トーリン二世(にせい)

概要

カテゴリー人名
スペルThorin II*1
その他の呼び名トーリン・オーケンシールド(Thorin Oakenshield)*2
山の下の王(King under the Mountain)
種族ドワーフ長鬚族
性別
生没年第三紀2746~†2941年(享年195)
スライン二世(父)
兄弟フレリン(弟)、ディース(妹)
配偶者なし
なし

解説

長鬚族の王
先代
スライン二世
2790~2850
トーリン二世(樫の盾)
第三紀2850~2941年(91年間)
次代
ダイン二世
2941~3019

トーリン・オーケンシールドと呼ばれる。エレボールの山の下の王国の王であったスロールの息子であるスライン二世の息子。
彼は長鬚族の王であるドゥリンの世継であり、エレボール没落後は名目上に過ぎなくなったとはいえ山の下の王であった。そのため非常に誇り高く、さらに頑固で時に高慢でもあった。だが決して愚かだったわけではなく、いざとなれば勇敢であり、ドワーフらしく仇を忘れることが無いように、恩義を忘れたり蔑ろにしたりすることも決してなかった。

「われこそは、山の下の王、スロールのむすこスラインの、そのむすこトーリンなるぞ!」と、ドワーフは大音声をあげて名のりました。そしてそのありさまは、ぼろぼろの服とずたずたの頭巾をつけているにもかかわらず、名のりにふさわしく見えました。黄金の光が、首と腰にかがやき、眼光はするどく、深くさえていました。*3

ホビットの冒険』にてビルボ・バギンズを連れ、はなれ山スマウグより奪回するための冒険に旅立った13人のドワーフの頭。同作では銀の房のついた青空色の頭巾をかぶり、首に金の鎖をかけていた。お茶の時間に袋小路屋敷に押しかけた際には、ガンダルフといっしょに赤ワインを注文し、食後には金のハープを演奏している。

来歴

山の下の王スロールの息子スラインの息子として、エレボールに生まれる。
第三紀2770年にスマウグが襲来した時、トーリンは冒険に出かけていて難を逃れ、谷間がスマウグに襲われるのを目撃。やがて祖父と父が山から脱出してくると彼らに合流し、共に褐色人の国で放浪の生活を送るようになった。

祖父スロールが殺されたことに端を発するドワーフとオークの戦争では若年ながらドワーフの連合軍に参加。決戦となる2799年のナンドゥヒリオンの合戦において、トーリンは割れた盾の代わりにの枝を使って戦い、これがオーケンシールド(樫の盾)の名の由来となった。

戦いが終わると父スライン二世と共に放浪の生活に戻り、褐色人の国からエリアドールに移ると、2802年に青の山脈に仮住まいを持った。
2841年にスライン二世はエレボールを目指して旅立ったが、旅の途上で失踪し、一族の許には戻らなかった(死人占い師に捕らえられ、ドル・グルドゥアの土牢で非業の死を遂げたことが後に判明する)。
そのためトーリンは長鬚族の王位を継承。青の山脈にを築いて徐々に一族と富の数を増やしていった。だがトーリンの心中からスマウグへの復讐の念が絶えることはなく、奪われた父祖の財宝を取り戻したいとの思いに心は燃え立っていた。

ガンダルフとの出会い

第三紀2941年3月15日、旅から帰る途中ブリー村に立ち寄ったトーリンは、そこで偶然ガンダルフに出会う。エレボールを奪回したいトーリンと、スマウグを排除したいガンダルフの思惑が一致したことで、トーリンはガンダルフを青の山脈自分の館に招いて遠征への助力を依頼した。
当初トーリンは、軍を起こしてスマウグに公然と戦いを挑むことばかりを考えていたが、ガンダルフは北方の情勢悪化の裏には死人占い師サウロン)の悪意があることを見通しており、その妨害を避けるためにも隠密行動を選ぶべきであると提案、それに役立つ忍びの者としてホビットビルボ・バギンズを同行させるよう強く主張する。

トーリンは、最初ガンダルフの計画に懐疑的であり、ビルボを連れていくことにも反対だった。実際に袋小路屋敷を訪れ、突然の来客に動揺したビルボの滑稽な振る舞いを目にしたトーリンは、ガンダルフが自分を愚弄しているに違いないと考え内心激怒していたという。
しかしその夜、ガンダルフはドル・グルドゥアで今際のスライン二世から預かっていた、エレボールの秘密の隠し戸の在処を示す地図とその鍵を明らかにする。地図と鍵を受け取ったことで、ようやくトーリンはガンダルフを信用し、彼の計画に乗って遠征を行うことを決意。エレボールの財宝の14分の1を報酬に、ビルボを忍びの者として正式に雇い入れた。(これらのいきさつは『終わらざりし物語』「エレボールへの遠征」で詳しく述べられている)

エレボール遠征

トーリン・オーケンシールドをはじめとした13人のドワーフドーリノーリオーリバーリンドワーリンフィーリキーリオイングローインビフールボフールボンブール)と、忍びの者ビルボ・バギンズ、そして魔法使いガンダルフは、第三紀2941年4月のある朝、エレボール(はなれ山)への遠征に出発した。

旅の途上でトーリンはエルフの名剣オルクリストトロルの岩屋から発見。ゴブリン町ではオルクリストを抜き放って、ガンダルフの振るうグラムドリングと共にゴブリンに多大な脅威を与えた。だがオルクリストは闇の森の王国エルフに捕らえられた時、取り上げられてしまう。

当初、ビルボに対しては尊大に接し、忍びの者として雇ったことを理由にことあるごとに厄介事を押し付けた。だが彼を見捨てることは一度もなく、やがてビルボが真価を発揮して一行の危機を何度も救うようになると、厄介事を押しつける姿勢はそのままながら彼を非常に高く評価し、信頼を寄せるようになる。
エレボールにたどり着いて財宝を検分した時、トーリンは感謝のしるしとしてビルボに白銀色の鎖帷子を贈った(これはミスリル製であり、ずっと後にそのことを知ったギムリは「王者の贈り物」と評している)。

だがトーリンは父祖の財宝、わけてもその中にあるはずのアーケン石に固執しており、スマウグが弓の名手バルドに討たれると、財宝を巡ってトーリンの一党とバルドの一派との間で諍いが起きるようになる。
バルドは谷間の国の領主ギリオンの末裔であり、トーリン達が見出した財宝の中には元来は谷間の国のものである物も含まれていた。バルドはその分け前を要求すると共に、スマウグによって壊滅した湖の町の復興への援助を要請。だがバルドが自分たちを捕らえた闇の森のエルフ王と行動を共にしていたことで、トーリンは態度を硬化させる。さらに事態を打開しようとしたビルボが隠し持っていたアーケン石をバルド側に渡したことが判明すると、トーリンは激怒してビルボを追放。ますます態度を硬化させたトーリンはエレボールの廃墟に籠城し、大ガラスを使ってくろがね連山ダイン率いるドワーフの援軍を呼び寄せ、一戦交えてでも石を含めた全ての財宝を我が物にしようとした。

しかしそこにゴブリンワーグの軍勢が到来したことで、バルド・エルフ王とダインは急遽停戦して共同戦線を張り、五軍の合戦となる。
数で勝るゴブリン・ワーグ軍に、人間・エルフ・ドワーフ軍は劣勢となるが、そこでついにトーリンは財宝への執着を断ち切って籠城を止め、山の下の王として12人の仲間達と共に撃って出ることで戦いの流れを変えた。トーリンは致命傷を負ったが、結果として人間・エルフ・ドワーフ軍は勝利を収め、北方の諸種族の間に蒔かれた遺恨は取り除かれた。

戦いの後、今際のきわにあったトーリンはビルボと再会。ビルボに謝罪の言葉を述べ、和解して身罷った。

「あなたの心のなかには、あなたが知らないでいる美しさがあるのじゃ、やさしい西のくにのけなげな子よ。しかるべき勇気としかるべき知恵、それがほどよくまじっておる。ああ、もしわしらがみな、ためこまれた黄金以上に、よい食べものとよろこびの声と楽しい歌をたっとんでおったら、なんとこの世はたのしかったじゃろう。だが、かなしいにせよ楽しいにせよ、もうわしは、ゆかなければならぬ。さらば、じゃ!」*4

トーリンはエレボールの奥深くに葬られ、その胸にはバルドによってアーケン石が抱かされ、その墓所にはエルフ王によってオルクリストがささげられた。山の下の王には、トーリンにとって又従兄弟にあたるダイン二世が即した。

画像

アラン・リー作画によるトーリンらの葬儀

映画『ホビット』における設定

原作よりも若い、壮年のドワーフ。年齢は少なくとも150歳以上で、オイングローインとほぼ同世代である。鬚を短く刈っており実際よりも若く見える要因になっているが、これにはエレボールで死んだ者への追悼、自らの戒めの意味が込められているとリチャード・アーミティッジが語っている。

エレボールスマウグに攻撃されたとき、スランドゥイルが自らの軍勢をスマウグと戦わせることを恐れて見捨てたため、エルフに強い不信を抱くようになった。
ナンドゥヒリオンの合戦において、アゾグに追い詰められた際に、の枝を盾に使って反撃、アゾグの左腕を切断して退却に追い込み、戦局を一変させた。この時の枝を、より使いやすい盾として加工し、そのまま使い続けて持ち歩いていた。この盾はゴブリン町を抜けた後のアゾグとの再戦時に意識を失い、大鷲にすくい上げられた時に落としている。
オルクリスト闇の森で、レゴラスに取り上げられている。

当初は原作同様、ビルボ・バギンズが旅に役立つのか非常に懐疑的であり(実際一行がゴブリン町を抜けるまでは、ビルボは足手まといになっていることが原作よりも強調されている)、ビルボを連れてきたのは間違いだと考え、一行が裂け谷を出た直後、霧ふり山脈での夜営中、ビルボがひとりで帰ろうとしていることに気付いても、止めようとしなかった。
だがゴブリン町を抜けた後、自分がアゾグに追いつめられ、他のドワーフが助けに行けない状況の中、ビルボが危険を冒して自分を助けに来たため、彼を信用するようになる。

祖国の再興を誰よりも強く願っていた。一方、祖父スロールが財宝に魅了されるのを目の当たりにし、自分はそうはならないという信念を持っていた。だがトーリンも実際にエレボールの財宝を目にして魅了されてしまい、特にアーケン石に執着する様子を示すようになる。このスマウグの呪いは原作よりも強く描かれており、セリフの一部はトーリンの声とスマウグの声が合成されている。また仲間の裏切りを疑い、さらにアーケン石をバルドたちに渡したことを告白したビルボをも殺そうとした。

葛藤の末に理性を取り戻してからは五軍の合戦の渦中に飛び込み、からすが丘に陣取るアゾグを討ち取るべく、フィーリキーリドワーリンとともに向かう。罠にはまったフィーリとキーリが殺される中、トーリンもまた追い詰められるが、レゴラスの投げたオルクリストを受け取り危機を脱した。その後はアゾグとの決戦を制し、長年の因縁に終止符を打つが、自身も致命傷を負ってしまう。そして、介抱しようとするビルボに謝罪と感謝の言葉を述べて生涯を終えた。

籠城時は、原作にあるかがやくよろい純金のようにかがやきわたりました。の記述通り、黄金の鎧を身につけている。だが五軍の合戦に突入するときは、黄金の病から解き放たれたことを強調するためか、出立時の防具に近い鎖帷子となっている*5

thorin.jpg thorin2.png

グッズ

ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定

プレイヤーの種族にドワーフを選んでゲームを開始すると、チュートリアルプレイ時に、エレド・ルインからはなれ山へ出発しようとしているトーリンが、旅にホビットを連れていくべきだというガンダルフと言い争っている光景が見られる。
この光景は、『終わらざりし物語』に記されているトーリンとガンダルフのやり取りを元にしている。

チュートリアル終了後は五軍の合戦後になるため、トーリンは登場しない。

『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるトーリン・オーケンシールド

コメント

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • アーケン石を巡るビルボとの言い争いで「そのわたしを、ネズミの末だと!」っていい返されちゃってちょっとたじろぐ辺りのシーンが何とも言えず好きなんですよね。 -- 2016-10-23 (日) 08:30:15
  • 映画はクリンゴンっぽいという声も -- 2016-11-05 (土) 00:05:58
  • 映画版で民を養うためにかな、人間の村で鍛治仕事してるシーンを見て、「この人はこの時の体験を怨みや屈辱として受けとっていたのかな」と思った。この体験がなければ、もっと優しい性格になれたんだろうけど……。 -- 2017-01-05 (木) 23:07:50
    • 今まで友好的に接してた取引相手の都市が国を失った後は掌を返して冷たい態度になったりもしたろうな -- 2017-01-05 (木) 23:11:40
      • スランドゥイル軍の反転なんか典型的だよね。見てるこっちも「スマウグと戦えとは言わないけど、せめて避難民の保護くらいしてよ」とは思ったなあ。 -- 2017-01-06 (金) 12:02:01
      • 金の切れ目が縁の切れ目と言えば、それまでですが、窮地に立っている時の手のひら 返しはきついですね。 これでは他種族に対し頑なになるのは無理ないですね。 -- 2017-01-08 (日) 02:31:10
      • 特にドワーフは他人との忠義を尊ぶからな -- 2017-06-11 (日) 00:52:27
  • EE三部作を全部観終わったけれど、これはトーリンとビルボの物語だったな。最後には涙が。 -- 2017-05-07 (日) 19:09:00
    • だな。 -- 2017-10-20 (金) 23:09:46
  • 斧が矢印の形をしてましたが、道に迷った時はあの斧が倒れた方向に行ってたんじゃ・・・・・ -- 2017-05-23 (火) 19:58:02
  • 同時に祖父スロールや父スラインのように財宝に人生を狂わされ、不幸をもたらすことを恐れていた。とありますが、そのような描写ありましたっけ? -- 2017-07-26 (水) 13:59:09
    • 裂け谷などで「黄金は人を狂わせる」という話をされて「私は祖父とは違う」みたいなことを言っている場面がありますが、ちょっと解説文とはニュアンスが違いますね、解説のほうを修正した方がいいかも -- 2017-07-27 (木) 02:32:17
      • なるほど 確かにその場面ありましたね ありがとうございます! -- 2017-07-27 (木) 12:39:16
  • トーリン…本当に勇ましかったな… -- 2017-08-10 (木) 20:25:11
  • この人、信頼できる部下はたくさんいただろうけど、友達と呼べるような存在はいなかったんだろうな、王だから。それを考えれば、ビルボの「友達だった」という言葉の重みがよく分かる気がする。 -- 2017-10-14 (土) 01:34:43
    • 195歳でようやくできた友達に裏切られたと感じたなら、そら城壁から投げ落としたくもなる -- 2017-10-14 (土) 01:39:03
  • 正直好きになれんのよね・・・他人(エルフ)の家宝奪っておいて宝は渡さない、全部自分のものだ!って、ドワーフの方が先にエルフに酷いことしたのに、最初に信頼を裏切っておいて都合の良いこと言ってるなぁ、自業自得じゃね?って見てて思った。 -- 2017-10-20 (金) 22:52:23
    • 生来頑固な種族だし、財宝に魅入られた状態だったから自己中なのは仕方ない気もする。1つの指環ほどじゃないだろうけどガンダルフの言によれば呪いの財宝っぽいし -- 2017-10-20 (金) 23:19:35
      • 財宝の呪いと関係あるかどうかわからないけど、激怒してるスマウグが外に解き放たれて大惨事を招いたのが明らかにも関わらず、それらに全く関心も良心の呵責も感じてないトーリンの姿は怖かったなあ。 -- 2017-10-31 (火) 08:48:46
      • 映画見たんだけどトーリンの豹変した理由が財宝の魅力なんだとばかり思ってましたがあれドラゴンの呪いがかかってたんですね。スッキリしました。 -- 2018-11-20 (火) 08:36:53
      • ドラゴンが長く懐に抱え込んだ財宝は、後の持ち主の黄金に対する執着心を増大させてしまうらしい。とは言えトーリンとスロール以外はこの魔力に魅入られておらず、ガンダルフの山に近づく者全てが竜の病に罹患するというセリフにも反して人間もエルフも黄金への執着、アーケン石への独占欲など触発されているシーンがないのは、全員が竜の病に抗えるだけの力を持っていたという暗示なのか? -- 2019-10-22 (火) 01:36:04
      • 大いなるものだからこそあらがえないっていうのもあると思うよ。王としての重圧や、祖国の栄光を取り戻したいといった強い欲求があるトーリンだからこそ竜の病がてきめんに効いちゃった気がする。例えばガンダルフは強大な魔法使いだけど指輪の魔力に強いのはフロドみたいな小さい存在だったりするのと同じで。 -- 2019-12-10 (火) 01:39:42
      • 考えてみれば、エレボールを失ってから、ずっと苦労と責任ばかりが両肩に常に乗っかり、良かったことなんて碌になかった暮らしを長年味わってきた。そこへきてエレボールとその財宝を取り戻せば、呪いがなくても頭もおかしくなっても不思議はない。 -- 2020-08-11 (火) 11:54:23
  • 設定だと149cmで仲間内で2番目に背が高い。ドワーリンは一目で一番デカいって分かるのにトーリンはあんまり大きく見えないよね -- 2021-01-27 (水) 23:50:22
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