが、中つ国の自由の民の中で他の種族との混血が不可能?な種族はドワーフだけなのでしょうか。人間はエルフと、ホビットは人間の一支族なので恐らく人間と混血が可能ですが、ドワーフが他種族と結ばれたエピソードは見た事がありません。アウレの子でありエルを介さずに命を持ったドワーフ達はエルの子らとは何かが根底的に違う?のかもしれませんが。 -- 2023-08-08 (火) 19:08:35
    • HoMEによると人間とエルブは肉体(フロア)は同一で魂(フェア)が違うということなので、肉体の互換性があるので交配が可能なのだと思われます。ドワーフは仰るとおりアウレが作ったため、肉体の作りがエルフや人間とは異なるので、交配が不可能なのだと思われます。 -- 2023-08-08 (火) 19:19:43
      • なるほど!ありがとうございます。ドワーフが他種族にあまり自らの秘密を明かさない秘密主義だったのも、自分達はアウレの子でありエルの子である他種族に対して拭えない疎外感を持っていた事もあるのかもしれませんね。 -- 2023-08-08 (火) 19:23:38
    • 東夷にはドワーフと混血した可能性が微粒子レベルでだけどあると思う。 -- 2023-08-08 (火) 22:56:21
  • 根拠はないが識字率はかなり高い気がする。人間なら文盲でもおかしくないような低い身分でも読み書き算盤一通りできたり。 -- 2023-09-18 (月) 00:01:37
  • LotROの海外掲示板で石足族と黒巻毛族の肌が黒いのに対して、ドワーフはハラドにはいない筈なのにおかしいと物議を醸したらしい。でもグズドゥルがセム語を参考にしてる点を重視するなら、ドワーフの南方への進出が無かったと言い切ってしまうとそこら辺の説明がつかなくなると思う。 -- 2023-10-03 (火) 11:52:52
    • 別に説明がつかないことはないでしょう。
      セム語がグズドゥルから生じた、とかの因果関係ならともかく参考とした言語があるからその言語の使用先の地域にもいたはず、というのは論理としては???。
      個人的には隊商や鉱山開拓のために南方くらい行っててもおかしくないとは思うけど。 -- 2023-10-03 (火) 13:23:16
      • >セム語がグズドゥルから生じた うん、因果関係を逆に考えてそういう体を取るとすればドワーフがハラド地域と接触があった事になるかなと。埋蔵資源の採掘に有利なのは岩肌の露出した南方の方だろうし、ドワーフがそれを放っておくとは思えない。 -- 2023-10-03 (火) 19:54:23
        • →うん、因果関係を逆に考えてそういう体を取るとすればドワーフがハラド地域と接触があった事になるかなと
          それはないでしょ…。流石に都合が良すぎるというか、因果関係を逆にした時点で論理もクソもない。
          神の視点の作者が参考にした現実の言語背景を作品世界に持ち込むのはおバカすぎるかと…。
          別に書いたように俺もドワーフが南方に赴く、住み着く説自体は、無理筋ではないと思ってるよ。ただその根拠に参照とされた言語云々を持ち込むのは違うのでは。 -- 2023-10-03 (火) 20:22:56
        • えっとですね、都合の良いこじつけだというのは承知の上での想像でありまして....論理性はハナから考えてないんですよ......ただ一読者が「ドワーフが南方へ進出して、ハラドリムと接触する事もあったかもしれない。現代の中近東の言語とクズドゥルの相似はその名残かもしれない。」という想像くらいはしても良いものと自分の中では思ってたからそう書いただけなんですよ.....。 -- 2023-10-04 (水) 15:16:22
          • すみません。
            それは全然構わないですよ、もちろん。
            ただ「説明がつかなくなる」という部分だけが気になっただけなので…。 -- 2023-10-04 (水) 18:57:52
  • 外見の項目の、"肌は比較的色白で、髪の色は赤、黒、焦げ茶など。"というのは、何の資料を確認したら見つけられますか?? -- なにむ 2023-12-17 (日) 23:27:54
    • 比較的と言うが、地底暮らしなら真っ白か真っ青になってもおかしくないよね。 -- 2023-12-25 (月) 17:16:12
  • 戦いでは斧や鎚を主力兵器に用いるというのは最初は単なるキャラ付けか民話の踏襲だったのかもしれないけど、実際かなり合理的だよね。手足が短いと通常の刀剣だと振るっても威力が乗りにくいだろうから、武器そのものに重量や大きさがあって体全体を回転させる事で遠心力を効かせるような武器を選ぶというのは自然な流れか。
    ゲームとかで弩を使ってるシーンがあるのも、弓だと太くて短い腕で引き絞っても射程や貫通力が出なさそうだからそっちの方を選ぶというのも納得のいく話。 -- 2023-12-25 (月) 17:28:38
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