トム・ボンバディルの冒険†
概要†
カテゴリー | 書籍・資料等 |
---|---|
スペル | The Adventures of Tom Bombadil |
解説†
#amazon(4566021106,right)1961年、ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキンが叔母のジェーン・ニーヴに「トム・ボンバディルを中心にしたピーターラビットのような小さい本」を要望された結果、出版された本。「トム・ボンバディル 小舟に乗る」などはこの本のために作られたが、一部の詩はトールキンが1920~1930年代に書いたものを採録したものである。
日本語版は『農夫ジャイルズの冒険 トールキン小品集』に収録されている。
内容†
「赤表紙本の他の詩とともに」という副題が付けられており、あわせて16の詩・歌が収録されている。
「まえがき」によると、本詩華集は、主としてホビット族のいわゆる「第三紀」の終りごろの、定住地ホビット庄の伝説や愉快なはなしと関連がある比較的古い作品から選んで編んだものであるとある。また詩の一部は、エアレンディルの物語などから影響を受けてビルボが改作したものであるらしい。
赤表紙本によると、1番と2番の詩は間違いなく、古森やトム・ボンバディルの存在に親しんでいたバック郷で生まれたものであるが、1番の方がずっと古く、2番はフロドとその友人たちがボンバディルの家を訪れて以降に作られたものであるらしい。3番の詩はビルボが自分であみ出した脚韻で綴られており、彼がエルロンドの屋敷にいた頃に朗誦していた自作の詩と密接な関連があるという。4番、11番、13番の詩は赤表紙本の欄外に走り書きされていたものの中から選んだという。5番の詩はビルボが、7番はサムが即興で作り、8番はサムのイニシャルが添えてあるが、ホビット族が気にいっていたらしい滑稽な伝承動物譚を、サムが修正しただけなのかもしれないという。10番の詩はサムが『指輪物語』の中で、ホビット庄で古くから歌われていたものだと述べている。
14番の詩は「第一紀」末葉の英雄時代については、裂け谷、ヌメノール、妖精などの口承をもとにしているといい、これはドワーフ族トゥーリンとミムのヌメノール説話の余韻を鳴りひびかせているように思われるという。
15番の詩は収録されたものの中で一番成立が新しく、『指輪物語』の時代が終わった第四紀に属するもので、作品の最初のところに誰かが“フロドス・ドリーミー”と書き添えており、フロド自身の作とはまず考えられないが、フロドの晩年、最後の三年間の三月と十月に訪れる暗い絶望的な悪夢を下敷きにしているとも思われるのであるという。
6番と最後の16番の詩は元はゴンドールの南部ベルファラス地方の伝承であるらしく、ベルファラス湾や沿岸のドル・アムロスのティリス・イーアーの塔、ベルファラス湾に注ぐ七つの川*1が登場する。また16番の詩の中でエルフたちが船出してゆく港はエゼッロンドであり、主人公の少女フィリエルの名は「死すべき運命の(人間の)女」を意味し、アラゴルンの祖先にあたるアルノールに嫁いだゴンドールの王女フィーリエルとも同じ名であり、サムの娘エラノールの娘フィリエルの名はこの詩からとったものであろうという。
目次†
- トム・ボンバディルの冒険
- トム・ボンバディル 小船に乗る
- さすらいの騎士
- 小さな王女さま
- 月に住む男 鈍重の巻
- 月に住む男 軽薄の巻
- 岩屋の巨人
- 巻貝のペリー坊や
- ミューリップ族
- 象
- ファスティトカロン
- 猫
- 影の花嫁
- 秘密の財宝
- 海の鐘
- 最後の船
コメント†
最新の6件を表示しています。 コメントページを参照