デネソール二世

概要

カテゴリー人名
スペルDenethor II
種族人間ドゥーネダイン
性別
生没年第三紀2930~†3019年3月15日(享年89)
エクセリオン二世(父)
兄弟少なくとも2人の姉*1
配偶者フィンドゥイラス
ボロミア(息子)、ファラミア(息子)

解説

ゴンドール統治権を持つ執政
第25代
エクセリオン二世
2953~2984
第26代
デネソール二世
第三紀2984~3019年3月15日(35年間)
第27代
ファラミア
3019
王の帰還

ゴンドールの統治権を持つ26代目の執政にして、実権を持った最後の執政。ボロミアファラミアの父。妻はドル・アムロスの大公イムラヒルの姉であるフィンドゥイラス
次第に暗くなっていく時代で王が不在のゴンドールを統治した。

非常に自尊心が高く、他者にも自身にも厳しい性格だった。老練かつ賢明であり、ゴンドールの伝承に通じ、賢王の風格を備えていた。
彼なりに妻のフィンドゥイラスを深く愛していたが、彼女が早逝した後は以前にもまして寡黙で気難しくなったという。二人の息子のうち、自分に似ていない兄のボロミアを特に寵愛していた。弟のファラミアには冷たく接することが多かったが、心の奥底ではファラミアのことも愛していた。
またその自尊心ゆえ、ゴンドールに現れた王位継承者であるアラゴルンと、その援護者であるガンダルフを警戒していた。

壇の下の広くて奥行きのある一番低い踏段に、黒くて飾りのない石の椅子が一脚あって、そこに一人の老人が自分の膝を見つめながら坐っていました。手には金の飾りのついた白い杖が握られていました。 …
その時老人は顔を上げました。ピピンは堂々たる骨形と象牙のような皮膚の彫りの深い顔貌(がんぼう)を見ました。暗色の深くくぼんだ目と目の間には湾曲した長い鼻がありました。かれはボロミアよりむしろアラゴルンを思い出させました。*2

若年期

第三紀2930年、ゴンドール執政エクセリオン二世の嫡男として生まれる。
デネソールの若年期にサウロンモルドールに帰還し、その脅威はいよいよ大きなものとなっていった。父エクセリオンはゴンドールの助けとなる者なら誰であれ重用し、わけてもソロンギルと呼ばれる北からやってきた武将は陸海で活躍、ゴンドールの大将として人々の名望を集めていた。

当時すでにデネソールは老練さと賢明さを備えていたのみならず、剛勇にも優れた武人であったが、父からも周囲からも常にソロンギルに次ぐ者と見なされていた。
ソロンギルの正体はイシルドゥアの世継である北方の野伏の族長アラゴルン二世であったが、デネソールは当時からその正体に気付いており、自身の立場を脅かす者として大いに警戒していたという。やがてソロンギルは異国へ去ったが、いずれ執杖を受け継ぐデネソールの競争者となるのを避けたのだと考える者が多かった。

ソロンギルが去った四年後にエクセリオンが死ぬと、デネソールは執政位を継承してゴンドールの実質的な統治者となった。

執政として

執政となったデネソールは、老練な支配者として知られるようになる。彼は賢明だが頑迷でもあり、助言には耳を傾け、しかるのち自らの思いに従って物事を決めた。
彼の代にガンダルフゴンドールでほとんど歓迎されなくなったが、これはソロンギル(アラゴルン)と親しいガンダルフをデネソールが警戒したためであった。だが下の息子のファラミアはガンダルフを敬愛し彼に師事したため、デネソールの不興を買った。

デネソールとファラミアは西方の血が強く発現しており、遠くを視ることも、人の心を読み取ることもできた。特にデネソールは遠方の物事を詳細に見知ったために人々から驚嘆されたが、後にわかったようにそれはパランティーアの使用によるためでもあった。
自らの代にモルドールから攻撃が加えられると予見したデネソールは、ミナス・ティリスを守るランマス・エホールの防壁を再建・強化させるとともに、イシリアンの遺民を募ってイシリアンの野伏を編成し、かの地での偵察と遊撃の任務に当たらせた。

上の息子のボロミアは西方の血をほとんど発現していなかったが、剛勇に優れた大将としてゴンドールを防衛し、人々の支持を一身に集めていた。そんなボロミアをデネソールは他の何にも増して愛した。

パランティーアの使用

デネソールは即位後まもなくから、広がりゆくモルドールの影の脅威と、自尊心の高さから、それまでの執政があえて試みなかったパランティーアを密かに使用するようになっていた。
彼はアノールの石を通じてイシルの石を持つサウロンと戦い、国内外の情報を集めていた。

だがパランティーアの使用とサウロンとの戦いは、頑強な精神の持ち主であるデネソールをも消耗させ、彼はドゥーネダインにしては異例なほど早くに老け込んでいった。また、サウロンはデネソールを支配することはできなかったものの、映し出す映像を捻じ曲げることで実際以上にモルドールの戦力を強大に見せ、デネソールを次第に絶望に追いやっていった。
妻のフィンドゥイラスが早逝したのも、一つには心優しい彼女がそれに気付き、心を痛めたためであったという。ボロミアに次いで妻を愛していたデネソールはフィンドゥイラスの死後、ますます頑迷になっていった。

ついには自分に仕えるのでなければ何者も信用せず、戦の趨勢はすべて自らとサウロンとの精神の対決の結果もたらされるものと信ずるに至ったという。

指輪戦争

大いなる年サウロンはいよいよ大兵力でもってゴンドール攻撃を開始し、指輪戦争が始まった。
オスギリアスボロミアファラミアによって辛うじて防衛されたが、やがてファラミアが夢の中で繰り返し謎のお告げを受けるようになる。デネソールはその言葉の内、「イムラドリス」が裂け谷を指す古称であることのみを兄弟に教える。そのためファラミアはお告げの謎解きを乞うため裂け谷を求めて旅立とうとしたが、危険であるとしてボロミアが代わって志願した。デネソールもファラミアもこれに反対したものの、ボロミアの決意を変えることはできず、ボロミアは裂け谷で指輪の仲間に加わった末、パルス・ガレンで命を落とした。
ボロミアが最後に吹き鳴らした角笛の音は、はるか遠くのゴンドール領内にいたデネソールとファラミアの耳にまで届いたと言われており、後に二つに割れた角笛がアンドゥインで発見され、手許にもたらされたことで、デネソールはボロミアの死を悟る。

やがてモルドールによるミナス・ティリス包囲が近づき、デネソールは七つの烽火山に点火してローハンの救援を求めるとともに、ドル・アムロスをはじめとする辺境の諸侯国から援軍を呼び寄せる。城下の人々は疎開させられてミナス・ティリスは戦時体制となり、デネソール自身も率先して質素な食事を執り、常時鎖帷子と剣を身に帯びる武装した生活を送っていた。

ボロミアの死の真相は、指輪の仲間の一人であったペレグリン・トゥックガンダルフに連れられてやってきたことで明らかとなった。だがデネソールは息子を失った悲しみすら手段として使い、ペレグリンの心から一つの指輪の行先やアラゴルン二世の到来をも読み取った。デネソールのガンダルフへの不信は弱まるどころではなく、加えて指輪をモルドールに送ったのはデネソールにとっては愚の骨頂としか思われなかった。
だがペレグリンは、ボロミアに命を救われた恩に報じるためデネソールに奉公を申し出る気高さを見せ、冷えて頑なになっていたデネソールの心をも感動させる。デネソールはペレグリンの奉公を嘉納して城塞の近衛兵としてそばに置き、彼なりに優しい態度でペレグリンに接した*3

だがボロミアの死を惜しむデネソールは、ファラミアに対してはいよいよ冷淡かつ過酷に接するようになる。
モルドールから出撃した大軍によってアンドゥインの通行権が危機に陥ると、デネソールはファラミアをアンドゥイン防衛のための望みない戦いに赴かせた。そのためファラミアは負傷し、黒の息に侵され、高熱で意識不明のまま都に帰還する。
瀕死の息子を目にしたデネソールは、ようやく自分が心の奥底でファラミアを愛していることを悟った。

狂気と死

「燃えておる、もう燃えておる。やつらはあれの身内(しんない)に火をつけおった。だがまもなくすべてが燃えるわ。西方世界は衰微(すいび)した。すべては劫尽(ごうじん)の大火となって燃え上がり、一切が終わるのだ。灰だ! 灰と煙となって風に運び去られるわ!」*4

ただ一人残った息子が瀕死に陥ったことで、さしもの強靭なデネソールの精神もついに挫ける。デネソールは気力の弱った状態でパランティーアを使用し、サウロンに捻じ曲げられて実態以上に強大に見せかけられたモルドールの軍勢の映像を目撃して絶望、ついに狂気に陥った。

デネソールは臥せるファラミアと共に白の塔に引きこもってペレンノール野の合戦の指揮を放棄し、やがてペレグリンを侍従の任から解くと、ラス・ディネンの執政家の廟に赴いて意識不明のファラミアを巻き添えにした焼身自殺を図った。
これはベレゴンドの抵抗によって遅らせられ、ついにペレグリンに連れられてガンダルフが現場に到着したことでファラミアは救出される。するとデネソールはパランティーアの秘密を明かして自由の民には希望など残されていないと示し、ガンダルフを自分から統治権と息子と臣下の全てを奪っていく者だと見なすと、執政の杖を折り、燃え盛る薪の上に身を横たえて命を絶った。

デネソールはアノールのパランティーアを抱えたまま焼身自殺し、以後この石は非常に強い意志の持ち主によらなければ、火の中で焼けて萎びていく老人の手しか映らなくなったという。
ゴンドールの執政職は回復したファラミアが継ぎ、彼の下で王の帰還がなされたため、デネソールは実質的なゴンドールの統治権を持った最後の執政となった。

略歴

画像

アラン・リー作画によるデネソール、ガンダルフ、ピピン

映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定

俳優ジョン・ノブル
日本語吹き替え勝部演之

原作では、ファラミアが負傷するまでは冷静かつ合理的に軍の指揮を行い、ローハンへの援軍要請などを行っている。だが映画では、ローハンへの援軍要請のための烽火を点火させず、赤い矢もローハンに送っていない(狼煙は、ガンダルフに指示されたペレグリン・トゥックが点火した。赤い矢は登場しない)。一方で、ファラミアに無謀なオスギリアス奪回を命じるなど、最初から非常に高い自尊心、ガンダルフへの猜疑心などが示されている。
デネソールがパランティーアを使っていたという設定は登場しない。彼はミナス・ティリスに迫り来るモルドールの軍勢を肉眼で見て、それで絶望する。またベレゴンドも登場しない。
ファラミアを巻き込んで焼身自殺を図る点は同じだが、死亡の状況はやや異なり、飛蔭に蹴られて火が燃え移ったまま都の第七層まで疾駆し、大岩の先端から投身する形になっている。

画像

『ロード・オブ・ザ・リング』におけるデネソール

ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定

二人の姉の名前はヴァンヤロス(Vanyalos)とテレニス(Terenis)となっている。うちヴァンヤロスはロスサールナッハの領主フォルロングの、テレニスはレベンニンの領主(名前は不明)の妻となっている。

『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるデネソール(右手に昏睡するファラミア) 『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるデネソールとパランティーア 『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるデネソールの火葬

コメント

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 身内の死に際して火葬で殉死ってインドのサティから取ったのかなぁ -- 2015-06-27 (土) 11:11:03
    • ヴァイキングにも同様の風習があったようです -- 2016-04-16 (土) 08:50:43
  • LotrRO ェ・・・・・ -- 2017-05-03 (水) 03:48:03
  • 働きすぎで根詰めすぎて、自分でも気づかないうちに病んでる人いるよね。教授には未来世代が抱える病理を予想できていたのか? -- 2018-02-08 (木) 14:39:38
  • ボロミアはもしかしたら奥さんに似てたんかも。だから自分似のファラミアより可愛がった。ファラミアは同族嫌悪というか、執政で西方の血ゆえの自分の虚栄心を鏡で見るようにファラミアを見てしまったのかな…。頭が良い人が陥りがちな感情。 -- 2018-07-01 (日) 07:03:26
  • パランティーアの使用中に意図せずサルマンと通信したことは無いのかな? それと、デネソールはどの程度アイゼンガルド方面の事情を把握していたのかな? -- 2018-07-30 (月) 19:13:43
    • 『終わらざりし物語』195ページ。 「デネソールがオルサンクの石と交信し、サルマンと話したかどうかは、語られてはいない。おそらく交信をして、デネソールだけが得をしたと思われる。」  -- 2019-02-10 (日) 00:44:53
  • サウロンは、ケレブリンボールを誑かし、アル=ファラゾーンを洗脳してヌーメノールを破滅させている。 -- 2018-11-06 (火) 15:33:10
    • デネソールよりもはるかに力があったヌーメノール王でさえも誘惑にかられて破滅したわけで、パランティアを介してとはいえサウロンと堂々と交信しても決して屈しなかったことは高潔さをよく示している。まさに忠実なる者の末裔としての誇りと使命感があった。 -- 2018-11-06 (火) 15:36:12
      • しかし反動はでかかった。 -- 2018-11-06 (火) 19:03:35
    • でも、最後まで洗脳されなかっただけ立派だよ。 -- 2019-02-10 (日) 05:15:12
  • この人の人生と最期は悲しい。才能と使命感に優れた第一級の人物が、怠惰や愚鈍さからではなく誇りや悲しみから絶望と狂気に墜ちていく様が見ていて辛い。あまりにも暗い時代に、今の状況がいかに絶望的かをまざまざと見ることができた彼の眼力と祖国や家族への愛が、死と狂気を早めたのだろうな...。ホビットの様に謙虚にも楽観的になれず、エルフほど厭世的になれず、ドワーフほど単純でもなければ、愚かな父祖のように利己的にもなれず、偉大な先祖達やアラゴルンのようにチートにも恵まれなかった。馬鹿にも凡人にもなれず、神にも愛されなかった優れた孤独な指導者ゆえの悲劇が胸を打つ。 -- 2019-10-28 (月) 13:03:43
  • 確かに気の毒な気がしますけど、愚かな死に方をしたから、王の帰還が大歓迎された側面もある訳で -- 2019-11-01 (金) 10:20:50
  • そう言う意味では、あえてああ言う暴挙に出たのかも知れません。今では教授がど言う意図でああ言うキャラ設定にしたか分かりませんけど。 -- 2019-11-01 (金) 10:25:08
  • 映画で、デネソールが食事してるシーンあるじゃん?あれ、トマト、鶏肉、ライス、パン、蟹、海老とかむしゃむしゃ食べていたよね笑あのシーン好きなんだけど、具体的に何食べてるか分かる人居ますか? -- 2019-11-07 (木) 04:27:48
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