トロル †
概要 †
解説 †
シンダール語のトログの翻訳名。上古に冥王モルゴスが生み出した、巨体と怪力を持つ種族。
『ホビットの冒険』においてはバート、トム、ウイリアムという名のトロルが登場し、ビルボ・バギンズたちを襲った。ただし童話的な性質の『ホビットの冒険』においては、トロルの描写は『指輪物語』などに登場するものとはかなり雰囲気が異なっており、トロルの財布がしゃべるという描写もある。
『指輪物語』では、ビルボ達を襲った先述のトロルのエピソードが語られている以外に、トロルの直接描写は少ない。サウロンの軍勢の中にいて戦いに加わっているのが数カ所で触れられているほか、遠ハラドから来た人間が「半分トロルのような」という比喩表現で現れたり、木の鬚が「エントのまがいもの」としてトロルを語ったりしている程度である。
『シルマリルの物語』でも、やはりモルゴスの軍勢の中にいる記述がわずかにあるだけである。
特徴 †
- 外見
氏族によって若干ばらつきがあるが、いずれもエルフや人間より巨体。石のように固い皮膚を持ち、並の剣で歯が立たない。血はオークと同じく黒い。
- 能力
怪力を持つが、一般的に知能は低い。元々は言語を持たなかったが、彼らを利用しようとしたサウロンに知恵を仕込まれた結果、使える範囲の言葉をオークから習い憶えるようになった。
太陽の光を浴びると石になってしまう*2ので、日の当たらない環境や夜間にのみ活動する。ただしオログ=ハイは陽光に耐えることができる。- 文明・文化
ほとんど文明や文化らしいものは持たない。おそらく国家の概念もないが、冥王の意志の下に隷属している。
『ホビットの冒険』に登場した岩のトロル(バート、トム、ウイリアム)は上着を含む服を着ており、ビールをジョッキで飲み、動物や他種族の者*3を調理道具で料理して食べている。- 住居
トロルの岩屋(troll-hole, trolls' lair)と呼ばれる住処を作り、昼はそこで過ごす。住居の中には略奪品や食糧などが蓄えられていることが多い。冥王の軍に所属していないトロルは、そのような住居で少数で共同生活をしていると思われる。
- 歴史
『指輪物語』での木の鬚の発言によれば、モルゴスがエントのまがいとして作り出した生き物だという。第一紀のモルゴスの軍勢の中に既にトロルはいたが、トロル独自での団体行動というものをしないためか、あまり歴史上にはトロルの事は出てこない。
第二紀、第三紀以降のサウロンの軍では、しばしばトロルが強力な部隊として登場し、モルドールのみならず霧ふり山脈やエテン高地などのエリアドール北方にも半独立的に出没するようになった。- 氏族
具体的な差ははっきりしないが以下のように呼び分けられることがあり、それぞれ特徴があると思われる。ただしこれらの呼称は、同じものを別の語で言い表しただけのものを含んでいる可能性があり、必ずしも呼び分けの数だけ氏族があるということを意味しない。
- 石のトロル、岩のトロル (Stone-trolls)
『ホビットの冒険』のバート、トム、ウイリアムがこれにあたる。
- 岩穴トロル (cave-troll)
指輪の仲間がモリアの中で遭遇し、フロドがつらぬき丸で突き刺した相手と思われるトロル。緑がかった鱗がある黒っぽい皮膚に、指のない扁平な大足を持つ。
- 山のトロル (mountain-trolls)
ペレンノール野の合戦で破城槌グロンドを操作したトロル。
- 山トロル (hill-trolls)*4
黒門の戦いで隊伍を組んで攻撃してきたトロル。体躯は人間より高く厚みがあり、鉤爪のある節こぶだらけの手を持つ。角質の鱗を網目状に緊密に組み合わせた鎧(あるいは皮膚)を身にまとい、黒い円形の盾と重い槌で武装していた。倒した者の喉を噛み切るならわしを持つ。
アラドールは山トロルの一団によって殺されたという。
- オログ=ハイ (Olog-hai)
サウロンが種の交配で生み出したトロルの改良種。太陽の光への耐性を持つ。
- トロル人間 (troll-men)
ペレンノール野の合戦でモルドールの同盟軍として言及される。オークやヴァリアグと同じく太陽の光を忌むとされるが正体は不明。また下記の半トロルとの関連も不明だが、同一の者である可能性もある。
- 半トロル (half-trolls)
ペレンノール野の合戦でモルドールの同盟軍だった遠ハラドの黒い人間が「半分トロルのような(like half-trolls)」と言及されている。実際に半トロルという種族がいるのか、あくまでも比喩なのかは不明。また上記のトロル人間との関連も不明だが、同一の者である可能性もある。
- 雪トロル (snow-troll)
雪の中を白装束で単身敵陣へ乗り込んだヘルムの外見を表わす比喩として登場する。実際にそのような種族がいるのかは不明。
- 石のトロル、岩のトロル (Stone-trolls)
- 言語
オークから習った言葉(オーク語)を使った。また西方諸国の岩のトロル(バート、トム、ウイリアム)は崩れた西方語を用いた。サウロンは暗黒語をトロルにも使わせて、自身の僕の共通語にしようとしたが、オログ=ハイを除いて失敗した。
- 偏見
他のほとんどの種族を嫌っている。
映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定 †
モリアの洞窟トロルほか、モルドールの軍勢の中には黒門の開閉や攻城兵器の運用を担うトロル、ペレンノール野の合戦や黒門の戦いで鎧を帯びて最前線で戦う戦闘用のトロルが多数登場する。オーディオ・コメンタリーでピーター・ジャクソンは、モリアの洞窟トロルは低い知性をオークに利用されていると語っている。
また裂け谷への道中では『ホビットの冒険』で石になった3匹のトロルが背景として登場する。
グッズ †
映画『ホビット』における設定 †
『思いがけない冒険』に原作通り、バート、トム、ウイリアムの3匹のトロルが登場する。
『ロード・オブ・ザ・リング』では言葉らしい言葉を発していなかったトロルだが、若干童話要素が薄められたものの、バートたちは原作に近い、やや間抜けな会話を行っている。
原作でトロルの描写がなかった五軍の合戦には、オークに使役されている形で複数の武装したトロルが登場する。背中に投石機を背負っていたり、捨て身の頭突きで城壁を突き崩す攻城兵器の役回りの者、スタンピーのように道具扱いされている者もいた。
グッズ †
ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定 †
敵として多数登場するほか、PvMP時のセッションプレイでトロルが操作可能。
トロルとフオルンの中間の姿のような、木トロル(wood-troll)という氏族が登場する。他のトロルに比べて小型だが、動きが素早い。
コメント †
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